JP2003510436A - ビニルポリマーをベースとした物品のリサイクル方法 - Google Patents

ビニルポリマーをベースとした物品のリサイクル方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は次の方法に関する:塩化ビニルまたは塩化ビニリデンポリマーの少なくとも1種をベースとする物品のリサイクル方法であって、(a)該物品を、1 cm〜50 cmの平均サイズを有するフラグメントに切断すること(その物品がこれらのサイズを越える場合);(b)上記物品フラグメントを、少なくとも120℃の温度で、水と上記ポリマーを溶解し得る溶媒との共沸または準共沸混合物と接触させること;(c)上記溶媒中に溶解させたポリマーを、圧力低下と上記のようにして得られた溶液への水蒸気の注入とにより沈降させ、さらに上記溶媒-水共沸物のエントレインメントを生じさせ、それによって、水と固形ポリマー粒子から本質的になる混合物を残すこと;(d)上記ポリマー粒子を集めることを特徴とする上記物品のリサイクル方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンポリマーのようなビニルポリマー
をベースとした物品のリサイクル方法に関する。
【0002】 (背景技術) これらのポリマーは、例えば、ターポリン(防水布)類、車両内装品用のコーテ
ィング織布および他のコンポーネント類、パイプ類、窓枠または電気ケーブル加
工用絶縁体のような多様な可撓質または硬質物品の製造において広く使用されて
いる。 これら物品の集中的な粉砕は、一般に、不均質な組成を有する微細粒子の混合
物を生じ、その精製および再使用は困難である。さらに、繊維類(例えば、ポリ
エステル繊維)で補強した物品の場合には、その繊維は、多くの場合、1種のワッ
デイング(詰綿状物)を形成し、それによって、粉砕材料の再使用を極めて複雑に
している。 有機溶媒による溶解に基づく種々の処理方法がすでに提供されている;しかし
ながら、これらの方法は、しばしば、安全性および汚染問題を生じている。しか
も、これらの方法は、経済的に有利な再使用を可能にするのに十分な純度を有す
るプラスチックを集めることを必ずしも出来ていない。これらの方法のもう1つ
の欠点は、これらの方法が、ビニルポリマー中に存在する添加剤(例えば、可塑
剤)の抽出を一般にもたらし、ビニルポリマー類の直接の再使用を妨げているこ
とである。最後に、これら公知の方法は、極めて微細なポリマー粒子(ミクロン
レベル)を生じ、これらの粒子は、濾過し再処理するのが困難である。
【0003】 (発明の開示) 従って、本発明は、簡単で、経済的で、安全であり、あまり汚染性でなく、さ
らに、高純度と有利な形態性を有するプラスチックを、これらプラスチックから
の存在得る添加剤の抽出を実質的に防止しながら、集めることを可能にするリサ
イクル方法を提供することを目的とする。 さらに詳細には、本発明は、(a)塩化ビニルまたは塩化ビニリデンポリマーの
少なくとも1種をベースとする物品を、1 cm〜50 cmの平均サイズを有するフラグ
メントに切断すること(その物品がこれらのサイズを越える場合); (b)上記物品フラグメントを、少なくとも120℃の温度で、水と上記ポリマーを
溶解し得る溶媒との共沸または準共沸混合物と接触させること; (c)上記溶媒中に溶解させたポリマーを、圧力低下と上記のようにして得られ
た溶液への水蒸気の注入とにより沈降させ、さらに上記溶媒-水共沸物のエント
レインメントを生じさせ、それによって、水と固形ポリマー粒子から本質的にな
る混合物を残すこと; (d)上記ポリマー粒子を集めること; を特徴とする上記物品のリサイクル方法に関する。
【0004】 上記の物品は、任意の性質を有し得るが、1種以上の塩化ビニルまたは塩化ビ
ニリデンポリマー(“VCポリマー類”)から本質的になる。“VCポリマー”なる用
語は、少なくとも50質量%の塩化ビニルおよび/または塩化ビニリデンを含む任
意のホモ-またはコポリマーを表すものと理解すべきである。一般的には、ポリ(
