【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフッ素含有水の処理方法に係り、特に被処理水中のフッ素イオンをフッ化カルシウムとして不溶化し除去するようにしたフッ素含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素含有水からフッ素を除去する方法としては、被処理水に消石灰や炭酸カルシウムなどのカルシウム化合物を添加し、被処理水中のフッ素イオンをフッ化カルシウムとして不溶化する方法が周知である。不溶化したフッ化カルシウムを沈殿分離することによって、フッ素含有水からフッ素が除去される。フッ素イオンとカルシウムイオンとが結合して被処理水中で生成されるフッ化カルシウムは微細であり、沈降性がきわめて悪い。このため、沈殿分離にあたっては無機系の凝集剤を添加し、生成したフッ化カルシウムを凝集させる凝集沈殿分離が一般に実施されている。しかしながら、この凝集沈殿によって満足できる分離効果を挙げるためには多量の凝集剤が必要である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
その結果、凝集剤のコストが膨大になるとともに、沈殿分離によって発生する汚泥の量も膨大となり、汚泥処理に多大な手間と費用を要するという問題を抱えていた。汚泥をセメント材料として再利用することも一時行われていたが、凝集剤には塩素を含むものが多く、この塩素がセメントの質を低下させ、またコンクリートの鉄筋を腐蝕させる原因になることが判明し、近年はこのような再利用の方途も閉ざされている。
【0004】
このため、不溶化したフッ化カルシウムを被処理水から分離するために、凝集沈殿分離に代え、精密ろ過膜や限外ろ過膜などの透過膜を用いて膜分離する方法が提案されている(例えば、特許文献2,特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第2912237号公報
【特許文献2】特開2000−263063号公報
【特許文献3】特開2001−334265号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ただし、膜分離による方法は透過膜の目詰まりによるフラックスの低下が起こり易く、処理水量を安定に維持することが困難であり、メンテナンスに多大な手間を要するという基本的な問題がある。この問題を改善するために、特許文献2、特許文献3では凝集剤の添加を併用し、透過膜の膜面をろ過操作の過程でも常時洗浄するなどして、フラックスの低下を抑える工夫をしている。しかしながら、このような工夫を講じてもフラックスの低下を十分には抑えることができず、また、凝集剤を併用するので発生する汚泥の量も多くなり、汚泥処理に多大な手間と費用を要するという問題を依然として抱えていた。
【0007】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を改善し、生成したフッ化カルシウムをろ過分離する際に、フラックスの低下を最小限に抑えることができるフッ素含有水の処理方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は添加する凝集剤の量を零又は最小限に抑えて、発生する汚泥の量を少なくすることができるフッ素含有水の処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るフッ素含有水の処理方法は、被処理水中のフッ素イオンをカルシウムイオンと反応させ、生成したフッ化カルシウムを透過膜によって分離除去するフッ素含有水の処理方法において、種晶となる粉末を懸濁させたスラリーを予め前記透過膜でろ過することによって、前記透過膜の一次側の膜面上に種晶のプレコート層を形成した後、前記被処理水を前記プレコート層が形成された透過膜でろ過することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は前記種晶となる粉末がフッ化カルシウムを主成分とする粉末であることを特徴とする。また、本発明は前記プレコート層を間欠的に更新することを特徴とする。この場合、前記ろ過によって成長したプレコート層を剥離し、剥離された種晶を粉砕したものを新たな種晶として前記プレコート層の形成に再利用することが好ましい。
【0010】
【作用】
本発明は生成したフッ化カルシウムを透過膜によって分離する際に、未反応のフッ素イオンが透過膜の膜面内部でカルシウムイオンと反応すること、そしてこの反応生成物であるフッ化カルシウムが透過膜の目詰まりを促進し、フラックスの低下を招くことに着目してなされたものである。すなわち、本発明によれば予め透過膜の一次側の膜面上に種晶のプレコート層を形成する。このプレコート層が不溶化した微細なフッ化カルシウムその他の懸濁物質のろ過層として機能する。また、未反応のフッ素イオンはプレコート層の表面又はプレコート層を通過する過程でカルシウムイオンと反応し、反応生成物であるフッ化カルシウムは確実に種晶の表面に析出する。このため、フッ素イオンが未反応の状態で透過膜の膜面内部に到達することを防ぐ。このため、透過膜内でのフッ化カルシウムの生成が激減し、透過膜の目詰まりを大幅に抑制できる。透過膜はもっぱらプレコート層を支持するための支持材として機能する。
【0011】
