JP2003259643A - 電流共振型ソフトスイッチング電源回路 - Google Patents

電流共振型ソフトスイッチング電源回路

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JP2003259643A
JP2003259643A JP2002056806A JP2002056806A JP2003259643A JP 2003259643 A JP2003259643 A JP 2003259643A JP 2002056806 A JP2002056806 A JP 2002056806A JP 2002056806 A JP2002056806 A JP 2002056806A JP 2003259643 A JP2003259643 A JP 2003259643A
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power supply
current
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JP2002056806A
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Manabu Ishitobi
学 石飛
Akira Shinoki
晟 篠木
Nobuo Adachi
伸雄 安達
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Orc Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電流共振型ソフトスイッチング電源回路にお
いて、トランスの2次側に整流回路やマグネトロンがあ
ってもソフトスイッチング出来るようにする。 【解決手段】 商用交流電源を整流して直流電源Eとす
る。直流電源Eに、インダクタンス素子Lsと、ブリッ
ジ接続スイッチング回路1とを直列に接続する。ブリッ
ジ1の第1アームの接続点に、コンデンサC1を介して
トランスTの1次コイルの一端を接続する。トランスT
の1次コイルの他端を、第2アームの接続点に接続す
る。トランスTの2次コイルに、整流回路2と平滑コン
デンサC2とを接続する。一定のデッドタイムを含め
て、デューティ比が0.5となるように、ブリッジ接続ス
イッチング回路1をON/OFF駆動する。駆動信号の繰返
周期を変化させることで、出力電力を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電流共振型ソフト
スイッチング電源回路に関し、特に、追加部品が少な
く、動作原理が比較的簡単な、周波数可変の電流共振型
ソフトスイッチング電源回路に関する。
【0002】
【従来の技術】電力制御のためのスイッチモード電源で
は、半導体スイッチのスイッチ動作に伴う損失を少なく
することが、効率を改善するために重要である。さら
に、ノイズの発生を抑制し、電磁環境を損なうことがな
い回路とすることが要求される。この目的で、電流零あ
るいは電圧零のタイミングで、スイッチON/OFFを行う
手段が取り入れられ、これをソフトスイッチングと呼ん
でいる。
【0003】ソフトスイッチングをどのように行うかが
技術上の課題である。ソフトスイッチングで、かつ電力
制御のため、動作周波数を可変とする方法や、周波数を
固定したソフトスイッチングで、電力制御が可能な方法
など、様々な提案がある。動作周波数を可変とする方式
では、電力制御のため、可聴周波数で動作させる必要が
生じ、騒音発生の問題が生じる。
【0004】ソフトスイッチング回路の1方式である
「ゼロ電流スイッチ−パルス周波数変調形(ZCS-PFM)
高周波リンクDC-DCコンバータ回路」は、小型軽量、低
コストで、広いソフトスイッチング帯域を持ち、シンプ
ルな回路構成であるため、信頼性が高いという優れた特
徴を持っていて、高周波誘導加熱装置などで使われてい
る。しかしその反面、スイッチングデバイスを流れる電
流ピークが大きく、低電力出力時に発振周波数が可聴周
波数領域に入ってしまうという欠点もある。
