JP2002113824A - 表面保護用積層フィルム - Google Patents

表面保護用積層フィルム

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JP2002113824A
JP2002113824A JP2000307631A JP2000307631A JP2002113824A JP 2002113824 A JP2002113824 A JP 2002113824A JP 2000307631 A JP2000307631 A JP 2000307631A JP 2000307631 A JP2000307631 A JP 2000307631A JP 2002113824 A JP2002113824 A JP 2002113824A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶剤を必要とせず、フィルム生産時の皺、プ
リントラミネート時の積層フィルムの伸び、破断がな
く、安定したフィルム成形ができ、押出ラミネート加工
時にアンカーコート剤塗布の必要がなく、低温で熱接着
でき、印刷インクの変色、カールがなく、かつ、積層フ
ィルムのカット性が改良された表面保護用積層フィルム
を提供すること。 【解決手段】 プロピレン系樹脂フィルム基材の片面
に、(A)α−オレフィン含有量が0〜5重量%、MF
Rが1〜100g/10分であるプロピレン系重合体樹
脂層が接し、その上に(B)密度が0.870〜0.9
10g/cm、MFRが1〜100g/10分である
直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂層が積層
されてなる表面保護用積層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面保護用積層フ
ィルムに関し、さらに詳しくは、印刷紙、写真などの表
面保護に用いられ、加熱圧着によって印刷紙などの印刷
面に接着される表面保護用積層フィルム(プリントラミ
ネート用フィルム)に関する。
【0002】
【従来の技術】印刷紙、写真などの表面保護、耐水性や
耐油性の付与あるいは、表面光沢向上などを目的とし
て、印刷紙、写真などにフィルムをラミネートすること
は、広く行われている。このようなプリントラミネート
用フィルムとして、基材フィルムに延伸ポリプロピレン
フィルムが、またその接着剤として、溶剤型エチレン・
酢酸ビニル共重合体系接着剤が多用されている。しかし
ながら、溶剤型の接着剤を用いる方法は、溶剤を取り扱
うことより、特に溶剤回収や作業環境に留意する必要が
あり、また一般には硬化剤を用いることから、そのポッ
トライフを考慮する必要があった。
【0003】有機溶剤や接着剤を使用することなく、2
種以上のエチレン・アルキルエステル共重合体およびエ
チレン・酢酸ビニル共重合体の混合物よりなる感熱接着
層を付与した、二軸延伸ポリプロピレンラミネートフィ
ルムの感熱接着面と印刷紙の接着面とを加熱圧着のみで
貼り合わせてプリントラミネート製品を製造する方法
(特開昭56−42652号公報、特公平4−2431
号公報、特開平3−73341号公報など)がある。
【0004】しかしながら、印刷面との易接着性の要求
に対して、感熱接着層のエチレン系共重合体樹脂は、官
能性モノマー含量が極力多いものを使用するため、該方
法で得られるラミネートフィルムは、滑り性、抗ブロッ
キング性に劣る。また、該方法で得られるラミネートフ
ィルムは、フィルム生産時に、離ロール性が悪くなり皺
が入ったり、フィルムを巻き取り状態で運送や保存した
場合、重なり合った基材面とエチレン系共重合体樹脂が
くっつき、フィルムを巻き戻してラミネートプリントに
使用する時に貼り合わせ張力が強くなり、積層フィルム
が伸びたり、破断するなどの問題があった。
【0005】一方、感熱接着層として、メタロセン化合
