JP2003132947A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池

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JP2003132947A
JP2003132947A JP2001329947A JP2001329947A JP2003132947A JP 2003132947 A JP2003132947 A JP 2003132947A JP 2001329947 A JP2001329947 A JP 2001329947A JP 2001329947 A JP2001329947 A JP 2001329947A JP 2003132947 A JP2003132947 A JP 2003132947A
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negative electrode
aqueous electrolyte
secondary battery
aqueous
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JP2001329947A
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Hiroshi Kitayama
浩 北山
Masahiro Sekino
正宏 関野
Asako Sato
麻子 佐藤
Masayuki Oguchi
雅之 小口
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温環境下における充電効率が向上された非
水電解質二次電池を提供することを目的とする。 【解決手段】 非水溶媒を含む非水電解質とを具備した
非水電解質二次電池において、前記非水溶媒は、エチレ
ンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、γ−ブ
チロラクトンと、ジグリコール酸無水物を含む第4成分
とを含有し、前記非水溶媒全体積に対するエチレンカー
ボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクト
ン及び前記第4成分の割合をそれぞれx(体積%)、y
(体積%)、z(体積%)、p(体積%)とした際、前
記x、前記y、前記z及び前記pはそれぞれ15≦x≦
50、30≦y≦75、0<z<30、0<p≦4を満
たすことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解質二次電
池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、携帯電話などの携帯機器向けの非
水電解液二次電池として、リチウムイオン二次電池が商
品化されている。このリチウムイオン二次電池の一例と
して、リチウムコバルト酸化物(例えば、LiCo
2)を含む正極と、黒鉛質材料あるいは炭素質材料を
含む負極と、リチウム塩を溶解した有機溶媒を主体とす
る非水電解液と、セパレータである多孔質膜とを備える
ものが知られている。前記電解液の溶媒としては低粘
度、低沸点の非水溶媒が用いられている。
【0003】例えば特開平4−14769号公報には、
プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとγ−
ブチロラクトンからなる混合溶媒を主体とし、γ−ブチ
ロラクトンの比率が混合溶媒全体の10〜50体積%で
ある電解液を備えた非水電解液二次電池が記載されてい
る。この公報では、プロピレンカーボネートとエチレン
カーボネートの混合溶媒にγ−ブチロラクトンを添加す
ることにより低温での電解液の伝導度を上げ、円筒形非
水電解液二次電池の低温放電特性を改善している。
【0004】一方、特開平11−97062号公報に
は、γ−ブチロラクトンの比率が100体積%である溶
媒にホウフッ化リチウム(LiBF4)を溶解させたも
のを非水電解液として用いることによって、リチウムコ
バルト複合酸化物を活物質として含む正極が非水電解液
により酸化分解されるのを抑制することが開示されてい
る。
【0005】また、電気化学会第67回大会講演要旨集
(平成12年3月28日発行)の23頁には、ポリマー
ゲル電解質を備えたリチウムイオンポリマー二次電池が
報告されている。このポリマーゲル電解質は以下に説明
する方法で作製されている。すなわち、エチレンカーボ
ネートとγ−ブチロラクトンを体積比で2:3になるよ
うに混合し、得られた溶媒に電解質塩としてLiBF4
またはLiPF6を溶解することにより電解液を調製す
る。この電解液と多官能アクリレートモノマーの混合液
とを重合し、得られた重合物に化学架橋反応を生じさせ
ることによりポリマーゲル電解質を得る。
【0006】しかしながら、前述した特開平4−147
69号公報、特開平11−97062号公報並びに前記
要旨集に記載されている二次電池においては、高温環境
下で使用した際、γ−ブチロラクトンと負極との反応が
生じやすいため、高温環境下での充電受入性が低い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温環境下
における充電効率が向上された非水電解質二次電池を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1の非水
電解質二次電池は、容器と、前記容器内に収納され、正
極及び負極を含む電極群と、前記電極群に保持され、非
水溶媒を含む非水電解質とを具備した非水電解質二次電
池において、 前記非水溶媒は、エチレンカーボネートと、プロピレン
カーボネートと、γ−ブチロラクトンと、ジグリコール
酸無水物を含む第4成分とを含有し、前記非水溶媒全体
積に対するエチレンカーボネート、プロピレンカーボネ
ート、γ−ブチロラクトン及び前記第4成分の割合をそ
れぞれx(体積%)、y(体積%)、z(体積%)、p
(体積%)とした際、前記x、前記y、前記z及び前記
pはそれぞれ15≦x≦50、30≦y≦75、0<z
<30、0<p≦4を満たすことを特徴とするものであ
る。
【0009】本発明に係る第2の非水電解質二次電池
は、容器と、前記容器内に収納され、正極及び負極を含
む電極群と、前記電極群に保持され、非水溶媒を含む非
水電解質とを具備した非水電解質二次電池において、前
記非水溶媒は、エチレンカーボネートと、プロピレンカ
ーボネートと、γ−ブチロラクトンと、ビニレンカーボ
ネートと、ジグリコール酸無水物を含む第5成分とを含
有し、前記非水溶媒全体積に対するエチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビ
ニレンカーボネート及び前記第5成分の割合をそれぞれ
x(体積%)、y(体積%)、z(体積%)、w(体積
%)、q(体積%)とした際、前記x、前記y、前記
z、前記w及び前記qはそれぞれ15≦x≦50、30
≦y≦75、0<z<30、0<w≦5、0<q≦4を
満たすことを特徴とするものである。
【0010】本発明に係る第3の非水電解質二次電池
は、容器と、前記容器内に収納される正極と、前記容器
内に収納される負極と、前記正極及び前記負極の間に配
置されると共に、液状非水電解質及び前記液状非水電解
質をゲル化させる機能を有するポリマーを含有する電解
質層とを具備した非水電解質二次電池であり、前記液状
非水電解質は、エチレンカーボネートと、プロピレンカ
ーボネートと、γ−ブチロラクトンと、ジグリコール酸
無水物を含む第4成分とを含む非水溶媒を含有し、前記
非水溶媒全体積に対するエチレンカーボネート、プロピ
レンカーボネート、γ−ブチロラクトン及び前記第4成
分の割合をそれぞれx(体積%)、y(体積%)、z
(体積%)、p(体積%)とした際、前記x、前記y、
前記z及び前記pはそれぞれ15≦x≦50、30≦y
≦75、0<z<30、0<p≦4を満たすことを特徴
とするものである。
【0011】本発明に係る第4の非水電解質二次電池
は、容器と、前記容器内に収納される正極と、前記容器
内に収納される負極と、前記正極及び前記負極の間に配
置されると共に、液状非水電解質及び前記液状非水電解
質をゲル化させる機能を有するポリマーを含有する電解
質層とを具備した非水電解質二次電池であり、前記液状
非水電解質は、エチレンカーボネートと、プロピレンカ
ーボネートと、γ−ブチロラクトンと、ビニレンカーボ
ネートと、ジグリコール酸無水物を含む第5成分とを含
む非水溶媒を含有し、前記非水溶媒全体積に対するエチ
レンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチ
ロラクトン、ビニレンカーボネート及び前記第5成分の
