JP2003092117A - 燃料電池用セパレータおよびその製造方法 - Google Patents
燃料電池用セパレータおよびその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ステンレス鋼板の表面に施す金メッキ層の剥
離や割れを防止して耐食性および耐久性の大幅な向上が
図られる燃料電池用セパレータおよびその製造方法を提
供する。 【解決手段】 ステンレス鋼板の表面に粒界腐食によっ
て空隙を形成し、この空隙に埋め込まれる状態に金メッ
キ層を形成する。ステンレス鋼板の表面の平均結晶粒径
をL(μm)、金メッキ層の厚さをd(μm)とした場
合、Lおよびdが0.2≦4/d/L≦80を満足させ
ることで、金メッキ層に剥離や割れが生じる曲げRの限
界値を小さくする。
離や割れを防止して耐食性および耐久性の大幅な向上が
図られる燃料電池用セパレータおよびその製造方法を提
供する。 【解決手段】 ステンレス鋼板の表面に粒界腐食によっ
て空隙を形成し、この空隙に埋め込まれる状態に金メッ
キ層を形成する。ステンレス鋼板の表面の平均結晶粒径
をL(μm)、金メッキ層の厚さをd(μm)とした場
合、Lおよびdが0.2≦4/d/L≦80を満足させ
ることで、金メッキ層に剥離や割れが生じる曲げRの限
界値を小さくする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体高分子型燃料
電池を構成するセパレータおよびその製造方法に関す
る。
電池を構成するセパレータおよびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】固体高分子型燃料電池は、平板状の電極
構造体(MEA:Membrane ElectrodeAssembly)の両側
にセパレータが積層された積層体が1ユニットとされ、
複数のユニットが積層されて燃料電池スタックとして構
成される。電極構造体は、正極(カソード)および負極
(アノード)を構成する一対のガス拡散電極の間にイオ
ン交換樹脂等からなる電解質膜が挟まれた三層構造であ
る。ガス拡散電極は、電解質膜に接触する電極触媒層の
外側にガス拡散層が形成されたものである。また、セパ
レータは、電極構造体のガス拡散電極に接触するように
積層され、ガス拡散電極との間にガスを流通させるガス
流路や冷媒流路が形成されている。このような燃料電池
によると、例えば、負極側のガス拡散電極に面するガス
流路に燃料である水素ガスを流し、正極側のガス拡散電
極に面するガス流路に酸素や空気等の酸化性ガスを流す
と電気化学反応が起こり、電気が発生する。
構造体(MEA:Membrane ElectrodeAssembly)の両側
にセパレータが積層された積層体が1ユニットとされ、
複数のユニットが積層されて燃料電池スタックとして構
成される。電極構造体は、正極(カソード)および負極
(アノード)を構成する一対のガス拡散電極の間にイオ
ン交換樹脂等からなる電解質膜が挟まれた三層構造であ
る。ガス拡散電極は、電解質膜に接触する電極触媒層の
外側にガス拡散層が形成されたものである。また、セパ
レータは、電極構造体のガス拡散電極に接触するように
積層され、ガス拡散電極との間にガスを流通させるガス
流路や冷媒流路が形成されている。このような燃料電池
によると、例えば、負極側のガス拡散電極に面するガス
流路に燃料である水素ガスを流し、正極側のガス拡散電
極に面するガス流路に酸素や空気等の酸化性ガスを流す
と電気化学反応が起こり、電気が発生する。
【0003】上記セパレータは、負極側の水素ガスの触
媒反応により発生した電子を外部回路へ供給する一方、
外部回路からの電子を正極側に送給する機能を具備する
必要がある。そこで、セパレータには黒鉛系材料や金属
系材料からなる導電性材料が用いられており、特に金属
系材料のものは、機械的強度に優れている点や、薄板化
による軽量・コンパクト化が可能である点で有利である
とされている。金属製のセパレータは、ステンレス鋼や
チタン合金等の高耐食性を備えた金属材料による薄板を
プレス加工して断面凹凸状に成形したものが挙げられ
る。
媒反応により発生した電子を外部回路へ供給する一方、
外部回路からの電子を正極側に送給する機能を具備する
必要がある。そこで、セパレータには黒鉛系材料や金属
系材料からなる導電性材料が用いられており、特に金属
系材料のものは、機械的強度に優れている点や、薄板化