種晶としてはフッ化カルシウムを主成分とした粉末や、炭酸カルシウム粉末などが用いられる。特に種晶としてフッ化カルシウムを主成分とする粉末を用いると、種晶表面でのフッ化カルシウムの析出反応が促進される。この析出したフッ化カルシウムが新たな種晶として機能し、プレコート層は次第に肥大していく。長時間の運転によって肥大したプレコート層自体がろ過抵抗となるので透過膜から剥離させ、剥離後の透過膜には新たな種晶をプレコーティングして、プレコート層を間欠的に更新する。このプレコート層の更新に際して、剥離した肥大種晶を粉砕したものを新たな種晶として再利用することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るフッ素含有水の処理方法の実施形態を説明するための系統図である。反応槽10にはフッ素イオンを含有する被処理水12が供給される。また、反応槽10にはカルシウムイオンの供給源として水酸化カルシウムの水溶液14が添加される。この水酸化カルシウムの添加量は被処理水12に含まれるフッ素イオンの全量がフッ化カルシウムとなるのに必要な反応当量以上とされる。その結果、反応槽10ではフッ素イオン16とカルシウムイオン18とが結合してフッ化カルシウム20を生成するとともに、未反応のフッ素イオン16とカルシウムイオン18が共存することになる。フッ化カルシウム20の被処理水に対する溶解度は被処理水の温度やpH条件などによって変化するが通常レベルで10mg/L前後である。したがって、フッ化カルシウム20の濃度が上記溶解度を越える場合には、反応槽10には溶解したフッ化カルシウムと析出した微細なフッ化カルシウムとが共存している。これらのフッ化カルシウム20,フッ素イオン16,カルシウムイオン18を含む被処理水22は、循環ポンプ24によって膜分離手段26に送られる。この膜分離手段26は精密ろ過膜又は限外ろ過膜などの透過膜28を備えており、被処理水22は透過膜28の一次側30に流入する。透過膜28としてはチューブラ型やモノリス型のほか、膜表面に付着した固形物の物理的洗浄に効果の高い回転平膜などが好ましく用いられる。
【0013】
この透過膜28の一次側30には予め種晶32がプレコーティングされており、所定厚みのプレコート層を形成している。プレコーティング操作は、種晶タンク52で調整した種晶となる粉末を懸濁させたスラリー54をポンプ24によって透過膜28の一次側30に供給し透過膜28でろ過することによって、透過膜28の一次側の膜面上に種晶32のプレコート層を形成する。種晶32の粒径は透過膜28の膜孔径よりも大きいものを用いる。
【0014】
種晶32としてはフッ化カルシウムを主成分とした粉末や、炭酸カルシウム粉末などが用いられる。特に種晶32としてフッ化カルシウムを主成分とする粉末を用いると、種晶表面でのフッ化カルシウムの析出反応が促進されるので好ましい。フッ化カルシウムを主成分とする粉末としては例えば下関三井化学(株)製の商標「ノボロック」や菱江化学(株)製の商標「エフソン」などのフッ素吸着剤として市販されているものも使用することができる。
【0015】
透過膜28の一次側30に形成された種晶32のプレコート層が被処理水22のろ過層として機能する。このため、透過膜28の一次側30に流入した被処理水22中の不溶化した微細なフッ化カルシウム20その他の懸濁物質が種晶32のプレコート層によって捕捉される。また、被処理水22中に溶解しているフッ化カルシウムも晶析作用によって種晶32の表面に析出する。さらに、被処理水22中の未反応のフッ素イオン16はプレコート層の表面又はプレコート層を通過する過程でカルシウムイオン18と反応し、反応生成物であるフッ化カルシウム20は確実に種晶32の表面に析出する。このため、フッ素イオン16が未反応の状態で透過膜28の膜面内部に到達することを防ぎ、透過膜28の目詰まりを大幅に抑制できる。このように本実施形態では種晶32のプレコート層が被処理水22のろ過層として機能しており、透過膜28はもっぱらろ過層である種晶32を支持するための支持材として機能する。
【0016】
上記種晶32のプレコート層及び透過膜28を透過し、透過膜28の二次側34に達したろ過水36は、一旦、処理水槽38に貯留された後、処理水40として系外に排出される。なお、透過膜28の一次側30に流入した被処理水22の内、ろ過操作を受けなかった残余の被処理水22は管路42から反応槽10に返送され、繰り返し循環する過程でフッ化カルシウム20の生成反応が徐々に進行する。
【0017】
種晶32のプレコート層に捕捉され、又は析出したフッ化カルシウム20が新たな種晶材として機能し、プレコート層は次第に肥大していく。長時間の運転によって肥大したプレコート層自体がろ過抵抗となるので、プレコート層を透過膜28から剥離する剥離操作を実施する。この剥離操作はプレコート層と透過膜28とのろ過抵抗を合算した透過圧力が設定値以上になった場合や、プレコート層の表面が不純物によって覆われフッ素処理能力が低下した場合などに、定期,不定期を問わず間欠的に実施する。剥離操作としては透過膜28の型式に応じて最も効果的な方法を選択する。例えば処理水槽38に貯留されたろ過水36を逆洗ポンプ44によって透過膜28の二次側34に送り透過膜28を逆洗する。又は透過膜28の一次側30に圧縮空気や圧縮水を吹き付ける。又は透過膜28の一次側30をスクレーパやスポンジボールを用いて機械的に擦洗する。又はこれらの方法を組み合わせて剥離操作を実施することもできる。
【0018】