物を触媒とした直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合
体に、エチレン系樹脂を含有させた樹脂組成物を用いた
フィルムを、加熱圧着のみで貼り合わせてプリントラミ
ネート製品を製造する方法(特開平7−117197号
公報など)もある。しかしながら、直鎖状エチレン・α
−オレフィン共重合体にエチレン系樹脂を含有させたも
のを積層した積層フィルムでは、プリントラミネート製
品の外観(ツブレ)、および低温での加熱接着強度に劣
る。また、この積層フィルムは、プリントラミネート時
の積層フィルムのカット性に劣る。
【0006】また、感熱接着層として、直鎖状エチレン
・α−オレフィン共重合体単体のみを用いると、プリン
トラミネート製品の外観(ツブレ)、および低温加熱接
着での接着強度に優れる利点があるが、フィルム基材へ
の押出ラミネート加工時にサージング現象を起こしフィ
ルム成形ができないという問題がある。
【0007】上記押出ラミネート時の加工性を改良する
ために、エチレン系樹脂と直鎖状エチレン・α−オレフ
ィン共重合体を2層溶融共押出ラミネート加工する方法
があるが、プロピレン系樹脂フィルム基材にエチレン系
樹脂層を接着させるためには、基材にアンカーコート剤
を塗布する必要がある。該アンカーコート剤は、溶剤系
であり、溶剤を取り扱うための溶剤回収や火災、作業環
境に注意する必要が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を改良すべくなされたものである。すなわち、 1)プリントラミネート時に溶剤臭が発生することな
く、溶剤除去、回収装置を必要とせず、硬化剤のポット
ライフを考慮する必要もない、 2)フィルム生産時の皺、プリントラミネート時の積層
フィルムの伸び、破断がない、 3)押出ラミネート加工時のサージング現象を押え、安
定した積層フィルム成形ができる、 4)押出ラミネート加工時にアンカーコート剤塗布の必
要がなく、溶剤臭の発生がない、 5)プリントラミネート時、低温で加熱接着でき、プリ
ントラミネート製品の印刷インクの変色がなく、かつ、
カールもない、 6)印刷紙との接着強度に優れる、 7)プリントラミネート時の積層フィルムのカット性に
優れる、 表面保護用積層フィルムを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、プロピレン系樹脂フィ
ルム基材の片面に、特定のプロピレン系重合体を積層
し、その上に特定の直鎖状エチレン・α−オレフィン共
重合体を、印刷体の印刷面に熱接着できるように積層す
ることにより、印刷体の印刷面と低温でプリントラミネ
ーションが可能であり、プリントラミネート製品の印刷
インクの変色、カールが防止でき、プリントラミネート
時の積層フィルムのカット性が改良され、かつ、押出ラ
ミネート加工時のサージング現象が防止され、安定した
フィルム成形ができることを見出し、本発明を完成し
た。
【0010】すなわち、本発明の第1の発明によれば、
プロピレン系樹脂フィルム基材の片面に、下記(A)樹
脂層が接し、その上に(B)樹脂層が積層されてなる表
面保護用積層フィルムが提供される。 (A)樹脂:コモノマーとしてのα−オレフィン含有量
が0〜5重量%、MFR(230℃、2.16kg荷
重)が1〜100g/10分であるプロピレン系重合
体。 (B)樹脂:エチレンと炭素数が3〜12のα−オレフ
ィンとを共重合して得た、密度が0.870〜0.91
0g/cm、MFR(190℃、2.16kg荷重)
が1〜100g/10分である直鎖状エチレン・α−オ
レフィン共重合体。
【0011】また、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明において、(A)樹脂が、上記プロピレン系重合
体99〜80重量%とMFR(190℃、2.16kg
荷重)が1〜50g/10分である高圧法低密度ポリエ
チレン1〜20重量%を含有する樹脂組成物である表面
