JP2004182109A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】暖房運転時における立ち上がり性能を向上させて良好な空調フィーリングを得ることができるヒートポンプ式の車両用空調装置を提供する。
【解決手段】コンプレッサ11より圧縮されたガス冷媒が冷媒回路を循環する冷媒流れ方向を切り換えることで車室内の空調を行うように構成されたヒートポンプ式の車両用空調装置であって、暖房運転開始の初期に実施され、冷媒回路を循環する冷媒量を増加させるホットキープ運転モードを設けた。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートポンプ式の車両用空調装置に係り、特に、暖房運転時の立ち上がりに要する時間を短縮するのに用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球温暖化等の環境問題を解決する手段として、従来の内燃機関で走行する車両に代わる電気自動車やハイブリッド車の開発が進み、一部実用化されている。このような車両においては、電気自動車のように内燃機関が全くないか、あるいは、ハイブリッド車のように内燃機関を搭載していてもその運転が制限されるため、内燃機関を駆動源とする車両に装備されている従来の車両用空調装置のように、内燃機関の廃熱のみを利用して暖房運転を行うことは困難である。
【0003】
このような背景から、状態変化を繰り返しながら冷媒回路を循環する冷媒の流れ方向を切り換えることで車室内の空調を行うように構成したヒートポンプ式の車両用空調装置が提案されている。
従来のヒートポンプ式の車両用空調装置においては、冷媒の流れ方向が異なる冷房運転(除湿運転を含む)や暖房運転等の各種空調運転を実施するため、空調ユニット内に設置されて空調する空気との熱交換を行う二つの車内熱交換器と、外気との熱交換を行う車外熱交換器とを備えている。また、空調運転モードに応じて冷媒の流れ方向を切り換える手段として四方弁が用いられ、さらに、二つの車内熱交換器についてその用途(放熱器または蒸発器)を選択切換するため、空調運転モードに応じて使い分ける2個の冷媒絞り装置を冷媒回路中の異なる位置に設置することが必要な構成となっている。(たとえば、特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】
特開平6−156048号公報(段落番号0028〜0041及び図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の車両用空調装置においては、暖房運転時の立ち上がり性能の向上、すなわち暖房運転を開始してから充分な暖房能力を発揮するまでの時間を短縮することが求められている。このような暖房運転時の立ち上がり性能を向上させるためには、コンプレッサに吸引して圧縮するガス冷媒の圧力低下を軽減させることが望ましい。すなわち、コンプレッサに吸引する冷媒圧力を上げて冷媒密度が高くなれば、冷媒循環量の増加により冷媒の仕事量も増して立ち上がり性能の向上が期待できる。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、暖房運転時における立ち上がり性能の向上、すなわち暖房能力を発揮するまでの時間を短縮して良好な空調フィーリングを得ることができるヒートポンプ式の車両用空調装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
請求項1に記載の車両用空調装置は、コンプレッサにより圧縮されたガス冷媒が冷媒回路を循環する冷媒流れ方向を切り換えることで車室内の空調を行うように構成されたヒートポンプ式の車両用空調装置であって、暖房運転開始の初期に実施され、前記冷媒回路を循環する冷媒量を増加させるホットキープ運転モードを設けたことを特徴とするものである。
【0008】
このような請求項1記載の車両用空調装置によれば、暖房運転開始の初期に実施され、冷媒回路を循環する冷媒量を増加させるホットキープ運転モードを設けたので、暖房運転開始から短時間の内に冷媒温度を上昇させて充分な暖房能力を得られる本格的な暖房運転に移行することができる。
【0009】
請求項2に記載の車両用空調装置は、請求項1記載のものにおいて、前記冷媒回路が、ガス冷媒を圧縮するコンプレッサと、空調ユニット内に空気流れ上流側から順に直列に配置され、外気または室内気と冷媒との間で熱交換する第1車内熱交換器及び第2車内熱交換器と、外気と冷媒との間で熱交換する車外熱交換器と、冷媒を減圧する絞り機構と、運転モードに応じて冷媒流れ方向を選択切換する冷媒流れ方向切換手段とを具備して構成され、前記第2車内熱交換器を放熱専用とし、前記ホットキープ運転モード時には、前記冷媒流れ方向切換手段の操作により、前記冷媒が前記第1車内熱交換器、前記車外熱交換器及び前記絞り機構をバイパスして流れることを特徴とするものである。このため、コンプレッサで圧縮された冷媒がホットキープ運転モード用のバイパス流路を循環して流れ、短時間の内に温度上昇する。
このようなホットキープ運転モードは、第2車内熱交換器に係わる温度が所定値以下の場合、あるいは、コンプレッサに係わる温度が所定値以下の場合に実施するとよい。
【0010】
請求項4記載の車両用空調装置は、請求項2または3記載のものにおいて、前記冷媒流れ方向切換手段が、前記冷媒回路中に配置した二つの三方弁であることを特徴とし、これにより、簡単な回路構成によるホットキープ運転モードの実施が可能となる。
【0011】
請求項5記載の車両用空調装置は、請求項2から4のいずれかに記載のものにおいて、前記絞り機構が、前記第1車内熱交換器と前記車外熱交換器とを連結する冷媒流路に配設された1個の電子膨張弁であることを特徴とし、これにより、ホットキープ運転モードが可能な低コストの装置となる。
【0012】
請求項6記載の車両用空調装置は、請求項2から5のいずれかに記載のものにおいて、暖房運転モード時には、前記冷媒を空調空気流れ方向の下流側に位置する前記第2車内熱交換器から上流側に位置する前記第1車内熱交換器へ向かって流すことを特徴とし、このように冷媒と空調空気との対向流とすれば、温度勾配の大きい冷媒を使用した場合にも良好な暖房効率を得ることができる。
そして、上述した温度勾配の大きい冷媒には、たとえば代替フロンの自然冷媒として注目されている二酸化炭素(CO )がある。
【0013】
請求項8記載の車両用空調装置は、請求項2から7のいずれかに記載のものにおいて、前記冷媒回路が、冷房運転モードにおいて前記車外熱交換器により冷却された冷媒と前記第2車内熱交換器により気化した冷媒との間で熱交換する内部熱交換器を備えていることを特徴とし、これにより、冷房運転時には内部熱交換器でも放熱されるので、冷房能力を向上させることができる。
【0014】
請求項9記載の車両用空調装置は、請求項2から8のいずれかに記載のものにおいて、冷房運転モード時には、前記コンプレッサで圧縮されたガス冷媒が前記第2車内熱交換器をバイパスして前記車外熱交換器に導かれる開閉弁を備えた冷媒バイパス流路を設けたことを特徴とし、これにより、冷房運転時にはコンプレッサで圧縮された高温のガス冷媒が第2車内熱交換器へ流入することはなく、従って、第2車内熱交換器が第1車内熱交換器で冷却された空調空気を加熱して冷房効率を低下させるようなことはない。
【0015】
請求項10記載の車両用空調装置は、請求項2から9のいずれかに記載のものにおいて、前記冷媒回路が、液冷媒と駆動装置冷却系から供給される駆動装置冷却媒体との間で熱交換を行うクーラント熱交換器を備えていることを特徴とし、これにより、暖房運転時においては、クーラント熱交換器により加熱された液冷媒が気化してガス冷媒となる。このため、クーラント熱交換器は、車両の駆動装置冷却系が保有する熱量を有効に利用した蒸発器として機能する。
【0016】