剥離した種晶を含む汚泥46は一旦、貯留槽48に収容した後に処理処分する。種晶としてフッ化カルシウムを主成分とする粉末を用いた場合には、発生した汚泥46もフッ化カルシウムを主成分としているので化学原料としての再利用価値が高い。本実施形態では通常は凝集剤を用いる必要がないので、汚泥46の発生量も少ない。このため、仮に汚泥46に不純物が多く再利用が難しい場合でも処理処分のための経費を最小限に抑えることができる。
【0019】
剥離後の透過膜28には新たな種晶32をプレコーティングして、プレコート層を間欠的に更新する。このプレコート層の更新に際して、剥離した肥大種晶を粉砕したものを新たな種晶として再利用することができる。すなわち、前記汚泥46を種晶再生設備50に送り、フッ化カルシウムを主体とした肥大種晶を適当な手段で選別した後に粉砕する。次に、種晶再生設備50では粉砕物の中から適当な粒径のものを分級し、これを新たな種晶32として種晶タンク52に送り込む。種晶タンク52ではこの新たな種晶32と水とを混合してスラリー54を調整する。このスラリー54を循環ポンプ24によって前記剥離後の透過膜28の一次側30に送って、透過膜28の表面に新たな種晶32をプレコーティングする。その後、被処理水22のろ過操作を再開する。
【0020】
上述のとおり、本実施形態のフッ素含有水の処理方法によれば、透過膜28の表面がプレコーティングした種晶32によって覆われているので、このプレコート層が不溶化した微細なフッ化カルシウム20その他の懸濁物質のろ過層として機能する。また、溶解したフッ化カルシウムを晶析作用によって種晶32の表面に析出させる。さらに、未反応のフッ素イオンはプレコート層の表面又はプレコート層を通過する過程でカルシウムイオンと反応し、反応生成物であるフッ化カルシウム20は確実に種晶32の表面に析出する。このため、ろ過水36中のフッ素濃度を十分に低減できるとともに、透過膜の目詰まりを大幅に抑制できる。透過膜28はもっぱらプレコート層を支持するための支持材として機能する。
【0021】
本発明は上記本実施形態に限定されない。例えば、上記本実施形態に係る反応槽10と膜分離手段26とを一体化し、槽内に膜分離手段を浸漬した構造の反応槽を用いるようにしてもよい。また、プレコート層の更新方法として、肥大したプレコート層の表面部分のみを応急的に削り取る方法を採用することもできる。この方法によればプレコート層のろ過抵抗を低減できるので、本格的なプレコート層の剥離,再プレコーティング操作の頻度を大幅に低減することができる。
【0022】
なお、本発明は凝集剤の使用を否定するものではない。上記本実施形態においてプレコート層の更新操作の頻度を少なくする目的で、必要に応じて反応槽10に少量の凝集剤56を添加するようにしてもよい。凝集剤56の添加によってフッ化カルシウムその他微細な懸濁物質が相互に凝集し、プレコート層でのろ過抵抗の上昇を抑制する。また、上記本実施形態において必要に応じてpH調整剤58を反応槽10に添加するようにしてもよい。すなわち、pHを8〜10に調整するとフッ化カルシウムの溶解度が小さくなり、フッ化カルシウムの晶析作用が促進する。
【0023】
【発明の効果】
上述のとおり、本発明によれば被処理水中のフッ素イオンをカルシウムイオンと反応させ、生成したフッ化カルシウムを透過膜によって分離する場合に、フッ素イオンが未反応の状態で透過膜の膜面内部に到達することを防ぎ、透過膜の目詰まりを大幅に抑制する。このため、透過膜のフラックスの低下を最小限に抑えてろ過分離することができ、処理水量を安定して維持することができる。また、添加する凝集剤の量を最小限に抑えて、発生する汚泥の量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理方法の実施形態を説明するための系統図である。
【符号の説明】
10………反応槽、12………被処理水、14………水酸化カルシウムの水溶液、16………フッ素イオン、18………カルシウムイオン、20………フッ化カルシウム、22………被処理水、24………循環ポンプ、26………膜分離手段、28………透過膜、32………種晶、36………ろ過水、38………処理水槽、40………処理水、46………汚泥、48………貯留槽、50………種晶再生設備、52………種晶タンク、54………スラリー。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for treating fluorine-containing water, and more particularly to a method for treating fluorine-containing water in which fluoride ions in water to be treated are insolubilized and removed as calcium fluoride.
[0002]
[Prior art]