割合をそれぞれx(体積%)、y(体積%)、z(体積
%)、w(体積%)、q(体積%)とした際、前記x、
前記y、前記z、前記w及び前記qはそれぞれ15≦x
≦50、30≦y≦75、0<z<30、0<w≦5、
0<q≦4を満たすことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係る非水電解質二次電池
は、容器と、前記容器内に収納され、正極及び負極を含
む電極群と、前記電極群に保持され、非水溶媒を含む非
水電解質とを具備する。
【0013】前記非水溶媒には、例えば、以下に説明す
る(A)〜(B)のうちのいずれかを使用することがで
きる。
【0014】(A)非水溶媒A この非水溶媒Aは、エチレンカーボネートと、プロピレ
ンカーボネートと、γ−ブチロラクトンと、ジグリコー
ル酸無水物を含む第4成分とを含有する。前記非水溶媒
全体積に対するエチレンカーボネート、プロピレンカー
ボネート、γ−ブチロラクトン及び前記第4成分の割合
をそれぞれx(体積%)、y(体積%)、z(体積
%)、p(体積%)とした際、前記x、前記y、前記z
及び前記pはそれぞれ15≦x≦50、30≦y≦7
5、0<z<30、0<p≦4を満たす。
【0015】(B)非水溶媒B この非水溶媒Bは、エチレンカーボネートと、プロピレ
ンカーボネートと、γ−ブチロラクトンと、ビニレンカ
ーボネートと、ジグリコール酸無水物を含む第5成分と
を含有する。前記非水溶媒全体積に対するエチレンカー
ボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクト
ン、ビニレンカーボネート及び前記第5成分の割合をそ
れぞれx(体積%)、y(体積%)、z(体積%)、w
(体積%)、q(体積%)とした際、前記x、前記y、
前記z、前記w及び前記qはそれぞれ15≦x≦50、
30≦y≦75、0<z<30、0<w≦5、0<q≦
4を満たす。
【0016】前記非水電解質には、液状またはゲル状の
形態を有するものを使用することができる。中でも、液
状非水電解質が好ましい。液状非水電解質を用いること
によって、イオン伝導度を高くすることができるため、
正極とセパレータの界面抵抗並びに負極とセパレータの
界面抵抗を小さくすることができる。
【0017】前記非水電解質は、例えば、以下の(I)
〜(IV)に説明する方法で調製される。
【0018】(I)前述した非水溶媒A〜Bのうちのい
ずれかに電解質としてリチウム塩を溶解させることによ
り液状の非水電解質を得る。
【0019】(II)前述した非水溶媒A〜Bのうちのい
ずれかと電解質としてのリチウム塩とポリマーとを混合
することによりペーストを調製し、このペーストを成膜
した後、乾燥させる。得られた薄膜を正極及び負極の間
に介在させて電極群を作製する。この電極群に液状の非
水電解質を含浸させた後、減圧下で前記薄膜を可塑化さ
せることにより、非水電解質を保持した電極群を得る。
【0020】(III)前述した非水溶媒A〜Bのうちの
いずれかと電解質としてのリチウム塩とゲル化剤とを含
むスラリーをセパレータに含浸させた後、前記セパレー
タを正極及び負極の間に介在させることにより、ゲル状
の非水電解質を保持した電極群を得る。
【0021】(IV)前述した非水溶媒A〜Bのうちのい
ずれかと電解質としてのリチウム塩とゲル化剤とを含む
スラリーを正極又は負極に塗布し、この正負極の間にセ
パレータを介在させることにより、ゲル状の非水電解質
を保持した電極群を得る。
【0022】前記ゲル化剤としては、例えば、ポリアク
リロニトリル(PAN)を挙げることができる。
【0023】以下、本発明に係る非水電解質二次電池の
一例(非水電解質二次電池(I)および非水電解質二次
電池(II))を説明する。
【0024】1.非水電解質二次電池(I) この非水電解質二次電池は、容器と、前記容器内に収納
され、リチウムイオンを吸蔵・放出する正極及びリチウ
ムイオンを吸蔵・放出する負極の間にセパレータが介在
された電極群と、少なくとも前記セパレータに含浸さ
れ、非水溶媒及び前記非水溶媒に溶解される電解質を含
む液状非水電解質(非水電解液)とを具備する。
【0025】以下、前記電極群、正極、負極、セパレー
タ、非水電解質及び容器について説明する。
【0026】1)電極群 この電極群では、正極、負極及びセパレータが一体化さ
れていることが好ましい。かかる電極群は、例えば、以
下の(i)〜(ii)に説明した方法により作製される。
【0027】(i)正極及び負極をその間にセパレータ
を介在させて偏平形状に捲回するか、正極及び負極をそ
の間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回した後、
径方向に圧縮するか、あるいは正極及び負極をその間に
セパレータを介在させて1回以上折り曲げる。前述した
いずれかの方法により得られた偏平状物の積層方向に加
熱成形を施すことにより、正極及び負極に含まれる結着
剤を熱硬化させて正極、負極及びセパレータを一体化さ
せ、電極群を得る。
【0028】前記加熱成形は、偏平状物を容器に収納し
てから行っても良いし、容器に収納する前に行っても良
い。
【0029】加熱成形を行う雰囲気は、真空を含む減圧
雰囲気か、あるいは常圧雰囲気にすることが望ましい。
【0030】成形は、例えば、プレス成形、あるいは成
形型への填め込み等により行うことができる。
【0031】前記加熱成形の温度は、20〜120℃の
範囲内にすることが好ましい。より好ましい範囲は、6
0〜100℃である。
【0032】前記加熱成形の成形圧は、0.01〜35
kg/cm2の範囲内にすることが望ましい。さらに好
ましい範囲は、8〜30kg/cm2で、最も好ましい
範囲は、2〜25kg/cm2である。
【0033】(ii)正極及び負極をその間にセパレータ
を介在させて偏平形状に捲回するか、正極及び負極をそ
の間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回した後、
径方向に圧縮するか、あるいは正極及び負極をその間に
セパレータを介在させて1回以上折り曲げる。前述した
いずれかの方法により得られた偏平状物に、接着性を有
する高分子の溶液を含浸させた後、真空乾燥を施すこと
により前記溶液中の溶媒を蒸発させる。次いで、加熱成
形を施すことにより正極、負極及びセパレータを一体化
させ、電極群を得る。このような電極群では、正極及び
セパレータがこれらの内部及び境界に点在する接着性を
有する高分子により一体化されていると共に、負極及び
セパレータがこれらの内部及び境界に点在する接着性を
有する高分子により一体化されているため、二次電池の
内部抵抗を低く抑えつつ、接着強度を高くすることがで
きる。
【0034】前記加熱成形は、偏平状物を容器に収納し
てから行っても良いし、容器に収納する前に行っても良
い。
【0035】前記接着性を有する高分子の溶液は、有機
溶媒に接着性高分子を溶解させることにより調製され
る。
【0036】前記接着性を有する高分子は、非水電解液
を保持した状態で高い接着性を維持できるものであるこ
とが望ましい。さらに、かかる高分子は、リチウムイオ
ン伝導性が高いとなお好ましい。具体的には、ポリアク
リロニトリル(PAN)、ポリアクリレート(PMM
A)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビ
ニル(PVC)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等
を挙げることができる。特に、ポリフッ化ビニリデンが
好ましい。ポリフッ化ビニリデンは、非水電解液を保持
することができ、非水電解液を含むと一部ゲル化を生じ
るため、イオン伝導度をより向上することができる。
【0037】前記溶媒の沸点は、200℃以下であるこ
とが望ましく、さらに好ましい範囲は180℃以下であ
る。沸点の下限値は50℃にすることが好ましく、さら
に好ましい下限値は100℃である。
【0038】前記溶液中の接着性を有する高分子の濃度
は、0.05〜2.5重量%の範囲にすることが好まし
い。濃度のより好ましい範囲は、0.1〜1.5重量%
である。
【0039】前記溶液の注入量は、前記溶液の接着性を
有する高分子の濃度が0.05〜2.5重量%である場
合、電池容量100mAh当たり0.1〜2mlの範囲
にすることが好ましい。前記注入量のより好ましい範囲
は、電池容量100mAh当たり0.15〜1mlであ
る。
【0040】前記真空乾燥は、100℃以下で行うこと
が好ましい。より好ましい真空乾燥温度は、40〜10
0℃である。
【0041】前記電池に含まれる接着性を有する高分子
の総量は、電池容量100mAh当たり0.1〜6mg
にすることが好ましい。接着性を有する高分子の総量の
より好ましい範囲は、電池容量100mAh当たり0.