請求項11に記載の車両用空調装置は、請求項2から10のいずれかに記載のものにおいて、前記冷媒流れ方向切換手段が、前記冷媒回路中に配置した1つの三方弁と2つの電磁弁であることを特徴とし、これにより、ホットキープ運転モードから暖房運転モードへの切替をスムーズに実施することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る車両用空調装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態の車両用空調装置を構成する冷媒回路(冷凍サイクル)において冷媒の流れを示すフローチャート、図2ないし図4は車両用空調装置の冷媒回路を示す構成図で、図2は冷房運転モードにおける冷媒の流れ、図3は暖房運転モードにおける冷媒の流れ、図4はホットキープ運転モードにおける冷媒の流れである。
【0018】
最初に、図2に基づいて車両用空調装置の冷媒回路構成を説明する。
図示の冷媒回路10は、ガス冷媒を圧縮するコンプレッサ11と、空調ユニット30内に設置された第1車内熱交換器12及び第2車内熱交換器13と、外気導入が容易な車体前端部近傍等に設置された車外熱交換器14と、絞り機構として設けた電子膨張弁15と、冷媒流れ方向切換手段として設けた二つの三方弁16A,16Bとを具備し、これらの各機器間が冷媒管路17により連結されて閉回路を構成している。
なお、図中の符号18はコンプレッサ11から冷媒と共に流出する潤滑油を分離させて除去するオイルセパレータ、19は液冷媒がコンプレッサ11に吸引されないよう冷媒の気液分離を行うアキュムレータ、20は冷媒の温度及び圧力をそれぞれ検出するPTセンサ、21は冷媒の温度を検出する温度センサ、22は冷媒の圧力を検出する圧力センサである。
また、三方弁16Bを2つの電磁弁に置き換えても良い。
【0019】
コンプレッサ11は、図示しない電動モータを駆動源として運転される。このコンプレッサ11では、アキュムレータ19からガス冷媒を吸引して圧縮し、冷媒回路10に送出する。
第1車内熱交換器12及び第2車内熱交換器13は、空調ユニット30において空調する空気、すなわち熱交換器を通過する車室外の空気(外気)または車室内の空気(内気)と熱交換器内部を流れる冷媒との間で熱交換するように構成したものである。この場合、空調ユニット30内には、空気流れ上流側から第1車内熱交換器12及び第2車内熱交換器13の順に、すなわち空調する空気の流れ方向において上流側から順に、適当な間隔を設けて直列に配置されている。
【0020】
一方の第1車内熱交換器12は、冷媒回路10を循環する冷媒の流れ方向に応じて、蒸発器(冷房運転時)または放熱器(暖房運転時)として機能する。
また、他方の第2車内熱交換器13は、空調運転モードに係わらず冷媒の流れ方向は一定であり、いずれの空調運転モードにおいても、コンプレッサ11から高温高圧のガス冷媒が供給されるため、放熱を行う放熱器として機能する。
【0021】
車外熱交換器14は、車両の走行風や図示しないファンにより熱交換器を通過する外気と熱交換器内部を流れる冷媒との間で熱交換するように構成したものである。この車外熱交換器14は、上述した第1車内熱交換器12と同様に、冷媒回路10を循環する冷媒の流れ方向に応じて、蒸発器(暖房運転時)または放熱器(冷房運転時)として機能する。すなわち、この車外熱交換器14は、空調運転モードに応じて、第1車内熱交換器12が蒸発器として機能する冷房運転時には放熱器として、第1車内熱交換器12が放熱器として機能する暖房運転時には蒸発器として機能するようになっている。
【0022】
電子膨張弁15は、第1車内熱交換器12と車外熱交換器14との間を連結する冷媒管路17に配設された絞り機構である。この電子膨張弁15は、開度調整により通過する冷媒を減圧する機能を有している。
また、この電子膨張弁15は、これを通過して流れる冷媒の流れ方向に制約はなく、従って、暖房運転時及び冷房運転時のように冷媒流れ方向が異なる場合であっても、1個を設置することで対応可能である。なお、この電子膨張弁15は、必要に応じて全閉とすることもできるため、冷媒管路17における冷媒の流れを阻止することも可能である。
【0023】
三方弁16A,16Bは、いずれも冷媒管路17の適所に設置されている冷媒流れ方向切換手段である。これらの三方弁16A,16Bは、それぞれの弁操作により空調運転の運転モードに応じた冷媒の流れ方向を選択切換する機能を有している。図示の冷媒回路では二つの三方弁16A,16Bを1組とし、それぞれの流れ方向を適宜切り換えて空調運転の運転モード(すなわち冷媒の流れ方向)を設定する。
図示の構成において、一方の三方弁16Aに設けられた各接続口には、第2車内熱交換器13、車外熱交換器14及び三方弁16Bを介してアキュムレータ19との間を連結する冷媒配管17が接続されている。また、他方の三方弁16Bは、二つの接続口が第2車内熱交換器13と車外熱交換器14との間を連結する冷媒配管17とアキュムレータ19との間を連結する冷媒配管17にそれぞれ接続され、残る一つの接続口が第1車内熱交換器12との間を連結する冷媒配管17と接続されている。
【0024】
空調ユニット30は、いわゆるHVAC(Heating, Ventilation, and Air−Conditioning)ユニットと呼ばれるものである。この空調ユニット30は、内気及び外気の導入口や各種吹出口を備えたケーシング内に、第1車内熱交換器12、第2車内熱交換器13、ブロワファン31、エアミックスダンパ32及び図示しない各種ダンパ類(内外気切換ダンパ及び各吹出ダンパ)が設けられている。
このように構成された空調ユニット30では、空調しようとする導入空気(内気または外気)がブロワファン31及び第1車内熱交換器12を通過して流れ、さらに、エアミックスダンパ32の開度に応じて第2車内熱交換器13を通過して流れる。この過程において、導入空気は第1車内熱交換器12及び第2車内熱交換器13に供給される冷媒と熱交換して空調空気となり、設定された吹出モードの吹出口より車室内に吹き出すこととなる。
【0025】
以下、上述した構成の冷媒回路10を備えた車両用空調装置について、各空調運転モードの作用を冷媒の流れと共に説明する。
この車両用空調装置には、少なくとも冷房運転モード、暖房運転モード及びホットキープ運転モードが設けられている。
【0026】
冷房運転モードにおいて、コンプレッサ11で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、図1のフローチャート及び図2の冷媒回路構成図に示すように、最初に第2車内熱交換器13へ導かれる。この時、空調ユニット30内を流れる導入空気が第2車内熱交換器13を通過して加熱を受けないようにするため、エアミックスダンパ32は最大の冷房能力を発揮する全閉位置とする。なお、エアミックスダンパ32の開度調整を行うことにより、導入空気の一部が第2車内熱交換器13を通過して加熱されるため、空調空気の温度調整が可能となる。
【0027】
第2車内熱交換器13を通過した高温高圧のガス冷媒は、三方弁16Aの設定により車外熱交換器14へ導かれる。なお、図中の三方弁16A,16Bにおいては、黒塗りして示した接続口が閉じられている。
車外熱交換器14に流れ込んだ高温高圧のガス冷媒は、外気との熱交換により放熱し高圧冷媒となる。すなわち、この場合の車外熱交換器14は、放熱器として機能している。
【0028】
車外熱交換器14で放熱した冷媒は、電子膨張弁15を通過することにより減圧されて低圧の液冷媒となる。この液冷媒は第1車内熱交換器12に流れ込んで導入空気と熱交換し、導入空気から吸熱して冷却する。この結果、液冷媒は気化して低温低圧のガス冷媒となり、また、冷却された導入空気は温度が低下して冷風となる。すなわち、この場合の第1車内熱交換器12は、蒸発器として機能している。
【0029】
第1車内熱交換器12で気化した低温低圧のガス冷媒は、三方弁16Bを通ってアキュムレータ19に導かれ、ここで気液の分離がなされる。そして、液分が分離除去された低温低圧のガス冷媒がコンプレッサ11に吸引され、以下同様の経路をたどって循環する。
このようにして、冷房運転モードの冷媒は、三方弁16A,16Bの設定により、コンプレッサ11、第2車内熱交換器13、車外熱交換器14、電子膨張弁15、第1車内熱交換器12、アキュムレータ19の順に流れ、再度コンプレッサ11に吸引されるという順序で冷媒配管17を循環する。
【0030】