As a method of removing fluorine from the fluorine-containing water, a method of adding a calcium compound such as slaked lime or calcium carbonate to the water to be treated and insolubilizing fluorine ions in the water to be treated as calcium fluoride is well known. By precipitating and separating the insolubilized calcium fluoride, fluorine is removed from the fluorine-containing water. Calcium fluoride produced in the water to be treated by the combination of fluorine ions and calcium ions is fine and has very poor sedimentation. For this reason, coagulation sedimentation is generally performed in which an inorganic coagulant is added for coagulation of the generated calcium fluoride. However, a large amount of a flocculant is required in order to obtain a satisfactory separation effect by the flocculation and precipitation (for example, see Patent Document 1).
[0003]
As a result, the cost of the flocculant becomes enormous, and the amount of sludge generated by sedimentation and separation also becomes enormous, and there is a problem that sludge treatment requires a great deal of labor and cost. Sludge was once reused as a cement material, but many coagulants contain chlorine, which can degrade cement and cause corrosion of concrete reinforcing bars. It has been found, and in recent years, such recycling methods have been closed.
[0004]
For this reason, in order to separate the insolubilized calcium fluoride from the water to be treated, a method has been proposed in which membrane separation is performed using a permeable membrane such as a microfiltration membrane or an ultrafiltration membrane instead of coagulation sedimentation separation (for example, , Patent Documents 2 and 3).
[0005]
[Patent Document 1] Japanese Patent No. 2912237 [Patent Document 2] Japanese Patent Application Laid-Open No. 2000-263630 [Patent Document 3] Japanese Patent Application Laid-Open No. 2001-334265 [0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, the method using membrane separation has a basic problem that the flux tends to decrease due to clogging of the permeable membrane, it is difficult to maintain a stable amount of treated water, and a great deal of labor is required for maintenance. In order to solve this problem, Patent Documents 2 and 3 disclose the use of a coagulant in addition to constantly cleaning the membrane surface of the permeable membrane even in the process of filtration to reduce the flux. ing. However, even if such measures are taken, the decrease in flux cannot be sufficiently suppressed, and the amount of sludge generated due to the use of the coagulant also increases, requiring a great deal of labor and cost for sludge treatment. Still had the problem.