塩化ビニル) (PVC)またはポリ(塩化ビニリデン) (PVDC)、即ち、ホモポリマーが
使用されている。1種以上のVCポリマー以外に、上記物品は、例えば、可塑剤、
安定剤、酸化防止剤、難燃剤、顔料、充填剤等のような添加剤も含み、さらに、
補強用繊維、例えば、ガラス繊維またはポリエステルのような適切なプラスチッ
ク繊維も含み得る。 上記物品は、任意の形状、例えば、可撓質または硬質パイプ、容器、床被覆用
のシート、ターポリン、窓枠、電気ケーブル用の絶縁外装等の形状で提供され得
る。これらの物品は、任意の公知の方法、即ち、押出、コーティング、射出成型
等によって製造され得る。
【0005】 上記物品は、良好に形成された形を示す物の形で必ずしも提供されない;本発
明方法は、液状またはペースト状の物品、とりわけ、ビニルプラスチゾルからの
物品の製造において使用されるプラントの清浄化中に集められたスラッジにも応
用する。1種以上の塩化ビニルポリマー以外に、これらの液状またはペースト状
物品は、1種以上の溶媒、例えば、ホワイトスピリットも含み得る。 存在し得る補強繊維は、任意の性質を有し得、天然または合成物であり得る;
とりわけ、ガラス繊維、セルロース繊維またはプラスチック繊維が使用される。
補強用繊維は、多くの場合、プラスチック繊維、とりわけポリエステル繊維であ
る。ポリ(エチレンテレフタレート) (PET)は、良好な結果を、とりわけターポリ
ンのようなシート類の補強において与える。これら繊維の直径は、通常、10〜10
0μm程度である。補強シートにおいては、これらの繊維は、多くの場合、長繊維
であり、その長さは、数メートルにも達し得る。しかしながら、これら繊維は、
長さ数ミリメートルから数センチメートルの短めの繊維でもあり得、必要に応じ
て、織布、不織布またはフェルトを形成し得る。例えば、これら繊維は、補強シ
ートの1〜40質量%を示し得る。
【0006】 本発明に従う方法の第1工程(a)は、必要に応じて、上記物品を切断して、これ
ら物品を取扱い容易な小さいサイズを有するフラグメントに細かくする。これら
のフラグメントの平均サイズは、好ましくは、少なくとも2 cmである。さらにま
た、最大でも30 cmが有利である。上記物品を切断するこの操作は、任意の適切
な装置、例えば、回転ブレードまたは剪断を有するグラインダーによって実施で
きる。上記物品がすでに適切なサイズを有するフラグメントの形状で提供される
場合には、物品を切断する工程が不必要であることは明白である。ある場合には
、そのようにして得られた物品フラグメントを中間分離工程に供することができ
、それによって、浮遊または静電分離のような通常の方法により塩化ビニルまた
は塩化ビニリデンポリマー以外の他の存在し得る成分の分離を行うことができる
【0007】 その後、そのようにして得られた物品フラグメントを、幾つかの特定の特徴を
有する溶媒の作用に供する。この操作は、任意の適切な装置内で、とりわけ安全
性と環境条件を考慮して、例えば、十分な耐薬品性を有する密閉反応器内で実施
できる。反応混合物は、好ましくは撹拌する。存在し得る繊維が撹拌手段に付着
しその操作を混乱させるのを防止する目的においては、有利な別法として、中庸
な速度(好ましくは、100 rev/分以下で)回転する穿孔回転ドラムを入れた容器内
で溶解を実施する。このドラムの軸は、好ましくはおよそ水平である。上記物品
が繊維で補強されている場合、そのような装置のさらなる利点は、上記の容器か
ら溶媒の殆どを抽出した後、ドラムを高速で回転させて、ドラム内の繊維を“ス
ピン乾燥”させ得ることである。溶解および沈降を実施する容器(1基以上)は、
後で反応器(1基以上)として説明する。
【0008】 使用する溶媒は、塩化ビニルまたは塩化ビニリデンポリマー、即ち、処理する
物品に含まれるポリマー類を溶解し得る物質(または物質混合物)である。しかし
ながら、物品が繊維で補強されている場合には、溶媒は、補強用繊維の溶解をも
たらすべきでない。驚くべきことに、十分な溶解温度を使用した場合、溶媒中の
水分含有量を極めて低い値に制限することが本質的でないことを見出した。従っ
て、物品を集中的な乾燥に供すること或いは溶媒中の水分含有量を大々的に低下
