JP2004002393A - 結晶多形インド−ル化合物およびその製造方法 - Google Patents

結晶多形インド−ル化合物およびその製造方法 Download PDF

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Yasuo Shirai
白井 泰男
Norio Tanaka
田中 規生
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Abstract

【課題】結晶多型インド−ル化合物および結晶型の制御の方法を提供すること
【解決手段】1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−〔3−ブロム−6−フルオロ−3−メチルインド−ル−1−イル〕スルホニル−1,2,4−トリアゾ−ルの高融点晶および低融点晶ならびにそれらの製造方法において、圧力および/または熱を加える粉砕等による固層転移法による方法、溶液を冷却または濃縮することによる晶析の段階で、冷却および/または濃縮の速度および溶液の過飽和度を変えることにより結晶型を制御することを特徴とする高融点晶または低融点晶の製造方法、溶液を貧溶媒と混合させることによる晶析法による高融点晶の製造方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、結晶多形を有する1−インドリルスルファモイルトリアゾ−ル化合物の高融点晶または低融点晶およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1−インドリルスルファモイルトリアゾ−ル化合物は農薬、特に殺菌活性を示すものとして知られており、その殺菌剤としての有用性が具体的に記載されている(例えば、特許文献1)。例えば、その中の有用化合物の一つである1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−〔3−ブロム−6−フルオロ−3−メチルインド−ル−1−イル〕スルホニル−1,2,4−トリアゾ−ル(以下、化合物1と称する。)は、融点が123℃〜124℃であるとの記載がある(特許文献2)。しかし、それらの化合物が結晶多形を有することは知られていない。
【0003】
【特許文献1】国際特許出願公開WO99/21851号パンフレット
【0004】
【特許文献2】特開2001−187786号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、1−インドリルスルファモイルトリアゾ−ル化合物の結晶形の違いによる物性を明らかにし、それらの結晶の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは1−インドリルスルファモイルトリアゾ−ル化合物に関してその物性を精査した結果、化合物1は温度、圧力などが通常の条件範囲内では2種類の結晶形を有することを確認した。またこれらの結晶形の各々を分離し、物性を把握、それらを独立して得るための新規な晶析方法および相転位方法を見いだし、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔9〕に関する。
〔1〕 粉末X線回折において2θ=8.08、14.68、16.20、18.74、21.06、24.76および26.44にピ−クを有する1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−〔3−ブロム−6−フルオロ−3−メチルインド−ル−1−イル〕スルホニル−1,2,4−トリアゾ−ルの高融点晶。
〔2〕 粉末X線回折において2θ=10.04、11.34、15.92、18.02、22.94および25.74にピ−クを有する1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−〔3−ブロム−6−フルオロ−3−メチルインド−ル−1−イル〕スルホニル−1,2,4−トリアゾ−ルの低融点晶。
〔3〕 前記高融点晶、前記低融点晶または両者の混合物の溶液を調製し、それを冷却または濃縮することによる晶析の段階で、冷却および/または濃縮の速度および溶液の過飽和度を変えることにより結晶型を制御することを特徴とする、前記高融点晶または前記低融点晶の製造方法。
〔4〕 前記低融点晶またはそれと前記高融点晶との混合物の過飽和度の高い飽和溶液を非常に速く冷却することおよび/または非常に速く濃縮することによる前記高融点晶の製造方法。
〔5〕 前記高融点晶またはそれと前記低融点晶との混合物の過飽和度の低い飽和溶液を非常に遅く冷却することおよび/または非常に遅く濃縮することによる前記低融点晶の製造方法。
〔6〕 前記低融点晶またはそれと前記高融点晶との混合物もしくはその懸濁液に圧力および/または熱を加えて固層転移させることによる前記高融点晶の製造方法。
〔7〕 前記固層転移が結晶に圧力を加えての粉砕によるものである〔6〕記載の製造方法。
〔8〕 前記低融点晶またはそれと前記高融点晶との混合物の溶液を貧溶媒と混合することによる前記高融点晶の製造方法。
〔9〕 貧溶媒が水または脂肪族炭化水素類である〔8〕記載の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
化合物1は前記のとおり、特開2001−187786号公報において融点が123〜124℃であることが知られているが、高融点晶は融点が128〜132℃であり、低融点晶は融点が123〜127℃である。
【0008】
一般に結晶多形を有する生理活性化合物は、その融点や結晶性状などの違いにより、溶剤への溶解度やそれに起因する生理活性が異なることなど、構造上は同一でありながらその物性や特性が変化する例の多いことが知られている。化合物1の場合、特に高融点晶は濾過性がよく、嵩比重が大きいためにかさばらず、結晶の安定性がよいため長期間保存しうる農薬製剤を作成するのに適している。
【0009】
化合物1は、特開2001−187786号公報記載の方法で製造することができる。
【0010】