[0007]
An object of the present invention is to provide a method for treating fluorine-containing water that can solve the problems of the related art and minimize the decrease in flux when filtering and separating generated calcium fluoride. It is in. Another object of the present invention is to provide a method for treating fluorine-containing water that can reduce the amount of generated sludge by minimizing the amount of coagulant to be added to zero or minimum.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The method for treating fluorine-containing water according to the present invention is a method for treating fluorine-containing water, in which fluorine ions in the water to be treated are reacted with calcium ions, and the generated calcium fluoride is separated and removed by a permeable membrane. The slurry in which was suspended was filtered through the permeable membrane in advance, so that a seed crystal pre-coat layer was formed on the primary membrane surface of the permeable membrane, and then the water to be treated was formed into the pre-coat layer. It is characterized by filtering through a permeable membrane.
[0009]
Further, the invention is characterized in that the seed crystal powder is a powder containing calcium fluoride as a main component. Further, the present invention is characterized in that the precoat layer is updated intermittently. In this case, it is preferable that the pre-coat layer grown by the filtration is peeled off, and the pulverized seed crystal is reused as a new seed crystal for forming the pre-coat layer.
[0010]
[Action]
In the present invention, when the generated calcium fluoride is separated by a permeable membrane, unreacted fluorine ions react with calcium ions inside the membrane surface of the permeable membrane, and the reaction product, calcium fluoride, is separated by the permeable membrane. It has been made with a focus on promoting the clogging of the steel and inducing a decrease in the flux. That is, according to the present invention, a seed crystal precoat layer is formed on the primary surface of the permeable membrane in advance. This precoat layer functions as a filtration layer for fine insoluble calcium fluoride and other suspended substances. Further, unreacted fluorine ions react with calcium ions in the surface of the precoat layer or in the process of passing through the precoat layer, and calcium fluoride as a reaction product is definitely deposited on the surface of the seed crystal. This prevents fluorine ions from reaching the inside of the permeable membrane surface in an unreacted state. For this reason, generation of calcium fluoride in the permeable membrane is drastically reduced, and clogging of the permeable membrane can be largely suppressed. The permeable membrane functions solely as a support for supporting the precoat layer.
[0011]
As the seed crystal, powder containing calcium fluoride as a main component, calcium carbonate powder, or the like is used. In particular, when a powder containing calcium fluoride as a main component is used as a seed crystal, a precipitation reaction of calcium fluoride on the surface of the seed crystal is promoted. The precipitated calcium fluoride functions as a new seed crystal, and the precoat layer gradually enlarges. The precoat layer itself, which has been enlarged for a long time, becomes a filtration resistance, and thus is separated from the permeable membrane. The permeable membrane after the separation is precoated with a new seed crystal, and the precoat layer is intermittently updated. When the precoat layer is renewed, the pulverized peeled enlarged seed crystal can be reused as a new seed crystal.
[0012]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
FIG. 1 is a system diagram for explaining an embodiment of the method for treating fluorine-containing water according to the present invention. The water to be treated 12 containing fluorine ions is supplied to the reaction tank 10. Further, an aqueous solution 14 of calcium hydroxide is added to the reaction tank 10 as a supply source of calcium ions. The amount of the calcium hydroxide to be added is equal to or more than the reaction equivalent required for the total amount of the fluorine ions contained in the water to be treated 12 to become calcium fluoride. As a result, in the reaction tank 10, the fluorine ions 16 and the calcium ions 18 combine to form calcium fluoride 20, and unreacted fluorine ions 16 and calcium ions 18 coexist. The solubility of calcium fluoride 20 in the water to be treated varies depending on the temperature of the water to be treated, pH conditions, and the like, but is about 10 mg / L at a normal level. Therefore, when the concentration of the calcium fluoride 20 exceeds the above-mentioned solubility, the dissolved calcium fluoride and the precipitated fine calcium fluoride coexist in the reaction tank 10. The to-be-processed water 22 containing the calcium fluoride 20, the fluorine ions 16, and the calcium ions 18 is sent to the membrane separation means 26 by the circulation pump 24. The membrane separation means 26 has a permeable membrane 28 such as a microfiltration membrane or an ultrafiltration membrane, and the water 22 to be treated flows into the primary side 30 of the permeable membrane 28. As the permeable membrane 28, in addition to a tubular type or a monolith type, a rotating flat membrane which is highly effective in physically cleaning solid substances adhered to the membrane surface is preferably used.