による軽量・コンパクト化が可能である点で有利である
とされている。金属製のセパレータは、ステンレス鋼や
チタン合金等の高耐食性を備えた金属材料による薄板を
プレス加工して断面凹凸状に成形したものが挙げられ
る。
【0004】ところで、このようなセパレータが置かれ
る環境因子としては、以下の3つの因子が挙げられる。 温度:燃料電池の可動温度は常温から180℃程度で
あるから、セパレータもこの温度域にさらされる。
る環境因子としては、以下の3つの因子が挙げられる。 温度:燃料電池の可動温度は常温から180℃程度で
あるから、セパレータもこの温度域にさらされる。
【0005】pH:燃料電池内では、酸素と水素が反
応して水が生成される。この水は水蒸気の形で生成され
るが、セパレータに形成されているガス流路上で温度が
低下すると、液滴としてセパレータに付着する。また、
この付着水の量が増加すると、電極構造体とセパレータ
との間に水が滞留する。そして、電極構造体に付着した
水は、容易に電解質膜に接触する。このため、電解質膜
中の置換基の遊離等が発生し、付着水中に水素イオンが
発生してその付着水のpHが低下する。燃料電池の置換
基としては、スルホン基が一般的であり、上記付着水と
しては、例えば硫酸等の酸性を呈する。
応して水が生成される。この水は水蒸気の形で生成され
るが、セパレータに形成されているガス流路上で温度が
低下すると、液滴としてセパレータに付着する。また、
この付着水の量が増加すると、電極構造体とセパレータ
との間に水が滞留する。そして、電極構造体に付着した
水は、容易に電解質膜に接触する。このため、電解質膜
中の置換基の遊離等が発生し、付着水中に水素イオンが
発生してその付着水のpHが低下する。燃料電池の置換
基としては、スルホン基が一般的であり、上記付着水と
しては、例えば硫酸等の酸性を呈する。
【0006】ここで上記置換基を説明すると、燃料電池
内では、水素ガス供給側(アノード側)の触媒上で水素
から生成した水素イオンを酸化性ガス供給側(カソード
側)に移送することにより、カソード触媒に水素イオン
を供給する。そして、カソード触媒上で酸化性ガスと反
応して水を生成する作用を駆動力として、連続的に発電
が行われる。そのため、燃料電池の電解質膜は、アノー
ド側からカソード側へ水素イオンを移動させることがで
きる陽イオン導電型の電解質膜でなければならない。そ
のため、電解質膜分子の側鎖には、水素イオンと結合す
る形の結合基が存在しなければならない。燃料電池で
は、電解質膜の分子の一部を水素イオンと結合する酸型
の置換基を配することにより、上記機能を満足してい
る。この置換基は酸型であるため、電解質膜から遊離す
ると酸を生成する。一般に、電解質膜の水素イオンの移
送効率を高める上で、この置換基には水素イオンとの結
合力が高い強酸型が用いられ、このため、遊離して酸を
生成し、生成した酸は低pHとなる。
内では、水素ガス供給側(アノード側)の触媒上で水素
から生成した水素イオンを酸化性ガス供給側(カソード
側)に移送することにより、カソード触媒に水素イオン
を供給する。そして、カソード触媒上で酸化性ガスと反
応して水を生成する作用を駆動力として、連続的に発電
が行われる。そのため、燃料電池の電解質膜は、アノー
ド側からカソード側へ水素イオンを移動させることがで
きる陽イオン導電型の電解質膜でなければならない。そ
のため、電解質膜分子の側鎖には、水素イオンと結合す
る形の結合基が存在しなければならない。燃料電池で
は、電解質膜の分子の一部を水素イオンと結合する酸型
の置換基を配することにより、上記機能を満足してい
る。この置換基は酸型であるため、電解質膜から遊離す
ると酸を生成する。一般に、電解質膜の水素イオンの移
送効率を高める上で、この置換基には水素イオンとの結
合力が高い強酸型が用いられ、このため、遊離して酸を
生成し、生成した酸は低pHとなる。
【0007】電位:セパレータは、燃料ガス側および
酸化性ガス側に配置され、それぞれが電池の正極および
負極となる。これら2つのセパレータ間には、反応で生
じる起電力が電位差として生じる。一般的に、燃料ガス
に水素を、酸化性ガスに酸素を用いる燃料電池において
起電力で生じる電位差は、次の理由により最大1.2V
程度発生する。すなわち、水素と酸素により水を生成す
る化学反応で得られる起電力は、燃料電池の稼動温度域
では理論的な計算から1.2V程度とされており、実際
の発電においてもこれと同様で、1〜1.2V程度を発