暖房運転モードにおいて、コンプレッサ11で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、図1のフローチャート及び図3の冷媒回路構成図に示すように、最初は冷房運転モードと同様に第2車内熱交換器13へ導かれる。この時、空調ユニット30内を流れる導入空気が第2車内熱交換器13を通過して加熱を受けるようにするため、エアミックスダンパ32は全開位置とする。
この運転モードでは三方弁16A,16Bの設定が変わり、第2車内熱交換器13を通過した冷媒が第1車内熱交換器12に導かれるようになっている。すなわち、第2車内熱交換器13及び第1車内熱交換器12は冷媒配管17及び三方弁16Aを介して直列に接続され、両熱交換器共に高温高圧のガス冷媒が導入空気と熱交換して放熱する一体的な放熱器として機能する。
【0031】
この結果、空調ユニット30内を流れる導入空気は二段階の加熱を受け、温風となって所望の吹出口より車室内へ吹き出される。
この時、導入空気を加熱して空調空気とする空調ユニット30内の空調空気流れ方向(図3に白抜矢印で示す)において、第1車内熱交換器12及び第2車内熱交換器13の方向へ流れる空調空気の流れ方向において下流側となる第2車内熱交換器13に対し、コンプレッサ11から高温高圧のガス冷媒を先に供給した後、空調空気の流れ方向において上流側となる第1車内熱交換器14に導くようにしてある。このため、コンプレッサ11から供給される高温高圧のガス冷媒が第2車内熱交換器13で最終的な加熱を行い、この第2車内熱交換器13で温度低下した高温高圧のガス冷媒が第1車内熱交換器12で最初の加熱を行うことになる。
【0032】
このような加熱順序とすれば、すなわち空調空気の流れ方向と高温高圧のガス冷媒の流れ方向とが対向流となる加熱順序とすれば、最終的な加熱がより高温の冷媒によって行われるので、空調空気の温風温度が高くなって良好な暖房性能を得ることができる。
特に、近年代替フロンとして大きな注目を集めている自然冷媒のCO を採用する場合には、温度勾配が大きいという特性を有しているため、第2車内熱交換器13と第1車内熱交換器12との温度差が大きくなる。このため、上述した対向流とすれば、最終的な加熱温度が高くなって良好な暖房効率を得ることができる。
【0033】
しかしながら、これとは反対に空調空気と冷媒とが同方向に流れる並行流とすれば、すなわちコンプレッサ11から最初に第1車内熱交換器12へ高温高圧のガス冷媒を導入して導入空気を加熱し、その後に第2車内熱交換器13へ温度低下したガス冷媒を供給して最終的な加熱をするように構成すれば、最初の加熱温度に比べて温度勾配が大きい分だけ最終的な加熱温度が低下するので、空調空気の温風温度が低下して暖房効率の面で不利になる。しかも、諸条件によっては第1車室内熱交換器12で加熱された空調空気の温度より第2車室内熱交換器13の加熱温度が低くなることも考えられるため、せっかく加熱した空調空気の温風温度を低下させるという不都合が生じることもある。
なお、上述したCO 冷媒のように温度勾配が大きい冷媒を使用しない場合には、暖房効率の面では対向流の方が有利ではあるものの、温度差が小さいため並行流の構成を採用してもよい。
【0034】
一方、放熱したガス冷媒は放熱して高圧冷媒となり、電子膨張弁15を通って減圧された後、低圧の液冷媒として車外熱交換器14へ導かれる。この液冷媒は、車外熱交換器14に流れ込んで外気と熱交換し、外気から吸熱して気化する。すなわち、この場合の車外熱交換器14は、蒸発器として機能している。
車外熱交換器14で気化した低温低圧のガス冷媒は、三方弁16Bを通ってアキュムレータ19に導かれ、ここで気液の分離がなされる。そして、液分が分離除去された低温低圧のガス冷媒がコンプレッサ11に吸引され、以下同様の経路をたどって循環する。
【0035】
このようにして、暖房運転モードの冷媒は、三方弁16A,16Bの設定により、コンプレッサ11、第2車内熱交換器13、第1車内熱交換器12、電子膨張弁15、車外熱交換器14、アキュムレータ19の順に流れ、再度コンプレッサ11に吸引されるという順序で冷媒配管17を循環する。
【0036】
次に、暖房運転開始の初期に実施するホットキープ運転モードにおいて、コンプレッサ11で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、図1のフローチャート及び図4の冷媒回路構成図に示すように、最初に第2車内熱交換器13を通過した後、三方弁16A,16Bの設定により、第1車内熱交換器12、電子膨張弁15及び車外熱交換器14をバイパスしてアキュムレータ19に導かれる。この時、電子膨張弁15は全閉の状態とする。
【0037】
このようなホットキープ運転モードでは、コンプレッサ11で圧縮されたガス冷媒が、第2車内熱交換器13における比較的小さな放熱をするのみで冷媒回路を循環する。このため、比較的小さな温度低下をしたガス冷媒がアキュムレータ19を通過して、比較的小さな圧力低下した冷媒が再度コンプレッサ11に吸入されるようになり、コンプレッサ11に吸入するガス冷媒圧力の低下は軽減される
この時、エアミックスダンパが全閉状態もしくはブロワファンをOFFにしてもよい。
【0038】
こうしてコンプレッサ11に吸入するガス冷媒の圧力低下が軽減され、吸入側の冷媒密度が高くなるので、実質的な冷媒循環量が増加することにより熱交換能力が向上する。換言すれば、実質的な冷媒循環量が増加した分だけ熱交換の仕事量も増加するので、適当な時間だけホットキープ運転モードを実施した後に上述した通常の暖房運転モードに切り換えれば、充分な暖房能力を得られる暖房運転が可能になる。従って、最初から通常の暖房運転を実施した場合と比較して、短時間のうちに充分な暖房能力を得ることができる。すなわち、暖房運転開始時における立ち上がり時間を短縮することができる。
【0039】
ところで、上述したホットキープ運転モードは、第2車内熱交換器13に係わる温度が所定値以下の場合、あるいは、コンプレッサ11に係わる温度が所定値以下の場合に実施する。すなわち、冷媒温度が低いことを検出して実施する。
第2車内熱交換器13に係わる温度は、たとえばPTセンサ20で検出した冷媒の温度から判断することができる。一方、コンプレッサ11に係わる温度についても、PTセンサ20で検出した冷媒から判断することもできる。
【0040】
また、上述したホットキープ運転モードは、従来一般に使用されている四方弁に代えて、冷媒回路10の適所に配設した二つの三方弁16A,16Bを採用することにより、比較的簡単な冷媒回路構成として実現することができる。なお、四方弁を用いた従来の一般的な冷媒回路は、そのままではホットキープ運転を実施することはできないため、これを実現するためには開閉弁や冷媒配管の追加などが必要となって複雑な回路構成となる。
【0041】
続いて、上述した第1の実施形態の変形例を図5ないし図7に基づいて簡単に説明する。なお、上述した第1の実施形態と同様の構成部品については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
さて、この変形例の冷媒回路10Aでは、冷媒管路中における三方弁16C,16Dの設置位置が異なっている。
【0042】
この冷媒回路10Aでは、一方の三方弁16Cに設けられた各接続口には、第2車内熱交換器13、車外熱交換器14及びアキュムレータ19との間を連結する冷媒配管17が接続されている。また、他方の三方弁16Dに設けられた各接続口は、二つの接続口が第1車内熱交換器12とアキュムレータ19との間を連結する冷媒配管17にそれぞれ連結され、残る一つの接続口が第2車内熱交換器13と三方弁16Cとの間を連結する冷媒配管から分岐した冷媒配管17と接続されている。
また、三方弁16Dを2つの電磁弁に置き換えても良い。
【0043】
このような構成の冷媒回路10Aとしても、各空調運転モードにおける冷媒の流れは、上述した実施形態の構成と同様に、図1に示したフローチャートのようになる。そして、各空調運転モードにおける冷媒の流れについては、実質的に上述した実施形態と同様であるため、ここでは図4ないし図6に示してその詳細な説明を省略する。なお、図4は冷房運転モード、図5は暖房運転モード、図6はホットキープ運転モードの状態をそれぞれ示している。
