JP2002069064A - γ−ブチロラクトンの製造方法 - Google Patents
γ−ブチロラクトンの製造方法Info
- Publication number
- JP2002069064A JP2002069064A JP2000254333A JP2000254333A JP2002069064A JP 2002069064 A JP2002069064 A JP 2002069064A JP 2000254333 A JP2000254333 A JP 2000254333A JP 2000254333 A JP2000254333 A JP 2000254333A JP 2002069064 A JP2002069064 A JP 2002069064A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- reactor
- butyrolactone
- reaction
- solvent
- hydrogen
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Furan Compounds (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 高い生産性で効率よく安全にγ−ブチロラク
トンを製造する。 【解決手段】(a)Ru担持触媒を充填したマルチチュー
ブ型反応器に無水マレイン酸溶液と水素を供給して水素
化し、該反応器から過剰の水素と生成した無水コハク酸
溶液を抜き出し、(b)無水コハク酸溶液と水素とを、第V
III族金属の少なくとも1種とReとを担持した触媒を
充填したマルチチューブ型反応器に供給して水素化し、
過剰の水素と生成γ−ブチロラクトンと溶媒を抜き出す
製造法。
トンを製造する。 【解決手段】(a)Ru担持触媒を充填したマルチチュー
ブ型反応器に無水マレイン酸溶液と水素を供給して水素
化し、該反応器から過剰の水素と生成した無水コハク酸
溶液を抜き出し、(b)無水コハク酸溶液と水素とを、第V
III族金属の少なくとも1種とReとを担持した触媒を
充填したマルチチューブ型反応器に供給して水素化し、
過剰の水素と生成γ−ブチロラクトンと溶媒を抜き出す
製造法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マルチチューブ型
反応器を用いた接触水素化反応によって有用なγ−ブチ
ロラクトンを製造する方法に関する。
反応器を用いた接触水素化反応によって有用なγ−ブチ
ロラクトンを製造する方法に関する。
【0002】γ−ブチロラクトンは、それ自体で誘電材
料や溶剤等として幅広く使われるだけでなく、N−メチ
ル−2−ピロリドン、N−ビニルピロリドン、1,4−
ブタンジオール或いはテトラヒドロフラン等に容易に誘
導できる有用な中間体化合物である。
料や溶剤等として幅広く使われるだけでなく、N−メチ
ル−2−ピロリドン、N−ビニルピロリドン、1,4−
ブタンジオール或いはテトラヒドロフラン等に容易に誘
導できる有用な中間体化合物である。
【0003】
【従来の技術】γ−ブチロラクトンは、1,4−ブタン
ジオールの脱水素法や無水マレイン酸の接触水素化法に
より製造できることがすでに知られている。1,4−ブ
タンジオールの脱水素は、銅系触媒の固定床で気相反応
によって実施されているが、レッペ法により製造した
1,4−ブタンジオールを原料としているため原料価格
が高い。今後は、ブタンの流動床気相酸化法で大量且つ
安価に製造可能になった無水マレイン酸を原料とする後
者の方法が主流になると予想される。
ジオールの脱水素法や無水マレイン酸の接触水素化法に
より製造できることがすでに知られている。1,4−ブ
タンジオールの脱水素は、銅系触媒の固定床で気相反応
によって実施されているが、レッペ法により製造した
1,4−ブタンジオールを原料としているため原料価格
が高い。今後は、ブタンの流動床気相酸化法で大量且つ
安価に製造可能になった無水マレイン酸を原料とする後
者の方法が主流になると予想される。
【0004】無水マレイン酸を水素化してγ−ブチロラ
クトンを製造する方法は、ニッケル系、銅系又はパラジ
ウム系の固体触媒等を用いて気相、液相反応で多くの検
討がされている(特公昭54−41560、特開昭50
−41850、特開昭61−109785、特開昭61
−115079、特開平7−149751など)。しか
し、これら従来法は、無水マレイン酸からの1段階反応
で目的物を得る方法であるため、水素化分解などに起因
するカルボン酸類やアルコール類の副生あるいは過水素
化反応(過剰な水素化反応)によるテトラヒドロフラン
などの副生によりγ−ブチロラクトンの選択性は必ずし
も満足できる水準ではなかった。
クトンを製造する方法は、ニッケル系、銅系又はパラジ
ウム系の固体触媒等を用いて気相、液相反応で多くの検
討がされている(特公昭54−41560、特開昭50
−41850、特開昭61−109785、特開昭61
−115079、特開平7−149751など)。しか
し、これら従来法は、無水マレイン酸からの1段階反応
で目的物を得る方法であるため、水素化分解などに起因
するカルボン酸類やアルコール類の副生あるいは過水素
化反応(過剰な水素化反応)によるテトラヒドロフラン
などの副生によりγ−ブチロラクトンの選択性は必ずし
も満足できる水準ではなかった。
【0005】一方、無水マレイン酸から2段階の水素化
反応でγ−ブチロラクトンを製造する方法も提案されて
いる(特公平7−78054、特公平7−12192
7、特公平7−121929等)。これら従来法では、
無水マレイン酸を担持パラジウム触媒を用いて懸濁反応
で無水コハク酸を得、次いで、得られた無水コハク酸を
ルテニウム錯体の均一系触媒を用いて水素化し、γ−ブ
チロラクトンを得ている。1段目、2段目とも比較的穏
和な条件で反応でき、選択性が高いとされているが、均
一系触媒を使用するため、触媒の調製が困難で高価であ
るとともに、生成物からの触媒の分離が煩雑で設備コス
トが高くなる。
反応でγ−ブチロラクトンを製造する方法も提案されて
いる(特公平7−78054、特公平7−12192
7、特公平7−121929等)。これら従来法では、
無水マレイン酸を担持パラジウム触媒を用いて懸濁反応
で無水コハク酸を得、次いで、得られた無水コハク酸を
ルテニウム錯体の均一系触媒を用いて水素化し、γ−ブ
チロラクトンを得ている。1段目、2段目とも比較的穏
和な条件で反応でき、選択性が高いとされているが、均
一系触媒を使用するため、触媒の調製が困難で高価であ
るとともに、生成物からの触媒の分離が煩雑で設備コス
トが高くなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、無水マレイ
ン酸からγ−ブチロラクトンを製造するに際し、工業的
に容易に且つ安価に入手できる触媒を使用して、高い生
産性で効率よく安全且つ安価にγ−ブチロラクトンを製
造する方法を提供することを目的とする。
ン酸からγ−ブチロラクトンを製造するに際し、工業的
に容易に且つ安価に入手できる触媒を使用して、高い生
産性で効率よく安全且つ安価にγ−ブチロラクトンを製
造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その過程で、無水マ
レイン酸を原料として固定床で接触水素化し、γ−ブチ
ロラクトンを製造することを着想し、更に検討を続けた
結果、特定構造の反応器を使用し、特定の反応方式及び
反応条件を採用することにより、工業的に容易に且つ安
価に入手できる汎用の触媒を使用しても、高い生産性で
効率良く安全に製造できることを見出し、かかる知見に
基づいて本発明を完成するに至った。
題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その過程で、無水マ
レイン酸を原料として固定床で接触水素化し、γ−ブチ
ロラクトンを製造することを着想し、更に検討を続けた
結果、特定構造の反応器を使用し、特定の反応方式及び
反応条件を採用することにより、工業的に容易に且つ安
価に入手できる汎用の触媒を使用しても、高い生産性で
効率良く安全に製造できることを見出し、かかる知見に
基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、次の発明を提供するもの
である。
である。
【0009】項1 (a)ルテニウムを担持した触媒
(好ましくは、成型触媒)を充填したマルチチューブ型
反応器に、無水マレイン酸を溶媒に溶解させた溶液と水
素を供給して(好ましくは連続的に供給して)水素化を
行い、該反応器より過剰の水素と生成した無水コハク酸
が溶媒に溶解している溶液を抜き出し、(b)上記工程
(a)で得られた無水コハク酸が溶媒に溶解している溶
液と水素とを、第VIII族金属から選ばれる少なくとも1
つの金属とレニウムとを担持した触媒(好ましくは、成
型触媒)を充填したマルチチューブ型反応器に供給して
(好ましくは連続的に供給して)水素化を行い、該反応
器より過剰の水素と生成したγ−ブチロラクトンと溶媒
を抜き出し、γ−ブチロラクトンを得ることを特徴とす
るγ−ブチロラクトンの製造方法。
(好ましくは、成型触媒)を充填したマルチチューブ型
反応器に、無水マレイン酸を溶媒に溶解させた溶液と水
素を供給して(好ましくは連続的に供給して)水素化を
行い、該反応器より過剰の水素と生成した無水コハク酸
が溶媒に溶解している溶液を抜き出し、(b)上記工程
(a)で得られた無水コハク酸が溶媒に溶解している溶
液と水素とを、第VIII族金属から選ばれる少なくとも1
つの金属とレニウムとを担持した触媒(好ましくは、成
型触媒)を充填したマルチチューブ型反応器に供給して
(好ましくは連続的に供給して)水素化を行い、該反応
器より過剰の水素と生成したγ−ブチロラクトンと溶媒
を抜き出し、γ−ブチロラクトンを得ることを特徴とす
るγ−ブチロラクトンの製造方法。
【0010】項2 工程(a)において、反応温度が6
0〜180℃、反応圧力が0.1〜15MPa、水素ガ
スの空塔線速度が1〜50cm/秒及び溶液中の無水マ
レイン酸の反応器への供給速度F1/V1(触媒充填部分
の体積当たりの反応器入り口の無水マレイン酸の体積供
給速度;F1は反応器入り口の無水マレイン酸の体積供
給速度を示し、V1は反応器における触媒を充填する部
分の体積を示す。)が0.1〜5.0/時間であり、工
程(b)において、反応温度が120〜300℃、反応
圧力が常圧〜20MPa、水素ガスの空塔線速度が1〜
30cm/秒及び溶液中の無水コハク酸の反応器への供
給速度F2/V2(触媒充填部分の体積当たりの反応器入
り口の無水コハク酸の体積供給速度;F2は反応器入り
口の無水コハク酸の体積供給速度を示し、V2は反応器
における触媒を充填する部分の体積を示す。)が0.5
〜3/時間である上記項1又は2に記載のγ−ブチロラ
クトンの製造方法。
0〜180℃、反応圧力が0.1〜15MPa、水素ガ
スの空塔線速度が1〜50cm/秒及び溶液中の無水マ
レイン酸の反応器への供給速度F1/V1(触媒充填部分
の体積当たりの反応器入り口の無水マレイン酸の体積供
給速度;F1は反応器入り口の無水マレイン酸の体積供
給速度を示し、V1は反応器における触媒を充填する部
分の体積を示す。)が0.1〜5.0/時間であり、工
程(b)において、反応温度が120〜300℃、反応
圧力が常圧〜20MPa、水素ガスの空塔線速度が1〜
30cm/秒及び溶液中の無水コハク酸の反応器への供
給速度F2/V2(触媒充填部分の体積当たりの反応器入
り口の無水コハク酸の体積供給速度;F2は反応器入り
口の無水コハク酸の体積供給速度を示し、V2は反応器
における触媒を充填する部分の体積を示す。)が0.5
〜3/時間である上記項1又は2に記載のγ−ブチロラ
クトンの製造方法。
【0011】項3 工程(a)及び工程(b)において
使用するマルチチューブ型反応器の各チューブ内径が2
〜10cm、チューブ長が3〜15mである上記項1又