生する。高耐食性を有するオーステナイト系ステンレス
板をセパレータに用いた場合では、起電力が0.9Vあ
たりを超えると金属イオンの溶出速度が大きくなってし
まい、腐食の発生を招く。
酸化性ガス側に配置され、それぞれが電池の正極および
負極となる。これら2つのセパレータ間には、反応で生
じる起電力が電位差として生じる。一般的に、燃料ガス
に水素を、酸化性ガスに酸素を用いる燃料電池において
起電力で生じる電位差は、次の理由により最大1.2V
程度発生する。すなわち、水素と酸素により水を生成す
る化学反応で得られる起電力は、燃料電池の稼動温度域
では理論的な計算から1.2V程度とされており、実際
の発電においてもこれと同様で、1〜1.2V程度を発
生する。高耐食性を有するオーステナイト系ステンレス
板をセパレータに用いた場合では、起電力が0.9Vあ
たりを超えると金属イオンの溶出速度が大きくなってし
まい、腐食の発生を招く。
【0008】燃料電池用のセパレータは、上記のように
温度、pH、電位の各因子とも、きわめて腐食しやすい
条件であるため、金属製のセパレータを用いた場合、例
えそれが高耐食性を有する材料(例えばSUS316
L)であっても腐食しやすい。したがって、金属製のセ
パレータには、燃料電池の稼動環境にあってきわめて高
い耐食性が求められる。また、金属製のセパレータに
は、この他に、断面凹凸状としてガス流路や冷媒流路を
形成するためのプレス加工が容易であることや、発電電
圧の低下を防ぐ点から他部材との接触抵抗がきわめて小
さいことが求められる。さらに、1つの燃料電池スタッ
クには、場合によっては数百枚のセパレータが用いられ
るので、低コストであることも必要となってくる。
温度、pH、電位の各因子とも、きわめて腐食しやすい
条件であるため、金属製のセパレータを用いた場合、例
えそれが高耐食性を有する材料(例えばSUS316
L)であっても腐食しやすい。したがって、金属製のセ
パレータには、燃料電池の稼動環境にあってきわめて高
い耐食性が求められる。また、金属製のセパレータに
は、この他に、断面凹凸状としてガス流路や冷媒流路を
形成するためのプレス加工が容易であることや、発電電
圧の低下を防ぐ点から他部材との接触抵抗がきわめて小
さいことが求められる。さらに、1つの燃料電池スタッ
クには、場合によっては数百枚のセパレータが用いられ
るので、低コストであることも必要となってくる。
【0009】そこで、プレス加工が容易なステンレス鋼
板の表面に、高耐食性金属をメッキしたものが燃料電池
用セパレータとして望ましいとされる。ここで、ステン
レス鋼のSUS316L,Cu,Ag,Pt,Auの耐
食性を、温度90℃、pH3の硫酸溶液、1.2Vの条
件による腐食電流密度をそれぞれ測定することにより比
較を行ったところ、SUS316L:156μA/cm
2、Cu:98μA/cm2、Ag:38μA/c
m2、Pt:18μA/cm2、Au:2μA/c
m2、であった。燃料電池として実用的な耐久性を確保
する上では、腐食電流密度は10μA/cm2以下であ
ることが望ましく、したがって、その条件を満たす元素
は金であることが判る。したがって、ステンレス鋼板等
の素材に金メッキを施したものが、燃料電池用セパレー
タとして有望である。
板の表面に、高耐食性金属をメッキしたものが燃料電池
用セパレータとして望ましいとされる。ここで、ステン
レス鋼のSUS316L,Cu,Ag,Pt,Auの耐
食性を、温度90℃、pH3の硫酸溶液、1.2Vの条
件による腐食電流密度をそれぞれ測定することにより比
較を行ったところ、SUS316L:156μA/cm
2、Cu:98μA/cm2、Ag:38μA/c
m2、Pt:18μA/cm2、Au:2μA/c
m2、であった。燃料電池として実用的な耐久性を確保
する上では、腐食電流密度は10μA/cm2以下であ
ることが望ましく、したがって、その条件を満たす元素
は金であることが判る。したがって、ステンレス鋼板等
の素材に金メッキを施したものが、燃料電池用セパレー
タとして有望である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ステンレス
鋼に通常の方法で金メッキを施した場合にあっては、金
メッキがステンレス鋼に物理的に付着しているだけの状
態であるから、密着性はそれほど高くないと言える。し
たがって、断面凹凸状で、その屈曲部のRがきわめて小
さいセパレータをプレス加工により成形した場合、密着