【0005】高周波リンクZCS-PFM直列共振形DC-DCコン
バータは、電流不連続モード(スイッチング周波数が共
振タンク固有振動数の1/2未満)において、ターンオン
時にはZCS(ゼロ電流スイッチ)を行い、ターンオフ時
には、ZCSおよびZVS(ゼロ電圧スイッチ)動作を行う。
【0006】電流不連続モードは、高周波トランスの励
磁電流が無視できるほど小さいときのみ成り立つ。励磁
電流を小さくするためには、高周波トランスの1次側に
発生する電圧を低く抑えなければならない。よって、出
力に高電圧を要求する応用の場合、この条件を満たすた
めには、高周波トランスの巻き線比を大きくする必要が
ある。しかし、高巻き線比の高周波トランスを用いる
と、トランスの2次側巻き線間の寄生容量が無視できな
いものとなること、大電力出力時、トランスの1次側に
大きな電流が流れることなどの弱点が生じる。
【0007】電流不連続モードの直列共振形DC-DCコン
バータで出力電力を制御するためには、スイッチオン時
間を共振状態に最適となる値に一定に保ち、周期を変え
ることで出力を制御する。したがって、出力をゼロに近
づけるには、周波数をゼロに近づけなければならず、可
聴領域に入ってしまう弱点が生じる。
【0008】図17に、従来の電流共振型ソフトスイッチ
ング電源回路の回路図を示す。負荷3は、抵抗または同
等品(高周波加熱コイルなど)である。この回路のトラ
ンスを等価回路で表した回路を、図18に示す。この回路
では、Q1とQ4がONの時、Q2,Q3はOFFであり、Q2,Q
3がONの時、Q1,Q4はOFFとなる。この回路のドライブ
タイミングを図19に示す。Q1,Q4がONの時、商用電源
を整流した直流電源からの電流は、Q1−C−Ll−負荷
R−Q4を流れる。このとき、コンデンサCとトランス
のリーケージインダクタンスLlとが共振し、図20に示
すような電流が流れる。
【0009】図20に示す波形aは、実線がQ1およびQ4
を流れる電流を示し、点線はフライホイールダイオード
電流を示す。波形bは、ゲートドライブ信号波形を示
す。時刻t1でQ1,Q4がONすると、電流は増加し始め、
コンデンサCとインダクタンスLlの直列共振により、
振動波形となる。時刻t2で電流の向きが変わると、電
流はスイッチ素子に内蔵したフライホイールダイオード
(または並列に接続したダイオード)を流れる。t2以
降は、スイッチ素子には電流が流れない。
【0010】このスイッチ素子の電流がゼロ(フライホ
イールダイオードには電流が流れている)期間にスイッ
チをオフすれば、ゼロ電流スイッチ(ZCS)が実現でき
る。t1からt2に至る期間は、コンデンサCとインダク
タンスLlによる共振できまる。したがって、Q1,Q4を
ONとする時間は、(t2−t1)よりやや長い時間に固定
される。t2以降の任意の時刻t3で、Q2,Q3をONとし
て、残りの半サイクルを継続する。
【0011】この回路では、負荷が抵抗(または同等の
もの)であり、共振状態は時間とともに変化しない。ふ
つう、負荷抵抗に比べて、トランスの励磁インダクタン
スのインピーダンスは大きいので、スイッチ動作に影響
しない。出力電力は、スイッチをオンにする繰り返しの
増減で制御する。したがって、t3以降、出力電力に応
じた時間を経過した後、スイッチをオンとする動作を繰
り返す。この時間が、図19に示すToffに対応する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の電流共
振型ソフトスイッチング電源回路では、負荷として整流
回路を接続すると、ゼロ電流スイッチを実現できないと
いう問題がある。抵抗負荷または加熱コイルなど、イン
ピーダンスが変化しない場合には、従来の回路は有効で
あるが、平滑コンデンサを有する整流回路を負荷とする
回路、例えば、図21に示すようなトランスの2次側に整
流回路を含む回路では、問題が発生する。
【0013】整流回路を含む回路では、交流の1サイク
ルの間に、電流が流れる期間と流れない期間が生じる。
平滑コンデンサに蓄積された電圧VLよりトランスの2