【0044】
<第2の実施形態>
図8は、本実施形態の車両用空調装置を構成する冷媒回路(冷凍サイクル)において冷媒の流れを示すフローチャート、図9ないし図11は車両用空調装置の冷媒回路を示す構成図で、図9は冷房運転モードにおける冷媒の流れ、図10は暖房運転モードにおける冷媒の流れ、図11はホットキープ運転モードにおける冷媒の流れである。なお、図8ないし図11においては、上述した第1の実施形態と同様の構成部品には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0045】
さて、この実施形態の冷媒回路10Bでは、上述した第1の実施形態にはない内部熱交換器23を備えている。この内部熱交換器23は、コンプレッサ11に吸入されるガス冷媒と、車外熱交換器14と電子膨張弁15との間を連結する冷媒配管17を流れる冷媒との間で、熱交換を行うように構成したものである。なお、冷媒回路10Bの他の構成については、上述した第1の実施形態(図2〜図4)と同様である。
また、三方弁16Bを2つの電磁弁に置き換えても良い。
【0046】
このようにして内部熱交換器23を設けると、冷房運転モード時において、図8及び図9に基づいて以下に説明するような機能を発揮する。この冷房運転モードでは、コンプレッサ11で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、最初に第2車内熱交換器13へ導かれる。この時、空調ユニット30内を流れる導入空気が第2車内熱交換器13を通過して加熱を受けないようにするため、エアミックスダンパ32は最大の冷房能力を発揮する全閉位置とする。なお、エアミックスダンパ32の開度調整を行うことにより、導入空気の一部が第2車内熱交換器13を通過して加熱されるため、空調空気の温度調整が可能となる。
【0047】
第2車内熱交換器13を通過した高温高圧のガス冷媒は、三方弁16Aの設定により車外熱交換器14へ導かれる。なお、図中の三方弁16A,16Bにおいては、黒塗りして示した接続口が閉じられている。
車外熱交換器14に流れ込んだ高温高圧のガス冷媒は、外気との熱交換により放熱し、高圧冷媒となる。すなわち、この場合の車外熱交換器14は、放熱器として機能している。
【0048】
車外熱交換器14で冷却された冷媒は比較的温度が高く、内部熱交換器23に導かれて後述する第1車内熱交換器12で気化してアキュムレータ19で気液分離されたガス冷媒と熱交換する。ここでの熱交換は、液冷媒が放熱してコンプレッサ11に吸引される低温低圧のガス冷媒を昇温させる。
内部熱交換器23を通過して温度低下した冷媒は、電子膨張弁15を通過することにより減圧されて低温低圧の冷媒となる。この冷媒は第1車内熱交換器12に流れ込んで導入空気と熱交換し、導入空気から吸熱して冷却する。この結果、冷媒は気化して低温低圧のガス冷媒となり、また、冷却された導入空気は温度が低下して冷風となる。すなわち、この場合の第1車内熱交換器12は、蒸発器として機能している。
【0049】
第1車内熱交換器12で気化した低温低圧のガス冷媒は、三方弁16Bを通ってアキュムレータ19に導かれ、ここで気液の分離がなされる。そして、液分が分離除去された低温低圧のガス冷媒が内部熱交換器23を通過する際に加熱され、コンプレッサ11に吸引される。この結果、第1車内熱交換器12の入口冷媒エンタルピが低下することにより第1車内熱交換器12のエンタルピ差が増加し、温度上昇によるコンプレッサ吸入ガス密度の低下に伴う冷媒循環量の低下に打ち勝ち、冷媒が熱交換する仕事量を増すことができる。そして、コンプレッサ11に吸引されて圧縮されたガス冷媒は、以下同様の経路をたどって冷媒回路10Bを循環する。
【0050】
このようにして、冷房運転モードの冷媒は、三方弁16A,16Bの設定により、コンプレッサ11、第2車内熱交換器13、車外熱交換器14、内部熱交換器23、電子膨張弁15、第1車内熱交換器12、アキュムレータ19の順に状態変化を繰り返しながら流れ、再度コンプレッサ11に吸引されるという順序で冷媒配管17を循環する。従って、上述した第1の実施形態にはなかった内部熱交換器23を追加して設けたことにより、冷房運転モード時における冷媒循環量が増加するので、冷媒の仕事量も増加して冷房能力が向上する。
【0051】
さて、本実施形態の冷媒回路10Bにおいて、上述した冷房運転モード以外の空調運転では実質的に上述した第1の実施形態と同様であり、従って、ここではその冷媒の流れを図10及び図11に示し、その詳細な説明は省略する。なお、暖房運転モードにおける内部熱交換器23は、コンプレッサ11に吸引する前のガス冷媒と電子膨張弁15で減圧された後の冷媒とを熱交換することになるから、内部熱交換器23の効果は実質的に期待できない。
【0052】
次に、上述した第2の実施形態の変形例となる冷媒回路10Cを図12に示して説明する。この冷媒回路12Cは、第2の実施形態における三方弁16A,16Bの位置を変更し、第1の実施形態における変形例(図5〜図7)の三方弁16C,16Dと同様の位置に設置したものである。なお、図12に示した冷媒回路10Cは、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
また、三方弁16Dを2つの電磁弁に置き換えても良い。
【0053】
このような構成としても、上述した第2の実施形態と同様に、各空調運転モードにおける冷媒の流れは図8に示すようになるので、内部熱交換器23の放熱により車内熱交換器12の入口冷媒エンタルピが低下することによる車内熱交換器12のエンタルピ差が増加し、温度上昇によるコンプレッサ吸入ガス密度の低下に伴う冷媒循環量の低下に打ち勝ち、冷房能力を増すことができる。なお、暖房運転モード及びホットキープ運転モードでは、冷媒の流れや作用が上述した各実施形態と実質的に同様になるため、この変形例では図示を含めその詳細な説明は省略する。
【0054】
<第3の実施形態>
図13は、本実施形態の車両用空調装置を構成する冷媒回路(冷凍サイクル)において冷媒の流れを示すフローチャート、図14ないし図16は車両用空調装置の冷媒回路を示す構成図で、図14は冷房運転モードにおける冷媒の流れ、図15は暖房運転モードにおける冷媒の流れ、図16はホットキープ運転モードにおける冷媒の流れである。なお、図13ないし図16においては、上述した各実施形態と同様の構成部品には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0055】
さて、この実施形態の冷媒回路10Dは、上述した第1及び第2の実施形態にはない開閉弁として、電磁弁24を備えている。この電磁弁24は、コンプレッサ11で圧縮された高温高圧のガス冷媒を直接車外熱交換器14へ導く冷媒バイパス流路17aに設けられている。すなわち、オイルセパレータ18と第2車内熱交換器13との間を連結している冷媒配管17の途中から分岐させた冷媒バイパス流路17aが、第2車内熱交換器13及び三方弁16Aから車外熱交換器14へ連結された冷媒配管17の途中に連結されているので、冷媒バイパス流路17aに設けた電磁弁24を開くことにより、第2車内熱交換器13をバイパスして冷媒を流すことができる。
なお、冷媒回路10Dの他の構成については、上述した第1の実施形態(図2〜図4)と同様である。
【0056】
このようにして電磁弁24を設けると、冷房運転モード時において、図13及び図14に基づいて以下に説明するような運転が可能となる。
この冷房運転モードでは電磁弁24を開とし、三方弁16A,16Bについては上述した第1の実施形態と同様とする。この結果、コンプレッサ11で圧縮された高温高圧のガス冷媒の主流は、冷媒流路における圧力損失の大きい第2車内熱交換器13をバイパスし、電磁弁24及び冷媒バイパス流路17aを通って直接車外熱交換器14へ導かれる。
【0057】