は2に記載のγ−ブチロラクトンの製造方法。
使用するマルチチューブ型反応器の各チューブ内径が2
〜10cm、チューブ長が3〜15mである上記項1又
は2に記載のγ−ブチロラクトンの製造方法。
【0012】項4 工程(a)及び工程(b)において
使用するマルチチューブ型反応器が外筒及び該外筒に収
容された複数のチューブを備えており、該外筒が少なく
とも2つ以上の個別のゾーンに分けられており、該ゾー
ンの中に熱媒を循環させて上記複数のチューブを加熱又
は冷却して、各ゾーンの温度を独立して制御することを
特徴とする上記項1〜3のいずれかに記載のγ−ブチロ
ラクトンの製造方法。
使用するマルチチューブ型反応器が外筒及び該外筒に収
容された複数のチューブを備えており、該外筒が少なく
とも2つ以上の個別のゾーンに分けられており、該ゾー
ンの中に熱媒を循環させて上記複数のチューブを加熱又
は冷却して、各ゾーンの温度を独立して制御することを
特徴とする上記項1〜3のいずれかに記載のγ−ブチロ
ラクトンの製造方法。
【0013】項5 工程(a)において、ルテニウムを
担持した触媒(好ましくは、成型触媒)を充填したマル
チチューブ型反応器の上部より無水マレイン酸を溶媒に
溶解させた溶液と水素を供給して(好ましくは連続的に
供給して)水素化を行い、該反応器の下部より過剰の水
素と生成した無水コハク酸が溶媒に溶解している溶液を
抜き出し、工程(b)において、上記工程(a)で得ら
れた無水コハク酸が溶媒に溶解している溶液と水素と
を、第VIII族金属から選ばれる少なくとも1つの金属と
レニウムとを担持した触媒(好ましくは、成型触媒)を
充填したマルチチューブ型反応器の上部より供給して水
素化を行い、該反応器の下部より過剰の水素と生成した
γ−ブチロラクトンと溶媒を抜き出し、γ−ブチロラク
トンを得ることを特徴とする上記項1〜4のいずれかに
記載のγ−ブチロラクトンの製造方法。
担持した触媒(好ましくは、成型触媒)を充填したマル
チチューブ型反応器の上部より無水マレイン酸を溶媒に
溶解させた溶液と水素を供給して(好ましくは連続的に
供給して)水素化を行い、該反応器の下部より過剰の水
素と生成した無水コハク酸が溶媒に溶解している溶液を
抜き出し、工程(b)において、上記工程(a)で得ら
れた無水コハク酸が溶媒に溶解している溶液と水素と
を、第VIII族金属から選ばれる少なくとも1つの金属と
レニウムとを担持した触媒(好ましくは、成型触媒)を
充填したマルチチューブ型反応器の上部より供給して水
素化を行い、該反応器の下部より過剰の水素と生成した
γ−ブチロラクトンと溶媒を抜き出し、γ−ブチロラク
トンを得ることを特徴とする上記項1〜4のいずれかに
記載のγ−ブチロラクトンの製造方法。
【0014】項6 溶媒が、γ−ブチロラクトンである
上記項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
上記項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【0015】項7 無水コハク酸を溶媒に溶解させた溶
液と水素とを、第VIII族金属から選ばれる少なくとも1
つの金属とレニウムとを担持した触媒(好ましくは、成
型触媒)を充填したマルチチューブ型反応器に供給して
(好ましくは連続的に供給して)水素化し、該反応器よ
り過剰の水素と生成したγ−ブチロラクトン及び溶媒を
抜き出し、γ−ブチロラクトンを得ることを特徴とする
γ−ブチロラクトンの製造方法。
液と水素とを、第VIII族金属から選ばれる少なくとも1
つの金属とレニウムとを担持した触媒(好ましくは、成
型触媒)を充填したマルチチューブ型反応器に供給して
(好ましくは連続的に供給して)水素化し、該反応器よ
り過剰の水素と生成したγ−ブチロラクトン及び溶媒を
抜き出し、γ−ブチロラクトンを得ることを特徴とする
γ−ブチロラクトンの製造方法。
【0016】項8 反応温度が120〜300℃、反応
圧力が常圧〜20MPa、水素ガスの空塔線速度が1〜
30cm/秒及び溶液中の無水コハク酸の反応器への供
給速度F2/V2(触媒充填部分の体積当たりの反応器入
り口の無水コハク酸の体積供給速度;F2は反応器入り
口の無水コハク酸の体積供給速度を示し、V2は反応器
における触媒を充填する部分の体積を示す。)が0.5
〜3/時間である上記項7に記載のγ−ブチロラクトン
の製造方法。
圧力が常圧〜20MPa、水素ガスの空塔線速度が1〜
30cm/秒及び溶液中の無水コハク酸の反応器への供
給速度F2/V2(触媒充填部分の体積当たりの反応器入
り口の無水コハク酸の体積供給速度;F2は反応器入り
口の無水コハク酸の体積供給速度を示し、V2は反応器
における触媒を充填する部分の体積を示す。)が0.5
〜3/時間である上記項7に記載のγ−ブチロラクトン
の製造方法。
【0017】項9 マルチチューブ型反応器の各チュー
ブ内径が2〜10cm、チューブ長が3〜15mである
上記項7又は8に記載のγ−ブチロラクトンの製造方
法。
ブ内径が2〜10cm、チューブ長が3〜15mである
上記項7又は8に記載のγ−ブチロラクトンの製造方
法。
【0018】項10 マルチチューブ型反応器が外筒及
び該外筒に収容された複数のチューブを備えており、該
外筒が少なくとも2つ以上の個別のゾーンに分けられて
おり、該ゾーンの中に熱媒を循環させて上記複数のチュ
ーブを加熱又は冷却して各ゾーンの温度を独立して制御
することを特徴とする上記項7〜9のいずれかに記載の
γ−ブチロラクトンの製造方法。
び該外筒に収容された複数のチューブを備えており、該
外筒が少なくとも2つ以上の個別のゾーンに分けられて
おり、該ゾーンの中に熱媒を循環させて上記複数のチュ
ーブを加熱又は冷却して各ゾーンの温度を独立して制御
することを特徴とする上記項7〜9のいずれかに記載の
γ−ブチロラクトンの製造方法。
【0019】項11 無水コハク酸が溶媒に溶解してい
る溶液と水素とを、第VIII族金属から選ばれる少なくと
も1つの金属とレニウムとを担持した触媒(好ましく
は、成型触媒)を充填したマルチチューブ型反応器の上
部より供給して(好ましくは連続的に供給して)水素化
を行い、該反応器の下部より過剰の水素と生成したγ−
ブチロラクトンと溶媒を抜き出し、γ−ブチロラクトン
を得ることを特徴とする上記項7〜10のいずれかに記
載のγ−ブチロラクトンの製造方法。
る溶液と水素とを、第VIII族金属から選ばれる少なくと
も1つの金属とレニウムとを担持した触媒(好ましく
は、成型触媒)を充填したマルチチューブ型反応器の上
部より供給して(好ましくは連続的に供給して)水素化
を行い、該反応器の下部より過剰の水素と生成したγ−
ブチロラクトンと溶媒を抜き出し、γ−ブチロラクトン
を得ることを特徴とする上記項7〜10のいずれかに記
載のγ−ブチロラクトンの製造方法。
【0020】項12 溶媒が、γ−ブチロラクトンであ
る上記項7〜11のいずれかに記載の製造方法。
る上記項7〜11のいずれかに記載の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の工程(a)及び工程
(b)において使用する固定床水素化の反応器は、内径
の小さい複数の反応器を並列にセットした多管式の反応
器(シェル&チューブ型のマルチチューブ型反応器)
(以下、「マルチチューブ型反応器」という。)を採用
する。反応の効率を考慮すると、マルチチューブ型反応
器の採用が非常に効果的であることが本発明者らの研究
により見出された。
(b)において使用する固定床水素化の反応器は、内径
の小さい複数の反応器を並列にセットした多管式の反応
器(シェル&チューブ型のマルチチューブ型反応器)
(以下、「マルチチューブ型反応器」という。)を採用
する。反応の効率を考慮すると、マルチチューブ型反応
器の採用が非常に効果的であることが本発明者らの研究
により見出された。
【0022】マルチチューブ型反応器を形成する各チュ
ーブの内径としては、2〜10cm、特に3〜6cmが
好ましい。この範囲外であってもよいが、内径が2cm
未満であれば目的生産量を得るために必要なチュ−ブの
本数が多くなり、内径が10cmを越えると気液分散効
率の低下や除熱効率の低下を起こし、本発明が目的とす
る高い生産性を達成しにくくなる傾向が生じる。
ーブの内径としては、2〜10cm、特に3〜6cmが
好ましい。この範囲外であってもよいが、内径が2cm
未満であれば目的生産量を得るために必要なチュ−ブの
本数が多くなり、内径が10cmを越えると気液分散効
率の低下や除熱効率の低下を起こし、本発明が目的とす
る高い生産性を達成しにくくなる傾向が生じる。
【0023】また、チューブの長さとしては、3〜15
m、特に5〜10mが好ましい。3m未満の場合は生産
性が低下する傾向があり、15mを越える場合は原料又
は生成物の反応管中での滞在時間が長くなり、過反応
(過剰な水素化反応)が生じるおそれがあると共に、設
備費が大きくなり経済性に欠ける傾向にある。
m、特に5〜10mが好ましい。3m未満の場合は生産
性が低下する傾向があり、15mを越える場合は原料又
は生成物の反応管中での滞在時間が長くなり、過反応
(過剰な水素化反応)が生じるおそれがあると共に、設
備費が大きくなり経済性に欠ける傾向にある。
【0024】上記工程(a)及び工程(b)において用
いるマルチチューブ型反応器におけるマルチチューブの
本数としては、少なくとも10本であり、好ましくは1
0〜2000本が推奨され、より好ましくは10〜10
00本である。この上限は特に限定されるものではな
く、目的とする生産量に応じて適宜選択できる。一方、
10本未満であれば生産性の向上の点で効果が低い。
いるマルチチューブ型反応器におけるマルチチューブの
本数としては、少なくとも10本であり、好ましくは1
0〜2000本が推奨され、より好ましくは10〜10
00本である。この上限は特に限定されるものではな
く、目的とする生産量に応じて適宜選択できる。一方、
10本未満であれば生産性の向上の点で効果が低い。
【0025】又、上記マルチチューブ型の反応器は、好
ましくは、外筒及び該外筒に収容され平行に並べられた
複数のチューブを備えており、該外筒内を熱媒が循環
し、該複数のチューブを加熱又は冷却する。特に、反応
器の外筒は少なくとも二つ以上のゾーンに分かれてお
り、好ましくは三つから六つのゾーンに分割されてお
り、各ゾーンの温度が独立して制御できるようになって
いるものが推奨される。
ましくは、外筒及び該外筒に収容され平行に並べられた
複数のチューブを備えており、該外筒内を熱媒が循環
し、該複数のチューブを加熱又は冷却する。特に、反応
器の外筒は少なくとも二つ以上のゾーンに分かれてお
り、好ましくは三つから六つのゾーンに分割されてお
り、各ゾーンの温度が独立して制御できるようになって
いるものが推奨される。
【0026】特に、前段反応及び後段反応ともに反応器
の外筒を少なくとも二つ以上のゾーンに分け、各ゾーン
を流れる熱媒が独立して加熱又は冷却し、反応器の塔内
温度差が30℃以内となるように制御するのが好まし
く、より好ましくは反応器の塔内温度差が20℃以内と
なるように制御することが推奨される。
の外筒を少なくとも二つ以上のゾーンに分け、各ゾーン
を流れる熱媒が独立して加熱又は冷却し、反応器の塔内
温度差が30℃以内となるように制御するのが好まし
く、より好ましくは反応器の塔内温度差が20℃以内と
なるように制御することが推奨される。
【0027】ここで、「反応器の塔内温度差」とは、各
ゾーン内の最高温度及び最低温度との差のみならず、各
ゾーン間の温度差をも指す。即ち、個々のゾーンにおい
ても、箇所によって温度が若干異なることが通常であ
り、ゾーン間においても温度差がある。本発明では、一
つのゾーンにおける最高温度と最低温度との差が30℃
以内(より好ましくは20℃以内)であり、且つ、全て
のゾーンの最高温度のうちの最も高い温度と、全てのゾ
ーンにおける最低温度のうちの最も低い温度との差が3
0℃以内(より好ましくは20℃以内)であるのが好ま