次側の電圧が低くなる期間では、トランスの2次コイル
に電流が流れなくなる。図22に示すように、t1でONと
なり、トランスの2次側の整流回路に電流が流れる状態
では、コンデンサC1とトランスのリーケージインダク
タンスLlとの共振電流が流れる。トランスの2次側に
誘起される共振電圧が、平滑コンデンサC2の電圧より
低いと、トランスの2次コイルには電流が流れず、イン
ピーダンスが高い状態となる。この状態では、トランス
の励磁インダクタンスのインピーダンスが無視できなく
なり、スイッチ素子を流れる電流は、コンデンサC1と
トランスのリーケージインダクタンスの直列回路を経
て、励磁インダクタンスを流れる共振電流となる。この
状態は、図22のt2'以降となる。
【0014】トランスの励磁インダクタンスを共振電流
が流れる状態では、励磁インダクタンスが大きいため、
共振周波数はかなり低くなる。したがって、スイッチ素
子を流れる電流がオフし、フライホイールダイオードに
電流が流れる状態となるのは、従来例に比べてかなり遅
くなる。このため、従来回路とスイッチ駆動方法のま
ま、負荷として整流回路を接続すると、ゼロ電流スイッ
チを実現できないという問題があった。
【0015】本発明は、上記従来の問題を解決して、周
波数を変化させて電力制御を行う電流共振型ソフトスイ
ッチング回路において、整流回路を負荷として含む場合
でもソフトスイッチングを実現できるようにすることを
目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明では、直流電源部と、直流電源部にスナバ
インダクタを介して接続された半導体スイッチング回路
と、半導体スイッチング回路に接続された共振コンデン
サと、共振コンデンサと半導体スイッチング回路とに1
次コイルが接続されたトランスと備え、トランスの2次
コイルに接続された非線形負荷に電力を供給する電流共
振型ソフトスイッチング電源回路において、トランスの
1次コイルと共振コンデンサとの共振回路を駆動する電
流のデューティ比が一定のデッドタイムを含めて0.5と
なるように、互いに逆相の駆動信号で半導体スイッチン
グ回路をON/OFF駆動する駆動手段と、駆動信号の繰返
周期を変化させることで出力電力を制御する手段とを具
備する構成とした。
【0017】この様に構成したことにより、整流回路な
どの非線形負荷に電力を供給する回路でもソフトスイッ
チングを実現できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1〜図16を参照しながら詳細に説明する。
【0019】(実施の形態)本発明の実施の形態は、ト
ランスのインダクタンスとコンデンサで共振回路を形成
し、共振回路を励振するスイッチ回路の駆動信号のデュ
ーティ比を、デッドタイムを含めて約50%として、整流
回路が組み込まれた負荷を駆動する電流共振型ソフトス
イッチング電源回路である。
【0020】図1は、本発明の実施の形態における電流
共振型ソフトスイッチング電源回路の回路図である。図
1において、直流電源Eは、商用交流を整流平滑して直
流電源としたものである。スナバインダクタLsは、ス
イッチ切替えの瞬間にスイッチに印加される電圧をほぼ
零にするための比較的小さなインダクタンスのロスレス
インダクタスナバである。スイッチブリッジ1は、FET
やIGBTからなるスイッチ素子Q1,Q2の直列接続回路
と、Q3,Q4の直列接続回路とを、並列接続したブリッ
ジ回路である。コンデンサC1は、トランスのリーケー
ジインダクタンスとで直列共振回路を構成する共振コン
デンサである。トランスTは、交流電圧を昇圧する手段
である。整流回路2は、交流を脈流に変換する回路であ
る。平滑コンデンサC2は、脈流を直流にするためのコ
ンデンサである。負荷3は、マグネトロンなどの負荷回
路である。
【0021】図2は、本発明の実施の形態における電流
共振型ソフトスイッチング電源回路のt1〜t2の状態を示
す図である。図3は、電流共振型ソフトスイッチング電
源回路のt2〜t3の状態を示す図である。図4は、電流共
振型ソフトスイッチング電源回路の共振回路の電流波形