性の不足により金メッキの剥離が発生しやすい。剥離が
発生すると、金メッキと母材であるステンレス鋼板との
間の接触抵抗が増加し、低接触抵抗性を満足できない。
そして、剥離した金メッキが脱落したり、プレス加工に
よりメッキ層に割れが生じた場合、露出したステンレス
鋼板が容易に腐食されるので、燃料電池として必要な耐
食性を満足することができない。
鋼に通常の方法で金メッキを施した場合にあっては、金
メッキがステンレス鋼に物理的に付着しているだけの状
態であるから、密着性はそれほど高くないと言える。し
たがって、断面凹凸状で、その屈曲部のRがきわめて小
さいセパレータをプレス加工により成形した場合、密着
性の不足により金メッキの剥離が発生しやすい。剥離が
発生すると、金メッキと母材であるステンレス鋼板との
間の接触抵抗が増加し、低接触抵抗性を満足できない。
そして、剥離した金メッキが脱落したり、プレス加工に
よりメッキ層に割れが生じた場合、露出したステンレス
鋼板が容易に腐食されるので、燃料電池として必要な耐
食性を満足することができない。
【0011】よって本発明は、ステンレス鋼板の表面に
施す金メッキ層の剥離や割れを防止して耐食性および耐
久性の大幅な向上が図られる燃料電池用セパレータおよ
びその製造方法を提供することを目的としている。
施す金メッキ層の剥離や割れを防止して耐食性および耐
久性の大幅な向上が図られる燃料電池用セパレータおよ
びその製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の燃料電池用セパ
レータは、ステンレス鋼板の表面に金の被覆層が形成さ
れた燃料電池用セパレータであって、ステンレス鋼板の
表面には粒界腐食により空隙が形成されており、この空
隙に埋め込まれる状態に金の被覆層が形成されているこ
とを特徴とする。ステンレス鋼板としては、例えばオー
ステナイト系ステンレス鋼板が用いられ、その場合の表
面の結晶粒界はオーステナイト結晶粒界となる。
レータは、ステンレス鋼板の表面に金の被覆層が形成さ
れた燃料電池用セパレータであって、ステンレス鋼板の
表面には粒界腐食により空隙が形成されており、この空
隙に埋め込まれる状態に金の被覆層が形成されているこ
とを特徴とする。ステンレス鋼板としては、例えばオー
ステナイト系ステンレス鋼板が用いられ、その場合の表
面の結晶粒界はオーステナイト結晶粒界となる。
【0013】本発明の燃料電池セパレータによれば、ス
テンレス鋼板の表面に金の被覆層が形成されることによ
り、耐食性の向上が図られているが、その金の被覆層
は、ステンレス鋼板の表面に粒界腐食によって形成され
た空隙に埋め込まれている状態である。このため、金の
被覆層は物理的なアンカー効果によりステンレス鋼板の
表面に強固に付着する。したがって、ガス流路等を形成
するためにプレス加工されても、屈曲部における金の被
覆層の剥離や割れが防止され、優れた耐久性が発揮され
る。
テンレス鋼板の表面に金の被覆層が形成されることによ
り、耐食性の向上が図られているが、その金の被覆層
は、ステンレス鋼板の表面に粒界腐食によって形成され
た空隙に埋め込まれている状態である。このため、金の
被覆層は物理的なアンカー効果によりステンレス鋼板の
表面に強固に付着する。したがって、ガス流路等を形成
するためにプレス加工されても、屈曲部における金の被
覆層の剥離や割れが防止され、優れた耐久性が発揮され
る。
【0014】次に、本発明の燃料電池用セパレータの製
造方法は、上記セパレータを好適に製造する方法であっ
て、ステンレス鋼板の表面に粒界腐食処理を施し、その
処理面に金を被覆し、この後、プレス成形を行うことを
特徴とする。ステンレス鋼板の表面を粒界腐食させる方
法としては、例えば化学的なエッチング処理を採用する
ことができ、ステンレス鋼板の表面には粒界腐食によっ
て空隙が形成される。その表面に金を被覆する方法とし
ては、一般的なメッキによる方法を採用することがで
き、金メッキ層を形成すると、その金メッキ層の一部
が、粒界腐食によって形成された空隙に埋め込まれる。
これによって、上記本発明のセパレータを製造すること
ができる。
造方法は、上記セパレータを好適に製造する方法であっ
て、ステンレス鋼板の表面に粒界腐食処理を施し、その
処理面に金を被覆し、この後、プレス成形を行うことを
特徴とする。ステンレス鋼板の表面を粒界腐食させる方
法としては、例えば化学的なエッチング処理を採用する
ことができ、ステンレス鋼板の表面には粒界腐食によっ
