JP2002191387A - 乳酸菌培養上清およびその製造方法並びに当該上清を利用する皮膚外用剤 - Google Patents

乳酸菌培養上清およびその製造方法並びに当該上清を利用する皮膚外用剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乳酸菌培養上清の香気成分を低減した乳酸菌
培養上清およびその製造方法並びに当該乳酸菌培養上清
を使用した皮膚外用剤組成物を提供すること。 【解決手段】 乳を主成分とする培地で乳酸菌の培養を
行なうに際し、酸素を排除することにより、発酵臭と感
じられる香気成分であるダイアセチルの量を大幅に低減
した乳酸菌培養上清およびその製造方法並びに当該乳酸
菌培養上清を使用した嗜好性の高い皮膚外用剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の香気成分の
低減された乳酸菌培養上清の製造方法に関し、更に詳し
くは、乳酸菌の発酵過程で生じる特有の発酵臭と感じら
れる香気成分を低減させた乳酸菌培養上清およびその製
造方法並びにそれを配合することで得られる嗜好性の高
い皮膚外用剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】乳酸菌培養上清は、乳を主成分とする培
地に乳酸菌を接種して得られた培養物の乳清からなり、
皮膚外用剤として保湿作用(日本香粧品科学会誌,6(4),
p238,1982)、抗酸化作用(日本香粧品学会第7回学術
学会公演要旨,59,1982)、光防御作用(日本香粧品学会
第8回学術学会公演要旨,210,1983)、皮膚菌叢のコント
ロール作用、皮膚pHコントロール作用(日本香粧品学
会第9回学術学会公演要旨,132,1984)など多数の効果
が報告されている。
【0003】しかしながら乳酸菌培養上清は、乳酸発酵
により生じた微量の香気成分を含有している。そのため
乳酸菌培養上清を化粧品等に配合した場合、この特有の
発酵臭が製品の腐敗など品質の低下を連想させ、その結
果嗜好性が低下するといった問題を生じさせていた。
【0004】この問題を解決するため、乳酸菌培養上清
の香気成分を除去する方法が検討されており、例えば、
乳清を減圧加熱して乳清中の香気成分が実質的に除去さ
れるまで、その一部を蒸発させる方法等が知られている
(特開昭58−192811等)。しかしながら、この
方法では香気成分の除去が不完全であること、および乳
清が熱変性をするという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、乳酸菌培養上清の香気成分を低減した乳酸菌培養上
清およびその製造方法並びに当該乳酸菌培養上清を使用
した皮膚外用剤組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決すべ
く、本発明者らは鋭意研究を行った結果、乳を主成分と
する培地で乳酸菌の培養を行なうに際し、酸素を排除す
ることにより、発酵臭と感じられる香気成分であるダイ
アセチルの量を大幅に低減させることができることを見
出した。また更に、そのようにして製造された乳酸菌培
養物を更に炭酸塩で処理することにより、更に他の香気
成分量も低減させることが可能であることを見出し、本
発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、乳を主成分とする培
地に乳酸菌を接種した後、当該培地を不活性気体の置換
下培養し、得られた乳酸菌培養物中から上清を分離する
ことにより得られる香気成分の低減された乳酸菌培養上
清を提供するものである。
【0008】また、本発明は、乳を主成分とする培地に
乳酸菌を接種して乳酸菌の培養を行い、得られた乳酸菌
培養物より上清を得る乳酸菌培養上清の製造方法におい
て、乳酸菌の培養を不活性気体の存在下で行うことを特
徴とする、香気成分の低減された乳酸菌培養上清の製造
方法を提供するものである。
【0009】更に、本発明は、前記の香気成分の低減さ
れた乳酸菌培養上清を配合することを特徴とする皮膚外
用剤組成物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の香気成分の低減された培
養上清(以下、「無臭培養上清」ということがある)
は、培地に乳酸菌を接種後の乳酸菌培養を不活性気体の
置換下で行うことにより得られる。本発明の無臭培養上
清の製造にあたり使用される不活性気体としては、窒素
ガス、アルゴンガス、炭酸ガス、ヘリウムガス、ネオン
ガス、クリプトンガス、キセノンガス、ラドンガス、水
素ガス、プロパンガスなどの反応性が低い気体が挙げら
れ、特に費用、安全性等の点から窒素ガス、アルゴンガ
ス、炭酸ガス、ヘリウムガスが好ましい。
【0011】この不活性気体は、乳酸菌発酵培地を実質
的に脱酸素するために充分な量であれば良いが、例え
ば、窒素ガスを使用する場合、乳酸菌培養培地を高温滅
菌した後の冷却工程において、水蒸気の液化による減圧
分を補うのに十分な量の窒素ガスを注入して常に陽圧状
態を保ち続ける。また、培養中も窒素ガスを注入し続け
るか、密閉することにより嫌気状態に保つことが好まし
い。
【0012】本発明の無臭培養上清の製造は、上記以外
は乳酸菌培養の常法に従って実施できる。すなわち、乳
酸発酵に用いる乳酸菌は乳酸菌飲料等の飲食品等に通常
使用されているものであれば特に限定されることなく乳