させることを目的とした工程を用いることは、必要でない。例えば、メチルエチ
ルケトン(MEK)を溶媒として使用する場合、105℃の温度が、15%の水(高含有量
を構成する)を含むMEK-水共沸物に相応する。これらの制約がないことは、物品
の乾燥が著しいエネルギーを消費する場合、並びに溶媒(例えば、メチルエチル
ケトン(MEK))中に存在する水分の分離が少なくとも1基の反応器、実際には蒸留
塔さえも必要とする複雑な操作である場合、生産的、経済的に極めて有益である
。 本発明に従う概念においては、使用する溶媒が水と混和性であって水との共沸
物を生成することが必要である。溶媒は、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイ
ソブチルケトン、テトラヒドロフランから有利に選択される。MEKを使用するの
が好ましく、MEKは、11%の水と89%のMEK(質量で)を含む水との共沸物を生成す
る(大気圧において)。
【0009】 水と溶媒の共沸または準共沸混合物を溶解に使用することは、後の説明で理解
できるように、そのような混合物が処理終了時に容易に回収でき(例えば、沈降
による単純な分離により)、それによって直接再使用できる限りにおいて著しい
簡素化を構成する。“共沸または準共沸混合物”なる用語は、混合物の組成が共
沸物の組成と必ずしも正確には等しくないが、とりわけ圧力の関数としての共沸
組成の変動を勘案するような僅かな誤差(例えば、5%未満の)は許容されるもの
と理解すべきである。何故ならば、後で説明するように、本発明方法の最終段階
は、溶解中に一般に使用されている圧力よりも低い圧力で実施する;このことは
、処理終了時に集められた水-溶媒(共沸)混合物中の水分含有量が溶解圧での水-
溶媒共沸物中の水分含有量よりも幾分低いことを意味するからである。 溶解(工程b)は、温度によって決定される圧力下で実施する。この圧力は、一
般に、少なくとも4バールである。この圧力は、有利には、10バールを越えない
。 さらに、爆発および溶媒分解のリスクを回避するためには、不活性雰囲気、例
えば、窒素下で操作することが有利である。 使用する溶媒量は、ポリマーの溶解により生ずる粘度増大が処理の満足な進行
(濾過等)を妨げるのを防止するように選択しなければならない。溶解工程(b)に
おいては、物品量が溶媒1リットル当り200 g、とりわけ100 g/lを越えないこと
が好ましい。
【0010】 このようにして集めたVCポリマーの再使用の点からは、本発明に従う方法の有
利な別法は、ポリマーの溶解工程前または中に、1種以上の添加剤(安定剤、可塑
剤等)を溶媒中に混入させることからなり、添加剤の性質および量は、リサイク
ルポリマーに付与させるのに望まれる特性に適合させる。この場合、そのように
して混入させる1種以上の添加剤は、使用する溶媒に可溶性であることが望まし
い。しかしながら、可能性ある不溶性添加剤類は、溶媒中に微分散させることが
できる。 溶解工程(b)終了時に、一方で、ポリマーを溶解した溶媒からなる液体相と、
他方で、存在し得る溶解していない構成成分、例えば、補強用繊維と含む混合物
を得ることができる。そのような成分の分離は、例えば、0.1〜10 mm程度の開口
サイズを有する布またはスクリーンを使用する濾過によって実施できる。この分
離は、ポリマーの如何なる早期の沈降を防止するのに十分に高い温度で実施しな
ければならない;この目的には、混合物の温度を、有利には、この分離中に少な
くとも75℃に維持する。
【0011】 物品が繊維で補強されている場合、そのようにして回収した繊維は高純度を有
することを見出している。この純度を増大させるためには、繊維を、必要に応じ
て、残存し得る痕跡量のポリマーの除去を目的として、例えば同じ溶媒を使用し
て、その後の遠心処理および/または洗浄の工程に供することができる。この洗
浄操作において使用した溶媒は、溶解工程において使用する新鮮溶媒と有利に混
合することができる;痕跡量の溶解ポリマーを含むことは、溶解の有効性に対し
て有害ではない。これらの繊維は、プラスチック系補強物品の製造に直接再使用