2〜1mgである。
【0042】2)正極 この正極は、集電体と、集電体の片面もしくは両面に担
持され、活物質を含む正極層とを含む。
【0043】前記正極層は、正極活物質、結着剤及び導
電剤を含む。
【0044】前記正極活物質としては、種々の酸化物、
例えば二酸化マンガン、リチウムマンガン複合酸化物、
リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有コバルト酸
化物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、リチウム
含有鉄酸化物、リチウムを含むバナジウム酸化物や、二
硫化チタン、二硫化モリブデンなどのカルコゲン化合物
などを挙げることができる。中でも、リチウム含有コバ
ルト酸化物(例えば、LiCoO2 )、リチウム含有ニ
ッケルコバルト酸化物(例えば、LiNi0.8Co0.2
2 )、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、LiM
2 4 、LiMnO2 )を用いると、高電圧が得られ
るために好ましい。
【0045】前記導電剤としては、例えばアセチレンブ
ラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができ
る。
【0046】前記結着剤は、活物質を集電体に保持さ
せ、かつ活物質同士をつなぐ機能を有する。前記結着剤
としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−
プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−
ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。
【0047】前記正極活物質、導電剤および結着剤の配
合割合は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜2
0重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ま
しい。
【0048】前記集電体としては、多孔質構造の導電性
基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができ
る。これら導電性基板は、例えば、アルミニウム、ステ
ンレス、またはニッケルから形成することができる。
【0049】中でも、直径3mm以下の孔が10cm2
当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を
有する導電性基板を用いることが好ましい。孔の直径
は、0.1〜1mmの範囲にすることがより好ましい。
また、孔の存在割合は、10cm2 当り10〜20個の
範囲にすることがより好ましい。
【0050】前述した直径3mm以下の孔が10cm2
当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を
有する導電性基板は、厚さを15〜100μmの範囲に
することが好ましい。厚さのより好ましい範囲は、30
〜80μmである。
【0051】前記正極は、例えば、正極活物質に導電剤
および結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電
体に塗布、乾燥して薄板状にすることにより作製され
る。
【0052】また、前記電極群を前述した(ii)に説明
する方法で作製した場合、前記正極は接着性を有する高
分子を更に含有する。
【0053】3)負極 前記負極は、集電体と、前記集電体の片面もしくは両面
に担持される負極層とを含む。
【0054】前記負極層は、リチウムイオンを吸蔵・放
出する炭素質物及び結着剤を含む。
【0055】前記炭素質物としては、黒鉛、コークス、
炭素繊維、球状炭素などの黒鉛質材料もしくは炭素質材
料、熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッ
チ、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球
体など(特に、メソフェーズピッチ系炭素繊維が容量や
充放電サイクル特性が高くなり好ましい)に500〜3
000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料
または炭素質材料等を挙げることができる。中でも、前
記熱処理の温度を2000℃以上にすることにより得ら
れ、(002)面の面間隔d002が0.34nm以下で
ある黒鉛結晶を有する黒鉛質材料を用いるのが好まし
い。このような黒鉛質材料を炭素質物として含む負極を
備えた非水電解質二次電池は、電池容量および大電流放
電特性を大幅に向上することができる。前記面間隔d
002 は、0.336nm以下であることが更に好まし
い。
【0056】前記結着剤としては、例えばポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン
(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、
カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いること
ができる。
【0057】前記炭素質物及び前記結着剤の配合割合
は、炭素質物90〜98重量%、結着剤2〜20重量%
の範囲であることが好ましい。
【0058】前記集電体としては、多孔質構造の導電性
基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができ
る。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、ま
たはニッケルから形成することができる。
【0059】中でも、直径3mm以下の孔が10cm2
当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を
有する導電性基板を用いることが好ましい。孔の直径
は、0.1〜1mmの範囲にすることがより好ましい。
また、孔の存在割合は、10cm2 当り10〜20個の
範囲にすることがより好ましい。
【0060】前述した直径3mm以下の孔が10cm2
当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を
有する導電性基板は、厚さを10〜50μmの範囲にす
ることが好ましい。
【0061】前記負極は、例えば、リチウムイオンを吸
蔵・放出する炭素質物と結着剤とを溶媒の存在下で混練
し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥した後、所
望の圧力で1回プレスもしくは2〜5回多段階プレスす
ることにより作製される。
【0062】負極密度は、1.25〜1.55g/cm
3にするのが望ましい。これは以下に説明する理由によ
るものである。負極密度を1.25g/cm3未満にし
た場合、負極の厚みが増すのが避けられず、結果として
電池容量の低下を招く可能性がある。一方、負極密度を
1.55g/cm3より大きくした場合は、特に負極表
面付近の炭素材料が緻密に潰れるため、非水電解質が炭
素材料の表面に皮膜を形成する際に、負極の表面部分に
集中しやすく、その結果充電効率が低下する恐れがあ
る。ここで、負極密度とは、プレス後の負極層(集電体
を除く)についての密度を意味する。
【0063】また、前記電極群を前述した(ii)に説明
する方法で作製した場合、前記負極は接着性を有する高
分子を更に含有する。
【0064】前記負極層は、前述したリチウムイオンを
吸蔵・放出する炭素物質を含むものの他に、アルミニウ
ム、マグネシウム、スズ、けい素等の金属か、金属酸化
物か、金属硫化物か、もしくは金属窒化物から選ばれる
金属化合物や、リチウム合金を含むものであってもよ
い。
【0065】前記金属酸化物としては、例えば、スズ酸
化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸
化物、タングステン酸化物等を挙げることができる。
【0066】前記金属硫化物としては、例えば、スズ硫
化物、チタン硫化物等を挙げることができる。
【0067】前記金属窒化物としては、例えば、リチウ
ムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガ
ン窒化物等を挙げることができる。
【0068】前記リチウム合金としては、例えば、リチ
ウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛
合金、リチウムケイ素合金等を挙げることができる。
【0069】4)セパレータ このセパレータは、例えば、多孔質シートから形成され
る。
【0070】前記多孔質シートとしては、例えば、多孔
質フィルム、もしくは不織布を用いることができる。前