酸菌培養に利用することができ、その例としては、ラク
トバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ブルガ
リクス、ラクトバチルス・カゼイ等のラクトバチルス
属、ラクトコッカス・ラクチス等のラクトコッカス属、
ストレプトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・
サーモフィルス等のストレプトコッカス属、ロイコノス
トック属、ビフィドバクテリウム属等が挙げられる。特
にストレプトコッカス・サーモフィルスが好ましい。
【0013】また、乳酸菌培養の培地に用いられる乳と
しては特に限定されるものではなく、例えば人乳、牛
乳、山羊乳等の獣乳や、これらの獣乳の脱脂乳、粉乳や
脱脂粉乳からの還元乳等が挙げられ、何れも好適に使用
できるが、乳酸発酵後の処理の容易性、入手の容易性、
経済性等の点から、脱脂乳、または還元脱脂乳が好まし
い。
【0014】更に、製品の風味に関する影響が許容でき
る範囲内、あるいは本発明品の効果に影響を与えない範
囲内であれば、通常、乳酸菌発酵用の培地に対して添加
される酵母エキス、ペプトン等の生育促進物質や、L−
アスコルビン酸、L−システイン等の還元剤等を添加し
てもよい。
【0015】更にまた、乳酸菌を接種した後の培養条件
は特に規定するものではなく、一般に乳酸菌の培養に用
いられている条件であれば、いずれも好適に使用するこ
とができる。具体的には、例えば、上記のような培地を
100℃〜115℃程度の温度で15〜100分間程度
加熱殺菌した後、窒素ガス等の不活性気体をフィルター
を通して充分に注入して脱酸素をすればよい。その後、
培地に乳酸菌を接種して37℃にて2〜3日間培養すれ
ば良い。また培養時には減圧していてもよい。
【0016】乳酸菌のスターター培地への接種量は、
0.1〜5質量%が良く、特に0.3〜1質量%が好まし
い。培養温度は、乳酸菌が生育できる温度であればよ
い。具体的には30〜40℃が良く、特に35〜38℃
が好ましい。また、乳酸菌の培養は、乳酸菌が定常増殖
期に到達するまで行えばよく、pHが5.0〜3.5、特
に4.2〜3.8に達するまで行うのが好ましい。
【0017】かくして得られた培養物からは、常法に従
い処理することにより無臭培養上清を得ることができ
る。すなわち、乳酸菌培養培地をろ過、遠心分離等の処
理に付すことにより、ダイアセチル等の香気成分が低減
した培養上精を分取することができる。
【0018】なお、上記のようにすることにより培養上
清中のダイアセチル等の香気成分は著しく低減するが、
更に他の香気成分も減少させ、化粧料用配合成分として
より好ましいものとするには、乳酸菌発酵終了後の培養
物へ難溶性または不溶性の炭酸塩、またはタルクを添加
して攪拌後、前記と同様にして培養上清を分離取得する
ことが好ましい。
【0019】このような炭酸塩の添加処理に用いられる
炭酸塩としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、
炭酸亜鉛、炭酸ニッケル、炭酸バリウム、炭酸プラセオ
ジム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウムカルシウム、
炭酸ラジウム、炭酸イットリウム、炭酸カドミウム、炭
酸銀、炭酸クロム、炭酸コバルト、炭酸ジスプロシウ
ム、炭酸水銀、炭酸セリウム、炭酸鉄、炭酸銅、炭酸ス
トロンチウム、炭酸マンガン、炭酸鉛等が好ましく、特
に炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムが好ましい。この
処理における炭酸塩の添加量は培養物に対し0.005
%〜10%が好ましく、より好ましくは0.1%〜2
%、更に好ましくは0.3%〜1.2%、特に0.4%〜
1%が好ましい。
【0020】以上のようにして得られた無臭培養上精
は、そのまま各種製品に使用してもよいが、効果を損な
わない範囲で加熱処理、蒸発処理、減圧処理等の通常用
いられる処理を行ってから使用しても良い。
【0021】本発明の無臭培養上清は、常法に従って、
化粧品、医薬品、医薬部外品等の皮膚外用剤組成物に配
合することができ、化粧水、乳液、保湿クリーム、クレ
ンジングクリーム、マッサージクリーム、洗顔クリー
ム、パック、美容液等の基礎化粧品、シャンプー、リン
ス、トリートメント、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘ
アクリーム、ヘアミルク等の頭髪用製品、入浴剤等の浴
用化粧品、ファンデーション、口紅、マスカラ、アイシ
ャドウ等のメーキャップ化粧品、日焼け止め等の特殊化
粧品、アフターシェーブローション、ボディーソープ等
種々の形態とすることができる。この場合の、無臭培養
上精の配合量は、皮膚外用剤組成物の形態等によって異
なるが、通常0.1〜80質量%が好ましく、特に1〜
50質量%が好ましい。
【0022】上記無臭培養上清を利用する本発明の皮膚
外用剤組成物は、通常用いられている製造方法により製
造される。例えば精製水や、化粧水基剤、クリーム基
剤、乳液基剤等に本発明の無臭培養上精を、所望の作用
効果を発揮するように適量溶解若しくは分散させれば良
い。この際、無臭培養上精自体の有する効果や香気成分
の低減効果を有効に発揮させるためには、皮膚外用剤組
成物のpHを4.0〜10.0、特に4.5 〜8.0に調