しい。
ゾーン内の最高温度及び最低温度との差のみならず、各
ゾーン間の温度差をも指す。即ち、個々のゾーンにおい
ても、箇所によって温度が若干異なることが通常であ
り、ゾーン間においても温度差がある。本発明では、一
つのゾーンにおける最高温度と最低温度との差が30℃
以内(より好ましくは20℃以内)であり、且つ、全て
のゾーンの最高温度のうちの最も高い温度と、全てのゾ
ーンにおける最低温度のうちの最も低い温度との差が3
0℃以内(より好ましくは20℃以内)であるのが好ま
しい。
【0028】少なくとも二つ以上のゾーン、好ましくは
三つから六つのゾーンに分割して温度制御することによ
り、より効率的に発熱反応を制御しやすく、反応器の縦
方向での温度分布を抑制して、部分的な高温領域で副反
応や過反応を誘発する可能性がより少なくなる。特に、
前段反応及び後段反応共に大きな発熱反応であり、温度
制御が重要となる。
三つから六つのゾーンに分割して温度制御することによ
り、より効率的に発熱反応を制御しやすく、反応器の縦
方向での温度分布を抑制して、部分的な高温領域で副反
応や過反応を誘発する可能性がより少なくなる。特に、
前段反応及び後段反応共に大きな発熱反応であり、温度
制御が重要となる。
【0029】上記のように、本発明ではマルチチューブ
型反応器を採用し、該マルチチューブを少なくとも二つ
以上のゾーンに分割して温度制御することにより、より
効率的に発熱反応を制御しやすくなるため、原料の供給
速度F1/V1及びF2/V2を大きく設定しても、高純度
の無水コハク酸及びγ−ブチロラクトンが高収率で、高
い生産性をもって得られるという驚くべき効果が得られ
る。
型反応器を採用し、該マルチチューブを少なくとも二つ
以上のゾーンに分割して温度制御することにより、より
効率的に発熱反応を制御しやすくなるため、原料の供給
速度F1/V1及びF2/V2を大きく設定しても、高純度
の無水コハク酸及びγ−ブチロラクトンが高収率で、高
い生産性をもって得られるという驚くべき効果が得られ
る。
【0030】本発明のγ−ブチロラクトンの製造方法に
おいて、前段反応は二重結合への水素添加反応であり、
後段反応は水分子を生成する水素化脱水反応である。
おいて、前段反応は二重結合への水素添加反応であり、
後段反応は水分子を生成する水素化脱水反応である。
【0031】本発明に係る前段反応(工程(a))及び
後段反応(工程(b))における固定床水素化反応の形
態としては、ルテニウム担持触媒(前段反応)又は第VI
II族金属から選ばれる少なくとも1つの金属とレニウム
とを担持した触媒(後段反応)を充填した反応器に、原
料溶液と水素ガスを供給し、生成物溶液と過剰の水素ガ
スを該反応器から抜き出す方式が採用される。
後段反応(工程(b))における固定床水素化反応の形
態としては、ルテニウム担持触媒(前段反応)又は第VI
II族金属から選ばれる少なくとも1つの金属とレニウム
とを担持した触媒(後段反応)を充填した反応器に、原
料溶液と水素ガスを供給し、生成物溶液と過剰の水素ガ
スを該反応器から抜き出す方式が採用される。
【0032】本発明では、原料及び水素ガスを下部から
供給する上昇法や原料と水素ガスを上下別々に供給する
カウンターカレント法を使用することも可能であるが、
これら方法では、触媒の流動による摩擦が起こり、触媒
の活性金属が担体から剥離して活性が短期間に低下する
などの問題が発生する場合がある。従って、工程(a)
及び工程(b)において、上記反応器の上部から原料溶
液と水素ガスを供給し、生成物溶液と過剰の水素ガスを
反応器下部から抜き出す方式、即ち、流下方式が好まし
い。
供給する上昇法や原料と水素ガスを上下別々に供給する
カウンターカレント法を使用することも可能であるが、
これら方法では、触媒の流動による摩擦が起こり、触媒
の活性金属が担体から剥離して活性が短期間に低下する
などの問題が発生する場合がある。従って、工程(a)
及び工程(b)において、上記反応器の上部から原料溶
液と水素ガスを供給し、生成物溶液と過剰の水素ガスを
反応器下部から抜き出す方式、即ち、流下方式が好まし
い。
【0033】更に、工程(a)及び工程(b)におい
て、原料、生成物及び溶媒の少なくとも1つがその露点
以下となるような温度及び水素量(水素圧力)の条件下
で、即ち、原料、生成物及び溶媒の少なくとも1つが液
相であり、水素(及び、場合により、原料、生成物及び
溶媒のうちの一又は二)が気相である気液混相状態で実
施するのが好ましい。反応系内を気液混相状態とするに
は、例えば、前段反応及び後段反応を前記項2に記載の
条件下で行うのが好ましい。
て、原料、生成物及び溶媒の少なくとも1つがその露点
以下となるような温度及び水素量(水素圧力)の条件下
で、即ち、原料、生成物及び溶媒の少なくとも1つが液
相であり、水素(及び、場合により、原料、生成物及び
溶媒のうちの一又は二)が気相である気液混相状態で実
施するのが好ましい。反応系内を気液混相状態とするに
は、例えば、前段反応及び後段反応を前記項2に記載の
条件下で行うのが好ましい。
【0034】また、原料、生成物及び溶媒の3者すべて
の露点を越える反応条件では、副生する高沸点化合物が
触媒表面に沈着し、触媒活性が低下しやすく、頻繁に触
媒の交換や再生処理を必要としたり、伝熱効率の低い気
相状態で多量の反応熱を除去する必要が生じる。
の露点を越える反応条件では、副生する高沸点化合物が
触媒表面に沈着し、触媒活性が低下しやすく、頻繁に触
媒の交換や再生処理を必要としたり、伝熱効率の低い気
相状態で多量の反応熱を除去する必要が生じる。
【0035】前段反応(工程(a)) 本発明に係る前段反応は、無水マレイン酸をルテニウム
担持触媒を用いて水素化し、無水コハク酸を得る反応で
ある。
担持触媒を用いて水素化し、無水コハク酸を得る反応で
ある。
【0036】原料として使用する無水マレイン酸は、比
較的安定性に乏しく、特に高温溶融状態では樹脂化が起
こり易く、樹脂化が起きた場合、本発明方法のような固
定床反応では触媒表面を被覆して活性を著しく低下させ
ることが判明した。また、生成物である無水コハク酸も
比較的安定性に乏しく、高温溶融状態での樹脂化や過反
応などによる触媒活性の低下が懸念されることも明らか
となった。
較的安定性に乏しく、特に高温溶融状態では樹脂化が起
こり易く、樹脂化が起きた場合、本発明方法のような固
定床反応では触媒表面を被覆して活性を著しく低下させ
ることが判明した。また、生成物である無水コハク酸も
比較的安定性に乏しく、高温溶融状態での樹脂化や過反
応などによる触媒活性の低下が懸念されることも明らか
となった。
【0037】これら問題点を解消すべく本発明者らが研
究したところ、反応条件下で不活性である適当な溶媒を
使用することにより、原料及び生成物の溶融状態が回避
され、触媒活性の低下と過反応が防止できることが見出
された。
究したところ、反応条件下で不活性である適当な溶媒を
使用することにより、原料及び生成物の溶融状態が回避
され、触媒活性の低下と過反応が防止できることが見出
された。
【0038】適当な溶媒としては、原料及び生成物を溶
解し、濾過や蒸留によって容易に分離できる有機物であ
ればよく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、
ジグライム、トリグライム、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、γ−ブチロラクトン等が例示さ
れ、特にγ−ブチロラクトンが好ましい。該溶媒の使用
量は、溶液中の無水マレイン酸濃度が5〜90重量%、
より好ましくは30〜80重量%となる量である。無水
マレイン酸濃度が5重量%未満では生産性が低下する傾
向があり、90重量%を越えると、溶媒を使用する効果
が充分得られず、副反応を誘発しやすく、生成物の純度
を悪くする傾向がある。
解し、濾過や蒸留によって容易に分離できる有機物であ
ればよく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、
ジグライム、トリグライム、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、γ−ブチロラクトン等が例示さ
れ、特にγ−ブチロラクトンが好ましい。該溶媒の使用
量は、溶液中の無水マレイン酸濃度が5〜90重量%、
より好ましくは30〜80重量%となる量である。無水
マレイン酸濃度が5重量%未満では生産性が低下する傾
向があり、90重量%を越えると、溶媒を使用する効果
が充分得られず、副反応を誘発しやすく、生成物の純度
を悪くする傾向がある。
【0039】水素化反応に用いる無水マレイン酸として
は、特に限定されず、市販のものを使用することができ
る。また、本発明の効果を損なわない範囲で、無水マレ
イン酸中には、無水コハク酸等の無水マレイン酸以外の
二塩基酸無水物が混在していても差し支えなく、更に
は、マレイン酸、コハク酸、フマル酸等の遊離型のカル
ボン酸が混在していても良い。
は、特に限定されず、市販のものを使用することができ
る。また、本発明の効果を損なわない範囲で、無水マレ
イン酸中には、無水コハク酸等の無水マレイン酸以外の
二塩基酸無水物が混在していても差し支えなく、更に
は、マレイン酸、コハク酸、フマル酸等の遊離型のカル
ボン酸が混在していても良い。
【0040】本発明の前段反応で使用する触媒は、ルテ
ニウム担持触媒である。担体としては、カーボン、アル
ミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア等が
例示され、特にアルミナが好ましい。アルミナを担体と
して用いた場合、プロピオン酸の副生等の過剰な水素化
による開環反応が非常に少なく、水素化反応の選択率が
向上する。さらに、触媒の強度を向上させるためにグラ
ファイトなどの結合剤を併用してもよい。
ニウム担持触媒である。担体としては、カーボン、アル
ミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア等が
例示され、特にアルミナが好ましい。アルミナを担体と
して用いた場合、プロピオン酸の副生等の過剰な水素化
による開環反応が非常に少なく、水素化反応の選択率が
向上する。さらに、触媒の強度を向上させるためにグラ
ファイトなどの結合剤を併用してもよい。
【0041】上記担体は、成型品、粉砕品等を用いるこ
とができ、特に限定されない。しかし、一般には、成型
品を使用するのが好ましく、その形状は、工業的に入手
が容易な円柱状のものが通常使用される。また、その大
きさは使用する反応器の内径などによって決められる
が、通常は直径2〜6mm程度、高さ2〜8mm程度の
範囲の円柱状が好ましい。
とができ、特に限定されない。しかし、一般には、成型
品を使用するのが好ましく、その形状は、工業的に入手
が容易な円柱状のものが通常使用される。また、その大
きさは使用する反応器の内径などによって決められる
が、通常は直径2〜6mm程度、高さ2〜8mm程度の
範囲の円柱状が好ましい。
【0042】ルテニウムの担持量は、触媒重量に対して
0.1〜10重量%が実用的で、特に0.5〜5重量%
が好ましい。0.1重量%未満では充分な反応活性が得
られにくく、10重量%を越えて使用しても触媒価格の
上昇に見合うだけの活性向上がなく、不経済である。
0.1〜10重量%が実用的で、特に0.5〜5重量%
が好ましい。0.1重量%未満では充分な反応活性が得
られにくく、10重量%を越えて使用しても触媒価格の
上昇に見合うだけの活性向上がなく、不経済である。
【0043】これらルテニウム担持触媒は、公知であっ
て、市販品を使用してもよく、また、公知の方法に従っ
て製造したものであってもよい。
て、市販品を使用してもよく、また、公知の方法に従っ
て製造したものであってもよい。
【0044】これらの触媒は、そのまま用いることもで
きるが、使用する前に還元処理などの適当な活性化処理
を常法に従って行った後に使用することもできる。
きるが、使用する前に還元処理などの適当な活性化処理