保護用積層フィルムが提供される。
【0012】また、本発明の第3の発明によれば、第1
の発明において、(A)樹脂が、上記プロピレン系重合
体98〜80重量%と、MFR(190℃、2.16k
g荷重)が1〜50g/10分である高圧法低密度ポリ
エチレン1〜20重量%と、密度が0.900g/cm
以下、かつ、MFR(190℃、2.16kg荷重)
が1〜50g/10分であるエチレンと炭素数が3〜1
2のα−オレフィンとの共重合体1〜10重量%を含有
する樹脂組成物である表面保護用積層フィルムが提供さ
れる。
【0013】さらに、本発明の第4の発明によれば、第
1ないし第3の発明において、(B)樹脂である直鎖状
エチレン・α−オレフィン共重合体が、温度上昇溶離分
別(TREF)において80℃以下における溶出量が共
重合体全量に対して90重量%以上のものである表面保
護用積層フィルムが提供される。
【0014】また、本発明の第5の発明によれば、第1
ないし第4の発明において、(B)樹脂である直鎖状エ
チレン・α−オレフィン共重合体が、重合触媒としてメ
タロセン化合物を用いて重合されたものである表面保護
用積層フィルムが提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】1.プロピレン系樹脂フィルム基
材 本発明の表面保護用積層フィルムに用いられる基材は、
ポリプロピレン系樹脂の無延伸または延伸フィルムであ
る。用いることのできるポリプロピレン系樹脂は、限定
されるものではないが、例えば後述する(A)樹脂層に
用いることのできるプロピレン系重合体から選ぶことが
できる。基材層の厚みは、好ましくは6〜100μm、
より好ましくは7〜40μmである。プロピレン系樹脂
フィルム基材の中には、滑剤、アンチブッロキング剤、
安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、そ
の他の添加剤が配合されていてもよい。
【0016】2.接着樹脂層 本発明の、上記プロピレン系樹脂フィルム基材の片面に
積層される樹脂層は、下記の(A)プロピレン系重合体
樹脂層およびその上に積層される(B)直鎖状エチレン
・α−オレフィン共重合体樹脂層である。
【0017】(A)プロピレン系重合体 本発明の(A)樹脂層に用いるプロピレン系重合体は、
結晶性プロピレン単独重合体またはα−オレフィン含有
量が5重量%以下のプロピレン・α−オレフィンランダ
ム共重合体である。α−オレフィン含有量が5重量%を
超えると、積層フィルムのカット性が劣る。また、MF
R(JIS K6921)が1〜100g/10分、好
ましくは5〜70g/10分である。MFRが1g/1
0分未満であると、溶融粘度が高すぎるため、押出ラミ
ネート加工時の薄肉加工性が不足する。一方、MFRが
100g/10分を超過すると、溶融粘度が低すぎるた
め、ネックインが大きくなり成形性に劣る。上記α−オ
レフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンなどが例
示できる。
【0018】また、本発明の(A)樹脂層に用いるプロ
ピレン系重合体は、押出ラミネート時の加工性(サージ
ング現象、ネックインなど)を改良するため、MFR1
〜50g/10分の高圧法低密度ポリエチレンとの樹脂
組成物として使用することができる。その際、配合比率
は、プロピレン系重合体99〜80重量%に対して、高
圧法低密度ポリエチレン1〜20重量%である。高圧法
低密度ポリエチレンが、1重量%未満である(プロピレ
ン系重合体が99重量%を超える)と、ネックインが大
きくなり加工性に劣り、一方、高圧法低密度ポリエチレ
ンが、20重量%を超える(プロピレン系重合体が80
重量%未満である)と、サージング現象が生じるので、
いずれも好ましくない。
【0019】本発明の(A)樹脂層に用いるプロピレン
系重合体は、プリントラミネート製品の外観を改良する
ため、さらに上記に加えて、密度が0.900g/cm