て空隙が形成される。その表面に金を被覆する方法とし
ては、一般的なメッキによる方法を採用することがで
き、金メッキ層を形成すると、その金メッキ層の一部
が、粒界腐食によって形成された空隙に埋め込まれる。
これによって、上記本発明のセパレータを製造すること
ができる。
【0015】本発明では、粒界腐食で形成される空隙が
多くなって金の被覆層の密着力が高くなることから、ス
テンレス鋼板の表面の結晶粒径が小さくて粒界が多数存
在することが望ましい。しかしながら、例えば金の被覆
層を金メッキ層とした場合、粒界上の金メッキ層にはピ
ット状の欠陥が発生しやすいため、空隙が多すぎるとそ
の欠陥が増加して密度が増す。そして、そのような状態
でプレス加工を行うと、欠陥どうしが亀裂により連絡
し、これが原因で金メッキ層に割れが発生してしまう。
このため、ステンレス鋼板の表面の結晶粒径は、ある一
定範囲内の大きさであることが望ましい。また、前述の
アンカー効果は、金の被覆層の厚さに大きく依存するも
のであり、金の被覆層が適度に薄いとアンカー効果がよ
く得られる。したがって、金の被覆層の単位体積当たり
のアンカー距離を規定することにより、金の被覆層に応
じた最適な結晶粒径を規定することができることにつな
がる。そこで本発明者は、この点について種々検討した
結果、ステンレス鋼板の表面の平均結晶粒径をL(μ
m)、金の被覆層の厚さをd(μm)とした場合、Lお
よびdが、 0.2≦4/d/L≦80 を満たすと、十分なアンカー効果を得ることができるこ
とを見い出した。したがって、本発明ではこの条件を好
ましい形態としている。
多くなって金の被覆層の密着力が高くなることから、ス
テンレス鋼板の表面の結晶粒径が小さくて粒界が多数存
在することが望ましい。しかしながら、例えば金の被覆
層を金メッキ層とした場合、粒界上の金メッキ層にはピ
ット状の欠陥が発生しやすいため、空隙が多すぎるとそ
の欠陥が増加して密度が増す。そして、そのような状態
でプレス加工を行うと、欠陥どうしが亀裂により連絡
し、これが原因で金メッキ層に割れが発生してしまう。
このため、ステンレス鋼板の表面の結晶粒径は、ある一
定範囲内の大きさであることが望ましい。また、前述の
アンカー効果は、金の被覆層の厚さに大きく依存するも
のであり、金の被覆層が適度に薄いとアンカー効果がよ
く得られる。したがって、金の被覆層の単位体積当たり
のアンカー距離を規定することにより、金の被覆層に応
じた最適な結晶粒径を規定することができることにつな
がる。そこで本発明者は、この点について種々検討した
結果、ステンレス鋼板の表面の平均結晶粒径をL(μ
m)、金の被覆層の厚さをd(μm)とした場合、Lお
よびdが、 0.2≦4/d/L≦80 を満たすと、十分なアンカー効果を得ることができるこ
とを見い出した。したがって、本発明ではこの条件を好
ましい形態としている。
【0016】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。表1に示
す組成を有するステンレス鋼(SUS316Lに相当)
からなる、100mm×100mm、厚さ0.2mmの
正方形板で、表面の平均結晶粒径Lが15μmおよび5
μmの試験片を多数用意した。
す組成を有するステンレス鋼(SUS316Lに相当)
からなる、100mm×100mm、厚さ0.2mmの
正方形板で、表面の平均結晶粒径Lが15μmおよび5
μmの試験片を多数用意した。
【0017】
【表1】
【0018】これら試験片を3つのグループA,B,C
に分け、各グループの試験片に、種類の異なる化学エッ
チング液を用いて表面を粒界腐食した。化学エッチング
液は次の3種類である。 ・Aグループ:硝酸10%、フッ酸4%、50℃浴 ・Bグループ:硝酸20%、フッ酸8%、50℃浴 ・Cグループ:硝酸25%、塩酸50%、グリセリン2
5%
に分け、各グループの試験片に、種類の異なる化学エッ
チング液を用いて表面を粒界腐食した。化学エッチング
液は次の3種類である。 ・Aグループ:硝酸10%、フッ酸4%、50℃浴 ・Bグループ:硝酸20%、フッ酸8%、50℃浴 ・Cグループ:硝酸25%、塩酸50%、グリセリン2
5%
【0019】次に、各グループごとに、厚さの異なる金
メッキ層を試験片の表面に施した。金メッキ層の浴塩
は、シアン化金K:12g/l、クエン酸K:125g
/l、EDTA Co塩:3g/lであり、浴塩温度、
電流密度、時間を適宜に変えることで、金メッキ層の厚