整することが望ましい。このpHの調整には通常使用さ
れるpH調整剤を使用すれば良く、例えば水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、クエン酸、リンゴ酸等を使用す
ることができる。
【0023】また、本発明の皮膚外用剤組成物には、上
記必須成分の他に、通常皮膚外用剤に用いられる原料、
例えば界面活性剤、油分、アルコール類、保湿剤、増粘
剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香
料、色素、紫外線吸収・散乱剤、粉体、ビタミン類、ア
ミノ酸類、水溶性高分子、発泡剤、顔料、植物抽出物、
動物由来成分、海藻抽出物、各種薬剤、添加剤、水等を
配合することができる。
【0024】界面活性剤としては、モノラウリン酸ソル
ビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン
酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリ
ン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸
ポリオキセチレンソルビタン、ポリエチレングリコール
モノオレート、ポリエチレングリコールアルキレート、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコール
ジエーテル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸
イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂
肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、
シュガーエステル等の非イオン性界面活性剤、親油型グ
リセリンモノステアレート、自己乳化型グリセリンモノ
ステアレート、ポリグリセリンモノステアレート、ポリ
グリセリンアルキレート、ソルビタンモノオレート、ポ
リエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエ
チレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンセ
チルエーテル、ポリオキシエチレン化ステロール、ポリ
オキシエチレン化ラノリン、ポリオキシエチレン化蜜ロ
ウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のノニオン界面
活性剤、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウ
ム、セチル硫酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウ
ム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、パル
ミチン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラ
ウリルリン酸ナトリウム、N−アシルグルタミン酸ナト
リウム等のアニオン界面活性剤、塩化ステアリルジメチ
ルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルア
ンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオ
キサイド等のカチオン界面活性剤、塩酸アルキルアミノ
エチルグリシン液、レシチン等の両性界面活性剤等を例
示することができる。
【0025】油分としては、マカデミアナッツ油、ヒマ
シ油、オリーブ油、カカオ油、椿油、ヤシ油、木ロウ、
ホホバ油、グレープシード油、アボガド油等の植物油脂
類、ミンク油、卵黄油等の動物油脂類、蜜ロウ、鯨ロ
ウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等の
ロウ類、流動パラフィン、スクワラン、マイクロクリス
タリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワック
ス、ワセリン等の炭化水素類、ラウリン酸、ミリスチン
酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベ
ヘニン酸、パルミチン酸、カプリン酸、ラノリン脂肪
酸、リノール酸、リノレン酸等の天然および合成脂肪酸
類、セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカ
ノール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、
カプリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルア
ルコール、コレステロール、フィトステロール等の天然
および合成高級アルコール類、ミリスチン酸イソプロピ
ル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチル
ドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロー
ルオレエート等のエステル類等を例示することができ
る。
【0026】保湿剤としては、グリセリン、エリスリト