図である。スイッチ素子を流れる電流とフライホイール
ダイオードを流れる電流とを区別せずに表している。図
4(a)は、Q1,Q4を流れる電流である。図4(b)
は、Q2,Q3を流れる電流である。フライホイールダイ
オードは、FETに内蔵したものでもよいし、スイッチ素
子に並列に外付けしたものでもよい。図5は、電流共振
型ソフトスイッチング電源回路のt4〜t5の状態を示す図
である。図6は、電流共振型ソフトスイッチング電源回
路のt5〜t6の状態を示す図である。
【0022】図7は、本発明の実施の形態における電流
共振型ソフトスイッチング電源回路の半導体スイッチド
ライブタイミングを示す図である。図7において、デッ
ドタイムDTは、貫通電流が流れないようにするための駆
動停止時間である。図8は、マグネトロンのアノード・
カソード間電圧とアノード電流の関係を示すグラフであ
る。図9は、電流共振型ソフトスイッチング電源回路の
動作周波数に対するマグネトロン出力のグラフである。
【0023】図10〜図12は、本発明の実施の形態におけ
る電流共振型ソフトスイッチング電源回路にハーフブリ
ッジを用いた回路の図である。図11は、整流回路として
倍電圧整流回路を組み合わせた回路図である。図12は、
マグネトロン負荷を組み合わせた場合の回路図であり、
負荷を等価回路で示してある。図13は、電流共振型ソフ
トスイッチング電源回路に補助インダクタを追加した回
路図である。図14は、本発明と従来例のスイッチドライ
ブ波形の比較図である。
【0024】図15は、本発明の実施の形態における電流
共振型ソフトスイッチング電源回路に平滑コンデンサを
用いないで、負荷に脈流を印加する場合の回路図であ
る。図16は、電流共振型ソフトスイッチング電源回路に
整流回路を用いないで、自己整流方式の負荷に直接交流
電流を印加する場合の回路図である。
【0025】上記のように構成された本発明の実施の形
態における電流共振型ソフトスイッチング電源回路の動
作を説明する。最初に、図1を参照して、回路の基本的
な動作を説明する。この回路の特徴は、スナバインダク
タLsが挿入されている点と、コンデンサC1とトランス
Tのリーケージインダクタンスまたは励磁インダクタン
スとで共振する点である。リーケージインダクタンスと
励磁インダクタンスの役割が、負荷の電圧と共振電圧と
の関係で変化する。この回路に比べ、従来の回路では、
負荷に整流回路が無いので、励磁インダクタンスの影響
が無い。
【0026】商用交流を整流平滑して、直流電源Eとす
る。直流電源Eと、インダクタンスLsと、スイッチブ
リッジとを、直列接続する。FETやIGBTからなるスイッ
チ素子Q1,Q2の直列接続回路と、Q3,Q4の直列接続回
路とを並列接続して、スイッチブリッジを構成する。Q
1とQ2の接続点と、Q3とQ4の接続点との間に、コンデ
ンサC1とトランスTの1次コイルの直列接続回路を接
続する。トランスの2次コイルには、整流回路と平滑コ
ンデンサC2を経て、負荷を接続する。この負荷に、直
流電力を供給する。
【0027】スイッチ素子Q1とQ4を同時にONとし、か
つ、Q2とQ3を同時にOFFとすると、直流電源Eから、
Q1−C1−トランス1次コイル−Q4を経て、電流が流
れる。この状態を、図2に示す。この電流は、コンデン
サC1とトランスTのリーケージインダクタンスLlによ
り、共振電流となり、最大値まで増加した後、減少す
る。この減少の過程で、トランスの2次コイルの電圧
が、出力側の平滑コンデンサC2の電圧より低下して、
トランスの2次コイルの電流が流れなくなる。このと
き、トランスの1次コイルのインダクタンス、すなわち
励磁インダクタンスを、電流が流れるようになり、電流
変化が緩やかな共振電流となる。この状態を、図3に示
す。
【0028】図4に示すように、t3〜t4で、共振電流
の方向が逆転すると、電流は、スイッチ素子Q1,Q4に
内蔵(または外付け)したフライホイールダイオードを
流れ、スイッチ素子にかかる電圧は、フライホイールダ
イオードの順方向電圧が逆向きに印加された状態とな
る。そして、フライホイールダイオードを通った電流