記多孔質シートは、例えば、ポリオレフィン及びセルロ
ースから選ばれる少なくとも1種類の材料からなること
が好ましい。前記ポリオレフィンとしては、例えば、ポ
リエチレン、ポリプロピレンを挙げることができる。中
でも、ポリエチレンか、あるいはポリプロピレン、また
は両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を
向上できるため、好ましい。
【0071】前記多孔質シートの厚さは、30μm以下
にすることが好ましく、さらに好ましい範囲は25μm
以下である。また、厚さの下限値は5μmにすることが
好ましく、さらに好ましい下限値は8μmである。
【0072】前記多孔質シートは、120℃、1時間で
の熱収縮率を20%以下であることが好ましい。前記熱
収縮率は、15%以下にすることがより好ましい。
【0073】前記多孔質シートは、多孔度が30〜60
%の範囲であることが好ましい。多孔度のより好ましい
範囲は、35〜50%である。
【0074】前記多孔質シートは、空気透過率が600
秒/100cm3 以下であることが好ましい。空気透過
率は、100cm3の空気が多孔質シートを透過するの
に要した時間(秒)を意味する。空気透過率の上限値は
500秒/100cm3 にすることがより好ましい。ま
た、空気透過率の下限値は50秒/100cm3 にする
ことが好ましく、さらに好ましい下限値は80秒/10
0cm3 である。
【0075】また、前記電極群を前述した(ii)に説明
する方法で作製した場合、前記セパレータは接着性を有
する高分子を更に含有する。
【0076】5)液状非水電解質(非水電解液) この液状非水電解質は、非水溶媒と、前記非水溶媒に溶
解される電解質とを含む。
【0077】前記非水溶媒には、例えば、前述した
(A)〜(B)のうちのいずれかを使用することができ
る。
【0078】まず、非水溶媒Aについて説明する。
【0079】各溶媒の非水溶媒全体積に対する割合を前
記範囲に規定する理由を説明する。
【0080】a.γ−ブチロラクトン(BL) BLは、主に負極とPCの反応を制御する役割を果す。
BLを添加しない場合、負極表面とPCの反応は初充電
時から進行し、前記反応により発生したガスが電池容器
の膨れを誘引する。BLは、負極とPCの反応を制御し
て、初充電時のガス発生および電池容器の膨れを抑制す
ることを主な目的として添加するものであるが、BLの
比率を30体積%以上にすると、特に高温時において負
極表面とBLが反応して非水電解質の還元分解が生じ、
負極の表面に充放電反応を阻害する被膜が形成される。
その結果、高温環境下において高い充電効率を得られな
くなる。
【0081】BLの比率(z)が30体積%未満の場合
は、原因は定かではないが、PC、BLともに負極との
反応が抑制され、また、ジグリコール酸無水物を含有す
る第4成分の存在によって、その抑制効果が相乗する。
より好ましい比率(z)は1体積%以上、30体積%未
満で、さらに好ましい比率(z)は4体積%以上、20
体積%以下で、最も好ましい比率(z)は4体積%以
上、15体積%以下である。
【0082】b.エチレンカーボネート(EC) ECの非水溶媒全体積に対する比率(x)を15体積%
未満にすると、負極表面をEC由来の保護膜で覆うこと
が困難になる恐れがあるため、負極とPCまたはBLと
の反応が進み、初充電時のガス発生およびそれに伴う容
器の膨れを招く。一方、ECの比率(x)が50体積%
を超えると、非水電解液の粘度が高くなってイオン伝導
度が低下する恐れがあるため、充分な充電効率を得るこ
とが困難になる。ECの比率(x)のより好ましい範囲
は20体積%以上、50体積%以下で、さらに好ましい
範囲は20体積%以上、40体積%以下である。
【0083】c.プロピレンカーボネート(PC) PCの非水溶媒全体積に対する比率(y)を30体積%
未満にすると、負極とBLとの反応が支配的となり、ジ
グリコール酸無水物を含む第4成分の存在下であって
も、特に高温時の充電効率の低下は抑制できない。一
方、PCの比率(y)が75体積%を超えると、初充電
時において負極とPCの反応が支配的となり、ガス発生
およびそれに伴う電池容器の膨れを抑制することは難し
い。PCの比率(y)のより好ましい範囲は40体積%
以上、70体積%以下で、さらに好ましい範囲は50体
積%以上、70体積%以下ある。
【0084】なお、PCは、初充放電工程中に前記非水
溶媒から前記負極の表面へ移動し、前記負極の表面に付
着する。従って、初充放電工程が施された二次電池に存
在する非水溶媒においては、非水溶媒全体に対するPC
の割合が二次電池組立て前より減少する。その減少率
は、PCの添加量が少なくなる程、大きくなる。
【0085】d.第4成分 非水溶媒に前記第4成分が存在しないと、負極表面に形
成される保護膜の緻密度やリチウムイオン透過性が低下
するため、初充電時のガス発生を抑えられなくなるばか
りか、高温での充電効率の改善も困難になる。しかしな
がら、第4成分の非水溶媒全体積に対する比率(p)が
4体積%を超えると、高温貯蔵時や初充電時のガス発生
を助長する恐れがあったり、あるいは負極表面に形成さ
れる被膜のリチウムイオン透過性が低下して負極のイン
ピーダンスが増加し、充分な充電効率を得られない可能
性がある。よって、第4成分の非水溶媒全体積に対する
比率(p)は、0体積%より多く、4体積%以下の範囲
内にすることが好ましい。第4成分のより好ましい範囲
は3体積%以下で、さらに好ましい範囲は0.1体積%
〜2体積%である。
【0086】また、第4成分には、下記化1に示す構造
式を有するジグリコール酸無水物(DGLAH)のみを
使用しても良いし、DGLAHと併せて他の溶媒を使用
しても良い。
【0087】
【化1】
【0088】他の溶媒としては、例えば、ビニルエチレ
ンカーボネート(VEC)、エチレンサルファイト(E
S)、フェニルエチレンカーボネート(phEC)、1
2−クラウン−4(Crown)、テトラエチレングリ
コールジメチルエーテル(Ether)、ジエチルカー
ボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DM
C)、エチルメチルカーボネート(EMC)、γ−バレ
ロラクトン(VL)、プロピオン酸メチル(MP)、プ
ロピオン酸エチル(EP)、2―メチルフラン(2Me
−F)、フラン(F)、チオフェン(TIOP)、カテ
コールカーボネート(CATC)等を挙げることができ
る。第4成分として使用する他の溶媒の種類は、1種類
もしくは2種類以上にすることができる。
【0089】特に、DGLAHと、前述した種類の中か
ら選ばれる1種類以上の他の溶媒とを含有する第4成分
を用いることによって、高温での充放電サイクル寿命を
向上することができる。
【0090】次いで、非水溶媒Bについて説明する。
【0091】各溶媒の非水溶媒全体に対する割合を前記
範囲に規定する理由を説明する。
【0092】a.γ−ブチロラクトン(BL) 非水溶媒中のBLの存在比率(z)を30体積%未満に
するのは、前述した非水溶媒Aで説明したのと同様な理
由によるものである。より好ましい範囲は1体積%以
上、30体積%未満で、さらに好ましい範囲は4体積%
以上、20体積%以下で、最も好ましい範囲は4体積%
以上、15体積%以下である。
【0093】b.エチレンカーボネート(EC) 非水溶媒中のECの存在比率(x)を15〜50体積%
にするのは、前述した非水溶媒Aで説明したのと同様な
理由によるものである。より好ましい範囲は、20体積
%以上、50体積%以下で、さらに好ましい範囲は20
体積%以上、40体積%以下である。
【0094】c.プロピレンカーボネート(PC) 非水溶媒中のPCの存在比率(y)を30〜75体積%
の範囲内にするのは、前述した非水溶媒Aで説明したの
と同様な理由によるものである。PCの比率(y)のよ
り好ましい範囲は40体積%以上、70体積%以下で、
さらに好ましい範囲は50体積%以上、70体積%以下
ある。
【0095】d.ビニレンカーボネート(VC) VCは、負極表面に形成される保護膜の緻密度やリチウ
ムイオン透過性を向上させて高温での充電効率をさらに
改善するために添加するものであるが、非水溶媒中のV
Cの存在比率(w)が5体積%を超えると、高温貯蔵時
や初充電時のガス発生を助長する可能性があったり、あ
るいは負極表面に形成される被膜のリチウムイオン透過
性が低下して負極のインピーダンスが増加し、高温での
充電効率を改善することが困難になるばかりか、充放電
サイクル特性が低下する。VCの非水溶媒全体積に対す
る比率(w)の好ましい範囲は3体積%以下で、さらに
好ましい範囲は2体積%以下である。
【0096】なお、VCは、初充放電工程中に前記非水
溶媒から前記負極の表面へ移動し、前記負極の表面に付
着する。従って、初充放電工程が施された二次電池に存
在する非水溶媒においては、非水溶媒全体積に対するV
Cの割合が二次電池組立て前より少ない。減少率は、例