さを調整した。金メッキ層を形成した後、各試験片につ
き、表面の平均結晶粒径をL(μm)、金メッキ層の厚
さをd(μm)とした場合の「4/d/L」を求めた。
続いて、各試験片を曲げ加工して金メッキ層に剥離や割
れが生じる曲げRの限界値を調べた。各グループごとの
上記「4/d/L」と曲げRの限界値との関係を、図1
に示す。
メッキ層を試験片の表面に施した。金メッキ層の浴塩
は、シアン化金K:12g/l、クエン酸K:125g
/l、EDTA Co塩:3g/lであり、浴塩温度、
電流密度、時間を適宜に変えることで、金メッキ層の厚
さを調整した。金メッキ層を形成した後、各試験片につ
き、表面の平均結晶粒径をL(μm)、金メッキ層の厚
さをd(μm)とした場合の「4/d/L」を求めた。
続いて、各試験片を曲げ加工して金メッキ層に剥離や割
れが生じる曲げRの限界値を調べた。各グループごとの
上記「4/d/L」と曲げRの限界値との関係を、図1
に示す。
【0020】図1によれば、表面の平均結晶粒径をL
(μm)、金メッキ層の厚さをd(μm)とした場合の
「4/d/L」の値が0.2≦4/d/L≦80の範囲
で、曲げRが100μm前後と小さく、この範囲を逸脱
すると曲げRの限界値が著しく上昇することが認められ
る。よって、「4/d/L」の値が0.2≦4/d/L
≦80の範囲において、金メッキ層の剥離や割れが防止
されて長期にわたり強固な耐久性が保持されるセパレー
タを得ることができることが確かめられた。
(μm)、金メッキ層の厚さをd(μm)とした場合の
「4/d/L」の値が0.2≦4/d/L≦80の範囲
で、曲げRが100μm前後と小さく、この範囲を逸脱
すると曲げRの限界値が著しく上昇することが認められ
る。よって、「4/d/L」の値が0.2≦4/d/L
≦80の範囲において、金メッキ層の剥離や割れが防止
されて長期にわたり強固な耐久性が保持されるセパレー
タを得ることができることが確かめられた。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
母材であるステンレス鋼板の表面に粒界腐食によって空
隙が形成されており、この空隙に埋め込まれる状態に金
の被覆層が形成されているので、金の被覆層に剥離や割
れが生じる曲げRの限界値がきわめて小さくなり、これ
によって金の被覆層の剥離や割れが防止されて耐食性な
らびに耐久性が大幅に向上するといった効果を奏する。
母材であるステンレス鋼板の表面に粒界腐食によって空
隙が形成されており、この空隙に埋め込まれる状態に金
の被覆層が形成されているので、金の被覆層に剥離や割
れが生じる曲げRの限界値がきわめて小さくなり、これ
によって金の被覆層の剥離や割れが防止されて耐食性な
らびに耐久性が大幅に向上するといった効果を奏する。
【図1】 本発明の実施例で測定した母材のステンレス
鋼板の表面の平均結晶粒径L(μm)および金メッキ層
の厚さd(μm)についての関係式「4/d/L」と、
曲げRの限界値との関係を示す線図である。
鋼板の表面の平均結晶粒径L(μm)および金メッキ層
の厚さd(μm)についての関係式「4/d/L」と、
曲げRの限界値との関係を示す線図である。
─────────────────────────────────────────────────────
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(72)発明者 宇都宮 政男
埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会
社本田技術研究所内
Fターム(参考) 4K024 AA11 AB01 BA04 BB28 DA07
DB07 GA01
4K057 WA05 WB02 WB12 WE02 WE30
WF04 WK06 WN10
5H026 AA06 BB02 BB04 BB10 EE02
EE08 HH01 HH03
Claims (4)
- 【請求項1】 ステンレス鋼板の表面に金の被覆層が形
成された燃料電池用セパレータであって、前記ステンレ
ス鋼板の表面には粒界腐食により空隙が形成されてお
り、この空隙に埋め込まれる状態に前記金の被覆層が形
成されていることを特徴とする燃料電池用セパレータ。 - 【請求項2】 前記ステンレス鋼板の表面の平均結晶粒
径をL(μm)、前記金の被覆層の厚さをd(μm)と
した場合、Lおよびdが 0.2≦4/d/L≦80 を満たすことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用