[0013]
The primary side 30 of the permeable membrane 28 is pre-coated with a seed crystal 32 in advance to form a pre-coated layer having a predetermined thickness. The pre-coating operation is performed by supplying a slurry 54 in which the seed crystal powder adjusted in the seed crystal tank 52 is suspended to the primary side 30 of the permeable membrane 28 by the pump 24 and filtering the slurry 54 through the permeable membrane 28. A pre-coat layer of seed crystal 32 is formed on the primary side film surface. The diameter of the seed crystal 32 is larger than the pore diameter of the permeable membrane 28.
[0014]
As the seed crystal 32, powder containing calcium fluoride as a main component, calcium carbonate powder, or the like is used. In particular, it is preferable to use a powder containing calcium fluoride as a main component as the seed crystal 32 because the precipitation reaction of calcium fluoride on the surface of the seed crystal is promoted. As the powder containing calcium fluoride as a main component, for example, those commercially available as fluorine adsorbents such as the trademark "NOVOLOK" manufactured by Shimonoseki Mitsui Chemicals, Inc. and the trademark "Efson" manufactured by Hishie Chemicals Inc. may be used. be able to.
[0015]
The precoat layer of the seed crystal 32 formed on the primary side 30 of the permeable membrane 28 functions as a filtration layer for the water 22 to be treated. For this reason, the insoluble fine calcium fluoride 20 and other suspended substances in the water to be treated 22 flowing into the primary side 30 of the permeable membrane 28 are captured by the precoat layer of the seed crystal 32. In addition, calcium fluoride dissolved in the water to be treated 22 also precipitates on the surface of the seed crystal 32 by the crystallization action. Further, unreacted fluorine ions 16 in the water to be treated 22 react with calcium ions 18 in the process of passing through the surface of the precoat layer or the precoat layer, and calcium fluoride 20 as a reaction product surely forms the seed crystal 32. Precipitates on the surface. For this reason, it is possible to prevent the fluorine ions 16 from reaching the inside of the membrane surface of the permeable membrane 28 in an unreacted state, so that clogging of the permeable membrane 28 can be largely suppressed. As described above, in the present embodiment, the precoat layer of the seed crystal 32 functions as a filtration layer for the water to be treated 22, and the permeable membrane 28 functions as a supporting material for exclusively supporting the seed crystal 32, which is a filtration layer.
[0016]
The filtered water 36 that has passed through the precoat layer of the seed crystal 32 and the permeable membrane 28 and has reached the secondary side 34 of the permeable membrane 28 is temporarily stored in a treated water tank 38 and then discharged out of the system as treated water 40. Is done. Of the water to be treated 22 that has flowed into the primary side 30 of the permeable membrane 28, the remaining water to be treated 22 that has not been subjected to the filtration operation is returned to the reaction tank 10 through the pipe 42, and is fluorinated in the course of repeated circulation. The formation reaction of calcium 20 progresses gradually.
[0017]
The calcium fluoride 20 captured or precipitated by the precoat layer of the seed crystal 32 functions as a new seed material, and the precoat layer gradually enlarges. Since the precoat layer itself which has been enlarged by long-time operation becomes a filtration resistance, a peeling operation of peeling the precoat layer from the permeable membrane 28 is performed. This peeling operation is performed periodically when the permeation pressure, which is the sum of the filtration resistances of the precoat layer and the permeable membrane 28, exceeds a set value, or when the surface of the precoat layer is covered with impurities and the fluorine treatment capacity is reduced. Implement intermittently regardless of irregular intervals. As the peeling operation, the most effective method is selected according to the type of the permeable membrane 28. For example, the filtered water 36 stored in the treated water tank 38 is sent to the secondary side 34 of the permeable membrane 28 by the backwash pump 44 to backwash the permeable membrane 28. Alternatively, compressed air or compressed water is sprayed on the primary side 30 of the permeable membrane 28. Alternatively, the primary side 30 of the permeable membrane 28 is mechanically scrubbed using a scraper or a sponge ball. Alternatively, the peeling operation can be performed by combining these methods.