できる。 存在し得る繊維以外に、この任意の分離工程は、物品中に含まれ、本発明に従
う処理に供する前に取り除かれていない金属アイレット、ラベル等のような存在
し得る“アクセサリー類”を集めることも可能にする。同様に、電気ケーブル外
装中に残存している可能性のある金属導電体片も除去できる。必要に応じて、溶
解ポリマーを含む溶媒は、存在し得る粉塵または他の不溶性粒子の除去を目的と
して、例えば、200μm未満、好ましくは20μm未満の開口サイズを有する布また
はスクリーンを使用することによって、より微細に濾過することもできる。上述
したように、この分離は、ポリマーの如何なる早期の沈降を防止するのに十分に
高い温度で実施しなければならない。
【0012】 従って、本発明は、とりわけ、溶解ポリマーを沈降させる前に、存在し得る溶
解していない構成成分をポリマーの沈降を防止するに十分な温度で除去する上述
したような方法にも関する。 固形構成成分を必要に応じて分離した後、溶解ポリマーを、圧力を低下させる
ことによって沈降させる(工程c);この圧力低下は、一般的に温度低下をもたら
す。圧力低下は、温度が、ポリマーが沈降し始めるのに十分に低い圧力に相応す
る圧力まで、好ましくは大気圧まで下げるように実施する。さらにまた、水蒸気
も、溶解ポリマーを完全に沈降させるのに十分な量で、溶解ポリマーを含む溶媒
中に注入する。共沸組成に対して大過剰の水分(水蒸気または液状)を加えること
が好ましい。例えば、MEKの場合、MEKの1 kg当り1〜3 kgの水分を一般に加える
。この圧力低下と水蒸気の注入により、ミクロンレベルの平均粒度を有する固形
粒子の形のVCポリマーを沈降させる(この段階では、依然として添加剤類を含ま
ない)。
【0013】 水蒸気注入のもう1つの効果は、ポリマー溶液を含む反応器からの気体状の水-
溶媒共沸物の蒸発とエントレインメント(連行)をもたらすことである。その後、
この共沸物は、集めて濃縮させることができる。残っている混合物(蒸発してい
ない)は、水と固形ポリマー粒子から本質的になる。溶液がまだ溶媒を含む限り
は、溶液上に存在するガス相の温度は、使用する圧力において共沸物の沸騰温度
におよそ等しいままである(例えば、MEK-水共沸物の蒸発温度は、大気圧におい
ておよそ73.5℃である)。 有利には、ポリマーの沈降(工程c)を、水蒸気と液体水の混合注入によって実
施し、それによってポリマーの沈降を促進させる。この水が必要に応じて低濃度
の溶媒を含むことは、有害ではない;このことは、後で説明するように、本発明
方法の後の工程が僅かな量の溶媒を含む水を特別に生じ、この水が特に精製する
ことなく再使用できる限りにおいて、有益である。
【0014】 溶液中の溶媒濃度が十分に低くなると直ぐに、溶液中に溶解した添加剤は、ポ
リマー粒子上に付着し、それによって、高度に有利な形で、500μm程度の粒子(
凝集物)への凝集を促進させる;この粒子は、極めて容易に濾過し、取扱いし、
さらに後で再使用することができる(ミクロンレベルの粒子とは対照的に)。驚く
べきことに、これらのポリマー粒子(凝集物)は、高度に満足できる形態性、とり
わけ、極めて僅かな分散性しか示さない粒度を示すことを見出した。 事実上すべての溶媒を連行させたとき、ガス相の温度(正しく液相の温度と同
じ)は、水の沸騰温度に近づき(沈降中に使用した圧力において)、この温度は、
事実上完全な溶媒除去を検出する容易な手段を構成する。 しかしながら、溶液が実質的に溶媒を含まなくなると直ぐに、高温度を少なく
ともさらに5分間、好ましくは少なくとも10分間維持すること(例えば、水蒸気の
注入を続行することにより)が有利であり、このことは、驚くべきことに、ポリ
マー粒子(凝集物)の特性と形態性(硬度、粒度、嵩密度、多孔性等)に高度に好ま
しい影響を与える。
【0015】 水蒸気による溶媒除去の極めて有意な利点は、処理ポリマー中に存在し得る添
加剤の殆どが溶媒によって連行されないでポリマー粒子上に再付着されることで
ある。結果として、処理終了時に集められたポリマー粒子は、ポリマー中に最初