を常法に従って行った後に使用することもできる。
【0045】以下、本発明の前段反応の水素化における
反応条件について説明する。
反応条件について説明する。
【0046】前段反応は、前記無水マレイン酸を上記溶
媒に溶解させた原料溶液を水素と共に反応器に供給し、
過剰の水素と生成する無水コハク酸が溶媒に溶解してい
る溶液を抜き出す方法である。
媒に溶解させた原料溶液を水素と共に反応器に供給し、
過剰の水素と生成する無水コハク酸が溶媒に溶解してい
る溶液を抜き出す方法である。
【0047】前記のように、特に、該原料溶液を反応器
の上部から供給し、過剰の水素と生成無水コハク酸が溶
媒に溶解した溶液を反応器の下部から抜き出す流下式が
好ましい。
の上部から供給し、過剰の水素と生成無水コハク酸が溶
媒に溶解した溶液を反応器の下部から抜き出す流下式が
好ましい。
【0048】また、原料溶液及び水素の反応器への供給
は、連続的であっても間欠的であってもよいが、連続的
であるのが好ましい。
は、連続的であっても間欠的であってもよいが、連続的
であるのが好ましい。
【0049】前段反応の水素化において、反応温度は、
60〜180℃の範囲、特に80〜150℃が好まし
い。本発明の方法では溶媒を使用するため、原料の溶融
温度以下の比較的低温でも反応可能であるが、60℃未
満では充分な反応速度が得られず、一方、180℃を越
える温度では、過反応や副反応が起こり易く、何れの場
合も実用性に欠ける傾向がある。
60〜180℃の範囲、特に80〜150℃が好まし
い。本発明の方法では溶媒を使用するため、原料の溶融
温度以下の比較的低温でも反応可能であるが、60℃未
満では充分な反応速度が得られず、一方、180℃を越
える温度では、過反応や副反応が起こり易く、何れの場
合も実用性に欠ける傾向がある。
【0050】本発明の反応圧力としては、0.1〜15
MPaが例示され、好ましくは1〜10MPaが推奨さ
れる。0.1MPa未満では十分な反応速度が得られ
ず、15MPaを越えて水素化反応を行うと、過剰な水
素化反応が加速度的に増加し、THF(テトラヒドロフ
ラン)が副生しやすい。
MPaが例示され、好ましくは1〜10MPaが推奨さ
れる。0.1MPa未満では十分な反応速度が得られ
ず、15MPaを越えて水素化反応を行うと、過剰な水
素化反応が加速度的に増加し、THF(テトラヒドロフ
ラン)が副生しやすい。
【0051】なお、ここでいう反応圧力とは、水素分
圧、及び原料、溶媒、生成物等の分圧の和であるが、本
発明の条件下では反応圧力の大部分が水素分圧となる
(後段反応の反応圧力についても同じである)。
圧、及び原料、溶媒、生成物等の分圧の和であるが、本
発明の条件下では反応圧力の大部分が水素分圧となる
(後段反応の反応圧力についても同じである)。
【0052】又、水素ガスの供給速度としては、反応条
件下での反応器の空塔線速度で1〜50cm/秒が好ま
しく、特に5〜20cm/秒が好ましい。速度が1cm
/秒未満であると反応速度が著しく遅くなり、一方、5
0cm/秒を越える供給速度では、水素化されずに反応
塔を通過する原料の量が増加するとともに、ガスを供給
するための設備経費が大きくなり、何れの場合も経済的
ではない。
件下での反応器の空塔線速度で1〜50cm/秒が好ま
しく、特に5〜20cm/秒が好ましい。速度が1cm
/秒未満であると反応速度が著しく遅くなり、一方、5
0cm/秒を越える供給速度では、水素化されずに反応
塔を通過する原料の量が増加するとともに、ガスを供給
するための設備経費が大きくなり、何れの場合も経済的
ではない。
【0053】本明細書において、「空塔線速度」は、一
般に受け入れられている意味を有し、単塔式(単管式)
の反応器の場合、水素ガスの流量(cm3/秒)をチュ
ーブ状若しくは筒状の反応器の断面積(cm2)で割っ
た値であり、マルチチューブ型の反応器の場合、水素ガ
スの流量(cm3/秒)を、複数のチューブ状反応器の
総断面積(cm2)で割った値である、と定義される。
般に受け入れられている意味を有し、単塔式(単管式)
の反応器の場合、水素ガスの流量(cm3/秒)をチュ
ーブ状若しくは筒状の反応器の断面積(cm2)で割っ
た値であり、マルチチューブ型の反応器の場合、水素ガ
スの流量(cm3/秒)を、複数のチューブ状反応器の
総断面積(cm2)で割った値である、と定義される。
【0054】原料である無水マレイン酸の供給速度とし
ては、F1/V1(触媒充填部分の体積当たりの反応器入
り口の無水マレイン酸の体積供給速度;F1は反応器入
り口の無水マレイン酸の体積供給速度を示し、V1は反
応器における触媒を充填する部分の体積を示す。)で
0.1〜5.0/時間の範囲が例示される。なかでも好
ましくは、1.0〜4.0/時間が推奨され、より好ま
しくは1.1〜3.5/時間である。原料の供給速度F
1/V1が大きいことは、単位時間当たりの無水コハク酸
の生産量が大きいこと、即ち、生産性が高いことを意味
する。
ては、F1/V1(触媒充填部分の体積当たりの反応器入
り口の無水マレイン酸の体積供給速度;F1は反応器入
り口の無水マレイン酸の体積供給速度を示し、V1は反
応器における触媒を充填する部分の体積を示す。)で
0.1〜5.0/時間の範囲が例示される。なかでも好
ましくは、1.0〜4.0/時間が推奨され、より好ま
しくは1.1〜3.5/時間である。原料の供給速度F
1/V1が大きいことは、単位時間当たりの無水コハク酸
の生産量が大きいこと、即ち、生産性が高いことを意味
する。
【0055】接触水素化による無水コハク酸の製造方法
において、マルチチューブ型反応器により、ルテニウム
担持成型触媒を使用し、且つ、水素化反応をγ−ブチロ
ラクトン等の溶媒に溶解させた溶液中で行うことによ
り、下記の効果を発揮できる。
において、マルチチューブ型反応器により、ルテニウム
担持成型触媒を使用し、且つ、水素化反応をγ−ブチロ
ラクトン等の溶媒に溶解させた溶液中で行うことによ
り、下記の効果を発揮できる。
【0056】1)ルテニウム担持成型触媒を採用するこ
とにより触媒活性が長時間維持でき、大きな発熱を伴う
副反応を起こさず効率よく安全に水素化が可能である。
とにより触媒活性が長時間維持でき、大きな発熱を伴う
副反応を起こさず効率よく安全に水素化が可能である。
【0057】2)通常の単塔式の反応器を用いた水素化
反応と比べて、マルチチューブ型反応管を用いることに
より、より高い生産性で効率良く無水コハク酸を製造で
きる。
反応と比べて、マルチチューブ型反応管を用いることに
より、より高い生産性で効率良く無水コハク酸を製造で
きる。
【0058】3)反応溶媒としてγ−ブチロラクトンを
用い、その使用量を無水マレイン酸濃度が5〜90重量
%、特に20〜80重量%となるような量とすることに
より、マルチチューブ型反応器を用いる上記2)の効果
を最大限活用できる。
用い、その使用量を無水マレイン酸濃度が5〜90重量
%、特に20〜80重量%となるような量とすることに
より、マルチチューブ型反応器を用いる上記2)の効果
を最大限活用できる。
【0059】4)マルチチューブ型反応器の外筒を、少
なくとも二つ以上のゾーンに分け、各ゾーンの中に熱媒
を独立して循環させ、上記チューブを加熱又は冷却し、
該熱媒により反応器内を温度制御することにより、特
に、反応器の塔内温度差を30℃以内に制御することに
より、水素化反応に起因する急激な発熱を抑制できるた
め、原料濃度を高く設定しても高い選択率、高い生産性
をもって水素化が可能となる。
なくとも二つ以上のゾーンに分け、各ゾーンの中に熱媒
を独立して循環させ、上記チューブを加熱又は冷却し、
該熱媒により反応器内を温度制御することにより、特
に、反応器の塔内温度差を30℃以内に制御することに
より、水素化反応に起因する急激な発熱を抑制できるた
め、原料濃度を高く設定しても高い選択率、高い生産性
をもって水素化が可能となる。
【0060】以上のように、本願発明の方法に従い固定
床水素化反応により得られる無水コハク酸は副成生物の
混入が極めて少ないため、溶媒を除去するだけで容易に
高純度の無水コハク酸が得られる。必要ならば、溶媒は
蒸留によって除去してもよいし、又、反応物を冷却して
析出する無水コハク酸の結晶から濾別除去してもよい。
床水素化反応により得られる無水コハク酸は副成生物の
混入が極めて少ないため、溶媒を除去するだけで容易に
高純度の無水コハク酸が得られる。必要ならば、溶媒は
蒸留によって除去してもよいし、又、反応物を冷却して
析出する無水コハク酸の結晶から濾別除去してもよい。
【0061】後段反応 (工程(b)) 本発明に係る後段反応は、無水コハク酸溶液、特に、上
記前段反応で得られた無水コハク酸の溶液を、マルチチ
ューブ型反応器中で、第VIII族金属から選ばれる少なく
とも1つの金属とレニウムとを担持した触媒を用いて水
素化し、目的物であるγ−ブチロラクトンを製造する反
応である。
記前段反応で得られた無水コハク酸の溶液を、マルチチ
ューブ型反応器中で、第VIII族金属から選ばれる少なく
とも1つの金属とレニウムとを担持した触媒を用いて水
素化し、目的物であるγ−ブチロラクトンを製造する反
応である。
【0062】本発明で使用する第VIII族金属から選ばれ
る少なくとも1つの金属としては、ルテニウム、パラジ
ウム、ロジウム、白金、オスミウム、イリジウム等が例
示され、特に、ルテニウム、パラジウムが好ましい。
る少なくとも1つの金属としては、ルテニウム、パラジ
ウム、ロジウム、白金、オスミウム、イリジウム等が例
示され、特に、ルテニウム、パラジウムが好ましい。
【0063】担体としては、カーボン、黒鉛、黒鉛化カ
ーボン、アルミナ、シリカ、シリカ/アルミナ、チタニ
ア、ジルコニア、マグネシア等が例示され、特にカーボ
ンが好ましい。さらに、その強度を向上させるためにグ
ラファイトなどの結合剤を併用しても良い。担体の形状
は、粉砕品や成型品等が使用でき、特に限定されない。
ーボン、アルミナ、シリカ、シリカ/アルミナ、チタニ
ア、ジルコニア、マグネシア等が例示され、特にカーボ
ンが好ましい。さらに、その強度を向上させるためにグ
ラファイトなどの結合剤を併用しても良い。担体の形状
は、粉砕品や成型品等が使用でき、特に限定されない。
【0064】上記第VIII族金属の担持量は、触媒重量に
対して、0.01〜20重量%、好ましくは、0.1〜
15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%であ
る。レニウムの担持量は、触媒重量に対して0.01〜
20重量%が実用的で、好ましくは0.1〜15重量
%、特に好ましくは0.5〜10重量%である。第VIII
族金属の担持量及びレニウムの担持量が、それぞれ、
0.01重量%未満では充分な反応活性が得られず、2
0重量%を越えると触媒価格の上昇に見合うだけの活性
向上がなく、不経済である。第VIII族金属とレニウムの
担持割合は、第VIII族金属1重量部に対して、レニウム
0.2〜10重量部、好ましくは0.25〜5重量部で
ある。第VIII族金属1重量部に対して、レニウムが0.
2重量部未満である場合は、水素化能及び選択性が低下
し、また、レニウムが10重量部を超えても触媒性能は
向上せず、不経済である。
対して、0.01〜20重量%、好ましくは、0.1〜
15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%であ
る。レニウムの担持量は、触媒重量に対して0.01〜
20重量%が実用的で、好ましくは0.1〜15重量
%、特に好ましくは0.5〜10重量%である。第VIII
族金属の担持量及びレニウムの担持量が、それぞれ、
0.01重量%未満では充分な反応活性が得られず、2
0重量%を越えると触媒価格の上昇に見合うだけの活性
向上がなく、不経済である。第VIII族金属とレニウムの
担持割合は、第VIII族金属1重量部に対して、レニウム
0.2〜10重量部、好ましくは0.25〜5重量部で
ある。第VIII族金属1重量部に対して、レニウムが0.