えば、VCの添加量が1重量%である場合に70〜80
%となる(つまり、残存率は20〜30%)。
【0097】e.第5成分 非水溶媒に前記第5成分が存在しないと、負極表面に形
成される保護膜の緻密度やリチウムイオン透過性が低下
するため、初充電時のガス発生を抑えられなくなるばか
りか、高温での充電効率の改善も困難になる。しかしな
がら、第5成分の非水溶媒全体積に対する比率(q)が
4体積%を超えると、高温貯蔵時や初充電時のガス発生
を助長する恐れがあったり、あるいは負極表面に形成さ
れる被膜のリチウムイオン透過性が低下して負極のイン
ピーダンスが増加し、充分な充電効率が得られない可能
性がある。よって、第5成分の非水溶媒全体積に対する
比率(q)は、0体積%より多く、4体積%以下の範囲
内にすることが好ましい。第5成分のより好ましい範囲
は3体積%以下で、最も好ましい範囲は0.1体積%〜
2体積%である。
【0098】また、第5成分には、ジグリコール酸無水
物(DGLAH)のみを使用しても良いし、DGLAH
と併せて他の溶媒を使用しても良い。他の溶媒として
は、前述した非水溶媒Aで説明したのと同様な種類のも
のを挙げることができる。第5成分として使用する他の
溶媒の種類は、1種類もしくは2種類以上にすることが
できる。
【0099】特に、DGLAHと、前述した種類の中か
ら選ばれる1種類以上の他の溶媒とを含有する第5成分
を用いることによって、高温での充放電サイクル寿命を
より向上することができる。
【0100】この非水溶媒A〜Bに溶解される電解質と
しては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、
六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、ホウフッ化リ
チウム(LiBF4 )、六フッ化砒素リチウム(LiA
sF6 )、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(Li
CF3 SO3 )、ビストリフルオロメチルスルホニルイ
ミドリチウム[(LiN(CF3 SO2 2 ]、LiN
(C25SO22などのリチウム塩を挙げることができ
る。使用する電解質の種類は、1種類または2種類以上
にすることができる。中でも、LiPF6 あるいはLi
BF4 を含む電解質を用いるのが好ましい。また、(L
iN(CF3SO22およびLiN(C25SO22
うち少なくとも一方からなるイミド塩と、LiBF4
びLiPF 6のうち少なくともいずれか一方からなる塩
とを含有する混合塩を用いると、高温での充電効率をよ
り向上することができる。また、電解質の熱安定性が向
上されるため、高温環境下で貯蔵時の自己放電による電
圧低下を抑えることができる。
【0101】前記リチウム塩の前記非水溶媒に対する溶
解量は、0.5〜2.5モル/Lとすることが望まし
い。さらに好ましい範囲は、1〜2.5モル/Lであ
る。
【0102】前記液状非水電解質には、セパレータとの
濡れ性を良くするために、トリオクチルフォスフェート
(TOP)のような界面活性剤を含有させることが望ま
しい。界面活性剤の添加量は、3%以下が好ましく、さ
らには0.1〜1%の範囲内にすることが好ましい。
【0103】前記液状非水電解質の量は、電池単位容量
100mAh当たり0.2〜0.6gにすることが好ま
しい。液状非水電解質量のより好ましい範囲は、0.2
5〜0.55g/100mAhである。
【0104】6)容器 容器の形状は、例えば、有底円筒形、有底矩形筒型、袋
状等にすることができる。
【0105】この容器は、例えば、樹脂層を含むシー
ト、金属板、金属フィルム等から形成することができ
る。
【0106】前記シートに含まれる樹脂層は、例えば、
ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン)等から形成することができる。前記シートとして
は、金属層と、前記金属層の両面に配置された保護層と
が一体化されたシートを用いることが望ましい。前記金
属層は、水分を遮断する役割をなす。前記金属層は、例
えば、アルミニウム、ステンレス、鉄、銅、ニッケル等
を挙げることができる。中でも、軽量で、水分を遮断す
る機能が高いアルミニウムが好ましい。前記金属層は、
1種類の金属から形成しても良いが、2種類以上の金属
層を一体化させたものから形成しても良い。前記2つの
保護層のうち、外部と接する保護層は前記金属層の損傷
を防止する役割をなす。この外部保護層は、1種類の樹
脂層、もしくは2種類以上の樹脂層から形成される。一
方、内部保護層は、前記金属層が非水電解質により腐食
されるのを防止する役割を担う。この内部保護層は、1
種類の樹脂層、もしくは2種類以上の樹脂層から形成さ
れる。また、かかる内部保護層の表面に熱可塑性樹脂を
配することができる。
【0107】前記金属板及び前記金属フィルムは、例え
ば、鉄、ステンレス、アルミニウムから形成することが
できる。
【0108】容器の厚さ(容器の壁の厚さ)は、0.3
mm以下にすることが望ましい。これは次のような理由
によるものである。厚さが0.3mmより厚いと、高い
重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度を得られ難
くなるからである。容器の厚さの好ましい範囲は、0.
25mm以下で、更に好ましい範囲は0.15mm以下
で、最も好ましい範囲は0.12mm以下である。ま
た、厚さが0.05mmより薄いと、変形や破損し易く
なることから、容器の厚さの下限値は0.05mmにす
ることが好ましい。
【0109】容器の厚さは、以下に説明する方法で測定
される。すなわち、容器の封止部を除く領域において、
互いに1cm以上離れて存在する3点を任意に選択し、
各点の厚さを測定し、平均値を算出し、この値を容器の
厚さとする。なお、前記容器の表面に異物(例えば、樹
脂)が付着している場合、この異物を除去してから厚さ
の測定を行う。例えば、前記容器の表面にPVdFが付
着している場合、前記容器の表面をジメチルホルムアミ
ド溶液で拭き取ることによりPVdFを除去した後、厚
さの測定を行う。
【0110】前記容器の表面の少なくとも一部に接着層
を形成し、前記接着層により前記電極群を前記容器の内
面に接着することが望ましい。このような構成にする
と、前記電極群の表面に前記容器を固定することができ
るため、電解液が電極群と容器の間に浸透するのを抑え
ることができる。
【0111】前記二次電池には、15℃〜80℃の温度
条件下で、0.05C以上、0.8C以下のレートで初
充電を施すことが好ましい。この条件での充電は1サイ
クルのみでも良いし、2サイクル以上行ってもよい。ま
た、初充電前に15℃〜80℃の温度条件下に1時間〜
20時間程度保管してもよい。
【0112】ここで、1Cとは公称容量(Ah)を1時
間で放電するために必要な電流値である。
【0113】前記初充電の温度を前記範囲に規定するの
は次のような理由によるものである。初充電温度が15
℃未満であると、液状非水電解質の粘度が高いままであ
るために液状非水電解質を正極、負極及びセパレータに
均一に含浸させることが困難になり、内部インピーダン
スが増加し、また活物質の利用率が低下する。一方、初
充電温度が80℃を超えると、正極及び負極に含まれる
結着剤が劣化する。好ましい充電温度の範囲は15〜6
0℃であり、さらに好ましい範囲は20〜50℃であ
る。
【0114】初充電のレートを0.05〜0.8Cの範
囲にすることによって、充電による正極と負極の膨張を
適度に遅くすることができるため、正極及び負極に液状
非水電解質を均一に浸透させることができる。好ましい
初充電のレートは、0.05〜0.5Cである。
【0115】このような工程を具備することによって、
電極やセパレータの空隙に液状非水電解質を均一に含浸
させることができるため、二次電池の内部インピーダン
スを小さくすることができる。その結果、活物質の利用
率を増大させることができるため、実質的な電池の容量
を大きくすることができる。また、電池の充放電サイク
ル特性及び大電流放電特性を向上させることができる。
【0116】本発明に係る非水電解質二次電池(I)の
一例である薄型リチウムイオン二次電池を図1及び図2
を参照して詳細に説明する。
【0117】図1は、本発明に係わる非水電解質二次電
池(I)の一例である薄型リチウムイオン二次電池を示
す断面図、図2は図1のA部を示す拡大断面図である。
【0118】図1に示すように、所望の厚さXを有する
容器1内には、電極群2が収納されている。前記電極群
2は、正極、セパレータおよび負極からなる積層物が偏
平形状に捲回された構造を有する。前記積層物は、図2
に示すように、(図の下側から)セパレータ3、正極層
4と正極集電体5と正極層4を備えた正極6、セパレー
タ3、負極層7と負極集電体8と負極層7を備えた負極
9、セパレータ3、正極層4と正極集電体5と正極層4
を備えた正極6、セパレータ3、負極層7と負極集電体