ール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコ
ール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、ポ
リグリセリン、ポリエチレングリコール、ジプロピレン
グリコール、1,2−ペンタンジオール等のペンチレン
グリコール、イソプロピレングリコール等の多価アルコ
ール類、アミノ酸、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボ
ン酸ナトリウム等の天然保湿成分、キシログルカン、ク
インスシード、カラギーナン、ペクチン、マンナン、カ
ードラン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲ
ン、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、
ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカ
ン、カロニン酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸ナトリウ
ム、ヒアルロン酸、コラーゲン、ムコ多糖類、コンドロ
イチン硫酸等の水溶性高分子物質等を例示することがで
きる。
【0027】防腐剤としては、安息香酸塩、サリチル酸
塩、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、パラオキシ安息香
酸エステル、2,4,4'−トリクロロ−2'−ヒドロキシ
ジフェニルエーテル、3,4,4'−トリクロロカルバニ
リド、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、レゾル
シン、ヘキサクロロフェン、エタノール等を例示するこ
とができる。
【0028】酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシ
トルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロ
ピル、アスコルビン酸等を、キレート剤としては、エデ
ト酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、クエン
酸、酒石酸、グルコン酸等を、pH調整剤としては、水
酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、クエン酸、ク
エン酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸水素カリウ
ム等をそれぞれ例示することができる。
【0029】紫外線吸収・散乱剤としては、パラアミノ
安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収
剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収
剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収
剤、3−(4’−メチルベンジリデン)−d−カンファ
ー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、ウロカニ
ン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5
−メチルベンゾキサゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、
4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、
5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3
−ペンタン−2−オン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ
ベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエ
ート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート、酸化
チタン、カオリン、タルク等を例示することができる。
【0030】ビタミン類としては、β−カロチンおよび
その誘導体、レチノールおよびその誘導体またはエステ
ル等のビタミンA類、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB
6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、
ビタミンB2およびその誘導体、ビタミンB12、ビタ
ミンB15およびその誘導体等のビタミンB類、アスコ
ルビン酸、アスコルビン酸硫酸エステルおよびその塩、
アスコルビン酸リン酸エステルおよびその塩、アスコル
ビン酸ジパルミテート、アスコルビン酸グルコシド、ア
シルアスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸テトラ
イソパルミテート等のビタミンC類、ビタミンD、α−
トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロ
ール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミ
ンF、パントテン酸、パンテチン、ビタミンH、ビタミ
ンK、ビタミンP、ビタミンU、カルニチン、フェルラ
酸、γ−オリザノール、α−リポ酸、オロット酸および
それらの誘導体等を例示することができる。
【0031】アミノ酸類としては、グリシン、アラニ
ン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオ
ニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン、グ
ルタミン、タウリン、トリプトファン、シスチン、シス
テイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、
アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジ
ン、リジンおよびそれらの誘導体等を例示することがで
きる。
【0032】増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、
キサンタンガム、硅酸アルミニウム、マルメロ種子抽出
物、アラビアガム、ヒドロキシエチレングァーガム、カ
ルボキシメチレングァーガム、グァーガム、デキストラ
ン、トラガントガム、デンプン、キチン、キトサン、カ
ルボキシメチルキチン、寒天等の天然高分子物質、セル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロ
キシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、可
溶性デンプン、カチオン化セルロース等の半合成高分子
物質、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ビニルアルコール・酢酸ビ
ニル共重合体、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合
体等の合成高分子物質等を例示することができる。
【0033】植物抽出物としては、ギシギシ、クララ、
コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリソウ、ゼニアオ
イ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギ
ナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、
ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラ、ブク
リョウ、サンシシ、オウゴン、甘草、カワラヨモギ、ク
ジン、ヨクイニン、ニンドウ、シャクヤク、ソウハク
ヒ、サンザシ、ボタンピ、セファランチン等からの抽出
物を例示することができる。
【0034】海藻抽出物としては、褐藻、紅藻、緑藻、
藍藻等からの抽出液があり、具体的にはコンブ、マコン
ブ、ワカメ、ヒジキ、テングサ、サンゴモ、パルマリ
ア、ツノマタ、ノリ、アオサ、アナアオサ、アスコフィ
ラム、ヒバマタ、モズク、オキナワモズク、ヒマンタリ
ア等からの抽出物を例示することができる。
【0035】各種薬剤としては、ニコチン酸アミド、ニ
コチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、
グリチルリチン酸およびその塩、グリチルレチン酸およ
びその誘導体、ヒノキチオール、ビサボロール、ユーカ
ルプトーン、チモール、イノシトール、サイコサポニ
ン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポ
ニン等のサポニン類、パントテニルエチルエーテル、エ
チニルエストラジオール、トラネキサム酸、アルブチ
ン、プラセンタエキス等を例示することができる。
【0036】
【実施例】以下、試験例および実施例によって本発明を
更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら制約され
るものではない。
【0037】試 験 例 1 乳酸培養上清の製造:脱脂粉乳の8%水溶液を加熱殺菌
しただけの培地(以下、「好気培地」という)と前記培
地に窒素ガスを飽和するまで注入した培地(以下、「窒
素置換処理培地」という)を調製した。このようにして
得られた2種類の培地各々に、ストレプトコッカス・サ
ーモフィルス YIT2001(FERM P−118
91)のスターターを1%接種した。その後、窒素ガス
を注入した培地には、再度窒素ガスを注入し空気を追い
出した後、密封した。そして両培地とも37℃で24時
間攪拌培養後、48時間静置培養した。培養終了後、フ
ィルターでろ過した。
【0038】ろ過後、更に各々の培地を3等分し、一つ
はそのまま培養上清として用いた。残りのうちの一つ
は、65℃で減圧加熱し、培地の全量が10%減少する
まで濃縮(以下、「デアレート処理」という)する工程
を行った後、減水分の水を補給し培養上清として用い
た。他の一つは、最終濃度が0.5%になるように炭酸
マグネシウムを添加して攪拌後、フィルターでろ過する
工程(以下、「炭マグ処理」という)を行った後、培養
上清として用いた。
【0039】このようにして得られた窒素置換処理培地
の培養上精(以下、「窒素置換S.E.」という)、およ