2重量部未満である場合は、水素化能及び選択性が低下
し、また、レニウムが10重量部を超えても触媒性能は
向上せず、不経済である。
【0065】上記第VIII族金属の少なくとも1種とレニ
ウムとを担持した触媒としては、公知のものが使用で
き、市販品も採用できる。また、上記レニウム及び第VI
II族金属を担持した触媒は、種々の公知の方法に従って
製造することもできる。
ウムとを担持した触媒としては、公知のものが使用で
き、市販品も採用できる。また、上記レニウム及び第VI
II族金属を担持した触媒は、種々の公知の方法に従って
製造することもできる。
【0066】第VIII族金属の少なくとも1種とレニウム
とを担持した触媒は、成型触媒を使用するのが好まし
く、その形状としては、工業的に入手が容易な円柱状の
ものが通常使用される。また、その大きさは使用する反
応器の内径などによって決められるが、通常は直径2〜
6mm程度、高さ2〜6mm程度の範囲の円柱状が好ま
しい。
とを担持した触媒は、成型触媒を使用するのが好まし
く、その形状としては、工業的に入手が容易な円柱状の
ものが通常使用される。また、その大きさは使用する反
応器の内径などによって決められるが、通常は直径2〜
6mm程度、高さ2〜6mm程度の範囲の円柱状が好ま
しい。
【0067】これらの成型触媒は、そのまま用いること
もできるが、使用する前に還元処理などの適当な活性化
処理を常法に従って行った後、使用することも出来る。
もできるが、使用する前に還元処理などの適当な活性化
処理を常法に従って行った後、使用することも出来る。
【0068】以下、この本発明の後段反応の水素化にお
ける反応条件について説明する。
ける反応条件について説明する。
【0069】本発明の後段反応は、無水コハク酸を溶媒
に溶解させた溶液と水素とを、上記第VIII族から選ばれ
る少なくとも1つの金属とレニウムとを担持させた触媒
を充填したマルチチューブ型反応器に供給して水素化
し、該反応器より過剰の水素と生成したγ−ブチロラク
トン及び溶媒を抜き出すことを特徴とする。
に溶解させた溶液と水素とを、上記第VIII族から選ばれ
る少なくとも1つの金属とレニウムとを担持させた触媒
を充填したマルチチューブ型反応器に供給して水素化
し、該反応器より過剰の水素と生成したγ−ブチロラク
トン及び溶媒を抜き出すことを特徴とする。
【0070】前記のように、無水コハク酸を溶媒に溶解
させた溶液と水素とを、上記マルチチューブ型反応器の
上部より供給して水素化し、該反応器の下部より過剰の
水素と生成したγ−ブチロラクトン及び溶媒を抜き出す
流下式を採用することが好ましい。また、原料溶液及び
水素の反応器への供給は、連続的であっても間欠的であ
ってもよいが、連続的であるのが好ましい。
させた溶液と水素とを、上記マルチチューブ型反応器の
上部より供給して水素化し、該反応器の下部より過剰の
水素と生成したγ−ブチロラクトン及び溶媒を抜き出す
流下式を採用することが好ましい。また、原料溶液及び
水素の反応器への供給は、連続的であっても間欠的であ
ってもよいが、連続的であるのが好ましい。
【0071】後段反応の原料としては、前段反応の生成
物溶液をそのまま使用するのが好ましい。目的物である
γ−ブチロラクトンを高収率で得るためには、このとき
の前段反応の生成物溶液に含まれる未反応の無水マレイ
ン酸を極力少なくする必要がある。
物溶液をそのまま使用するのが好ましい。目的物である
γ−ブチロラクトンを高収率で得るためには、このとき
の前段反応の生成物溶液に含まれる未反応の無水マレイ
ン酸を極力少なくする必要がある。
【0072】なお、後段反応の原料として、市販の無水
コハク酸を溶媒に溶解させて使用してもよく、前段反応
の反応生成物溶液から無水コハク酸を単離し、これを溶
媒に溶解させて使用してもよい。また、市販の無水コハ
ク酸を、前段反応で生成物として得られる無水コハク酸
溶液に混合して使用してもよい。
コハク酸を溶媒に溶解させて使用してもよく、前段反応
の反応生成物溶液から無水コハク酸を単離し、これを溶
媒に溶解させて使用してもよい。また、市販の無水コハ
ク酸を、前段反応で生成物として得られる無水コハク酸
溶液に混合して使用してもよい。
【0073】更に、無水コハク酸中には、本発明の効果
を損なわない範囲で、上記のように無水マレイン酸等の
無水コハク酸以外の二塩基酸無水物が混在していても差
し支えなく、更には、マレイン酸、コハク酸、フマル酸
等遊離型のカルボン酸が混在していても良い。
を損なわない範囲で、上記のように無水マレイン酸等の
無水コハク酸以外の二塩基酸無水物が混在していても差
し支えなく、更には、マレイン酸、コハク酸、フマル酸
等遊離型のカルボン酸が混在していても良い。
【0074】上記溶媒としては、前段反応において例示
したものが何れも使用可能である。即ち、適当な溶媒と
しては、原料及び生成物を溶解し、濾過や蒸留によって
容易に分離できる有機物であればよく、例えば、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、トリグライ
ム、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
γ−ブチロラクトン等が例示され、特にγ−ブチロラク
トンが好ましい。
したものが何れも使用可能である。即ち、適当な溶媒と
しては、原料及び生成物を溶解し、濾過や蒸留によって
容易に分離できる有機物であればよく、例えば、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、トリグライ
ム、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
γ−ブチロラクトン等が例示され、特にγ−ブチロラク
トンが好ましい。
【0075】該溶媒の使用量は、溶液中の無水コハク酸
濃度が5〜90重量%、より好ましくは、20〜80重
量%になる量である。無水コハク酸濃度が5重量%未満
では生産性が低下する傾向があり、90重量%を越える
と、溶媒を使用する効果が充分得られず、副反応を誘発
しやすく、生成物の純度を悪くする傾向がある。
濃度が5〜90重量%、より好ましくは、20〜80重
量%になる量である。無水コハク酸濃度が5重量%未満
では生産性が低下する傾向があり、90重量%を越える
と、溶媒を使用する効果が充分得られず、副反応を誘発
しやすく、生成物の純度を悪くする傾向がある。
【0076】反応温度は、120〜300℃の範囲、特
に170〜250℃が好ましい。120℃未満では充分
な反応速度が得られず、一方、300℃を越えると過反
応や副反応が起こり易く、何れの場合も実用性に欠け
る。
に170〜250℃が好ましい。120℃未満では充分
な反応速度が得られず、一方、300℃を越えると過反
応や副反応が起こり易く、何れの場合も実用性に欠け
る。
【0077】反応圧力としては、常圧〜20MPa、特
に0.5〜10MPaの範囲が好ましい。
に0.5〜10MPaの範囲が好ましい。
【0078】また、水素ガスの供給速度としては、反応
条件下での空塔線速度が1〜30cm/秒が好ましく、
特に5〜20cm/秒が好ましい。速度が1cm/秒未
満であると反応速度が著しく遅くなり、一方、30cm
/秒を越えると、ガスを供給するための設備経費が大き
くなり、何れの場合も経済的ではない。
条件下での空塔線速度が1〜30cm/秒が好ましく、
特に5〜20cm/秒が好ましい。速度が1cm/秒未
満であると反応速度が著しく遅くなり、一方、30cm
/秒を越えると、ガスを供給するための設備経費が大き
くなり、何れの場合も経済的ではない。
【0079】前段反応の生成物溶液を後段反応器へ供給
する速度は、中間体の無水コハク酸基準のF2/V2で
0.5〜3/時間が好ましい。0.5/時間未満では生
産性が低く経済的に不利であり、また、3/時間を越え
ると目的物の収率が低下する。
する速度は、中間体の無水コハク酸基準のF2/V2で
0.5〜3/時間が好ましい。0.5/時間未満では生
産性が低く経済的に不利であり、また、3/時間を越え
ると目的物の収率が低下する。
【0080】ここで、F2/V2は、触媒充填部分の体積
当たりの反応器入り口の無水コハク酸の体積供給速度で
あり、F2は反応器入り口の無水コハク酸の体積供給速
度を示し、V2は反応器における触媒を充填する部分の
体積を示す。
当たりの反応器入り口の無水コハク酸の体積供給速度で
あり、F2は反応器入り口の無水コハク酸の体積供給速
度を示し、V2は反応器における触媒を充填する部分の
体積を示す。
【0081】こうして得られる後段反応の反応混合物
は、実質上、溶媒及び生成したγ−ブチロラクトンから
なるものであり、副成生物の混入が極めて少ないもので
ある。溶媒は、蒸留等の常法に従い分離できる。溶媒と
して、γ−ブチロラクトンを使用すると、更に分離をす
る必要がないので有利である。また、反応混合物は、必
要であれば、常法に従い、さらに蒸留等の精製工程を加
えても良い。
は、実質上、溶媒及び生成したγ−ブチロラクトンから
なるものであり、副成生物の混入が極めて少ないもので
ある。溶媒は、蒸留等の常法に従い分離できる。溶媒と
して、γ−ブチロラクトンを使用すると、更に分離をす
る必要がないので有利である。また、反応混合物は、必
要であれば、常法に従い、さらに蒸留等の精製工程を加
えても良い。
【0082】上記本発明の後段反応によると、次のよう
な優れた効果が奏される。
な優れた効果が奏される。
【0083】1)第VIII族金属から選ばれる少なくとも
1つの金属とレニウムとを担持した成型触媒を採用する
ことにより、触媒活性が長時間維持でき、大きな発熱を
伴う副反応を起こさず、又、水素化反応の選択性の低下
も見られない。
1つの金属とレニウムとを担持した成型触媒を採用する
ことにより、触媒活性が長時間維持でき、大きな発熱を
伴う副反応を起こさず、又、水素化反応の選択性の低下
も見られない。
【0084】2)通常の単塔式の反応器を用いた水素化
反応と比べて、マルチチューブ型反応管を用いることに
より、より高い生産性で効率良くγ−ブチロラクトンを
製造できる。
反応と比べて、マルチチューブ型反応管を用いることに
より、より高い生産性で効率良くγ−ブチロラクトンを
製造できる。
【0085】3)反応溶媒としてγ−ブチロラクトンを
用い、その使用量を無水コハク酸濃度が5〜90重量
%、特に20〜80重量%となるような量とすることに
より、マルチチューブ型反応器を用いる上記2)の効果
を最大限活用できる。
用い、その使用量を無水コハク酸濃度が5〜90重量
%、特に20〜80重量%となるような量とすることに
より、マルチチューブ型反応器を用いる上記2)の効果
を最大限活用できる。
【0086】4)マルチチューブ型反応器の外筒を、少
なくとも二つ以上のゾーンに分け、各ゾーンの中を熱媒
が独立して循環し、上記チューブを加熱又は冷却し、該
熱媒により反応器内を温度制御することにより、特に、
反応器の塔内温度差を30℃以内に制御することによ
り、水素化反応に起因する急激な発熱を抑制できるた
め、原料濃度を高く設定しても高い選択率、高い生産性
をもって水素化が可能となる。
なくとも二つ以上のゾーンに分け、各ゾーンの中を熱媒
が独立して循環し、上記チューブを加熱又は冷却し、該
熱媒により反応器内を温度制御することにより、特に、
反応器の塔内温度差を30℃以内に制御することによ
り、水素化反応に起因する急激な発熱を抑制できるた
め、原料濃度を高く設定しても高い選択率、高い生産性
をもって水素化が可能となる。
【0087】以上のように、本発明の製造方法において
は、特定構造の反応器を使用し、特定の反応方式及び反
応条件を採用することにより、副生成物の混入が極めて
少ない高純度のγ−ブチロラクトンを製造できる。
は、特定構造の反応器を使用し、特定の反応方式及び反
応条件を採用することにより、副生成物の混入が極めて
少ない高純度のγ−ブチロラクトンを製造できる。
【0088】特に、本発明の前段反応と後段反応とを組
み合わせてγ−ブチロラクトンを製造することにより下
記の効果を発揮できる。
み合わせてγ−ブチロラクトンを製造することにより下
記の効果を発揮できる。
【0089】a)無水マレイン酸からγ−ブチロラクト
ンへの水素化を2段階で行うことにより、各々の反応に
適した反応条件が設定できるようになり、水素化反応の
選択性が向上する。
ンへの水素化を2段階で行うことにより、各々の反応に