存在していた添加剤の有意な画分(少なくとも溶媒中に可溶性である添加剤画分
;この画分は、例えば、存在し得る充填剤に一般に影響を与えない)を依然とし
て含む。この状態は、これらの添加剤が多くの場合高価であり、さらに、これら
ポリマー粒子を、このポリマーをベースとする物品の製造過程において直接再使
用でき得る場合に、とりわけ有利である。この再使用は、そのようにして回収し
た粒子を事前ゲル化させることによって容易になり、別々に加えたポリマー粒子
と添加剤の不均質混合物の処理に比較して、その処理を単純化する。溶解-沈降
による公知のリサイクル方法は、ポリマーからの添加剤の大部分の抽出をもたら
す点において、この利点を示さない。
【0016】 水蒸気注入のさらなる利点は、水蒸気注入が、処理を行う反応器の外部加熱を
一般に不必要にすることである。この利点は、生産的に極めて重要である;何故
ならば、外部加熱(反応器の壁を介しての)が反応器の壁上にポリマーの堆積(ケ
ーキング)を生じ、頻度多く清浄化する必要があるからである。対照的に、本発
明の方法においては、水蒸気の注入により、反応器壁を低温に維持し、ケーキン
グのリスクを大いに低減させる。 本発明の方法のもう1つの利点は、処理ポリマー中に存在し得る乳化剤が水中
溶液中に移行すること、およびリサイクル終了時に集めたポリマー粒子が結果と
して乳化剤を実質的に含まず、ポリマー粒子の使用を容易にすることである;と
りわけ、処理プラント上の付着物、並びにそのようにして得られた新規な製品の
表面での気泡の発生は、回避される。
【0017】 その後、上記ポリマー粒子(凝集物)は、例えば、水-粒子混合物の濾過により
容易に集めることができ(工程d)、必要に応じて、貯蔵または再使用前に乾燥さ
せ得る。残留水は、有利には、精製して、乳化剤等のような溶解成分を除去する
。 溶媒コストおよびその環境への排出が示す不利益を考慮した場合、沈降工程終
了時に集められた溶媒/水液体画分(共沸物よりも水リッチである)は、リサイク
ルすることが望ましい。本発明方法の有意な利点は、液体画分を極めて簡単な方
法でリサイクルし、完全に再使用できることである。何故ならば、沈降による簡
単な分離により、集めた液体画分は、下記のように分離可能であるからである: 一方での、(準)共沸、即ち、およそ10%の水を含む溶媒主要の混合物を含む(
上部)画分(水の正確な含有量は、温度および圧力に依存する)、この画分は、溶
解工程において再使用できる; 他方での、水主要の(下部)画分(例えば、80%程度の水分を含む)、この画分は
、沈降工程において、液体水および/または水蒸気(再加熱後)の形で再使用でき
る(驚くべきことに、または有利なことに、小割合の溶媒の存在は、有害ではな
い)。 水をリサイクルさせるこれらの操作にもかかわらず、水の追加は、一般に必要
である。 本発明に従う方法は、連続またはバッチ方式において実施できるが、後者の方
式が好ましい。 本発明方法の主要な利点は、本発明方法を密閉循環方式で、汚染性の排出物を
発生させることなく実施でき、溶媒-水混合物の分離における溶媒および存在し
得る薬剤の双方をリサイクルし、本発明方法において再使用できることである。
【0018】 (発明を実施するための最良の形態) 添付図面は、可塑化したPVC外装により絶縁した廃電気ケーブルのリサイクル
に応用した本発明に従う方法の特定の態様の進行状態を、非限定的な方法で、図
式的に例示する。 使用した参照記号は、下記を意味する: P: 固形ポリマー S: 溶媒 (P): 溶解ポリマー W: 水 A: 溶媒/水共沸物 F: 存在し得る不溶性成分 STEAM: 水蒸気(小割合の溶媒を含み得る)
【0019】 上記の廃棄物を先ずすべて切断(CUT)し(工程a)、次いで、廃棄物に含まれるポ
リマーを、溶媒/水共沸混合物(A)の作用下に、溶解(DISS)させる(工程b);この
溶解工程においては、ポリマー中に含ませることが望まれているある種の添加剤
類も、必要に応じて、溶解され得る。その後、このようにして得られた混合物を
濾過(FILT1)し、それによって、溶媒中ポリマー溶液(S + (P))からの存在し得る