[0018]
The sludge 46 containing the separated seed crystals is once stored in a storage tank 48 and then treated and disposed. When powder containing calcium fluoride as a main component is used as a seed crystal, the generated sludge 46 also contains calcium fluoride as a main component, and thus has high reuse value as a chemical raw material. In this embodiment, since it is not usually necessary to use a flocculant, the amount of generated sludge 46 is small. For this reason, even if the sludge 46 has a large amount of impurities and is difficult to reuse, the cost for treatment and disposal can be minimized.
[0019]
A new seed crystal 32 is pre-coated on the permeable film 28 after peeling, and the pre-coat layer is intermittently updated. When the precoat layer is renewed, the pulverized peeled enlarged seed crystal can be reused as a new seed crystal. That is, the sludge 46 is sent to the seed crystal regenerating facility 50, and the enlarged seed crystals mainly composed of calcium fluoride are sorted out by an appropriate means and then pulverized. Next, the seed crystal regenerating equipment 50 classifies the pulverized material having an appropriate particle size and sends it to the seed crystal tank 52 as a new seed crystal 32. In the seed tank 52, the new seed crystal 32 and water are mixed to prepare a slurry 54. The slurry 54 is sent by the circulation pump 24 to the primary side 30 of the permeable membrane 28 after the peeling, and the surface of the permeable membrane 28 is pre-coated with a new seed crystal 32. Thereafter, the operation of filtering the water to be treated 22 is restarted.
[0020]
As described above, according to the method for treating fluorine-containing water of the present embodiment, since the surface of the permeable membrane 28 is covered by the pre-coated seed crystal 32, the fine calcium fluoride 20 and the like in which the pre-coat layer is insolubilized It functions as a filtration layer for suspended solids. Further, the dissolved calcium fluoride is precipitated on the surface of the seed crystal 32 by a crystallization action. Further, unreacted fluorine ions react with calcium ions in the process of passing through the surface of the precoat layer or in the precoat layer, and calcium fluoride 20 as a reaction product is reliably deposited on the surface of the seed crystal 32. Thus, the fluorine concentration in the filtered water 36 can be sufficiently reduced, and clogging of the permeable membrane can be significantly suppressed. The permeable membrane 28 functions solely as a support for supporting the precoat layer.
[0021]
The present invention is not limited to the above embodiment. For example, the reaction vessel 10 according to the present embodiment may be integrated with the membrane separation means 26, and a reaction vessel having a structure in which the membrane separation means is immersed in the vessel may be used. In addition, as a method of updating the precoat layer, a method in which only the surface portion of the enlarged precoat layer is sharply removed can be adopted. According to this method, the filtration resistance of the precoat layer can be reduced, so that the frequency of full-scale peeling of the precoat layer and the frequency of re-precoating can be greatly reduced.
[0022]
In addition, this invention does not deny the use of a flocculant. In the above-described embodiment, a small amount of the coagulant 56 may be added to the reaction tank 10 as needed in order to reduce the frequency of the precoat layer update operation. The addition of the flocculant 56 causes calcium fluoride and other fine suspended substances to flocculate with each other, thereby suppressing an increase in filtration resistance in the precoat layer. In the present embodiment, the pH adjuster 58 may be added to the reaction tank 10 as needed. That is, when the pH is adjusted to 8 to 10, the solubility of calcium fluoride decreases, and the crystallization action of calcium fluoride is promoted.
[0023]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, when fluorine ions in the water to be treated are reacted with calcium ions, and the generated calcium fluoride is separated by the permeable membrane, the fluorine ions remain unreacted inside the permeable membrane. To prevent the permeable membrane from clogging. For this reason, it is possible to perform filtration and separation while minimizing a decrease in the flux of the permeable membrane, and it is possible to stably maintain the amount of treated water. Further, the amount of the generated sludge can be reduced by minimizing the amount of the coagulant to be added.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a system diagram for explaining an embodiment of a processing method according to the present invention.
[Explanation of symbols]
Reference numeral 10: reaction tank, 12: water to be treated, 14: aqueous solution of calcium hydroxide, 16: fluorine ion, 18: calcium ion, 20: calcium fluoride, 22 .., Treated water, 24 circulating pump, 26 membrane separation means, 28 permeable membrane, 32 seed crystal, 36 filtered water, 38 treated water tank, 40 ... treated water, 46 ... sludge, 48 ... storage tank, 50 ... seed crystal regeneration equipment, 52 ... seed crystal tank, 54 ... slurry.