適した反応条件が設定できるようになり、水素化反応の
選択性が向上する。
【0090】b)従来公知の方法である無水マレイン酸
からγ−ブチロラクトンを1段階で製造する方法、或い
は他の触媒、他の反応形態を採用した無水マレイン酸か
らγ−ブチロラクトンを2段階で製造する方法と比べ
て、より高い選択率をもって、高収率で無水マレイン酸
からγ−ブチロラクトンを製造することが可能となる。
からγ−ブチロラクトンを1段階で製造する方法、或い
は他の触媒、他の反応形態を採用した無水マレイン酸か
らγ−ブチロラクトンを2段階で製造する方法と比べ
て、より高い選択率をもって、高収率で無水マレイン酸
からγ−ブチロラクトンを製造することが可能となる。
【0091】c)前段反応の高い生産性を維持しつつ、
後段反応にても高い生産性をもってγ−ブチロラクトン
を製造できる。
後段反応にても高い生産性をもってγ−ブチロラクトン
を製造できる。
【0092】d)前段反応、後段反応共に反応溶媒とし
てγ−ブチロラクトンを使用することにより、高い触媒
活性が長期にわたって維持可能となり、又、得られた生
成物から反応溶媒を分離する必要がない。
てγ−ブチロラクトンを使用することにより、高い触媒
活性が長期にわたって維持可能となり、又、得られた生
成物から反応溶媒を分離する必要がない。
【0093】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を詳しく説明す
る。
る。
【0094】反応装置 以下の実施例において使用した反応器は、前段反応及び
後段反応共に、内径43mm、長さ5mの耐圧チューブ
15本で構成されたマルチチューブ型反応器で、加熱・
冷却用の熱媒ジャケットは縦方向に3分割され、各々個
別に温度制御可能な構造である。反応塔上部から供給さ
れる原料溶液及び水素は、反応器上部チャンバーに設置
された分配器により各チューブに均等に分配される。反
応温度はチューブ内に設置した多点式温度計により測定
し、各ゾーンの熱媒温度を調節して、反応温度を目的範
囲に維持した。また、触媒はその充填容積が合計100
Lとなるよう各チューブに均等に充填した。
後段反応共に、内径43mm、長さ5mの耐圧チューブ
15本で構成されたマルチチューブ型反応器で、加熱・
冷却用の熱媒ジャケットは縦方向に3分割され、各々個
別に温度制御可能な構造である。反応塔上部から供給さ
れる原料溶液及び水素は、反応器上部チャンバーに設置
された分配器により各チューブに均等に分配される。反
応温度はチューブ内に設置した多点式温度計により測定
し、各ゾーンの熱媒温度を調節して、反応温度を目的範
囲に維持した。また、触媒はその充填容積が合計100
Lとなるよう各チューブに均等に充填した。
【0095】また、実施例において行った操作の概略に
ついて、図1を参照して説明すると、次の通りである。
ついて、図1を参照して説明すると、次の通りである。
【0096】反応原料は原料槽Aから原料送りポンプM
により配管aを経由して水素とともに予熱器Bに送られ
る。加熱された原料及び水素は、配管bを通りマルチチ
ューブ型反応器Cの上部に供給される。反応粗物及び過
剰の水素は、反応器下部から配管cを通り熱交換器Dで
循環水素と熱交換されて、配管dを経て気液分離器Eに
送られる。この気液分離器Eで分離された液状物は、配
管eを経由し、反応粗物槽Fに入る。気液分離器Eで分
離されたガス状物は、配管fを通り、水素ガス冷却器G
で冷却された後、配管gを通り、ミストセパレータHで
濃縮液を分離する。
により配管aを経由して水素とともに予熱器Bに送られ
る。加熱された原料及び水素は、配管bを通りマルチチ
ューブ型反応器Cの上部に供給される。反応粗物及び過
剰の水素は、反応器下部から配管cを通り熱交換器Dで
循環水素と熱交換されて、配管dを経て気液分離器Eに
送られる。この気液分離器Eで分離された液状物は、配
管eを経由し、反応粗物槽Fに入る。気液分離器Eで分
離されたガス状物は、配管fを通り、水素ガス冷却器G
で冷却された後、配管gを通り、ミストセパレータHで
濃縮液を分離する。
【0097】濃縮液は、配管hを通り、反応粗物槽Fに
入る。ミストセパレータHを出た水素ガスは、配管i及
びjを通り、水素ガス循環器Iから配管kを経て熱交換
器Dへ送られる。Dで加熱された水素ガスは、配管lを
通り予熱器Bに入る。反応で消費された水素ガス量に相
当する新しい水素ガスは、配管sから配管jに供給され
る。
入る。ミストセパレータHを出た水素ガスは、配管i及
びjを通り、水素ガス循環器Iから配管kを経て熱交換
器Dへ送られる。Dで加熱された水素ガスは、配管lを
通り予熱器Bに入る。反応で消費された水素ガス量に相
当する新しい水素ガスは、配管sから配管jに供給され
る。
【0098】マルチチューブ型反応器Cの熱媒ジャケッ
トは、3ゾーンに分割されている。反応器上部の第一ゾ
ーンでは、当該ゾーン上部から出た熱媒は配管mを通
り、熱媒循環ポンプNにより熱媒加熱冷却器Jに送られ
る。熱媒加熱冷却器Jで冷却又は加熱された熱媒は、配
管nを通り、ゾーン下部に送られ、循環される。第2及
び第3ゾーンも同様に、各ゾーン上部から出た熱媒は、
熱媒循環ポンプO又はPにより各加熱冷却器K又はLに
より加熱又は冷却され、各ゾーンの下部に送られ、循環
される。
トは、3ゾーンに分割されている。反応器上部の第一ゾ
ーンでは、当該ゾーン上部から出た熱媒は配管mを通
り、熱媒循環ポンプNにより熱媒加熱冷却器Jに送られ
る。熱媒加熱冷却器Jで冷却又は加熱された熱媒は、配
管nを通り、ゾーン下部に送られ、循環される。第2及
び第3ゾーンも同様に、各ゾーン上部から出た熱媒は、
熱媒循環ポンプO又はPにより各加熱冷却器K又はLに
より加熱又は冷却され、各ゾーンの下部に送られ、循環
される。
【0099】分析 以下の実施例において反応生成物溶液の組成は、ガスク
ロマトグラフィーにより分析し、反応率、収率及び選択
率を求めた。
ロマトグラフィーにより分析し、反応率、収率及び選択
率を求めた。
【0100】実施例1 [前段反応] 反応器に市販の0.5重量%Ru/アル
ミナ担持成型触媒(円柱状:直径3.2mm×高さ3.
2mm)90kgを充填した。無水マレイン酸50重量
部をγ−ブチロラクトン50重量部に溶解した溶液を2
40L/時間(F1/V1=1.2/時間)の送液速度で
反応器の上部から水素ガス321Nm3/時間(反応条
件下の空塔線速度10cm/秒)とともに供給して、圧
力6MPaで連続水素化を行った。反応温度は、塔上部
を125〜129℃に、塔中部を126〜131℃に、
塔下部を123〜128℃に制御した。
ミナ担持成型触媒(円柱状:直径3.2mm×高さ3.
2mm)90kgを充填した。無水マレイン酸50重量
部をγ−ブチロラクトン50重量部に溶解した溶液を2
40L/時間(F1/V1=1.2/時間)の送液速度で
反応器の上部から水素ガス321Nm3/時間(反応条
件下の空塔線速度10cm/秒)とともに供給して、圧
力6MPaで連続水素化を行った。反応温度は、塔上部
を125〜129℃に、塔中部を126〜131℃に、
塔下部を123〜128℃に制御した。
【0101】通液開始12時間後の反応生成物をガスク
ロマトグラフィーにより分析した結果、無水マレイン酸
の反応率は99.8%で、無水コハク酸の収率は99.
5%であり、反応粗液の組成は、無水コハク酸50.2
重量%、無水マレイン酸0.16重量%、n-プロピオ
ン酸0.09重量%、高沸点物0.05重量%及び溶媒
(γ−ブチロラクトン)49.5重量%であった。
ロマトグラフィーにより分析した結果、無水マレイン酸
の反応率は99.8%で、無水コハク酸の収率は99.
5%であり、反応粗液の組成は、無水コハク酸50.2
重量%、無水マレイン酸0.16重量%、n-プロピオ
ン酸0.09重量%、高沸点物0.05重量%及び溶媒
(γ−ブチロラクトン)49.5重量%であった。
【0102】更に反応を続け1440時間連続して水素
化を行った。100時間後、500時間後、1440時
間後の反応生成物の組成を表1に示す。
化を行った。100時間後、500時間後、1440時
間後の反応生成物の組成を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】この表1から、1440時間連続して水素
化した後も、触媒活性が維持できており、過剰な水素化
反応にともなうn−プロピオン酸の副生が少なく、又、
水素化反応生成物、副生物等が縮合した高沸点物の生成
量も非常に少なく、水素化反応の反応率、収率のいずれ
も変化がないことがわかる。
化した後も、触媒活性が維持できており、過剰な水素化
反応にともなうn−プロピオン酸の副生が少なく、又、
水素化反応生成物、副生物等が縮合した高沸点物の生成
量も非常に少なく、水素化反応の反応率、収率のいずれ
も変化がないことがわかる。
【0105】[後段反応] 反応器に市販の2重量%R
e−0.5重量%Pd/カーボン担持成型触媒(円柱
状;3mmφ)40kgを充填し、前記前段反応で得ら
れた反応粗液を240L/時間(F2/V2=1.2/時
間)の速度で圧力6MPaの条件下、反応器上部から水
素ガス336Nm3/時間(反応条件下の空塔線速度1
2cm/秒)とともに供給して無水コハク酸の連続水素
化を行った。反応温度は、塔上部を197〜201℃
に、塔中部を200〜205℃に、塔下部を196〜2
02℃に制御した。
e−0.5重量%Pd/カーボン担持成型触媒(円柱
状;3mmφ)40kgを充填し、前記前段反応で得ら
れた反応粗液を240L/時間(F2/V2=1.2/時
間)の速度で圧力6MPaの条件下、反応器上部から水
素ガス336Nm3/時間(反応条件下の空塔線速度1
2cm/秒)とともに供給して無水コハク酸の連続水素
化を行った。反応温度は、塔上部を197〜201℃
に、塔中部を200〜205℃に、塔下部を196〜2
02℃に制御した。
【0106】通液開始12時間後の反応生成物をガスク
ロマトグラフィーにより分析した結果、γ−ブチロラク
トンの収率は97.5%で、反応粗液の組成は、γ−ブ
チロラクトン98.8重量%、n-プロピオン酸0.10
重量%、テトラヒドロフラン0.44重量%、高沸点物
0.66重量%であった。
ロマトグラフィーにより分析した結果、γ−ブチロラク
トンの収率は97.5%で、反応粗液の組成は、γ−ブ
チロラクトン98.8重量%、n-プロピオン酸0.10
重量%、テトラヒドロフラン0.44重量%、高沸点物
0.66重量%であった。
【0107】更に反応を続け1440時間連続して水素
化を行った。100時間後、500時間後、1440時
間後の反応生成物の組成を表2に示す。
化を行った。100時間後、500時間後、1440時
間後の反応生成物の組成を表2に示す。
【0108】
【表2】
【0109】この表2から、1440時間連続して水素
化した後も、触媒活性が維持できており、過剰な水素化
反応にともなうTHFの副生量に変動はなく、水素化反
応の反応率、収率のいずれも変化がないことがわかる。
化した後も、触媒活性が維持できており、過剰な水素化
反応にともなうTHFの副生量に変動はなく、水素化反
応の反応率、収率のいずれも変化がないことがわかる。
【0110】実施例2 [前段反応] 実施例1と同じ反応器に市販の2重量%
Ru/カーボン担持成型触媒(3mmφ)45kgを充
填し、無水マレイン酸50重量部をγ−ブチロラクトン
50重量部に溶解した溶液を170L/時間F1/V1
=0.9/時間)の送液速度で反応器の上部から水素ガ
ス470Nm3/時間(反応条件下の空塔線速度15c
m/秒)とともに供給して、塔上部を137〜140
℃、塔中部を137〜143℃、塔下部を137〜14
2℃に制御しながら、圧力6MPaで連続水素化を行っ
た。
Ru/カーボン担持成型触媒(3mmφ)45kgを充
填し、無水マレイン酸50重量部をγ−ブチロラクトン
50重量部に溶解した溶液を170L/時間F1/V1
=0.9/時間)の送液速度で反応器の上部から水素ガ
ス470Nm3/時間(反応条件下の空塔線速度15c
m/秒)とともに供給して、塔上部を137〜140
℃、塔中部を137〜143℃、塔下部を137〜14
2℃に制御しながら、圧力6MPaで連続水素化を行っ
た。
【0111】通液開始12時間後の反応生成物をガスク
ロマトグラフィーにより分析した結果、無水マレイン酸
の反応率は99.6%で、無水コハク酸の収率は99.