この時、空調ユニット30内を流れる導入空気が第2車内熱交換器13を通過して加熱を受けないようにするため、エアミックスダンパ32は最大の冷房能力を発揮する全閉位置とするが、この第2車内熱交換器13を高温高圧のガス冷媒が流れると、熱交換器自体が温度上昇して放熱する。このような放熱は、後述する経過を経て得られた冷風を加熱して温度上昇させる原因となるため、冷房効率の面で好ましくない。しかし、上述したように冷媒の主流が第2車内熱交換器13をバイパスして流れると、第1車内熱交換器12で冷却された空調空気の冷風が放熱による加熱をほとんど受けなくてすむので、冷房効率の低下を抑制することができる。
【0058】
一方、車外熱交換器14に流れ込んだ高温高圧のガス冷媒は、外気との熱交換により放熱し、高圧冷媒となる。すなわち、この場合の車外熱交換器14は、放熱器として機能している。
車外熱交換器14で凝縮した液冷媒は、電子膨張弁15を通過することにより減圧されて低圧の液冷媒となる。この液冷媒は第1車内熱交換器12に流れ込んで導入空気と熱交換し、導入空気から吸熱して冷却する。この結果、液冷媒は気化して低温低圧のガス冷媒となり、また、冷却された導入空気は温度が低下して冷風となる。すなわち、この場合の第1車内熱交換器12は、蒸発器として機能している。
【0059】
第1車内熱交換器12で気化した低温低圧のガス冷媒は、三方弁16Bを通ってアキュムレータ19に導かれ、ここで気液の分離がなされる。そして、液分が分離除去された低温低圧のガス冷媒はコンプレッサ11に吸引されて圧縮され、以下同様の経路をたどって冷媒回路10Dを循環する。
【0060】
このようにして、冷房運転モードの冷媒は、三方弁16A,16Bの設定により、コンプレッサ11、車外熱交換器14、電子膨張弁15、第1車内熱交換器12、アキュムレータ19の順に状態変化を繰り返しながら流れ、再度コンプレッサ11に吸引されるという順序で冷媒配管17を循環する。すなわち、上述した第1の実施形態にはなかった電磁弁24及び冷媒バイパス流路17aを追加して設けたことにより、冷房運転モード時にはほとんどの冷媒が第2車内熱交換器13をバイパスして流れるので、冷風の加熱による温度上昇が抑制されて冷房効率を向上させる。
なお、コンプレッサ11から第2車内熱交換器13へ高温高圧のガス冷媒を導く冷媒配管17等の適所にも図示しない電磁弁を追加して設け、冷房運転モード時にこの電磁弁を閉とすれば、コスト面では不利になるものの、第2車内熱交換器13への冷媒の流れを止め、冷風の加熱を防止することが可能になる。
【0061】
さて、本実施形態の冷媒回路10Dは、上述した冷房運転モード以外の空調運転において、電磁弁24を閉じることにより、実質的に電磁弁24及び冷媒バイパス流路17aのない第1の実施形態と同様の回路構成になる。従って、ここではその冷媒の流れを図15(暖房運転モード)及び図16(ホットキープ運転モード)に示し、その詳細な説明は省略する。
【0062】
また、この実施形態の変形例として図17に示した冷媒回路10Eは、上述した第1の実施形態の変形例(図5参照)と同様に、設置位置の異なる三方弁10C,10Dを採用した構成例である。この場合も、電磁弁24を備えた冷媒バイパス流路17aを設けてあるので、冷房運転モード時に電磁弁24を開とすれば、第2車内熱交換器13による冷風の加熱を抑制して冷房効率を向上させることができる。
また、三方弁16Dを2つの電磁弁に置き換えても良い。
なお、図17は冷房運転モード時における冷媒の流れを示しており、暖房運転モード及びホットキープ運転モードについては、電磁弁24を閉じることで第1の実施形態と同様になるため、ここでは図示及び詳細な説明を省略する。
【0063】
<第4の実施形態>
図18は、本実施形態の車両用空調装置を構成する冷媒回路(冷凍サイクル)において冷媒の流れを示すフローチャート、図19は冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
この実施形態の冷媒回路10Fは、上述した第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせた構成のものである。すなわち、内部熱交換器23を備えた冷媒回路10B(図9参照)に電磁弁24を備えた冷媒バイパス流路17aを設け、冷房運転モードにおいて電磁弁24を開とし、第2熱交換器13からの放熱による冷風の加熱を抑制して冷房効率を向上させるようにしたものである。
【0064】
このような構成としても、上述した第2の実施形態と同様に、内部熱交換器23の放熱により車内熱交換器12の入口冷媒エンタルピが低下させることにより車内熱交換器12のエンタルピ差が増加し、温度上昇によるコンプレッサ吸入ガス密度の低下に伴う冷媒循環量の低下に打ち勝つちことができ、かつ、第2車内熱交換器13による加熱も抑制されて第1車内熱交換器12を通過して冷却された冷風の温度上昇もほとんどなくなるので、装置全体としての冷房能力及び冷房効率を向上させることができる。
なお、暖房運転モード及びホットキープ運転モードにおける冷媒の流れは、電磁弁24を閉じることにより、上述した第2の実施形態(図10及び11参照)と同様になるため、ここでは図示及び詳細な説明を省略する。
【0065】
また、図20は上述した第4の実施形態に係る変形例であり、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。この冷媒回路10Gは内部熱交換器23を備え、設置位置が異なる三方弁16C,16Dを採用した冷媒回路(図12参照)に、電磁弁24を備えた冷媒バイパス流路17aを設けたものである。
また、三方弁16Dを2つの電磁弁に置き換えても良い。
このような構成としても、冷房運転モードにおいて電磁弁24を開とすれば、内部熱交換器23の放熱により車内熱交換器12の入口冷媒エンタルピが低下することによる車内熱交換器12のエンタルピ差が増加し、温度上昇によるコンプレッサ吸入ガス密度の低下に伴う冷媒循環量の低下に打ち勝ち冷房能力を増し、さらに、第2車内熱交換器13による加熱も抑制されて冷風の温度上昇もほとんどなくなるので、装置全体としての冷房能力及び冷房効率を向上させることができる。
なお、暖房運転モード及びホットキープ運転モードにおける冷媒の流れは、電磁弁24を閉じることにより、上述した第2の実施形態(図10及び11参照)と同様になるため、ここでは図示及び詳細な説明を省略する。
【0066】
<第5の実施形態>
続いて、本発明の第5の実施形態を図21ないし図24に基づいて説明する。なお、図21は、本実施形態の車両用空調装置を構成する冷媒回路(冷凍サイクル)において冷媒の流れを示す構成図で、図22は冷房運転モードにおける冷媒の流れ、図23は暖房運転モードにおける冷媒の流れ、図24はホットキープ運転モードにおける冷媒の流れであり、上述した各実施形態と同様の構成部品には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0067】
さて、この実施形態の冷媒回路10Hは、上述した各実施形態にはないクーラント熱交換器25を備えている。このクーラント熱交換器25は、駆動装置冷却系27とクーラント配管27を介して連結されており、暖房運転モード時にアキュムレータ19へ戻す冷媒と高温のクーラントとの間で熱交換するように設置したものである。
ここで、駆動装置冷却系27の具体例をあげると、たとえば車両の駆動系に電力を供給する燃料電池や内燃機関等を冷却するクーラント循環系統を使用することができる。
【0068】
また、この冷媒回路10Hは、空調運転モードにおける冷媒の流れ方向を切り換えるため、適所に三方弁16A,16E及び逆止弁28が設けられている。
一方の三方弁16Aは、上述した各実施形態と同様の位置に設けられている。そして、三方弁16Eの各接続口には、それぞれが第1車内熱交換器12、クーラント熱交換器25及びアキュムレータ19との間を連結する冷媒配管17が接続されている。すなわち、クーラント熱交換器25は、車外熱交換器14と電子膨張弁15との間を連結している冷媒配管17から分岐して設けられ、三方弁16Eを操作することにより、冷媒がクーラント熱交換器25を通ってアキュムレータ19へ流れるように、あるいは、第1車内熱交換器12からアキュムレータ19へ流れるように選択切換することができる。
また、三方弁16Eを2つの電磁弁に置き換えても良い。
【0069】