以下、かつ、MFR(190℃、2.16kg荷重)
が1〜50g/10分であるエチレンと炭素数が3〜1
2のα−オレフィンとの共重合体1〜10重量%を配合
した樹脂組成物として使用することができる。該エチレ
ンと炭素数が3〜12のα−オレフィンとの共重合体の
樹脂組成物に対する配合比率が、1重量%未満である
と、外観の改良効果に乏しく、一方、10重量%を超え
ると、積層フィルムのカット性が劣るので、いずれも好
ましくない。
【0020】また、上記プロピレン系重合体またはそれ
を含む樹脂組成物には、滑剤、アンチブッロキング剤、
安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、低分子量ポリマ
ー、その他各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
上記プロピレン系重合体の重合法は、特に限定されず、
気相法、バルク法および溶液法などの公知の方法のいず
れでもよく、また用いる重合触媒も、特に限定されず、
チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒など公知の触
媒が使用できる。
【0021】(B)直鎖状エチレン・α−オレフィン共
重合体 本発明の(B)樹脂層に用いる直鎖状エチレン・α−オ
レフィン共重合体は、エチレンと炭素数が3〜12のα
−オレフィンとを共重合して得られる共重合体である。
具体的には、エチレンと1種類の炭素数3〜12のα−
オレフィンとを共重合して得られる2元共重合体、およ
びエチレンと2種類の炭素数3〜12のα−オレフィン
とを共重合して得られる3元共重合体が挙げられる。炭
素数が3〜12のα−オレフィンとしては、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オ
クテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられ、単
独で用いても2種以上用いてもよい。
【0022】該(B)直鎖状エチレン・α−オレフィン
共重合体は、密度(JIS K6922)が0.870
〜0.910g/cm、好ましくは0.875〜0.
905g/cm、MFR(JIS K6921)が1
〜100g/10分、好ましくは2〜80g/10分で
ある。
【0023】該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合
体は、密度が0.870g/cm未満では、ブッロキ
ング性が悪くなり、プリントラミネート時の積層フィル
ムの伸びや破断が起きる可能性があり、積層フィルムの
カット性にも劣る。一方、密度が0.910g/cm
を超えると、印刷体の印刷面との接着性、およびプリン
トラミネート製品の外観(ツブレ)に劣る。また、MF
Rが1g/10分未満のものは、溶融粘度が高すぎるた
め押出ラミネート加工時の延展性が不足する。一方、1
00g/10分を超過するものは、溶融粘度が低すぎる
ためネックインが大きくなり成形性に劣る。
【0024】本発明で用いる(B)直鎖状エチレン・α
−オレフィン共重合体は、公知のチタン系触媒またはメ
タロセン触媒を用いて重合して製造することができる
が、重合触媒としてメタロセン化合物を用いて高圧イオ
ン重合、気相重合、溶液重合により製造した共重合体を
用いることが好ましく、特に下記の物性を有するメタロ
セン触媒による共重合体が好ましい。
【0025】すなわち、該直鎖状エチレン・α−オレフ
ィン共重合体の温度上昇溶離分別(TREF)による溶
出量は、80℃における溶出量が共重合体全量に対して
90重量%以上であることが好ましい。
【0026】なお、温度上昇溶離分別(Tempera
ture Rising Elution Fract
ionation:TREF)による測定は、「Jou
rnal of Applied Polymer S
cience,Vol 26, 4217−4231.