は、インダクタンスLsを経て、商用電源の整流回路へ
の回生電流となる。この状態の時、スイッチ素子Q1,Q
4をOFFにすると、零電流スイッチが実現できる。この
後、短いデッドタイムを経て、Q2,Q3をONにすると、
直流電源Eから、Q3−C1−トランス1次コイル−Q2
を、上記と同様の共振電流が流れる。この状態を、図5
に示す。この、共振電流が最大値を経て減少する過程
で、出力整流回路の電流が流れなくなり、トランスの励
磁インダクタンスを流れるようになる。この状態を、図
6に示す。時刻t6以後、Q2,Q3が零電流でスイッチオ
フできるようになる。この駆動信号の特徴は、デッドタ
イムを、回路の安定動作を確保する値で一定に保ち、周
期を変化させて出力制御を行う点である。
【0029】トランスの2次側の整流回路に電流が流れ
なくなる期間があるので、その期間ではトランスの1次
側回路の共振周波数が低くなる。そのため、従来例に比
べ、スイッチをオフとする時間を十分遅くする。スイッ
チをオフとするタイミングを十分に遅らせ、次の対向ス
イッチをオンとする直前に、切替えに必要なデッドタイ
ムを保ってオフとする。すなわち、図22の時刻t4で示
すように、励磁インダクタンスを流れる電流(励磁電
流)が転流し、スイッチを流れる電流が零の期間(電流
はフライホイールダイオードを流れている)にオフにす
ればよい。このフライホイールダイオードに電流が流れ
ている期間は、励磁インダクタンスが大きいため、比較
的長く、スイッチをオフにできるタイミングは、かなり
幅が広い。この結果、図7に示すタイミングで、スイッ
チの切替えのための適切なデッドタイム(例えば、10μ
sec)を固定し、スイッチオンのパルス幅を変調するこ
とによって、電力制御が可能となる。
【0030】図4のt1からt2の期間は、2次側整流回
路を通して負荷に電力が供給される。この期間は、コン
デンサC1とトランスのリーケージインダクタンスLlと
の共振周波数で決まるので、自由には変えられない。一
方、前記したように、t2以降は、2次コイルに電流が
流れなくなり、t3でスイッチ素子の電流が流れなくな
るので、t3以降t4までの期間の任意のタイミングでス
イッチをオフして良い。
【0031】図8に示すように、マイクロ波を発生する
手段であるマグネトロンは、ある程度の高電圧がアノー
ドとカソード間に印加されると発振する。即ち、カット
オフ電圧以上で発振する。したがって、マイクロ波出力
は、カットオフ電圧以上でアノード電流に比例して増加
する。電流共振型ソフトスイッチング電源回路の2次側
平滑コンデンサの容量を適切に選択すると、コンデンサ
端子電圧、即ち整流出力電圧が、周波数の低下とともに
減少する。図9に示すように、可聴周波数よりも高いと
ころで、整流出力電圧がマグネトロンのカットオフ電圧
となるようにすれば、マグネトロンのマイクロ波出力を
可聴周波数以上の周波数帯のみで制御できる。このこと
によって騒音問題を回避できる。
【0032】図22に示す時刻t4のタイミングで、スイ
ッチの切替えを行う場合、すなわち、Q1,Q4がONで、
励磁電流がそれぞれのフライホイールダイオードを流れ
ているとき、Q1,Q4をオフにし、デッドタイム経過
後、Q2,Q3をONにすると、フライホイールダイオード
から商用交流の整流回路へ回生している電流が遮断され
ることになる。このときの電流の急変を和らげるため、
整流回路とスイッチブリッジとの間に、比較的小さなス
ナバインダクタLsを挿入する。このスナバインダクタ
Lsにより、スイッチ切替えの瞬間に、スイッチに印加
される電圧がほぼ零となる。この結果、零電圧スイッチ
ングが実現できる。
【0033】スイッチ素子の構成を、ブリッジ接続とせ
ず、図10〜図12に示すように、ハーフブリッジ構成とし
ても良い。この場合、C1aとC1bを並列接続した容量
が、ブリッジ構成でのC1と同じ働きをする。図10に示
す回路では、整流回路2を全波整流回路としたものであ
る。図11と図12に示す回路では、整流回路を倍電圧整流
回路5としたものである。図12には、負荷としてマグネ
トロン6の等価回路を示した。倍電圧整流回路のコンデ