化合物1の高融点晶または低融点晶の製造方法としては、晶析による方法と、結晶に圧力及び/または熱を加える方法とが挙げられる。
【0011】
晶析による方法としては、化合物1を適当な溶媒に溶解し、その後冷却、濃縮、貧溶媒との混合、圧力変化等により飽和溶解度を越えた分の結晶を得る方法が挙げられ、特に冷却、濃縮、または化合物1に対して溶解度の低い溶媒(貧溶媒)を共用して、過飽和分の高融点晶または低融点晶を得る方法が有効である。
【0012】
晶析法が溶液の冷却、濃縮または圧力変化による場合に用いる溶媒としては、化合物1に対して不活性な溶媒であれば特に制限は無く、例えば、ジエチルエ−テル、メチル−t−ブチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エチレングリコ−ルジメチルエ−テル、エチレングリコ−ルジエチルエ−テル、エチレングリコ−ルジブチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジブチルエ−テル、トリエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、1,4−ジオキサン等のエ−テル類、メタノ−ル、エタノ−ル、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、1−ブタノ−ル、2−ブタノ−ル、イソブタノ−ル、2−メチル−2−プロパノ−ル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、i−プロピルセロソルブ、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、シクロヘキサノ−ル、ベンジルアルコ−ル等のアルコ−ル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロナフタリン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素等の尿素類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含イオウ系極性溶媒、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、5−エチル−2−ピコリン等のピリジン類が挙げられ、例えばエタノール等のアルコール類、トルエン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類が好ましく、例えばエタノールおよびトルエンが特に好ましい。これらの溶媒は、単独または組合せて使用できる。
【0013】
晶析操作は、用いる溶媒の沸点から用いる溶媒の融点までの幅広い温度域で行なうことができる。
【0014】
低融点晶を独立に得るには、例えば溶液から過飽和度の低い領域において結晶を徐々に成長させればよく、例えば、化合物1の過飽和度の低い飽和溶液を非常に遅く冷却するか、非常に遅く濃縮するか、両者を併用すればよい。
【0015】
高融点晶を独立に得るには、溶液を極めて過飽和度の高い領域から結晶化させればよく、例えば、化合物1の過飽和度の高い飽和溶液を非常に速く冷却するか、非常に速く濃縮するか、両者を併用すればよい。
【0016】
前記過飽和度の高い領域において結晶を成長させるには、例えば、溶媒の沸点において化合物1を完全に溶解しうる最小量の1倍ないし5倍、好ましくは1倍ないし2倍の溶媒に加熱溶解してから晶析させればよい。
【0017】
前記過飽和度が低い領域において結晶を成長させるには、例えば、結晶が晶析するときの温度、例えば25℃において化合物1を完全に溶解しうる最小量の溶媒の0.8倍ないし1.1倍、好ましくは極めて1倍に近い量の溶媒に加熱溶解してから晶析させればよい。
【0018】
前記非常に速く冷却するとは、できるだけ速く冷却するということである。
【0019】
前記非常に速く濃縮するとは、できるだけ速く濃縮するということである。
【0020】
前記非常に遅く冷却するとは、放冷による冷却よりも遅い速度で冷却することであり、例えば、溶媒に加熱溶解したときの温度から8時間かけて25℃に冷却するような場合をさす。そのような冷却方法は通常の加熱手段を用いて、温度を時間をかけて徐々に下げるよう調節すれば可能である。
【0021】
前記非常に遅く濃縮する方法としては、例えば、室温において溶媒を自然に蒸発させるという方法が挙げられる。なお、その際に、操作を少しでも早めるために、非常に弱い窒素気流下に保持することにより、蒸発した溶媒を系外に排出させながら濃縮することも可能である。
【0022】
貧溶媒との共用は高融点晶に制御する場合に有効である。貧溶媒を共用する場合は、化合物1の溶液を貧溶媒中に加えるか、またはその逆の何れの方法も可能である。
【0023】
貧溶媒としては、例えば水または脂肪族炭化水素類があげられる。
【0024】
貧溶媒として水を用いる場合に用いる溶媒としては、化合物1に対して不活性な溶媒であれば特に制限は無い。例えばアルコ−ル類、ケトン類、エ−テル類、アセタール類、エステル類、ニトリル類、N−アルキルピロリドン類、N,N−ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドの中から選ばれる1種または2種以上が好適に使用される。具体的には下記のものが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0025】
アルコ−ル類としては、エタノ−ル、t−ブタノ−ル、1−プロパノ−ル、メタノ−ル、エチレングリコ−ル、エチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノメトキシメチルエ−テル、グリセリン、グリセリン1,3−ジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセタ−ト、ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジプロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジプロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、テトラエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、トリエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、トリメチレングリコ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、プロピレングリコ−ル、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルなどがあげられる。