逆止弁28は、車外熱交換器14と電子膨張弁15との間を連結する冷媒配管17を流れる冷媒の流れ方向を、車外熱交換器14からクーラント熱交換器25の分岐点及び電子膨張弁15へ向けて流れる一方向に限定するために設けたものである。従って、逆止弁28の設置位置は、クーラント熱交換器25へ冷媒を流す分岐点よりも車外熱交換器14側となる。
【0070】
このような構成の冷媒回路10Hにおいて、冷房運転モードの冷媒の流れを図22に示して説明する。
冷房運転モードにおいて、コンプレッサ11で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、図21のフローチャート及び図22の冷媒回路構成図に示すように、最初に第2車内熱交換器13へ導かれる。この時、空調ユニット30内を流れる導入空気が第2車内熱交換器13を通過して加熱を受けないようにするため、エアミックスダンパ32は最大の冷房能力を発揮する全閉位置とする。
【0071】
第2車内熱交換器13を通過した高温高圧のガス冷媒は、三方弁16Aの設定により車外熱交換器14へ導かれる。なお、図中の三方弁16A,16Eにおいては、黒塗りして示した接続口が閉じられている。
車外熱交換器14に流れ込んだ高温高圧のガス冷媒は、外気との熱交換により放熱し、高圧冷媒となる。すなわち、この場合の車外熱交換器14は、放熱器として機能している。
【0072】
車外熱交換器14で放熱した冷媒は、逆止弁28を通過して電子膨張弁15に導かれる。この時、三方弁16Eの設定は、クーラント熱交換器25へ冷媒が流れ込まないようになっている。そして、電子膨張弁15を通過した冷媒は、減圧されて低圧の冷媒となる。
この冷媒は第1車内熱交換器12に流れ込んで導入空気と熱交換し、導入空気から吸熱して冷却する。この結果、液冷媒は気化して低温低圧のガス冷媒となり、また、冷却された導入空気は温度が低下して冷風となる。すなわち、この場合の第1車内熱交換器12は、蒸発器として機能している。
【0073】
第1車内熱交換器12で気化した低温低圧のガス冷媒は、三方弁16Eを通ってアキュムレータ19に導かれ、ここで気液の分離がなされる。そして、液分が分離除去された低温低圧のガス冷媒がコンプレッサ11に吸引され、以下同様の経路をたどって循環する。
このようにして、冷房運転モードの冷媒は、三方弁16A,16Eの設定により、コンプレッサ11、第2車内熱交換器13、車外熱交換器14、電子膨張弁15、第1車内熱交換器12、アキュムレータ19の順に流れ、再度コンプレッサ11に吸引されるという順序で冷媒配管17を循環する。
【0074】
暖房運転モードにおいて、コンプレッサ11で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、図21のフローチャート及び図23の冷媒回路構成図に示すように、最初は冷房運転モードと同様に第2車内熱交換器13へ導かれる。この時、空調ユニット30内を流れる導入空気が第2車内熱交換器13を通過して加熱を受けるようにするため、エアミックスダンパ32は全開位置とする。
この運転モードでは三方弁16A,16Eの設定が変わり、第2車内熱交換器13を通過した冷媒が第1車内熱交換器12に導かれるようになっている。すなわち、第2車内熱交換器13及び第1車内熱交換器12は冷媒配管17及び三方弁16Aを介して直列に接続され、両熱交換器共に高温高圧のガス冷媒が導入空気と熱交換して放熱する一体的な放熱器として機能する。
【0075】
この結果、空調ユニット30内を流れる導入空気は二段階の加熱を受け、温風となって所望の吹出口より車室内へ吹き出される。
この時、空調空気の流れ方向と高温高圧のガス冷媒の流れ方向とが対向流となる加熱順序とすれば、最終的な加熱がより高温の冷媒によって行われるので、空調空気の温風温度が高くなって良好な暖房性能を得ることができる。
特に、近年代替フロンとして大きな注目を集めている自然冷媒のCO を採用する場合には、温度勾配が大きいという特性を有しているため、第2車内熱交換器13と第1車内熱交換器12との温度差が大きくなる。このため、上述した対向流とすれば、最終的な加熱温度が高くなって良好な暖房効率を得ることができる。
【0076】
一方、空調空気に放熱したガス冷媒は、放熱して高圧冷媒となり、電子膨張弁15を通って減圧されて低圧の冷媒となる。この低圧の冷媒は、三方弁16Eの設定及び逆止弁28が設けられていることにより、クーラント熱交換器25へ導かれる。この低圧の冷媒は、クーラント熱交換器25に流れ込んで高温のクーラントと熱交換し、クーラントから吸熱して気化する。すなわち、この場合は車外熱交換器14を使用せず、車両駆動装置を冷却することによって得られた廃熱を保有する高温のクーラント(駆動装置冷却媒体)で液冷媒を加熱するクーラント熱交換器25が蒸発器として機能している。
【0077】
このため、廃熱を有効に利用して液冷媒を蒸発させることができ、一般的な暖房運転時には車外熱交換器14で冷媒を気化させる外気温度が低くなりがちなことから、高温の廃熱を有効利用できるクーラント熱交換器25の使用は、蒸発器における液冷媒の気化を促進して暖房能力を確保するのに有効である。
こうしてクーラント熱交換器25で気化した低温低圧のガス冷媒は、三方弁16Eを通ってアキュムレータ19に導かれ、ここで気液の分離がなされる。そして、液分が分離除去された低温低圧のガス冷媒がコンプレッサ11に吸引され、以下同様の経路をたどって循環する。
【0078】
このようにして、暖房運転モードの冷媒は、三方弁16A,16Eの設定により、コンプレッサ11、第2車内熱交換器13、第1車内熱交換器12、電子膨張弁15、クーラント熱交換器25、アキュムレータ19の順に流れ、再度コンプレッサ11に吸引されるという順序で冷媒配管17を循環する。
【0079】
次に、暖房運転開始の初期に実施するホットキープ運転モードにおいて、コンプレッサ11で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、図1のフローチャート及び図24の冷媒回路構成図に示すように、最初に第2車内熱交換器13を通過した後、三方弁16A,16Eの設定により、第1車内熱交換器12、電子膨張弁15及び車外熱交換器14をバイパスしてアキュムレータ19に導かれる。この時、電子膨張弁15は全閉の状態とする。
【0080】
このようなホットキープ運転モードでは、コンプレッサ11で圧縮されたガス冷媒が、第2車内熱交換器13における比較的小さな放熱をするのみで冷媒回路を循環する。このため、比較的小さな温度低下をしたガス冷媒がアキュムレータ19を通過して、比較的小さな圧力低下したガス冷媒がコンプレッサ11に吸入されるようになり、コンプレッサ11に吸入するガス冷媒密度の低下が軽減される。
【0081】
こうして、吸入側の冷媒密度低下が軽減されるので、実質的な冷媒循環量が増加することにより熱交換能力が向上する。換言すれば、実質的な冷媒循環量が増加した分だけ熱交換の仕事量も増加するので、適当な時間だけホットキープ運転モードを実施した後に上述した通常の暖房運転モードに切り換えれば、充分な暖房能力を得られる暖房運転が可能になる。従って、最初から通常の暖房運転を実施した場合と比較して、短時間のうちに充分な暖房能力を得ることができる。すなわち、暖房運転開始時における立ち上がり時間を短縮することができる。
【0082】
続いて、上述した第5の実施形態の変形例について、図25に基づいて簡単に説明する。なお、上述した第5の実施形態と同様の構成部品については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
さて、この変形例の冷媒回路10Iでは、上述した三方弁16Aに代えて二つの電磁弁29A,29Bが使用されている。これらの電磁弁29A,29Bは、それぞれの開閉状態を適宜組み合わせることにより、上述した三方弁16Aと同様の機能を果たしている。また、図25は暖房運転モードにおける冷媒の流れを示しており、電磁弁29Aが閉、電磁弁29Bが開となっている。
なお、図示を省略した冷房運転モードにおいては、電磁弁29Aが開、電磁弁29Bが閉となり、また、ホットキープ運転モードにおいては、暖房運転時と同様に、電磁弁29Aが閉、電磁弁29Bが開となる。
【0083】
<第6の実施形態>