(1981)」および「高分子論文集 2P1C09
(1985年)」に記載されている原理に基づき、以下
のようにして行われる。まず、測定の対象とするポリマ
ーを溶媒中で完全に溶解させる。その後、冷却して不活
性担体表面に薄いポリマー層を形成させる。かかるポリ
マー層は結晶しやすいものが内側(不活性担体表面に近
い側)に、結晶しにくいものが外側に形成されてなるも
のである。次に温度を連続または段階的に上昇させる
と、低温度段階では対象のポリマー組成中の非晶部分、
すなわちポリマーの持つ短鎖分岐の分岐度の多いものか
ら溶出し、温度が上昇するとともに徐々に分岐度の少な
いものが溶出し、最終的に分岐のない直鎖状の部分が溶
出し測定は終了する。かかる温度での溶出成分の濃度を
検出し、その溶出量と溶出温度によって描かれるグラフ
によってポリマーの組成分布を見ることができるもので
ある。
【0027】該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合
体は、無水マレイン酸、スチレンなどをグラフト重合さ
せたものも使用できる。
【0028】また、該直鎖状エチレン・α−オレフィン
共重合体には、滑剤、アンチブッロキング剤、安定剤、
帯電防止剤、防曇剤、着色剤、低分子量ポリマー、その
他各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
【0029】3.接着樹脂層の厚み 上記接着樹脂層の厚みは、(A)樹脂層および(B)樹
脂層を併せて、好ましくは6μm以上、より好ましくは
7〜80μmで、特に(A)樹脂層および(B)樹脂層
の厚み比率の制限はない。
【0030】4.表面保護用積層フィルムの製造方法 本発明の表面保護用積層フィルムの製造方法には、2層
溶融共押出ラミネート法、サンドイッチ押出ラミネート
法、ドライラミネート法など適用し得るが、高速薄肉成
形性に優れた2層溶融共押出ラミネート法が好ましい。
この場合の加工温度は、好ましくは150〜300℃、
より好ましくは200〜280℃である。
【0031】また、上記で得られた表面保護用積層フィ
ルムは、シート状物の印刷面との接着性を良好にするた
め、(B)樹脂層面をコロナ処理、オゾン処理などの酸
化処理を行うことが好ましい。特にコロナ処理が最も簡
便で効果がある。
【0032】本発明の加熱圧着プリントラミネートに用
いる積層フィルムの接着層である(B)樹脂は融点(D
SC法)が低く、エチレン系樹脂を混合していないため
に、印刷体の印刷面と低温でプリントラミネーションが
でき、プリントラミネート製品の印刷紙との接着強度が
強くなり、印刷インクの変色、カール防止ができる。ま
た、押出ラミネート加工においては、(A)樹脂層およ
び(B)樹脂層を共押出しすることにより、サージング
現象を防止し、安定したフィルム成形が可能であり、プ
ロピレン系樹脂フィルム基材との接着強度が強くなり、
プリントラミネート時の積層フィルムのカット性が改良
される。
【0033】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって限定される
ものではない。なお、実施例における押出ラミネート加
工性、積層フィルムの特性、プリントラミネート製品の
特性評価方法および実施例で使用した樹脂は以下の通り
である。
【0034】評価方法 1.押出ラミネート加工性 積層樹脂層の厚み(共押出の場合はトータル厚み)が1
5μm(設定値)で、引取速度200m/分にて、Tダ
イから押し出される溶融樹脂のサージング現象(流れ方
向で±5μm以上の厚み変動)の発生の有無を観察し、
下記の評価基準で評価した。 良:サージング現象の発生なし 不良:サージング現象が発生し、押出ラミネート加工が
困難
【0035】2.積層フィルムの特性 (1)抗ブロッキング性:幅21cm、長さ29cmの
二軸延伸フィルム面と積層フィルムのコロナ放電処理面
を重ね合わせ、温度が60℃のオーブン中で幅15c
m、長さ20cmにわたって0.05kg/cmの荷
重を負荷して24時間放置した後、重ね合わせたフィル
ムの剥離面積が10cm(幅2cm、長さ5cm)に
なるようにカットし、引張試験機で剥離(引張速度50
0mm/分)に要する荷重を測定した。この値が小さい
程、抗ブロッキング性は優れており、下記範囲で×〜◎