【0026】
エ−テル類およびアセタ−ル類としては、1,4−ジオキサン、エチレングリコ−ルジメチルエ−テル、エチレングリコ−ルジエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルエチルメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジブチルエ−テル、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、フルフラ−ル、メチラ−ルなどがあげられる。
【0027】
ケトン類としてはアセトン、ジアセトンアルコ−ル、アセチルアセトンおよびメチルエチルケトンなどがあげられる
エステル類としては、ギ酸エチル、ギ酸メチル、乳酸エチル、乳酸メチル、エチレングリコ−ルモノアセタ−ト、エチレングリコ−ルジアセタ−ト、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセタ−ト、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセタ−ト、ジエチレングリコ−ルジアセタ−トおよびγ−ブチロラクトンなどがあげられる。
【0028】
ニトリル類としては、アセトニトリル、プロピオニトリル等があげられる。
【0029】
N−アルキルピロリドン類としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドンなどがあげられる。
【0030】
その他の溶剤としては、アリルアミン、N−エチルエタノ−ルアミン、エチレンジアミン、ジエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ピペコリン、ピペリジン、プロピレンジアミン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、モノエタノ−ルアミン、およびジメチルスルホキシドなどがあげられる。
【0031】
好ましくは、アルコ−ル類としては、イソプロピルアルコ−ル、エタノ−ル、1−プロパノ−ル、メタノ−ル、エチレングリコ−ル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノメトキシメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、プロピレングリコ−ル、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルがあげられ、エ−テル類としては、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコ−ルジメチルエ−テル、エチレングリコ−ルジエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テルがあげられ、ケトン類としてはアセトン、ジアセトンアルコ−ル、メチルエチルケトンがあげられ、ニトリル類としてはアセトニトリルおよびプロピオニトリルがあげられ、その他として、乳酸メチル、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドがあげられる。
【0032】
さらに好ましくは、メタノ−ル、エタノ−ル、アセトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドンがあげられる。
【0033】
水中で結晶化させる時の制御条件は、化合物1の溶液を水中に投入後、または化合物1の溶液中に水を投入後にすみやかに結晶化する条件であれば、化合物1の溶液の温度、化合物1の溶液の水への投入速度、水温、水量、攪拌速度などは特に限定されない。例えば、上記の有機溶剤の中から、アセトンやメタノ−ルなどの室温で化合物1を溶解する溶剤を選定すると、化合物1の溶液を水中に投入して結晶化させる際において室温でも高融点結晶形への完全な制御が容易に起こるため、製造条件の制御が容易であるとともに、製品の品質安定化の面で有用である。
【0034】
貧溶媒として脂肪族炭化水素類を用いる場合、用いる脂肪族炭化水素類溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等があげられる。
【0035】
好ましくは、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等があげられ、さらに好ましくはヘキサン、ヘプタンまたはオクタンがあげられる。
【0036】
貧溶媒として脂肪族炭化水素類を用いる場合に用いる溶媒としては、化合物1に対して不活性な溶媒であれば特に制限は無い。例えばアルコ−ル類、ケトン類、エ−テル類、エステル類、ニトリル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類の中から選ばれる1種または2種以上が好適に使用される。具体的には下記のものが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0037】