不溶性成分(F) (金属残渣等)の分離を可能にする。次に、ポリマーを、水蒸気(S
TEAM)および必要に応じての液体水("W (+ S)") (これらは、小割合の溶媒を含み
得る)を溶液中に注入することによって沈降(PREC)させ(工程c)、この工程にお
いて、エントレインメントによる溶媒-水共沸物の除去も生ずる。固形ポリマー
粒子P(凝集物)を、水Wから濾過(FILT2)により分離し(工程d)、水は、排出また
は再使用前に、有利には精製し、次いで、ポリマー粒子を乾燥(DRY)させる。分
離中に集めた画分W + S (上記共沸物よりも水リッチである)を濃縮し(図示して
ない工程)、その後、沈降(SETT)により分離し、それによって、一方で、上記溶
解工程において再使用できる溶媒/水共沸画分(A)を、他方で、例えば、加熱工程
(H)後の水蒸気(SYEAM)の形で、さらに液体形で必要に応じて直接上記沈降工程に
おいて使用できる水主要の画分("W (+ S)")を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 可塑化したPVC外装により絶縁した廃電気ケーブルのリサイクルに応用した本
発明に従う方法の特定の態様の進行状態を図式的に例示する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニルまたは塩化ビニリデンポリマーの少なくとも1種
    をベースとする物品のリサイクル方法であって、 (a)該物品を、1 cm〜50 cmの平均サイズを有するフラグメントに切断すること
    (その物品がこれらのサイズを越える場合); (b)上記物品フラグメントを、少なくとも120℃の温度で、水と上記ポリマーを
    溶解し得る溶媒との共沸または準共沸混合物と接触させること; (c)上記溶媒中に溶解させたポリマーを、圧力低下と上記のようにして得られ
    た溶液への水蒸気の注入とにより沈降させ、さらに上記溶媒-水共沸物のエント
    レインメントを生じさせ、それによって、水と固形ポリマー粒子から本質的にな
    る混合物を残すこと; (d)上記ポリマー粒子を集めること; を特徴とする上記物品のリサイクル方法。
  2. 【請求項2】 溶解工程(b)を、穿孔回転ドラムを入れた容器内で実施する
    請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】 溶媒を、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケト
    ンおよびテトラヒドロフランから選択する請求の範囲上記いずれか1項記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 溶解工程(b)を、4〜10バールの圧力下で実施する請求の範囲
    上記いずれか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 溶解工程(b)において、物品量が溶媒1リットル当り200 gを
    越えない請求の範囲上記いずれか1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 溶解させたポリマーを沈降させる前に、存在し得る溶解して
    いない成分を、ポリマーの沈降を防止するのに十分な温度で除去する請求の範囲
    上記いずれか1項記載の方法。
  7. 【請求項7】 ポリマーの沈降(c)を、水蒸気と液体水との混合注入により
    実施する請求の範囲上記いずれか1項記載の方法。
  8. 【請求項8】 沈降工程(c)の終わりで集めた溶媒/水の液体画分を、下記の
    画分に沈降によって分離する請求の範囲上記いずれか1項記載の方法: 溶解工程(b)において再使用する共沸または準共沸混合物を含む第1画分;およ
    び、沈降工程(c)において再使用する主として水の第2画分。
  9. 【請求項9】 物品がシートである請求の範囲上記いずれか1項記載の方法
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