3%であった。また、このときの反応粗液の組成は、無
水コハク酸50.2重量%、無水マレイン酸0.20重
量%、n-プロピオン酸0.07重量%、高沸点物0.0
4重量%及び溶媒(γ−ブチロラクトン)49.5重量
%であった。
ロマトグラフィーにより分析した結果、無水マレイン酸
の反応率は99.6%で、無水コハク酸の収率は99.
3%であった。また、このときの反応粗液の組成は、無
水コハク酸50.2重量%、無水マレイン酸0.20重
量%、n-プロピオン酸0.07重量%、高沸点物0.0
4重量%及び溶媒(γ−ブチロラクトン)49.5重量
%であった。
【0112】[後段反応] 反応器に市販の2重量%R
e−2重量%Pd/カーボン担持成型触媒(円柱状;3
mmφ)42kgを充填し、前記前段反応で得られた反
応粗液を170L/時間(F2/V2=0.9/時間)の
速度で圧力6MPaの条件下、反応器上部から水素ガス
336Nm3/時間(反応条件下の空塔線速度12cm
/秒)とともに供給して無水コハク酸の連続水素化を行
った。反応温度は、塔上部を186〜192℃に、塔中
部を188〜194℃に、塔下部を186〜191℃に
制御した。
e−2重量%Pd/カーボン担持成型触媒(円柱状;3
mmφ)42kgを充填し、前記前段反応で得られた反
応粗液を170L/時間(F2/V2=0.9/時間)の
速度で圧力6MPaの条件下、反応器上部から水素ガス
336Nm3/時間(反応条件下の空塔線速度12cm
/秒)とともに供給して無水コハク酸の連続水素化を行
った。反応温度は、塔上部を186〜192℃に、塔中
部を188〜194℃に、塔下部を186〜191℃に
制御した。
【0113】通液開始12時間後の反応生成物をガスク
ロマトグラフィーにより分析した結果、γ−ブチロラク
トンの収率は98.1%で、反応粗液の組成は、γ−ブ
チロラクトン99.1重量%、n-プロピオン酸0.08
重量%、テトラヒドロフラン0.45重量%、高沸点物
0.37重量%であった。
ロマトグラフィーにより分析した結果、γ−ブチロラク
トンの収率は98.1%で、反応粗液の組成は、γ−ブ
チロラクトン99.1重量%、n-プロピオン酸0.08
重量%、テトラヒドロフラン0.45重量%、高沸点物
0.37重量%であった。
【0114】実施例3 [前段反応] 実施例1と同じ反応器に市販の1重量%
Ru/アルミナ担持成型触媒(円柱状:直径3.2mm
×高さ3.2mm)92kgを充填し、無水マレイン酸
50重量部をγ−ブチロラクトン50重量部に溶解した
溶液を340L/時間(F1/V1=1.7/時間)の送
液速度で反応器の上部から水素ガス726Nm3/時間
(反応条件下の空塔線速度20cm/秒)とともに供給
して、塔上部を135〜142℃、塔中部を138〜1
45℃、塔下部を137〜144℃に制御しながら、圧
力7MPaで連続水素化を行った。
Ru/アルミナ担持成型触媒(円柱状:直径3.2mm
×高さ3.2mm)92kgを充填し、無水マレイン酸
50重量部をγ−ブチロラクトン50重量部に溶解した
溶液を340L/時間(F1/V1=1.7/時間)の送
液速度で反応器の上部から水素ガス726Nm3/時間
(反応条件下の空塔線速度20cm/秒)とともに供給
して、塔上部を135〜142℃、塔中部を138〜1
45℃、塔下部を137〜144℃に制御しながら、圧
力7MPaで連続水素化を行った。
【0115】通液開始10時間後の反応生成物をガスク
ロマトグラフィーにより分析した結果、無水マレイン酸
の反応率は99.5%で、無水コハク酸の収率は99.
1%であった。また、このときの反応粗液の組成は、無
水コハク酸50.1重量%、無水マレイン酸0.26重
量%、n-プロピオン酸0.08重量%、高沸点物0.0
7重量%及び溶媒(γ−ブチロラクトン)49.5重量
%であった。
ロマトグラフィーにより分析した結果、無水マレイン酸
の反応率は99.5%で、無水コハク酸の収率は99.
1%であった。また、このときの反応粗液の組成は、無
水コハク酸50.1重量%、無水マレイン酸0.26重
量%、n-プロピオン酸0.08重量%、高沸点物0.0
7重量%及び溶媒(γ−ブチロラクトン)49.5重量
%であった。
【0116】[後段反応] 反応器に市販の1重量%R
e−0.5重量%Ru/カーボン担持成型触媒(円柱
状;3mmφ)45kgを充填し、前記前段反応で得ら
れた反応粗液を340L/時間(F2/V2=1.7/時
間)の送液速度で反応器上部から水素ガス628Nm3
/時間(反応条件下の空塔線速度20cm/秒)ととも
に供給して、塔上部を197〜206℃、塔中部を20
0〜208℃、塔下部を201〜206℃に制御しなが
ら、圧力7MPaで連続水素化を行った。
e−0.5重量%Ru/カーボン担持成型触媒(円柱
状;3mmφ)45kgを充填し、前記前段反応で得ら
れた反応粗液を340L/時間(F2/V2=1.7/時
間)の送液速度で反応器上部から水素ガス628Nm3
/時間(反応条件下の空塔線速度20cm/秒)ととも
に供給して、塔上部を197〜206℃、塔中部を20
0〜208℃、塔下部を201〜206℃に制御しなが
ら、圧力7MPaで連続水素化を行った。
【0117】通液開始10時間後の反応生成物をガスク
ロマトグラフィーにより分析した結果、γ−ブチロラク
トンの収率は97.2%で、反応粗液の組成は、γ−ブ
チロラクトン98.5重量%、n-プロピオン酸0.08
重量%、テトラヒドロフラン0.68重量%、高沸点物
0.74重量%であった。
ロマトグラフィーにより分析した結果、γ−ブチロラク
トンの収率は97.2%で、反応粗液の組成は、γ−ブ
チロラクトン98.5重量%、n-プロピオン酸0.08
重量%、テトラヒドロフラン0.68重量%、高沸点物
0.74重量%であった。
【0118】実施例4 反応器チューブ長の効果を評価した。即ち、実施例1と
同反応器、同触媒及び同条件下で、原料溶液及び水素の
供給速度を2倍として反応を行い、回収した反応生成物
を全く同一条件下で再度仕込んで反応し、チューブ長1
0mに相当する検討を行った。
同反応器、同触媒及び同条件下で、原料溶液及び水素の
供給速度を2倍として反応を行い、回収した反応生成物
を全く同一条件下で再度仕込んで反応し、チューブ長1
0mに相当する検討を行った。
【0119】[前段反応] 反応器に市販の0.5重量
%Ru/アルミナ担持成型触媒(円柱状:直径3.2m
m×高さ3.2mm)90kgを充填した。無水マレイ
ン酸50重量部をγ−ブチロラクトン50重量部に溶解
した溶液を480L/時間(F1/V1=2.4/時間)
の送液速度で反応器の上部から水素ガス646Nm3/
時間(反応条件下の空塔線速度20cm/秒)とともに
供給して、圧力6MPaで連続水素化を行った。反応温
度は、塔上部を124〜129℃に、塔中部を125〜
129℃に、塔下部を122〜128℃に制御した。
%Ru/アルミナ担持成型触媒(円柱状:直径3.2m
m×高さ3.2mm)90kgを充填した。無水マレイ
ン酸50重量部をγ−ブチロラクトン50重量部に溶解
した溶液を480L/時間(F1/V1=2.4/時間)
の送液速度で反応器の上部から水素ガス646Nm3/
時間(反応条件下の空塔線速度20cm/秒)とともに
供給して、圧力6MPaで連続水素化を行った。反応温
度は、塔上部を124〜129℃に、塔中部を125〜
129℃に、塔下部を122〜128℃に制御した。
【0120】24時間通液し、得られた反応溶液を再度
同条件下で通液して反応生成物をガスクロマトグラフィ
ー分析した。結果、無水マレイン酸の反応率は99.4
%で、無水コハク酸の収率は99.1%であった。
同条件下で通液して反応生成物をガスクロマトグラフィ
ー分析した。結果、無水マレイン酸の反応率は99.4
%で、無水コハク酸の収率は99.1%であった。
【0121】また、このときの反応粗液の組成は、無水
コハク酸50.1重量%、無水マレイン酸0.27重量
%、n-プロピオン酸0.06重量%、高沸点物0.10
重量%及び溶媒(γ−ブチロラクトン)49.5重量%
であった。
コハク酸50.1重量%、無水マレイン酸0.27重量
%、n-プロピオン酸0.06重量%、高沸点物0.10
重量%及び溶媒(γ−ブチロラクトン)49.5重量%
であった。
【0122】[後段反応] 反応器に市販の2重量%R
e−0.5重量%Pd/カーボン担持成型触媒(円柱
状;3mmφ)40kgを充填し、前記前段反応で得ら
れた反応粗液を480L/時間(F2/V2=2.4/時
間)の速度で圧力6MPaの条件下、反応器上部から水
素ガス651Nm3/時間(反応条件下の空塔線速度2
4cm/秒)とともに供給して連続水素化を行った。反
応温度は、塔上部を198〜203℃に、塔中部を19
9〜205℃に、塔下部を196〜201℃に制御し
た。
e−0.5重量%Pd/カーボン担持成型触媒(円柱
状;3mmφ)40kgを充填し、前記前段反応で得ら
れた反応粗液を480L/時間(F2/V2=2.4/時
間)の速度で圧力6MPaの条件下、反応器上部から水
素ガス651Nm3/時間(反応条件下の空塔線速度2
4cm/秒)とともに供給して連続水素化を行った。反
応温度は、塔上部を198〜203℃に、塔中部を19
9〜205℃に、塔下部を196〜201℃に制御し
た。
【0123】24時間通液し、得られた反応溶液を再度
同条件下で通液して反応生成物のガスクロマトグラフィ
ーを分析した。γ−ブチロラクトンの収率は96.9%
で、反応粗液の組成は、γ−ブチロラクトン98.5重
量%、n-プロピオン酸0.09重量%、テトラヒドロフ
ラン0.71重量%、高沸点物0.70重量%であっ
た。 比較例1 反応器として、熱媒による加熱・冷却用ジャケットを有
し、内径160mm、長さ5mの耐圧筒型反応器(即
ち、単管式反応器)を使用した。
同条件下で通液して反応生成物のガスクロマトグラフィ
ーを分析した。γ−ブチロラクトンの収率は96.9%
で、反応粗液の組成は、γ−ブチロラクトン98.5重
量%、n-プロピオン酸0.09重量%、テトラヒドロフ
ラン0.71重量%、高沸点物0.70重量%であっ
た。 比較例1 反応器として、熱媒による加熱・冷却用ジャケットを有
し、内径160mm、長さ5mの耐圧筒型反応器(即
ち、単管式反応器)を使用した。
【0124】[前段反応]この反応器に市販の0.5重
量%Ru/アルミナ担持成型触媒(円柱状:直径3.2
mm×高さ3.2mm)95kgを充填し、無水マレイ
ン酸50重量部をγ−ブチロラクトン50重量部に溶解
した溶液を120L/時間(F1/V1=0.6/時間)
の送液速度で反応器の上部から水素ガス296Nm3/
h(反応条件下の空塔線速度10cm/秒)とともに供
給して、圧力6MPaで連続水素化を行った。反応温度
は、実施例1と同様に125℃で制御を試みたが、塔上
部が122〜148℃、塔中部が140〜198℃、塔
下部が130〜181℃と反応熱により変動が激しく制
御できなかった。
量%Ru/アルミナ担持成型触媒(円柱状:直径3.2
mm×高さ3.2mm)95kgを充填し、無水マレイ
ン酸50重量部をγ−ブチロラクトン50重量部に溶解
した溶液を120L/時間(F1/V1=0.6/時間)
の送液速度で反応器の上部から水素ガス296Nm3/
h(反応条件下の空塔線速度10cm/秒)とともに供
給して、圧力6MPaで連続水素化を行った。反応温度