ンサが平滑コンデンサC2の働きをする。スイッチ素子
の構成を、ブリッジ接続とした場合でも、倍電圧整流回
路5を利用することもできる。
【0034】負荷に電力を供給できる期間は、図4に示
すt1〜t2とt4〜t5の間である。この期間は、コンデ
ンサC1とトランスのリーケージインダクタンスLlの共
振周波数で決まる。トランスのリーケージインダクタン
スLlは、トランスの巻き線方法などの構造的要因で決
まるので、最適な値にすることが困難である。そこで、
共振周波数を調整するために、図13に示すように、コン
デンサC1に直列に補助インダクタL2を追加する。スイ
ッチブリッジをハーフブリッジ構成とした場合は、コン
デンサの接続点とトランスの間に補助インダクタL2を
接続すればよい。
【0035】図14を参照しながら、スイッチドライブ波
形を、従来例との比較で説明する。図14では、交互に出
力される駆動パルスを、1つにまとめて示している。実
際は、図7や図19と同様になる。従来例の回路では、出
力電力を減らすために、駆動パルスの数を減らしてい
る。これに対して、本実施の形態における回路では、駆
動パルスのパルス幅を長くしている。
【0036】本発明は、負荷に整流回路が含まれる用途
に適している、すなわち、直流を必要とする負荷に対し
て電力を供給する電源装置として有効である。さらに、
応用上重要なのは、マグネトロンの様に、カットオフ電
圧以上で電流が流れる負荷の場合、可聴周波数以上の比
較的高い動作周波数で、出力を十分下げることができる
ので、出力の制御において、可聴周波数の騒音発生が避
けられることである。
【0037】スイッチング周波数が、共振タンク固有振
動数の1/2以上(電流連続モード)でも、ソフトスイッ
チング動作が可能となる。よって、スイッチング周波数
の上限を、共振タンク固有振動数近くに設定すると、最
大出力におけるインバータ出力の力率が1に近くなるた
め、電力利用率が高くなり、トランス1次側電流のピー
ク値を低減させることが可能となる。
【0038】マグネトロンの動作例としては、平滑され
た直流電圧を印加する例を説明したが、そのほか、図15
に示すように、平滑コンデンサを用いず、脈流を印加す
る方法や、図16に示すように、整流回路を経由せず、自
己整流方式で動作させることも可能である。この様な場
合でも、マグネトロンは、カットオフ電圧以下の電圧で
は陽極抵抗が大きくなる。つまり、陽極電圧に対して陽
極電流が少ない。したがって、整流回路が無くても、あ
るいは、平滑コンデンサを含まない整流回路を用いて
も、トランスの2次側の共振電圧が、マグネトロンのカ
ットオフ電圧以下になると、2次コイル電流が減少し、
1次コイルの励磁インダクタンスが無視できなくなる。
その結果、スイッチ駆動信号のデューティ比を、デッド
タイムを含めて約50%とすることで、ソフトスイッチン
グを確実に実現できる。
【0039】上記のように、本発明の実施の形態では、
電流共振型ソフトスイッチング電源回路を、トランスの
インダクタンスとコンデンサで共振回路を形成し、共振
回路を励振するスイッチ回路の駆動信号のデューティ比
を、デッドタイムを含めて約50%として、整流回路が組
み込まれた負荷を駆動する構成としたので、可聴周波数
まで動作周波数を下げることなく、出力を十分に低くな
るように制御できる。
【0040】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
では、直流電源部と、直流電源部にスナバインダクタを
介して接続された半導体スイッチング回路と、半導体ス
イッチング回路に接続された共振コンデンサと、共振コ
ンデンサと半導体スイッチング回路とに1次コイルが接
続されたトランスと備え、トランスの2次コイルに接続
された非線形負荷に電力を供給する電流共振型ソフトス
イッチング電源回路において、トランスの1次コイルと
共振コンデンサとの共振回路を駆動する電流のデューテ
ィ比が一定のデッドタイムを含めて0.5となるように、
互いに逆相の駆動信号で半導体スイッチング回路をON/
OFF駆動する駆動手段と、駆動信号の繰返周期を変化さ