次に、本発明の第6の実施形態を図26ないし図28に基づいて説明する。
なお、図26は、本実施形態の車両用空調装置を構成する冷媒回路(冷凍サイクル)において冷媒の流れを示す構成図、図27は暖房運転モードにおける冷媒の流れ、図28は図27の変形例であり、上述した各実施形態と同様の構成部品には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0084】
この実施形態の冷媒回路10Jは、図27に示すように、上述した第5の実施形態の冷媒回路10Hに対し、第3の実施形態で説明した電磁弁24を備えた冷媒バイパス流路17aを設けた構成としてある。
このような構成の冷媒回路10Jでは、暖房運転モードにおいて、電磁弁24が閉となるため、実質的には上述した電磁弁24のない冷媒回路10H(図23参照)と同じ回路構成となる。従って、冷媒の流れや状態変化についても第5の実施形態と全く同じになり、電子膨張弁15で減圧された冷媒の加熱は、車外熱交換器14ではなくクーラント熱交換器25で加熱して気化させる。
【0085】
また、本実施形態の冷房運転モード及びホットキープ運転モードにおいては、実質的にクーラント熱交換器25を使用することがない。従って、冷房運転モードについては、第3の実施形態で既に説明したように、電磁弁24を開とすることで第2車内熱交換器13による冷風の加熱を防止することができる。さらに、ホットキープ運転モードについても、冷媒の流れは上述した第3の実施形態と実質的に同じになる。
【0086】
また、図28に示す変形例の冷媒回路10Kは、三方弁16Aを二つの電磁弁29A,29Bに置き換えた構成のものであり、図示した暖房運転モードを含めて、各空調運転モードにおける実質的な冷媒の流れは同じである。
【0087】
さらに、上述した第5及び第6の実施形態で説明した冷媒回路10H〜Kは、第2の実施形態で説明した内部熱交換器23を追加して設けた構成とすることも可能であり、ここではその回路構成を図29〜32に示して簡単に説明する。なお、上述した各実施形態と同様の構成部品には同じ符号を付してある。
【0088】
図29に示した冷媒回路10Lは、第5の実施形態の冷媒回路10H(図22参照)に内部熱交換器23を設けたものである。なお、図示の冷媒回路10Lでは、冷房運転モードにおける冷媒の流れが示されている。
図30に示した冷媒回路10Mは、第5の実施形態の変形例である冷媒回路10I(図25参照)に内部熱交換器23を設けたものである。なお、図示の冷媒回路10Mでは、冷房運転モードにおける冷媒の流れが示されている。
【0089】
図31に示した冷媒回路10Nは、第6の実施形態の冷媒回路10J(図27参照)に内部熱交換器23を設けたものである。なお、図示の冷媒回路10Nでは、冷房運転モードにおける冷媒の流れが示されている。
図32に示した冷媒回路10Pは、第6の実施形態の変形例である冷媒回路10K(図28参照)に内部熱交換器23を設けたものである。なお、図示の冷媒回路10Pでは、冷房運転モードにおける冷媒の流れが示されている。
【0090】
なお、本発明の構成は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することが可能であることは言うまでもない。
【0091】
【発明の効果】
本発明の車両用空調装置によれば、以下の効果を奏する。
上述した本発明によれば、暖房運転開始の初期に実施され、冷媒回路を循環する冷媒量を増加させるホットキープ運転モードを設けた車両用空調装置としたので、暖房運転開始から短時間の内に冷媒密度の低下を軽減し、充分な暖房能力を得られる本格的な暖房運転に移行することができるようになる。従って、暖房運転開始時における空調フィーリングが向上するといった顕著な効果を奏する。
【0092】
また、上記の本発明において、第2車内熱交換器を放熱専用とし、ホットキープ運転モード時には、冷媒流れ方向切換手段の操作により、冷媒が第1車内熱交換器、車外熱交換器及び絞り機構をバイパスして流れるように構成したので、コンプレッサで圧縮された冷媒がホットキープ運転モード用のバイパス流路を循環して流れる。このため、循環する冷媒の放熱量は最少となり、短時間の内に冷媒の温度が上昇して冷媒密度を増し、その分熱交換の仕事を行う冷媒循環量も増加する。
【0093】
また、上記の本発明において、冷媒流れ方向切換手段として二つの三方弁を冷媒回路中に配置した構成とすれば、簡単な回路構成によるホットキープ運転モードの実施が可能となる。従って、低コストでホットキープ運転モードを実施することができる。
【0094】
また、上記の本発明においては、絞り機構として、第1車内熱交換器と車外熱交換器とを連結する冷媒流路に配設された1個の電子膨張弁を設けた回路構成が可能となり、従って、ホットキープ運転モードを低コストの装置により実施することができる。
【0095】
また、暖房運転モード時において、冷媒を空調空気流れ方向の下流側に位置する第2車内熱交換器から上流側に位置する第1車内熱交換器へ向かって流す対向流とすれば、温度勾配の大きい冷媒を使用した場合にも良好な暖房効率を得ることができる。このような温度勾配の大きい冷媒としては、近年代替フロンの自然冷媒として注目されている二酸化炭素(CO )があり、特に、このCO 冷媒に対向流を適用するのが好ましい。
【0096】
また、冷房運転モードにおいて車外熱交換器により冷却された冷媒と第2車内熱交換器により気化した冷媒との間で熱交換する内部熱交換器を設けると、冷房運転時には内部熱交換器でも放熱されるので、冷房能力を向上させることができる。
【0097】
また、コンプレッサで圧縮されたガス冷媒を第2車内熱交換器をバイパスして車外熱交換器に導く開閉弁を備えた冷媒バイパス流路を設ければ、冷房運転モード時に開閉弁を開とすれば、コンプレッサで圧縮された高温のガス冷媒が第2車内熱交換器へほとんど流入しないので、第2室内熱交換器が第1室内熱交換器で冷却された空調空気の冷風を加熱して冷房効率を低下させることはない。
【0098】
また、液冷媒と駆動装置冷却系から供給される駆動装置冷却媒体との間で熱交換を行うクーラント熱交換器を備えている冷媒回路とすれば、暖房運転時においては、クーラント熱交換器により加熱された液冷媒が気化してガス冷媒となるため、クーラント熱交換器は、車両の駆動装置冷却系が保有する熱量を有効に利用した蒸発器として機能する。従って、低外気温時の暖房運転モード時にも、廃熱を有効に利用した効率のよい暖房運転を実施することができる。
【0099】
また、上記の本発明において、冷媒流れ方向切換手段として1つの三方弁と2つの電磁弁を冷媒回路中に配置した構成とすれば、簡単な回路構成によるホットキープ運転モードの実施が可能となる。これにより、ホットキープ運転モードから暖房運転モードへの切替をスムーズに実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用空調装置を構成する第1の実施形態の冷媒回路において、冷媒の流れを示すフローチャートである。
【図2】第1の実施形態に係る冷媒回路の構成図で、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図3】第1の実施形態に係る冷媒回路の構成図で、暖房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図4】第1の実施形態に係る冷媒回路の構成図で、ホットキープ運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図5】第1の実施形態の変形例に係る冷媒回路の構成図で、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図6】第1の実施形態の変形例に係る冷媒回路の構成図で、暖房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図7】第1の実施形態の変形例に係る冷媒回路の構成図で、ホットキープ運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図8】本発明に係る車両用空調装置を構成する第2の実施形態の冷媒回路において、冷媒の流れを示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態に係る冷媒回路の構成図で、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図10】第2の実施形態に係る冷媒回路の構成図で、暖房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図11】第2の実施形態に係る冷媒回路の構成図で、ホットキープ運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図12】第2の実施形態の変形例に係る冷媒回路の構成図で、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図13】本発明に係る車両用空調装置を構成する第3の実施形態の冷媒回路において、冷媒の流れを示すフローチャートである。