び好気培地の培養上精(以下、「好気培養S.E.」とい
う)、並びに各々のデアレート処理培養上清および炭マ
グ処理培養上清について、検体をフラスコに採り、50
℃の一定温度にしたのち、上部雰囲気を採取してガスク
ロマトグラフィーによる香気成分の定量を行った。その
結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】表1の結果より、窒素置換処理によりダイ
アセチルの量が約95%減少し、低減効果が認められ
た。また、デアレート処理、炭マグ処理単独よりも、窒
素置換処理を併用したほうがより高い効果が得られ、特
に炭マグ処理との併用の効果が高かった。
【0042】実 施 例 1 化粧水(1):乳酸菌のスターターとしてはストレプト
コッカス・サーモフィルスを使用し、他は試験例1と同
様の方法により窒素置換S.E.を得た。この窒素置換
S.E.を用い、以下に示す組成の化粧水を、下記処方よ
り調製した。この化粧水は、1,3−ブチレングリコー
ルおよびクエン酸ナトリウムを除く他の成分をまず混合
した後、水酸化ナトリウムによりpH6.0に調製し、
その後前記成分を混合して製造した。
【0043】 ( 処方 ) ( % ) ブルシン変性アルコール 10 窒素置換S.E. 10又は20 1,3−ブチレングリコール 2 クエン酸ナトリウム 適量 精製水 残余
【0044】比 較 例 1 化粧水(2):実施例1の窒素置換S.E.を好気培養
S.E.に変える以外は実施例1と同様に化粧水を製造し
た。
【0045】試 験 例 2 使 用 感 試 験 :専門パネル12人を対象にして、実
施例1および比較例2で得られた化粧水を肌に塗布し、
下記に記す測定方法および判断基準に基づいてスコアを
つけて使用感試験を行った。結果を表2に示す。
【0046】<測定方法> 保湿性:上記のようにして得られた化粧水を乾性肌であ
る人(5人)の前腕内側に塗布し、30分後に塗布部分
の皮膚の水分量を水分量計(Skicon200型;IBS社
製)を用いて測定した。同一の実験を3回行い、皮膚の
水分量の平均値を求めた。
【0047】pH調整作用:この化粧水の処方から1,
3−ブチレングリコールおよびクエン酸ナトリウムを除
いた溶液の10mlをpH6.0に調整するのに必要な
水酸化ナトリウム溶液(0.1mol/L)の量(m
L)を求めた。
【0048】<判断基準> 評 点 : 評 価 +3 : 発酵臭がない。 +2 : どちらともいえない。 +1 : 発酵臭がある。
【0049】
【表2】
【0050】表2の結果より、好気培養S.E.を用いた化
粧水では、保湿性、およびpH調整作用の維持ができる
配合量10%以上で、10〜12名のパネラー(全体の
80〜100%)が不快臭があると感じたのに対し、窒
素置換S.E.を用いた化粧水では配合量が20%でも、ほ
とんどのパネラーが不快臭を感じなかった。
【0051】実 施 例 2 クリーム:以下に組成を示すクリームを常法により製造
した。なお、培養上清は実施例1で製造した窒素置換処
置培地でデアレート処理を行ったものを使用した。
【0052】 ( 処方 ) ( % ) スクワラン 10 2−エチルヘキサン酸セチル 10 精製ホホバ油 2 ヒドロキシステアリン酸コレステリル 3 ステアリン酸バチル 2 ベヘニルアルコール 2 グリチルレチン酸ステアリル 0.1 モノステアリン酸グリセリル 3 POE(20)ソルビタンモノステアレート 2 乳酸菌培養上清 3 ヒアルロン酸ナトリウム 0.02 1,3−ブチレングリコール 5 メチルパラベン 0.2 エデト酸二ナトリウム 0.1 水酸化ナトリウム 適量 カンゾウ抽出粉末 0.05 オウゴンエキス 2.0 サンザシエキス 2.0 クワエキス 2.0 トウキエキス 2.0 精製水 残余
【0053】実 施 例 3 ローション:以下に組成を示すローションを、常法によ
り製造した。なお、培養上清は実施例1で製造した窒素
置換処理培地でデアレート処理を行ったものを使用し
た。
【0054】 ( 処方 ) ( % ) 乳酸菌培養上清 30 エタノール 5 POE(40)硬化ヒマシ油 0.1 グリチルレチン酸ジカリウム 0.1 エデト酸二ナトリウム 0.1 1,3−ブチレングリコール 0.5 メチルパラベン 0.15 ヒアルロン酸ナトリウム 0.01 1,2−ペンタンジオール 2.0 水酸化ナトリウム 適量 シャクヤクエキス 0.5 クララエキス 0.5 ヨクイニンエキス 0.5 精製水 残余
【0055】実 施 例 4 クレンジングクリーム:以下に組成を示すクレンジング
クリームを、常法により製造した。なお、培養上清は実
施例1で製造した窒素置換処理培地でデアレート処理を
行ったものを使用した。
【0056】 ( 処方 ) ( % ) 流動パラフィン 40 ミリスチン酸オクチルドデシル 10 イソステアリン酸 1 ワセリン 7 ステアリン酸 1 ベヘニルアルコール 2 ミツロウ 2 グリチルレチン酸ステアリル 0.1 POE(40)モノステアレート 0.1 POE(20)ソルビタンモノステアレート 2 メチルパラベン 0.05 1,3−ブチレングリコール 8 1,2−ペンタンジオール 2 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.5 エデト酸二ナトリウム 0.05 乳酸菌培養上清 5 ヒアルロン酸ナトリウム 0.001 カンゾウ抽出粉末 0.05 クララエキス 1.5 スイカズラエキス 1.5 精製水 残余