と評価した。 剥離荷重(kg/10cm 評価 2kg以上(積層フィルムが切断) × 1.5〜2kg未満(積層フィルムが伸びきる) △ 1.0〜1.5kg未満(積層フィルムの伸びが復元) ○ 1.0kg未満 ◎
【0036】(2)基材との接着強度:積層フィルム
を、幅15mm、長さ100mmの試験片に切断し、長
さ50mmを手で剥離した後、島津制作所引張試験機で
180度方向に300mm/分の引張速度で剥離した引
張強度の値を示した。
【0037】(3)エルメンドルフ引裂強度:表面保護
用積層フィルムをプラスチックフィルムおよびシートの
引裂試験法(JIS K7128 B法 エルメンドル
フ引裂法)で測定した。
【0038】3.プリントラミネート製品の特性 (1)光沢度およびツブレ:プリントラミネート製品の
印刷部の光沢度(20度)を、スガ試験機社製のUGV
ー5DP(商品名)で測定した値を示し、また、ツブレ
性(印刷紙と積層樹脂との密着性)は、外観のツブレ状
態を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。 外観のツブレ状態 評価 残存空気が全く無く、印刷色が鮮明 ○ 印刷色上に空気がスジ状や斑点として残存 △ 印刷色上に空気が帯状に残存し、印刷色が不鮮明 ×
【0039】(2)接着強度:プリントラミネート製品
を、幅25mm、長さ100mmの試験片に切断し、長
さ方向50mmを手で剥離した後、島津製作所引張試験
機で180度方向に300mm/分の引張速度で剥離し
た引張強度の値を示した。
【0040】(3)トンネリング性:プリントラミネー
ト製品の印刷紙の非貼合面にマイクロシリンジにて軽油
100μlを滴下し、温度23℃、湿度50%の雰囲気
下に放置し、24時間後の積層フィルム面の変化を観察
し、下記の評価基準で評価した。 トンネリング性 評価 接着強度、外観とも全く問題なし ◎ 接着強度が僅かに低下しているが外観変化なし(使用に耐える程度) ○ 僅かにブツブツが発生 △ 明らかにトンネリング発生 ×
【0041】押出ラミネート使用樹脂 (1)プロピレン系重合体(PP) 日本ポリケム(株)製 ノバテックFL25RC(商品
名)、エチレン含有量:4.4重量%、MFR:23g
/10分 (2)エチレン・1−ヘキセン共重合体(LLDPE−
1) 日本ポリケム(株)製 カーネルKS560(商品
名)、MFR:16.5g/10分、密度:0.898
g/cm、温度上昇溶離分別(TREF)の80℃以
下における溶出量:100重量% (3)エチレン・1−ヘキセン共重合体(LLDPE−
2) 日本ポリケム(株)製 カーネルKJ6400(商品
名)、MFR:30g/10分、密度:0.880g/
cm、温度上昇溶離分別(TREF)の80℃以下に
おける溶出量:100重量%
【0042】(4)高圧法低密度ポリエチレン(LDP
E) 日本ポリケム(株)製 ノバテックLC701(商品
名)、MFR:14g/10分、密度:0.919g/
cm、エチレン含有量:100重量% (5)エチレン.酢酸ビニル共重合体(EVA) 日本ポリケム(株)製 ノバテックLV570(商品
名)、MFR:15g/10分、酢酸ビニル(VA)含
有量:20重量%
【0043】実施例1 (1)(A)樹脂を前記ラミネート樹脂のPP、(B)
樹脂をLLDPE−1として、それぞれを口径が65m
mの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、
幅500mm、肉厚が(A)樹脂層7μm、(B)樹脂
層8μmにて、フィルム状に(A)樹脂層面が基材面と
なるように2層で溶融共押出しした。 (2)次いで、押出ラミネート装置の基材の繰出部より
厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム〔二村
化学工業製 LOF2(商品名)〕を繰り出し、この片
面に、Tダイからフィルム状に2層で溶融共押出しした
(A)樹脂層を基材面にして、表面をマット仕上げした
冷却ロールと圧縮ゴムロールで圧着ラミネートし、さら
に積層されたフィルムの(B)樹脂層の表面に20W・
分/mのコロナ放電処理を施し、積層フィルムを得
た。その時の加工性と積層フィルムの評価結果を表1に
示す。 (3)次に、得られた積層フィルムのコロナ放電処理面