8を備えた負極9がこの順番に積層されたものからな
る。前記電極群2は、最外層に前記負極集電体8が位置
している。帯状の正極リード10は、一端が前記電極群
2の前記正極集電体5に接続され、かつ他端が前記容器
1から延出されている。一方、帯状の負極リード11
は、一端が前記電極群2の前記負極集電体8に接続さ
れ、かつ他端が前記容器1から延出されている。
【0119】次いで、本発明に係る非水電解質二次電池
(II)を説明する。
【0120】この非水電解質二次電池は、容器と、前記
容器内に収納される電極群とを具備する。前記電極群
は、リチウムイオンを吸蔵・放出する正極と、リチウム
イオンを吸蔵・放出する負極と、前記正極及び前記負極
の間に配置され、液状非水電解質およびこの液状非水電
解質をゲル化させる機能を持つポリマーを含む電解質層
とを含む。
【0121】容器、正極、負極および液状非水電解質に
は、前述した非水電解質二次電池(I)において説明し
たのと同様なものが用いられる。
【0122】前記電解質層は、例えば、以下に説明する
方法で作製される。まず、液状非水電解質をゲル化させ
る機能を持つポリマー及び液状非水電解質を含むペース
トを調製し、このペーストを成膜した後、乾燥させる。
得られた薄膜を正極及び負極の間に介在させて電極群を
作製する。この電極群に液状非水電解質を含浸させた
後、減圧下で前記薄膜を可塑化させることにより前記電
解質層を得る。
【0123】前記ポリマーは、熱可塑性を有することが
好ましい。かかるポリマーとしては、例えば、ポリフッ
化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(P
AN)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリ塩化
ビニル(PVC)、ポリアクリレート(PMMA)及び
ポリビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン
(PVdF−HFP)から選ばれる少なくとも1種類を
用いることができる。
【0124】前記二次電池には、15℃〜80℃の温度
条件下で、0.05C以上、0.8C以下のレートで初
充電を施すことが好ましい。この条件での充電は1サイ
クルのみでも良いし、2サイクル以上行ってもよい。ま
た、初充電前に15℃〜80℃の温度条件下に1時間〜
20時間程度保管してもよい。
【0125】以上説明した本発明に係る第1の非水電解
質二次電池は、容器と、前記容器内に収納される電極群
と、前記電極群に保持され、非水溶媒Aを含む非水電解
質とを具備する。前記非水溶媒Aは、エチレンカーボネ
ートと、プロピレンカーボネートと、γ−ブチロラクト
ンと、ジグリコール酸無水物を含む第4成分とを含有す
る。前記非水溶媒全体積に対するエチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン及び
前記第4成分の割合をそれぞれx(体積%)、y(体積
%)、z(体積%)、p(体積%)とした際、前記x、
前記y、前記z及び前記pはそれぞれ15≦x≦50、
30≦y≦75、0<z<30、0<p≦4を満たす。
【0126】前記非水溶媒全体積に対するγ−ブチロラ
クトンの割合を30体積%未満の範囲内にすることによ
って、高温条件下での貯蔵や、初充電の際に正極と非水
電解質が反応して非水電解質が酸化分解するのを抑制す
ることができる。その結果、高温貯蔵時及び初充電時の
ガス発生量を少なくすることができるため、容器の肉厚
を0.3mm以下と薄くしても容器が膨れるのを抑える
ことができる。
【0127】また、前記非水溶媒全体積に対するエチレ
ンカーボネートの割合を15体積%以上、50体積%以
下にし、プロピレンカーボネートの割合を30体積%以
上、75体積%以下にし、かつ第4成分の割合を4体積
%以下にすることによって、負極の表面に緻密で、かつ
リチウムイオン透過性の高い保護膜を形成することがで
きる。その結果、高温環境下における負極のγ−ブチロ
ラクトンとの反応性を低下させることができるため、非
水電解質の還元分解を抑制することができ、負極の界面
インピーダンスの上昇を抑えることができる。よって、
高温での充電効率を向上することができる。
【0128】仮に、EC及びBLからなる混合溶媒にP
C及びDGLAHのうちのいずれか一方のみを添加する
と、負極表面に形成される保護膜の緻密性が不十分なも
のとなって負極のγ−ブチロラクトンに対する反応性を
低くすることが困難になる。従って、PC及びDGLA
Hのうちのいずれか一方と、ECと、BLとから構成さ
れる非水溶媒を含む非水電解質を備えた二次電池は、高
い充電効率を得ることができない。
【0129】以上説明したように、本発明によれば、初
充電時のガス発生とこれに伴う容器の膨れを抑えること
ができ、且つ高温環境下における充電効率を向上するこ
とが可能な非水電解質二次電池を実現することが出来
る。
【0130】特に、非水溶媒Aにおける体積比率x、
y、z及びpを、それぞれ、20≦x≦50、40≦y
≦70、4≦z≦20、0<p≦3、さらに望ましくは
20≦x≦40、50≦y≦70、4≦z≦15、0.
1≦p≦2にすることによって、初充電時のガス発生抑
制効果と、高温環境下での充電効率の双方をより高くす
ることができる。
【0131】本発明に係る第2の非水電解質二次電池
は、容器と、前記容器内に収納される電極群と、前記電
極群に保持され、非水溶媒Bを含む非水電解質とを具備
する。前記非水溶媒Bは、エチレンカーボネートと、プ
ロピレンカーボネートと、γ−ブチロラクトンと、ビニ
レンカーボネートと、ジグリコール酸無水物を含む第5
成分とを含有する。前記非水溶媒全体積に対するエチレ
ンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロ
ラクトン、ビニレンカーボネート及び前記第5成分の割
合をそれぞれx(体積%)、y(体積%)、z(体積
%)、w(体積%)、q(体積%)とした際、前記x、
前記y、前記z、前記w及び前記qはそれぞれ15≦x
≦50、30≦y≦75、0<z<30、0<w≦5、
0<q≦4を満たす。
【0132】このような二次電池によれば、初充電及び
高温貯蔵時のガス発生を抑制しつつ、高温環境下での充
電効率を向上することが可能になる。
【0133】特に、非水溶媒Bにおける体積比率x、
y、z、wおよびqを、それぞれ、20≦x≦50、4
0≦y≦70、4≦z≦20、0<w≦3、0<q≦
3、さらに望ましくは20≦x≦40、50≦y≦7
0、4≦z≦15、0<w≦2、0.1≦q≦2にする
ことによって、初充電時のガス発生を抑制しつつ、高温
環境下での充電効率の双方をより改善することができ
る。
【0134】
【実施例】以下、本発明の実施例を前述した図面を参照
して詳細に説明する。
【0135】(実施例1)<正極の作製>まず、リチウ
ムコバルト酸化物(Lix CoO2 ;但し、Xは0<X
≦1である)粉末91重量%をアセチレンブラック3重
量%、グラファイト3重量%及び結着剤としてポリフッ
化ビニリデン(PVdF)3重量%と溶媒としてN−メ
チル−2−ピロリドン(NMP)を加えて混合し、スラ
リーを調製した。前記スラリーを厚さが15μmのアル
ミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した後、乾燥
し、プレスすることにより電極密度が3g/cm3 で、
正極層が集電体の両面に担持された構造の正極を作製し
た。
【0136】<負極の作製>炭素質材料として3000
℃で熱処理したメソフェーズピッチ系炭素繊維(繊維径
が8μm、平均繊維長が20μm、平均面間隔
(d002 )が0.3360nm)の粉末を93重量%
と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)7
重量%とを混合し、スラリーを調製した。前記スラリー
を厚さが12μmの銅箔からなる集電体の両面に塗布
し、乾燥し、ロール径150mm、線圧33kg/cm
の条件でプレスすることにより電極密度が1.4g/c
3 で、負極層が集電体に担持された構造の負極を作製
した。
【0137】<セパレータ>厚さが25μm、120
℃、1時間での熱収縮が20%で、多孔度が50%のポ
リエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを用意
した。
【0138】<非水電解液の調製>エチレンカーボネー
ト(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブ
チロラクトン(BL)及び第4成分としてジグリコール
酸無水物(DGLAH)を体積比率(EC:PC:B
L:DGLAH)が15:75:9:1になるように混
合して非水溶媒を調製した。得られた非水溶媒に四フッ
化ホウ酸リチウム(LiBF4)をその濃度が1.5モ
ル/Lになるように溶解させて、非水電解液(液状の非