アルコ−ル類としては、アリルアルコ−ル、イソブチルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル、エタノ−ル、テトラヒドロフルフリルアルコ−ル、s−ブタノ−ル、t−ブタノ−ル、フルフリルアルコ−ル、プロパルギルアルコ−ル、1−プロパノ−ル、メタノ−ル、3−メチル−1−ペンチン−3−オ−ル、エチレングリコ−ル、エチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノメトキシメチルエ−テル、エチレンクロロヒドリン、グリセリン、グリセリン1,3−ジメチルエ−テル、2−クロロ−1,3−プロパンジオ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ルクロロヒドリン、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセタ−ト、ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジプロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジプロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、テトラエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、トリエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、トリメチレングリコ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、プロピレングリコ−ル、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、1,5−ペンタンジオ−ルなどがあげられる。
【0038】
エ−テル類およびアセタ−ル類としては、ジエチルエ−テル、1,4−ジオキサン、ジプロピルエ−テル、ジメチルエ−テル、エチレングリコ−ルジメチルエ−テル、エチレングリコ−ルジエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルエチルメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジブチルエ−テル、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、フルフラ−ル、メチラ−ルなどがあげられる。
【0039】
ケトン類としてはアセトン、ジアセトンアルコ−ル、アセチルアセトンおよびメチルエチルケトンなどがあげられる。
【0040】
エステル類としてはギ酸エチル、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸エチル、乳酸メチル、エチレングリコ−ルモノアセタ−ト、エチレングリコ−ルジアセタ−ト、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセタ−ト、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセタ−ト、ジエチレングリコ−ルジアセタ−トおよびγ−ブチロラクトンなどがあげられる。
【0041】
ニトリル類としてはプロピオニトリルおよびブチロニトリルがあげられる。
【0042】
芳香族炭化水素類としてはベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロナフタリン等があげられる。
【0043】
ハロゲン化炭化水素類としては塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン等があげられる。
【0044】
好ましくは、アルコ−ル類としては、イソプロピルアルコ−ル、エタノ−ル、1−プロパノ−ル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノメトキシメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、プロピレングリコ−ル、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルがあげられ、エ−テル類としては、1,4−ジオキサン、エチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランがあげられ、ケトン類としてはアセトン、ジアセトンアルコ−ル、メチルエチルケトンがあげられ、ニトリル類としてはプロピオニトリルおよびブチロニトリルがあげられ、芳香族炭化水素類としてはベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンがあげられ、ハロゲン化炭化水素類としては、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等があげられる。
【0045】
さらに好ましくは、エタノ−ル、アセトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、プロピオニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンがあげられる。
【0046】
脂肪族炭化水素類中での結晶化させる時の制御条件は、化合物1の溶液を該脂肪族炭化水素中に投入後、または化合物1の溶液中に該脂肪族炭化水素を投入後にすみやかに結晶化する条件であれば、化合物1の溶液の温度、化合物1の溶液の脂肪族炭化水素中への投入速度、投入時の温度、各々の溶媒量、攪拌速度などは特に限定されない。例えば、上記の有機溶剤の中から、アセトンやクロロホルムなどの室温で化合物1を溶解する溶剤を選定すると、化合物1の溶液を脂肪族炭化水素中に投入して結晶化させる際において室温でも高融点結晶形への完全な制御が容易に起こるため、製造条件の制御が容易であるとともに、製品の品質安定化の面で有用である。
【0047】
固相転移は、圧力、熱などのエネルギ−を化合物に加えることにより可能であり、その方法としては純粋な固層(結晶)系にこれらエネルギ−を加えて行なう転移方法と、貧溶媒中に結晶を分散させて行なう懸濁相での転移方法等が挙げられるが、化合物1の場合には固層系での転移が好ましく、固層系での転移は結晶形を高融点晶に制御する場合に特に有効である。
【0048】