【図14】第3の実施形態に係る冷媒回路の構成図で、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図15】第3の実施形態に係る冷媒回路の構成図で、暖房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図16】第3の実施形態に係る冷媒回路の構成図で、ホットキープ運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図17】第3の実施形態の変形例に係る冷媒回路の構成図で、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図18】本発明に係る車両用空調装置を構成する第4の実施形態の冷媒回路において、冷媒の流れを示すフローチャートである。
【図19】第4の実施形態に係る冷媒回路の構成図で、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図20】第4の実施形態の変形例に係る冷媒回路の構成図で、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図21】本発明に係る車両用空調装置を構成する第5の実施形態の冷媒回路において、冷媒の流れを示すフローチャートである。
【図22】第5の実施形態に係る冷媒回路の構成図で、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図23】第5の実施形態に係る冷媒回路の構成図で、暖房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図24】第5の実施形態に係る冷媒回路の構成図で、ホットキープ運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図25】第5の実施形態の変形例に係る冷媒回路の構成図で、暖房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図26】本発明に係る車両用空調装置を構成する第6の実施形態の冷媒回路において、冷媒の流れを示すフローチャートである。
【図27】第6の実施形態に係る冷媒回路の構成図で、暖房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図28】第6の実施形態の変形例に係る冷媒回路の構成図で、暖房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図29】第6の実施形態に係る冷媒回路に内部熱交換器を設けた構成図で、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図30】第6の実施形態の変形例に係る冷媒回路に内部熱交換器を設けた構成図で、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図31】第6の実施形態に係る冷媒回路に内部熱交換器を設けた構成図で、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【図32】第6の実施形態の変形例に係る冷媒回路に内部熱交換器を設けた構成図で、冷房運転モードにおける冷媒の流れを示している。
【符号の説明】
10,10A〜N,10P 冷媒回路
11 コンプレッサ
12 第1車内熱交換器
13 第2車内熱交換器
14 車外熱交換器
15 電子膨張弁(絞り機構)
16A〜E 三方弁
17 冷媒配管
17a 冷媒バイパス流路
23 内部熱交換器
24 電磁弁(開閉弁)
25 クーラント熱交換器
26 駆動装置冷却系
29A,29B 電磁弁
30 空調ユニット

Claims (11)

  1. コンプレッサにより圧縮されたガス冷媒が冷媒回路を循環する冷媒流れ方向を切り換えることで車室内の空調を行うように構成されたヒートポンプ式の車両用空調装置であって、
    暖房運転開始の初期に実施され、前記冷媒回路を循環する冷媒量を増加させるホットキープ運転モードを設けたことを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記冷媒回路が、ガス冷媒を圧縮するコンプレッサと、空調ユニット内に空気流れ上流側から順に直列に配置され、外気または室内気と冷媒との間で熱交換する第1車内熱交換器及び第2車内熱交換器と、外気と冷媒との間で熱交換する車外熱交換器と、冷媒を減圧する絞り機構と、運転モードに応じて冷媒流れ方向を選択切換する冷媒流れ方向切換手段とを具備して構成され、前記第2車内熱交換器を放熱専用とし、前記ホットキープ運転モード時には、前記冷媒流れ方向切換手段の操作により、前記冷媒が前記第1車内熱交換器、前記車外熱交換器及び前記絞り機構をバイパスして流れることを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
  3. 前記ホットキープ運転モードが、前記第2車内熱交換器に係わる温度が所定値以下の場合、あるいは、前記コンプレッサに係わる温度が所定値以下の場合に実施されることを特徴とする請求項2記載の車両用空調装置。
  4. 前記冷媒流れ方向切換手段が、前記冷媒回路中に配置した二つの三方弁であることを特徴とする請求項2または3記載の車両用空調装置。
  5. 前記絞り機構が、前記第1車内熱交換器と前記車外熱交換器とを連結する冷媒流路に配設された1個の電子膨張弁であることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の車両用空調装置。
  6. 暖房運転モードにおいて、前記冷媒を空調空気流れ方向の下流側に位置する前記第2車内熱交換器から上流側に位置する前記第1車内熱交換器へ向かって流すことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の車両用空調装置。
  7. 前記冷媒が二酸化炭素(CO )であることを特徴とする請求項6記載の車両用空調装置。
  8. 前記冷媒回路が、冷房運転モードにおいて前記車外熱交換器により冷却された冷媒と前記第2車内熱交換器により気化した冷媒との間で熱交換する内部熱交換器を備えていることを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の車両用空調装置。
  9. 冷房運転モードにおいて、前記コンプレッサで圧縮されたガス冷媒が前記第2車内熱交換器をバイパスして前記車外熱交換器に導かれる開閉弁を備えた冷媒バイパス流路を設けたことを特徴とする請求項2から8のいずれかに記載の車両用空調装置。
  10. 前記冷媒回路が、液冷媒と駆動装置冷却系から供給される駆動装置冷却媒体との間で熱交換を行うクーラント熱交換器を備えていることを特徴とする請求項2から9のいずれかに記載の車両用空調装置。
  11. 前記冷媒流れ方向切換手段が、前記冷媒回路中に配置した1つの三方弁と2つの電磁弁であることを特徴とする請求項2または3記載の車両用空調装置。
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