セパレータ。 - 【請求項3】 ステンレス鋼板の表面に粒界腐食処理を
施し、その処理面に金を被覆し、この後、プレス成形を
行うことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方
法。 - 【請求項4】 前記ステンレス鋼板の表面の平均結晶粒
径をL(μm)、前記金の被覆層の厚さをd(μm)と
した場合、Lおよびdが 0.2≦4/d/L≦80 を満たすことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池用
セパレータの製造方法。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001285129A JP2003092117A (ja) | 2001-09-19 | 2001-09-19 | 燃料電池用セパレータおよびその製造方法 |
US10/245,301 US7001683B2 (en) | 2001-09-19 | 2002-09-18 | Separator for fuel cell and method for producing the same |
DE10243349A DE10243349B4 (de) | 2001-09-19 | 2002-09-18 | Separator für eine Brennstoffzelle und Verfahren zur Herstellung desselben |
CA002403882A CA2403882C (en) | 2001-09-19 | 2002-09-18 | Separator for fuel cell and method for producing the same |
US11/267,154 US20060068262A1 (en) | 2001-09-19 | 2005-11-07 | Separator for fuel cell and method for producing the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001285129A JP2003092117A (ja) | 2001-09-19 | 2001-09-19 | 燃料電池用セパレータおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003092117A true JP2003092117A (ja) | 2003-03-28 |
Family
ID=19108335
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001285129A Pending JP2003092117A (ja) | 2001-09-19 | 2001-09-19 | 燃料電池用セパレータおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003092117A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006028184A1 (ja) * | 2004-09-10 | 2006-03-16 | Neomax Materials Co., Ltd. | 燃料電池用セパレータおよびその製造方法 |
-
2001
- 2001-09-19 JP JP2001285129A patent/JP2003092117A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006028184A1 (ja) * | 2004-09-10 | 2006-03-16 | Neomax Materials Co., Ltd. | 燃料電池用セパレータおよびその製造方法 |
JPWO2006028184A1 (ja) * | 2004-09-10 | 2008-05-08 | 株式会社Neomaxマテリアル | 燃料電池用セパレータおよびその製造方法 |
JP5234711B2 (ja) * | 2004-09-10 | 2013-07-10 | 株式会社Neomaxマテリアル | 燃料電池用セパレータおよびその製造方法 |
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