とオフセット印刷したアート紙をロール温度が70、8
0、100℃、線圧が55.6kg、速度が30m/分
の圧着機で熱圧着し、プリントラミネート製品を得た。 (4)押出ラミネート加工性、積層フィルムの基材と
(A)樹脂層間の接着強度、抗ブロッキング性を表1、
およびプリントラミネート製品の光沢性、印刷したアー
ト紙との接着強度、印刷したアート紙とのトンネリング
性の評価結果を表2に示す。
【0044】実施例2 (1)(B)樹脂を前記ラミネート樹脂のLLDPE−
2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、積層フ
ィルム、プリントラミネート製品を得た。評価結果を表
1および表2に示す。
【0045】比較例1 (1)(A)樹脂および(B)樹脂を、前記ラミネート
樹脂のLLDPE−1として、それぞれを口径65mm
の押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅
500mm、肉厚(A)樹脂層7μm、(B)樹脂層8
μにて、フィルム状に(A)樹脂層面が基材面となるよ
うに2層で溶融共押出ししたこと以外は、実施例1と同
様にして、積層フィルム、プリントラミネート製品を得
た。評価結果を表1および表2に示す。
【0046】比較例2 (1)(A)樹脂を、前記ラミネート樹脂のLDPEお
よび(B)樹脂を、前記ラミネート樹脂のLLDPE−
1として、それぞれを口径65mmの押出機に装着した
Tダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚
(A)樹脂層7μm、(B)樹脂層8μmにて、フィル
ム状に(A)樹脂層面が基材面となるように2層で溶融
共押出ししたこと以外は、実施例1と同様にして、積層
フィルム、プリントラミネート製品を得た。評価結果を
表1および表2に示す。
【0047】比較例3 (1)(A)樹脂を、前記ラミネート樹脂のLDPEお
よび(B)樹脂を、前記ラミネート樹脂のLLDPE−
1として、それぞれを口径65mmの押出機に装着した
Tダイから、樹脂温度250℃、幅500mm、肉厚
(A)樹脂層7μm、(B)樹脂層8μmにて、フィル
ム状に(A)樹脂層面が基材面となるように2層で溶融
共押出しした。 (2)次いで、押出ラミネート装置の基材の繰出部より
厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム〔二村
化学工業製 LOF2(商品名)〕を繰り出し、この片
面にアンカーコート剤を塗布し、乾燥処理後、塗布面と
Tダイからフィルム状に溶融共押出しした樹脂層の間を
オゾン処理し、表面をマット仕上げした冷却ロールと圧
縮ゴムロールで圧着ラミネートし、さらに積層されたフ
ィルムの樹脂層の表面に20W・分/mのコロナ放電
処理を施し、積層フィルムを得たこと以外は、実施例1
と同様にして、積層フィルム、プリントラミネート製品
を得た。評価結果を表1および表2に示す。
【0048】比較例4 (1)前記ラミネート樹脂LLDPE−1:90重量%
と、LDPE:10重量%の混合物を、口径90mmの
押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅5
00mm、肉厚15μmにて、フィルム状に1層で溶融
押出しした。 (2)次いで、押出ラミネート装置の基材の繰出部より
厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム〔二村
化学工業製 LOF2(商品名)〕を繰り出し、この片
面にアンカーコート剤を塗布し、乾燥処理後、塗布面と
Tダイからフィルム状に溶融共押出しした樹脂層の間を
オゾン処理し、表面をマット仕上げした冷却ロールと圧
縮ゴムロールで圧着ラミネートし、さらに積層されたフ
ィルムの樹脂層の表面に20W・分/mのコロナ放電
処理を施し、積層フィルムを得たこと以外は、実施例1
と同様にして、積層フィルム、プリントラミネート製品
を得た。評価結果を表1および表2に示す。
【0049】比較例5 (1)前記ラミネート樹脂のEVAを、口径90mmの
押出機に装着したTダイから、樹脂温度240℃、幅5
00mm、肉厚15μmにて、フィルム状に1層で溶融