せることで出力電力を制御する手段とを具備する構成と
したので、整流回路などの非線形負荷に電力を供給する
回路でも、少ない追加部品で、広い電力制御範囲にわた
ってソフトスイッチングを実現できるという効果が得ら
れる。
【0041】特に、マグネトロンのように、カットオフ
電圧以上で動作を開始するような負荷の場合に、可聴周
波数まで動作周波数を下げることなく、出力を十分低く
なるように制御できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における電流共振型ソフト
スイッチング電源回路の回路図、
【図2】本発明の実施の形態における電流共振型ソフト
スイッチング電源回路のt1〜t2の状態を示す図、
【図3】本発明の実施の形態における電流共振型ソフト
スイッチング電源回路のt2〜t3の状態を示す図、
【図4】本発明の実施の形態における電流共振型ソフト
スイッチング電源回路の電流波形図、
【図5】本発明の実施の形態における電流共振型ソフト
スイッチング電源回路のt4〜t5の状態を示す図、
【図6】本発明の実施の形態における電流共振型ソフト
スイッチング電源回路のt5〜t6の状態を示す図、
【図7】本発明の実施の形態における電流共振型ソフト
スイッチング電源回路の半導体スイッチドライブタイミ
ングを示す図、
【図8】本発明の実施の形態における電流共振型ソフト
スイッチング電源回路に負荷として接続するマグネトロ
ンのアノード・カソード間電圧とアノード電流の関係を
示すグラフ、
【図9】本発明の実施の形態における電流共振型ソフト
スイッチング電源回路の動作周波数に対するマグネトロ
ン出力のグラフ、
【図10】本発明の実施の形態における電流共振型ソフ
トスイッチング電源回路にハーフブリッジスイッチを用
いた回路図、
【図11】本発明の実施の形態における電流共振型ソフ
トスイッチング電源回路にハーフブリッジスイッチと倍
電圧整流回路を用いた回路図、
【図12】本発明の実施の形態における電流共振型ソフ
トスイッチング電源回路にハーフブリッジスイッチと倍
電圧整流回路を用いて負荷にマグネトロンを接続した回
路図、
【図13】本発明の実施の形態における電流共振型ソフ
トスイッチング電源回路に補助インダクタを追加した回
路図、
【図14】本発明の実施の形態における電流共振型ソフ
トスイッチング電源回路と従来例のスイッチドライブ波
形の比較図、
【図15】本発明の実施の形態における電流共振型ソフ
トスイッチング電源回路に平滑コンデンサを用いない
で、負荷のマグネトロンに脈流を印加する場合の回路
図、
【図16】本発明の実施の形態における電流共振型ソフ
トスイッチング電源回路に整流回路を用いないで、自己
整流方式の負荷であるマグネトロンに直接交流電流を印
加する場合の回路図、
【図17】従来の電流共振型ソフトスイッチング電源回
路の回路図、
【図18】従来の電流共振型ソフトスイッチング電源回
路のトランスを等価回路で表した回路図、
【図19】従来の電流共振型ソフトスイッチング電源回
路のドライブタイミング図、
【図20】従来の電流共振型ソフトスイッチング電源回
路の電流波形図、
【図21】従来の電流共振型ソフトスイッチング電源回
路に整流回路と負荷を接続した回路図、
【図22】従来の電流共振型ソフトスイッチング電源回
路の負荷に整流回路を含む場合の電流波形図である。
【符号の説明】
1 スイッチブリッジ 2 整流回路 3 負荷 4 ハーフブリッジ 5 倍電圧整流回路 6 マグネトロン E 直流電源 Ls スナバインダクタ Q1,Q2,Q3,Q4 スイッチ素子 C1,C1a,C1b コンデンサ T トランス C2 平滑コンデンサ L2 補助インダクタ
フロントページの続き (72)発明者 安達 伸雄 東京都調布市調布ヶ丘3−34−1 株式会 社オーク製作所内 Fターム(参考) 5H730 AA02 AA14 AS14 BB27 BB62 CC01 DD04 EE04 EE06 EE07 FG05 FG07

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流電源部と、前記直流電源部にスナバ