水電解質)を調製した。
【0139】<電極群の作製>前記正極の集電体に帯状
の正極リードを溶接し、前記負極の集電体に帯状の負極
リードを溶接した後、前記正極及び前記負極をその間に
前記セパレータを介して渦巻き状に捲回した後、偏平状
に成形し、電極群を作製した。
【0140】この電極群を90℃に加熱しながら13k
g/cm2の圧力で25秒間プレス成形を施し、前記正
極、前記負極及び前記セパレータを一体化させた。
【0141】アルミニウム箔の両面をポリプロピレンで
覆った厚さ100μmのラミネートフィルムを袋状に成
形し、これに前記電極群を収納した。
【0142】次いで、前記ラミネートフィルム内の電極
群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記電
極群及び前記ラミネートフィルムに含まれる水分を除去
した。
【0143】前記ラミネートフィルム内の電極群に前記
非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が4.8gとな
るように注入し、前述した図1、2に示す構造を有し、
厚さが3.6mm、幅が35mm、高さが62mmの薄
型非水電解質二次電池を組み立てた。
【0144】この非水電解質二次電池に対し、初充放電
工程として以下の処置を施した。まず、45℃の高温環
境下に2h放置した後、その環境下で0.2C(104
mA)で4.2Vまで定電流・定電圧充電を15時間行
った。その後、7日間に亘り20℃で放置した。さらに
20℃の環境下で0.2Cで3.0Vまで放電し、非水
電解質二次電池を製造した。
【0145】(実施例2〜16、比較例1〜14)非水
溶媒の組成を下記表1〜2に示すように変更すること以
外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして薄型
非水電解質二次電池を製造した。
【0146】(実施例17) <非水電解液の調製>エチレンカーボネート(EC)、
プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン
(BL)、ビニレンカーボネート(VC)及び第5成分
としてジグリコール酸無水物(DGLAH)を体積比率
(EC:PC:BL:VC:DGLAH)が15:7
5:8:1:1になるように混合して非水溶媒を調製し
た。得られた非水溶媒に四フッ化ホウ酸リチウム(Li
BF4)をその濃度が1.5モル/Lになるように溶解
させて、非水電解液(液状の非水電解質)を調製した。
【0147】このような非水電解液を用いること以外
は、前述した実施例1で説明したのと同様にして薄型非
水電解質二次電池を製造した。
【0148】(実施例18〜36、比較例15)非水溶
媒の組成を下記表3〜4に示すように変更すること以外
は、前述した実施例17で説明したのと同様にして薄型
非水電解質二次電池を製造した。
【0149】(実施例37〜52、比較例16〜29)
非水溶媒の組成と電解質の種類と電解質濃度とを下記表
5〜6に示すように変更すること以外は、前述した実施
例1で説明したのと同様にして薄型非水電解質二次電池
を製造した。
【0150】(実施例53〜72、比較例30)非水溶
媒の組成と電解質の種類と電解質濃度とを下記表7〜8
に示すように変更すること以外は、前述した実施例17
と同様にして薄型非水電解質二次電池を製造した。
【0151】得られた実施例1〜76及び比較例1〜3
0の二次電池について、以下の(1)〜(2)に説明す
る方法で電池特性を評価した。
【0152】1)初充電時の容器の膨れ 上記の初充電工程、すなわち45℃の高温環境下に2h
放置し、その環境下で0.2C(104mA)で4.2
Vまで定電流・定電圧充電を15時間行った後、20℃
の環境下に電池を2時間放置してから電池厚さを測定し
た。電池厚さを測定するために使用した装置は、Mit
utoyo Corporation製の型番がIDF
−130の装置で、また、測定時にセル全体にかかる重
さを300グラム重に設定した。膨れ率(%)は、下記
(I)式から算出し、得られた結果を下記表1〜8に併
記する。
【0153】 膨れ率(%)=(T1−T2)/T1×100 (I) 但し、(I)式において、T1は初充電工程後の電池厚
さを示し、T2は初充電工程を行う前の電池厚さを示
す。
【0154】2)80℃環境下での充電効率 80℃の環境下に電池を2時間放置してから0.5Cの
電流での4.2V定電流・定電圧の充電を5時間行い、
その時の充電量をXmAとした。10分放置後、同じく
80℃の環境下において1Cの電流で3.0Vまで放電
し、その時の容量をYmAとした。下記式で示される値
Z(%)を80℃環境下における充電効率と定義し、そ
の結果を下記表1〜8に併記する。
【0155】(YmA/XmA)×100=Z(%)
【表1】
【0156】
【表2】
【0157】
【表3】
【0158】
【表4】
【0159】
【表5】
【0160】
【表6】
【0161】
【表7】
【0162】
【表8】
【0163】表1〜2から明らかなように、EC、P
C、BL及びDGLAHの割合が15≦x≦50、30
≦y≦75、0<z<30、0<p≦4を満たす非水溶
媒を含む液状非水電解質を備える実施例1〜16の二次
電池は、組成が上記範囲から外れた比較例1〜14の非
水溶媒を含む二次電池に比べて、初充電膨れが抑制さ
れ、かつ80℃環境下における充電効率が高いことがわ
かる。実施例1〜16によると高温で高い充電効率が得
られるのは、DGLAHの負極表面に被膜を形成する速
度が速く、また、形成された被膜のPC及びECとの親
和性に優れることが影響しているものと推測される。
【0164】実施例2〜4、9、10、13、14の二
次電池は、初充電膨れ率と80℃充電効率の双方が特に
優れている。
【0165】表3〜4から明らかなように、EC、P
C、BL、VC及びDGLAHの割合が15≦x≦5
0、30≦y≦75、0<z<30、0<w≦5、0<
q≦4を満たす非水溶媒を含む液状非水電解質を備える
実施例17〜36の二次電池は、VCが無添加の実施例
1〜16の二次電池と比較して、初充電時の膨れ抑制ま
たは80℃充電効率がやや向上する。
【0166】表5〜6から明らかなように、電解質とし
てLiPF6を添加した実施例37〜52の二次電池
は、電解質としてLiBF4を用いた実施例1〜16の
二次電池に比べて、初充電時の膨れ抑制または80℃充
電効率がやや劣るものの、比較例16〜29の電池と比
較すると、初充電時の膨れ抑制および80℃充電効率の
双方に優れていることがわかる。
【0167】表7〜8から明らかなように、電解質とし
てLiPF6を添加した実施例53〜72の二次電池
は、電解質としてLiBF4を用いた実施例17〜36
の二次電池に比べて、初充電時の膨れ抑制または80℃
充電効率がやや劣るものの、比較例30の電池と比較す
ると、初充電時の膨れ抑制および80℃充電効率の双方
に優れていることがわかる。
【0168】また、実施例17の二次電池について、前
記初充放電工程後、5時間以上回路を開放して十分に電
位を落ち着かせた後、Ar濃度が99.9%以上、かつ
露点が−50℃以下のグローブボックス内で分解し、電
極群を取り出した。前記電極群を遠沈管につめ、ジメチ
ルスルホキシド(DMSO)−d6を加えて密封し、前
記グローブボックスより取り出し、遠心分離を行った。
その後、前記グローブボックス内で、前記遠沈管から前
記電解液と前記DMSO−d6の混合溶液を採取した。
前記混合溶媒を5mmφのNMR用試料管に0.5ml
程度入れ、NMR測定を行った。前記NMR測定に用い
た装置は日本電子株式会社製JNM−LA400WBで
あり、観測核は1H、観測周波数は400MHz、基準
物質にはジメチルスルホキシド(DMSO)−d
5(2.5ppm)の内部標準を使用した。測定温度は
25℃とした。1HNMRスペクトルではECに対応す
るピークが4.5ppm付近、VCに対応するピークが
7.7ppm付近に観測され、初充放電工程後の実施例
17の二次電池に存在する非水溶媒中にVCが含まれて
いることを確認できた。
【0169】(実施例73〜76)非水溶媒の組成、電
解質の種類、電解質濃度及び負極密度を下記表9に示す
ように変更すること以外は、前述した実施例1と同様に
して薄型非水電解質二次電池を製造した。なお、負極密
度は、プレス条件を変更することにより調節した。
【0170】得られた実施例73〜76の二次電池につ
いて、1Cレートでの4.2V定電流・定電圧充電を3
時間行った後、1Cレートで3Vまで放電する充放電サ
イクルを20℃の環境下で繰り返し、充放電サイクル中
の最大放電容量を測定した。その結果を20℃容量とし
て下記表9に併記する。
【0171】また、実施例73〜76の二次電池につい
て、初充電膨れと80℃充電効率とを前述した実施例1
で説明したのと同様にして測定し、その結果を下記表9
に併記する。
【0172】
【表9】
【0173】表9から明らかなように、負極密度が1.