押出しした。 (2)次いで、押出ラミネート装置の基材の繰出部より
厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム〔二村
化学工業製 LOF2(商品名)〕を繰り出し、この片
面にアンカーコート剤を塗布し、乾燥処理後、塗布面と
Tダイからフィルム状に溶融共押出しした樹脂層の間を
オゾン処理し、表面をマット仕上げした冷却ロールと圧
縮ゴムロールで圧着ラミネートし、さらに積層されたフ
ィルムの樹脂層の表面に20W・分/mのコロナ放電
処理を施し、積層フィルムを得たこと以外は、実施例1
と同様にして、積層フィルム、プリントラミネート製品
を得た。評価結果を表1および表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明の表面保護用積層フィルムは、プ
ロピレン系樹脂フィルム基材に積層する接着樹脂層を2
層とし、印刷体(写真)の印刷面に加熱圧着される接着
層の(B)樹脂は、直鎖状エチレン・α−オレフィン共
重合体単体であり、融解ピーク温度が低く、印刷面と低
温で加熱圧着が可能であり、かつ、印刷紙などに加熱圧
着した製品印刷紙との接着性に優れ、印刷インクの変
色、カール防止ができる。さらに、(A)樹脂層および
(B)樹脂層を共押出しすることにより、押出ラミネー
ト加工時のサージング現象を防止し、安定したフィルム
成形が可能であり、かつ、フィルム基材にアンカーコー
ト剤を塗布することなく基材と樹脂間の接着ができ、積
層フィルムのカット性が改良される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK06B AK07A AK63B AK63C AK63K AK64B AK66B AL05B GB90 JA06B JA06C JA13C JA20C JK06 JL01 JL04 JL12 YY00B 4J002 BB032 BB053 BB111 BB121 GF00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン系樹脂フィルム基材の片面
    に、下記(A)樹脂層が接し、その上に(B)樹脂層が
    積層されてなる表面保護用積層フィルム。 (A)樹脂:コモノマーとしてのα−オレフィン含有量
    が0〜5重量%、MFR(230℃、2.16kg荷
    重)が1〜100g/10分であるプロピレン系重合
    体。 (B)樹脂:エチレンと炭素数が3〜12のα−オレフ
    ィンとを共重合して得た、密度が0.870〜0.91
    0g/cm、MFR(190℃、2.16kg荷重)
    が1〜100g/10分である直鎖状エチレン・α−オ
    レフィン共重合体。
  2. 【請求項2】 (A)樹脂が、上記プロピレン系重合体
    99〜80重量%とMFR(190℃、2.16kg荷
    重)が1〜50g/10分である高圧法低密度ポリエチ
    レン1〜20重量%を含有する樹脂組成物である請求項
    1に記載の表面保護用積層フィルム。
  3. 【請求項3】 (A)樹脂が、上記プロピレン系重合体
    98〜80重量%と、MFR(190℃、2.16kg
    荷重)が1〜50g/10分である高圧法低密度ポリエ
    チレン1〜20重量%と、密度が0.900g/cm
    以下、かつ、MFR(190℃、2.16kg荷重)が
    1〜50g/10分であるエチレンと炭素数が3〜12
    のα−オレフィンとの共重合体1〜10重量%を含有す
    る樹脂組成物である請求項1に記載の表面保護用積層フ
    ィルム。
  4. 【請求項4】 (B)樹脂である直鎖状エチレン・α−
    オレフィン共重合体が、温度上昇溶離分別(TREF)
    において80℃以下における溶出量が共重合体全量に対
    して90重量%以上のものである請求項1ないし3に記
    載の表面保護用積層フィルム。
  5. 【請求項5】 (B)樹脂である直鎖状エチレン・α−
    オレフィン共重合体が、重合触媒としてメタロセン化合
    物を用いて重合されたものである請求項1ないし4に記
    載の表面保護用積層フィルム。
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