    インダクタを介して接続された半導体スイッチング回路
    と、前記半導体スイッチング回路に接続された共振コン
    デンサと、前記共振コンデンサと前記半導体スイッチン
    グ回路とに1次コイルが接続されたトランスと備え、前
    記トランスの2次コイルに接続された非線形負荷に電力
    を供給する電流共振型ソフトスイッチング電源回路にお
    いて、前記トランスの1次コイルと前記共振コンデンサ
    との共振回路を駆動する電流のデューティ比が一定のデ
    ッドタイムを含めて0.5となるように、互いに逆相の駆
    動信号で前記半導体スイッチング回路をON/OFF駆動す
    る駆動手段と、前記駆動信号の繰返周期を変化させるこ
    とで出力電力を制御する手段とを具備することを特徴と
    する電流共振型ソフトスイッチング電源回路。
  2. 【請求項2】 前記共振コンデンサと前記トランスの1
    次コイルとに直列に補助インダクタを接続したことを特
    徴とする請求項1記載の電流共振型ソフトスイッチング
    電源回路。
  3. 【請求項3】 前記半導体スイッチング回路は、半導体
    スイッチ2個を接続点で直列接続した第1アームと、半
    導体スイッチ2個を接続点で直列接続した第2アームと
    からなるブリッジ接続スイッチング回路であり、前記第
    1アームの接続点に前記共振コンデンサを介して前記ト
    ランスの1次コイルの一端を接続し、前記トランスの1
    次コイルの他端を前記第2アームの接続点に接続し、前
    記駆動手段は、前記ブリッジ接続スイッチング回路の対
    辺のスイッチ素子を対とするそれぞれの対を一定のデッ
    ドタイムを含めてデューティ比が0.5となるように互い
    に逆相の駆動信号でON/OFF駆動する手段であることを
    特徴とする請求項1または2記載の電流共振型ソフトス
    イッチング電源回路。
  4. 【請求項4】 前記半導体スイッチング回路は、半導体
    スイッチ2個をスイッチ接続点で直列接続したハーフブ
    リッジ接続スイッチング回路であり、前記共振コンデン
    サは、2個のコンデンサを中間接続点で直列接続して前
    記ハーフブリッジ接続スイッチング回路に並列に接続し
    たコンデンサ回路であり、前記スイッチ接続点に前記ト
    ランスの1次コイルの一端を接続し、前記トランスの1
    次コイルの他端を前記コンデンサ回路の中間接続点に接
    続し、前記駆動手段は、前記ハーフブリッジ接続スイッ
    チング回路の2個のスイッチ素子を一定のデッドタイム
    を含めてデューティ比が0.5となるように互いに逆相の
    駆動信号でON/OFF駆動する手段であることを特徴とす
    る請求項1または2記載の電流共振型ソフトスイッチン
    グ電源回路。
  5. 【請求項5】 前記非線形負荷として、前記トランスの
    2次コイルに整流回路と平滑コンデンサと負荷とを接続
    したことを特徴とする請求項3または4記載の電流共振
    型ソフトスイッチング電源回路。
  6. 【請求項6】 前記非線形負荷として、前記トランスの
    2次コイルにマグネトロンを接続したことを特徴とする
    請求項3または4記載の電流共振型ソフトスイッチング
    電源回路。
  7. 【請求項7】 前記非線形負荷として、前記トランスの
    2次コイルに整流回路と平滑コンデンサとマグネトロン
    とを接続したことを特徴とする請求項3または4記載の
    電流共振型ソフトスイッチング電源回路。
  8. 【請求項8】 前記整流回路は、全波整流回路であるこ
    とを特徴とする請求項5または7記載の電流共振型ソフ
    トスイッチング電源回路。
  9. 【請求項9】 前記整流回路は、倍電圧整流回路である
    ことを特徴とする請求項5または7記載の電流共振型ソ
    フトスイッチング電源回路。
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