25〜1.55g/cm3の範囲内にある実施例73〜
74の二次電池は、負極密度が前記範囲を外れる実施例
75〜76の二次電池に比較して、80℃での充電効率
に優れている。
【0174】(実施例77)<非水電解質の調製>エチ
レンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート
(PC)、γ−ブチロラクトン(BL)及びジグリコー
ル酸無水物(DGLAH)を体積比率(EC:PC:B
L:DGLAH)が15:75:9:1になるように混
合して非水溶媒を調製した。得られた非水溶媒に四フッ
化ホウ酸リチウム(LiBF4 )をその濃度が1.5モ
ル/Lになるように溶解させて、液状非水電解質を調製
した。この液状非水電解質と、ポリビニリデンフルオラ
イドヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HEP)を
テトラヒドロキシフラン(THF)に溶解して得た溶液
とを混合させてペーストを調製した。得られたペースト
を基板に塗布した後、乾燥させることにより薄膜を得
た。
【0175】<電極群の作製>前述した実施例1で説明
したのと同様な正極の集電体に帯状の正極リードを溶接
し、前述した実施例1で説明したのと同様な負極の集電
体に帯状の負極リードを溶接した後、前記正極及び前記
負極をその間に前記薄膜を介して渦巻き状に捲回した
後、偏平状に成形し、電極群を作製した。
【0176】この電極群を前述した液状非水電解質に浸
漬させ、減圧下で薄膜を可塑化させることにより正極と
負極の間に電解質層が介在された電極群を得た。
【0177】アルミニウム箔の両面をポリプロピレンで
覆った厚さ100μmのラミネートフィルムを袋状に成
形し、これに前記電極群を収納し、厚さが3.6mm、
幅が35mm、高さが62mmの薄型非水電解質二次電
池を組み立てた。
【0178】この非水電解質二次電池に対し、初充放電
工程として以下の処置を施した。まず、45℃の高温環
境下に2h放置した後、その環境下で0.2C(84m
A)で4.2Vまで定電流・定電圧充電を15時間行っ
た。その後、7日間に亘り20℃で放置した。さらに2
0℃の環境下で0.2Cで3.0Vまで放電し、非水電
解質二次電池を製造した。
【0179】(実施例78〜80)非水溶媒の組成、電
解質の種類または電解質濃度を下記表10に示すように
変更すること以外は、前述した実施例77と同様にして
薄型非水電解質二次電池を製造した。
【0180】得られた実施例77〜80の二次電池につ
いて、以下の(1)〜(2)に説明する方法で電池特性
を評価した。
【0181】1)初充電時の容器の膨れ 上記の初充電工程、すなわち45℃の高温環境下に2h
放置し、その環境下で0.2C(84mA)で4.2V
まで定電流・定電圧充電を15時間行った後、20℃の
環境下に電池を2時間放置してから電池厚さを測定し、
前述した(I)式により膨れ率(%)を算出し、その結
果を下記表10に併記する。電池厚さを測定するために
使用した装置および測定時にセルにかかる重さは、前述
した実施例1で説明したのと同様にした。
【0182】2)80℃環境下での充電効率 80℃の環境下に電池を2時間放置してから0.5Cの
電流での4.2V定電流・定電圧の充電を5時間行い、
その時の充電量をXmAとした。10分放置後、同じく
80℃の環境下において1Cの電流で3.0Vまで放電
し、その時の容量をYmAとした。下記式(II)で示さ
れる値Z(%)を80℃環境下における充電効率と定義
し、その結果を下記表10に併記する。
【0183】 (YmA/XmA)×100=Z(%) (II)
【表10】
【0184】表10から、EC、PC、BL及びDGL
AHの割合が15≦x≦50、30≦y≦EC、PC、
BL、VC及びDGLAHの割合が15≦x≦50、3
0≦y≦75、0<z<30、0<w≦5、0<q≦4
を満たす非水溶媒を含むゲル状非水電解質を備える実施
例77〜80の二次電池によると、初充電膨れを抑制す
ることができると共に、80℃環境下における充電効率
を向上できることがわかる。
【0185】また、エチレンカーボネート(EC)、プ
ロピレンカーボネート(PC)及びジグリコール酸無水
物(DGLAH)からなる混合溶媒の13C−NMRスペ
クトルを以下に説明する方法で測定した。
【0186】EC、PCおよびDGLAHからなる混合
溶媒にジメチルスルホキシド(DMSO)−d6を添加
し、得られた混合液を5mmφのNMR用試料管に0.
5ml程度入れ、NMR測定を行った。前記NMR測定
に用いた装置は日本電子株式会社製JNM−LA400
WBであり、観測核は13C、観測周波数は100MH
z、基準物質にはジメチルスルホキシド(DMSO)−
6(39.5ppm)の内部標準を使用した。測定温
度は25℃とした。得られた13C−NMRスペクトルを
図3に示す。図3のNMRスペクトルにおけるシフト値
63.8ppm〜64.8ppmの部分の拡大図を図4
に、シフト値163ppm〜168ppmの部分の拡大
図を図5に示す。
【0187】図3〜図5から明らかなように、13C−N
MRスペクトルでは、DGLAHのエチレン基(C
2)に由来するピークP1がシフト値64.4ppmに
観測され、また、カルボニル基(CO)に由来するピー
クP2がシフト値165.2ppmに観測された。
【0188】なお、ECに由来するピークは、シフト値
65.2/156.0ppmに観測され、一方、PCに
由来するピークは、シフト値18.8/70.8/7
4.1/155.3ppmに観測された。
【0189】前述した実施例1〜96の二次電池におい
ては、第4成分と第5成分それぞれの溶媒の種類を1種
類にしたが、第4成分または第5成分の溶媒の種類を2
種類以上にしても、80℃での充電効率を向上すること
が可能である。
【0190】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る非水電
解質二次電池によれば、高温環境下における充電効率を
向上することができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる非水電解質二次電池の一例であ
る薄型リチウムイオン二次電池を示す断面図。
【図2】図1のA部を示す拡大断面図。
【図3】エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカ
ーボネート(PC)及びジグリコール酸無水物(DGL
AH)からなる混合溶媒についての13C−NMRスペク
トルを示す特性図。
【図4】図3のNMRスペクトルのうちシフト値63.
8ppm〜64.8ppmの部分を示す拡大図。
【図5】図3のNMRスペクトルのうちシフト値163
ppm〜168ppmの部分を示す拡大図。
【符号の説明】
1…容器、 2…電極群、 3…セパレータ、 4…正極層、 5…正極集電体、 6…正極、 7…負極層、 8…負極集電体、 9…負極、 10…正極端子、 11…負極端子。
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 麻子 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 小口 雅之 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 5H029 AJ02 AK02 AK03 AK05 AL06 AL07 AM02 AM03 AM05 AM07 BJ03 BJ04 DJ02 DJ09 HJ01 HJ08 5H050 AA02 BA17 CA02 CA07 CA08 CA09 CA11 CB07 CB08 HA01 HA08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器と、前記容器内に収納され、正極及
    び負極を含む電極群と、前記電極群に保持され、非水溶
    媒を含む非水電解質とを具備した非水電解質二次電池に
    おいて、 前記非水溶媒は、エチレンカーボネートと、プロピレン
    カーボネートと、γ−ブチロラクトンと、ジグリコール
    酸無水物を含む第4成分とを含有し、前記非水溶媒全体
    積に対するエチレンカーボネート、プロピレンカーボネ
    ート、γ−ブチロラクトン及び前記第4成分の割合をそ
    れぞれx(体積%)、y(体積%)、z(体積%)、p
    (体積%)とした際、前記x、前記y、前記z及び前記
    pはそれぞれ15≦x≦50、30≦y≦75、0<z
    <30、0<p≦4を満たすことを特徴とする非水電解
    質二次電池。
  2. 【請求項2】 容器と、前記容器内に収納され、正極及
    び負極を含む電極群と、前記電極群に保持され、非水溶
    媒を含む非水電解質とを具備した非水電解質二次電池に
    おいて、 前記非水溶媒は、エチレンカーボネートと、プロピレン
    カーボネートと、γ−ブチロラクトンと、ビニレンカー
    ボネートと、ジグリコール酸無水物を含む第5成分とを
    含有し、前記非水溶媒全体積に対するエチレンカーボネ
    ート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、
    ビニレンカーボネート及び前記第5成分の割合をそれぞ
    れx(体積%)、y(体積%)、z(体積%)、w(体
    積%)、q(体積%)とした際、前記x、前記y、前記
    z、前記w及び前記qはそれぞれ15≦x≦50、30
    ≦y≦75、0<z<30、0<w≦5、0<q≦4を
    満たすことを特徴とする非水電解質二次電池。
  3. 【請求項3】 前記負極の密度は、1.25〜1.55
    g/cm3の範囲内であることを特徴とする請求項1な
    いし2いずれか1項記載の非水電解質二次電池。
  4. 【請求項4】 前記非水電解質は、液状か、もしくはゲ
    ル状の形態を有することを特徴とする請求項1〜3いず
    れか1項記載の非水電解質二次電池。
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