【0057】実 施 例 5 乳液:以下に組成を示す乳液を、常法により製造した。
なお、培養上清は実施例1で製造した窒素置換処理培地
でデアレート処理を行ったものを使用した。
【0058】 ( 処方 ) ( % ) スクワラン 5 ホホバ油 2 ミリスチン酸オクチルドデシル 2 ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.2 ステアリン酸バチル 0.5 ベヘニルアルコール 0.3 ステアリン酸 0.7 ベヘニン酸 0.4 モノステアリン酸グリセリン 2.5 グリチルレチン酸ステアリル 0.1 POE(20)ソルビタンモノステアレート 1.2 乳酸菌培養上清 15 エデト酸二ナトリウム 0.1 水酸化ナトリウム 適量 1,3−ブチレングリコール 8 グリセリン 2 ヒアルロン酸ナトリウム 0.001 メチルパラベン 0.15 カンゾウ抽出粉末 0.1 クワエキス 1.0 オウゴンエキス 1.0 トウキエキス 1.0 精製水 残余
【0059】実施例2〜5より得られた皮膚外用剤組成
物に試験例2と同様の使用感試験を行ったところ、いず
れの皮膚外用剤組成物も発酵臭がなく、嗜好性の高いも
のであることが分かった。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、乳酸菌発酵により生じ
る特有の香気成分が低減した乳酸菌培養上清を提供する
ことができる。
【0061】このように、本発明により得られる乳酸菌
培養上清は、発酵臭として感じられる特有の香気成分が
低減したものであるから、皮膚外用剤組成物に配合して
も嗜好性の面での問題が少なく、乳酸菌培養上清自体の
有する保湿作用、抗酸化作用、光防御作用、皮膚菌叢の
コントロール作用、皮膚pHコントロール作用等の効果
を有する化粧水、乳液、保湿クリーム、クレンジングク
リーム、マッサージクリーム、洗顔クリーム、パック、
美容液等種々の皮膚外用剤組成物として有利に利用され
る。以 上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 17/16 A61P 17/16 31/04 31/04 39/06 39/06 C12N 1/20 C12N 1/20 E //(C12P 1/04 (C12P 1/04 Z C12R 1:46) C12R 1:46) (72)発明者 木下 貴史 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内 Fターム(参考) 4B064 AH19 CA02 CC09 CC12 CE03 DA01 DA20 4B065 AA30X AA49X AC14 BB24 BC01 BC14 BC26 BC50 BD14 CA50 CA60 4C083 AA032 AA082 AA112 AA122 AC012 AC022 AC102 AC112 AC122 AC172 AC211 AC242 AC302 AC352 AC402 AC422 AC432 AC442 AC482 AC532 AD092 AD332 AD492 AD532 CC02 CC04 CC05 CC23 DD23 DD31 EE12 EE17 4C087 AA01 AA02 BC56 BC57 BC58 BC61 CA10 MA63 NA09 ZA89 ZB35

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳を主成分とする培地に乳酸菌を接種し
    た後、当該培地を不活性気体の置換下培養し、得られた
    乳酸菌培養物から上清を分離することにより得られる香
    気成分の低減された乳酸菌培養上清。
  2. 【請求項2】 乳を主成分とする培地に乳酸菌を接種し
    て乳酸菌の培養を行い、得られた乳酸菌培養物から上清
    を得る乳酸菌培養上清の製造方法において、乳酸菌の培
    養を不活性気体置換下で行うことを特徴とする、香気成
    分の低減された乳酸菌培養上清の製造方法。
  3. 【請求項3】 不活性気体置換下で培養して得た乳酸菌
    培養物に、更に、難溶性または不溶性の炭酸塩、または
    タルクを添加処理することを特徴とする、請求項第2項
    記載の香気成分の低減された乳酸菌培養上清の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 香気成分がダイアセチルである請求項第
    2項または第3項記載の香気成分の低減された乳酸菌培
    養上清の製造方法。
  5. 【請求項5】 乳酸菌がラクトバチルス・アシドフィル
    ス、ラクトバチルス・ブルガリクス、ラクトバチルス・
    カゼイ、ラクトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカ
    ス・ラクチス、ストレプトコッカス・サーモフィルスか
    ら選ばれる乳酸菌の1種または2種以上である請求項第
    2項ないし第4項の何れかの項記載の香気成分の低減さ
    れた乳酸菌培養上清の製造方法
  6. 【請求項6】 請求項第1項記載の香気成分の少ない乳
    酸菌培養上清を配合することを特徴とする皮膚外用剤組
    成物。
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