固相系にエネルギ−を加える方法としては、加熱、粉砕、超音波照射など様々な方法があるが、化合物1の場合は粉砕による方法が好ましく、実際の場面では乳鉢による圧力を加える粉砕またはこれに準じた同様の粉砕形態をとる粉砕機を用いることが、工業的な操作の容易さや再現性等の点から好ましい。
【0049】
【実施例】
次に実施例をあげ本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例中の部は重量部を意味し、I/Ioは相対ピーク強度を意味する。また、実施例中のDSC測定(示差走査熱量測定)および粉末X線回折の測定は、それぞれ以下に示す測定条件で行った。
DSC測定(空気中で測定)
機種名:理学電機株式会社製示差走査熱量計DSC 8230
比較物質:アルミニウム
サンプルパン:ステンレス
サンプリング速度:1.0秒
昇温速度:5.0℃/分
粉末X線回折
機種名:(株)マックサイエンス社製 M18Xce
測定法:連続スキャン法
タ−ゲット:Cu2θ=5〜40゜
サンプリング間隔:0.02deg
スキャンスピ−ド:4deg/分
管電流:40.0KV
管電圧:150.0mA
実施例1.晶析法による高融点晶の製造
化合物1の10gをエタノ−ル100gに加え、80℃に加熱溶解したのちに、この溶液を10分間で5℃に冷却した。析出した結晶を濾過し、冷エタノ−ル10gで洗浄後に、減圧下に乾燥し、結晶9.3gを得た。サンプル重量7.07mgで行ったDSC測定では得られた結晶は131.3℃付近に吸熱ピ−クを示し、それ以外の温度ではピークを示さず、高融点晶であることが確認された。また、粉末X線回折において2θ=8.08(I/Io=311)、14.68(I/Io=922)、16.20(I/Io=731)、18.74(I/Io=735)、21.06(I/Io=735)、24.76(I/Io=798)および26.44(I/Io=1000)にピ−クを示した。
実施例2.晶析法による低融点晶の製造
化合物1の1gをエタノ−ル100gに加え、加熱溶解したのちに、この溶液を8時間かけて室温〔25℃〕まで冷却し、その後、非常に弱い窒素気流下に保持した。析出した結晶を濾過し、減圧下に乾燥することで結晶0.5gを得た。サンプル重量4.79mgで行ったDSC測定では、得られた結晶は126.5℃付近に吸熱ピ−クを示し、それ以外の温度ではピークを示さず、低融点晶であることが確認された。また、粉末X線回折において2θ=10.04(I/Io=253)、11.34(I/Io=203)、15.92(I/Io=1000)、18.02(I/Io=263)、22.94(I/Io=239)および25.74(I/Io=201)にピ−クを示した。
実施例3.晶析法による高融点晶の製造
化合物1の10gをエタノ−ル100gに加え、80℃に加熱溶解した。続いてこの溶液を10℃に冷却したn−ヘプタン600g中に、10分間で滴下した。析出した結晶を濾過し、n−ヘプタン50gで洗浄後に、減圧下に乾燥することで高融点晶9.1gを得た。
実施例4.晶析法による高融点晶の製造
化合物1の10gをエタノ−ル100gに加え、80℃に加熱溶解した。続いてこの溶液を5℃に冷却した水500g中に、5分間で滴下した。析出した結晶を濾過し、水で充分に洗浄後に、減圧下に乾燥することで高融点晶9.3gを得た。
実施例5.固相転移法による高融点晶の製造
化合物1の低融点晶をメノウ製乳鉢に取り、15分間混合粉砕を行なった。粉砕後の結晶を熱分析の結果、低融点晶はほぼ純粋な高融点晶に固相転移していたことを確認した。
参考例.結晶多形混合物の製造
化合物1の10gをクロロホルム100mlに溶解し、40℃、減圧条件下にて溶媒を濃縮、完全に乾固させた。得られた固体をDSC分析したところ、このものは高融点晶、低融点晶の混合物であった。
【0050】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、結晶多形を有するインド−ル化合物の結晶形を任意に制御することが可能であり、極めて有用である。

Claims (9)

  1. 粉末X線回折において2θ=8.08、14.68、16.20、18.74、21.06、24.76および26.44にピ−クを有する1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−〔3−ブロム−6−フルオロ−3−メチルインド−ル−1−イル〕スルホニル−1,2,4−トリアゾ−ルの高融点晶。
  2. 粉末X線回折において2θ=10.04、11.34、15.92、18.02、22.94および25.74にピ−クを有する1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−〔3−ブロム−6−フルオロ−3−メチルインド−ル−1−イル〕スルホニル−1,2,4−トリアゾ−ルの低融点晶。
  3. 前記高融点晶、前記低融点晶または両者の混合物の溶液を調製し、それを冷却または濃縮することによる晶析の段階で、冷却および/または濃縮の速度および溶液の過飽和度を変えることにより結晶型を制御することを特徴とする、前記高融点晶または前記低融点晶の製造方法。
  4. 前記低融点晶またはそれと前記高融点晶との混合物の過飽和度の高い飽和溶液を非常に速く冷却することおよび/または非常に速く濃縮することによる前記高融点晶の製造方法。
  5. 前記高融点晶またはそれと前記低融点晶との混合物の過飽和度の低い飽和溶液を非常に遅く冷却することおよび/または非常に遅く濃縮することによる前記低融点晶の製造方法。
  6. 前記低融点晶またはそれと前記高融点晶との混合物もしくはその懸濁液に圧力および/または熱を加えて固層転移させることによる前記高融点晶の製造方法。
  7. 前記固層転移が結晶に圧力を加えての粉砕によるものである請求項6記載の製造方法。
  8. 前記低融点晶またはそれと前記高融点晶との混合物の溶液を貧溶媒と混合することによる前記高融点晶の製造方法。
  9. 貧溶媒が水または脂肪族炭化水素類である請求項8記載の製造方法。
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