は、実施例1と同様に125℃で制御を試みたが、塔上
部が122〜148℃、塔中部が140〜198℃、塔
下部が130〜181℃と反応熱により変動が激しく制
御できなかった。
【0125】12時間通液し、反応生成物のガスクロマ
トグラフィーを分析した結果、無水マレイン酸の反応率
は93.9%で、無水コハク酸の収率は89.5%であ
った。反応粗液の組成は、無水コハク酸42.1重量
%、無水マレイン酸3.03重量%、n-プロピオン酸
3.12重量%、高沸点物2.05重量%及び溶媒(γ
−ブチロラクトン)49.7重量%であった。
トグラフィーを分析した結果、無水マレイン酸の反応率
は93.9%で、無水コハク酸の収率は89.5%であ
った。反応粗液の組成は、無水コハク酸42.1重量
%、無水マレイン酸3.03重量%、n-プロピオン酸
3.12重量%、高沸点物2.05重量%及び溶媒(γ
−ブチロラクトン)49.7重量%であった。
【0126】[後段反応] 反応器に市販の2重量%R
e−0.5重量%Pd/カーボン担持成型触媒(円柱
状;3mmφ)40kgを充填し、前記前段反応で得ら
れた反応粗液を120L/時間(F2/V2=0.6/時
間)の速度で圧力6MPaの条件下、反応器上部から水
素ガス300Nm3/時間(反応条件下の空塔線速度1
2cm/秒)とともに供給して連続水素化を行った。反
応温度は、実施例1と同様に200℃で制御を試みた
が、塔上部が199〜214℃に、塔中部が200〜2
21℃に、塔下部が196〜212℃となった。
e−0.5重量%Pd/カーボン担持成型触媒(円柱
状;3mmφ)40kgを充填し、前記前段反応で得ら
れた反応粗液を120L/時間(F2/V2=0.6/時
間)の速度で圧力6MPaの条件下、反応器上部から水
素ガス300Nm3/時間(反応条件下の空塔線速度1
2cm/秒)とともに供給して連続水素化を行った。反
応温度は、実施例1と同様に200℃で制御を試みた
が、塔上部が199〜214℃に、塔中部が200〜2
21℃に、塔下部が196〜212℃となった。
【0127】通液開始12時間後の反応生成物をガスク
ロマトグラフィーにより分析した結果、γ−ブチロラク
トンの収率は91.5%で、反応粗液の組成は、γ−ブ
チロラクトン92.0重量%、n-プロピオン酸3.18
重量%、テトラヒドロフラン0.92重量%、高沸点物
3.89重量%であった。
ロマトグラフィーにより分析した結果、γ−ブチロラク
トンの収率は91.5%で、反応粗液の組成は、γ−ブ
チロラクトン92.0重量%、n-プロピオン酸3.18
重量%、テトラヒドロフラン0.92重量%、高沸点物
3.89重量%であった。
【0128】実施例5 [後段反応] 実施例1の後段反応と同じ反応器に、市
販の2%Re−0.5%Pd/カーボン担持触媒(3m
mφ)40kgを充填し、市販の無水コハク酸[新日本
理化社製、商品名リカシッドSA(純度99.8%、コ
ハク酸0.2%含有)]50重量%をγ−ブチロラクト
ン50重量%に溶解した溶液を240L/時間(F2/
V2=1.2/時間)の速度で圧力6MPaの条件下、
反応器上部から水素ガス336Nm3/時間(反応条件
下の空塔線速度12cm/秒)とともに供給して無水コ
ハク酸の連続水素化を行った。反応温度は、塔上部を1
98〜201℃に、塔中部を199〜203℃に、塔下
部を195〜202℃に制御した。
販の2%Re−0.5%Pd/カーボン担持触媒(3m
mφ)40kgを充填し、市販の無水コハク酸[新日本
理化社製、商品名リカシッドSA(純度99.8%、コ
ハク酸0.2%含有)]50重量%をγ−ブチロラクト
ン50重量%に溶解した溶液を240L/時間(F2/
V2=1.2/時間)の速度で圧力6MPaの条件下、
反応器上部から水素ガス336Nm3/時間(反応条件
下の空塔線速度12cm/秒)とともに供給して無水コ
ハク酸の連続水素化を行った。反応温度は、塔上部を1
98〜201℃に、塔中部を199〜203℃に、塔下
部を195〜202℃に制御した。
【0129】通液開始12時間後の反応生成物をガスク
ロマトグラフィーにより分析した結果、γ−ブチロラク
トンの収率は97.9%で、反応粗液の組成は、γ−ブ
チロラクトン99.2重量%、n-プロピオン酸0.01
重量%、テトラヒドロフラン0.47重量%、高沸点物
0.49重量%であった。
ロマトグラフィーにより分析した結果、γ−ブチロラク
トンの収率は97.9%で、反応粗液の組成は、γ−ブ
チロラクトン99.2重量%、n-プロピオン酸0.01
重量%、テトラヒドロフラン0.47重量%、高沸点物
0.49重量%であった。
【0130】比較例2 [前段反応] 実施例1の前段反応と同じ反応器(マル
チチューブ型反応器:内径43mm×長さ5m×15
本)に市販の2%Ru/カーボン担持触媒(3mmφ)
45kgを充填し、無水マレイン酸50重量%をγ−ブ
チロラクトン50重量%に溶解した溶液を200L/時
間(F1/V1=1.0/時間)の送液速度で反応器の上
部から水素ガス470Nm3/時間(反応条件下の空塔
線速度15cm/秒)とともに供給して、塔上部を13
6〜141℃、塔中部を138〜146℃、塔下部を1
38〜143℃に制御しながら、、圧力6MPaで連続
水素化を行った。
チチューブ型反応器:内径43mm×長さ5m×15
本)に市販の2%Ru/カーボン担持触媒(3mmφ)
45kgを充填し、無水マレイン酸50重量%をγ−ブ
チロラクトン50重量%に溶解した溶液を200L/時
間(F1/V1=1.0/時間)の送液速度で反応器の上
部から水素ガス470Nm3/時間(反応条件下の空塔
線速度15cm/秒)とともに供給して、塔上部を13
6〜141℃、塔中部を138〜146℃、塔下部を1
38〜143℃に制御しながら、、圧力6MPaで連続
水素化を行った。
【0131】通液開始12時間後の反応生成物をガスク
ロマトグラフィーにより分析した結果、無水マレイン酸
の反応率は99.6%で、無水コハク酸の収率は99.
3%であった。また、このときの反応粗液の組成は、無
水コハク酸50.2重量%、無水マレイン酸0.20重
量%、n-プロピオン酸0.07重量%、高沸点物0.0
4重量%及び溶媒(γ−ブチロラクトン)49.5重量
%であった。
ロマトグラフィーにより分析した結果、無水マレイン酸
の反応率は99.6%で、無水コハク酸の収率は99.
3%であった。また、このときの反応粗液の組成は、無
水コハク酸50.2重量%、無水マレイン酸0.20重
量%、n-プロピオン酸0.07重量%、高沸点物0.0
4重量%及び溶媒(γ−ブチロラクトン)49.5重量
%であった。
【0132】[後段反応] 比較例1と同反応器(単管
式反応器:内径160mm×長さ5m)に市販の2%R
e−2%Pd/カーボン担持触媒(3mmφ)40kg
を充填し、前記工程(a)で得られた反応粗液を200
L/時間(F2/V2=1.0/時間)の速度で圧力6M
Paの条件下、反応器上部から水素ガス336Nm3/
時間(反応条件下の空塔線速度12cm/秒)とともに
供給して無水コハク酸の連続水素化を行った。反応温度
は200℃での制御を試みたが、塔上部が196〜22
7℃、塔中部が200〜236℃、塔下部が189〜2
19℃となった。
式反応器:内径160mm×長さ5m)に市販の2%R
e−2%Pd/カーボン担持触媒(3mmφ)40kg
を充填し、前記工程(a)で得られた反応粗液を200
L/時間(F2/V2=1.0/時間)の速度で圧力6M
Paの条件下、反応器上部から水素ガス336Nm3/
時間(反応条件下の空塔線速度12cm/秒)とともに
供給して無水コハク酸の連続水素化を行った。反応温度
は200℃での制御を試みたが、塔上部が196〜22
7℃、塔中部が200〜236℃、塔下部が189〜2
19℃となった。
【0133】通液開始12時間後の反応生成物をガスク
ロマトグラフィーにより分析した結果、γ−ブチロラク
トンの収率は82.1%で、反応粗液の組成は、γ−ブ
チロラクトン85.5重量%、無水コハク酸5.77重
量%、n-プロピオン酸0.14重量%、テトラヒドロフ
ラン1.45重量%、高沸点物6.73重量%であっ
た。
ロマトグラフィーにより分析した結果、γ−ブチロラク
トンの収率は82.1%で、反応粗液の組成は、γ−ブ
チロラクトン85.5重量%、無水コハク酸5.77重
量%、n-プロピオン酸0.14重量%、テトラヒドロフ
ラン1.45重量%、高沸点物6.73重量%であっ
た。
【0134】
【発明の効果】本発明に係る製造方法を用いることによ
り、工業的に容易に且つ安価に入手できる汎用の触媒を
使用しても、高い生産性で効率良く安全にγ−ブチロラ
クトンを製造できる。
り、工業的に容易に且つ安価に入手できる汎用の触媒を
使用しても、高い生産性で効率良く安全にγ−ブチロラ
クトンを製造できる。
【図1】実施例で用いたマルチチューブ型反応器を含む
反応装置の概略図である。
反応装置の概略図である。
A 原料槽 B 予熱器 C マルチチューブ型反応器 D 熱交換器 E 気液分離器 F 反応粗物槽 G 水素ガス冷却器 H ミストセパレーター I 水素ガス循環器 J〜L 熱媒加熱冷却器 M 原料送りポンプ N〜P 熱媒循環ポンプ Q〜S 冷却コントロール弁 T 多点式温度計 a〜s 配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 安久 京都府京都市伏見区葭島矢倉町13番地 新 日本理化株式会社内 (72)発明者 市来 達美 神奈川県横浜市保土ヶ谷区瀬戸ヶ谷町190 −1−607 (72)発明者 石原 毅 埼玉県川越市並木272−16 (72)発明者 浜島 長登 東京都文京区本郷2−15−16−1002 (72)発明者 小林 健司 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡1−4−4− 414 Fターム(参考) 4C037 EA02 4H039 CA42 CB10 CB40
Claims (12)
- 【請求項1】 (a)ルテニウムを担持した触媒を充填
したマルチチューブ型反応器に、無水マレイン酸を溶媒
に溶解させた溶液と水素を供給して水素化を行い、該反
応器より過剰の水素と生成した無水コハク酸が溶媒に溶
解している溶液を抜き出し、 (b)上記工程(a)で得られた無水コハク酸が溶媒に
溶解している溶液と水素とを、第VIII族金属から選ばれ
る少なくとも1つの金属とレニウムとを担持した触媒を
充填したマルチチューブ型反応器に供給して水素化を行
い、該反応器より過剰の水素と生成したγ−ブチロラク
トンと溶媒を抜き出すことを特徴とするγ−ブチロラク
トンの製造方法。 - 【請求項2】 工程(a)において、反応温度が60〜
180℃、反応圧力が0.1〜15MPa、水素ガスの
空塔線速度が1〜50cm/秒及び溶液中の無水マレイ
ン酸の反応器への供給速度F1/V1(触媒充填部分の体
積当たりの反応器入り口の無水マレイン酸の体積供給速
度;F1は反応器入り口の無水マレイン酸の体積供給速
度を示し、V1は反応器における触媒を充填する部分の
体積を示す。)が0.1〜5.0/時間であり、 工程(b)において、反応温度が120〜300℃、反
応圧力が常圧〜20MPa、水素ガスの空塔線速度が1
〜30cm/秒及び溶液中の無水コハク酸の反応器への
供給速度F2/V2(触媒充填部分の体積当たりの反応器
入り口の無水コハク酸の体積供給速度;F2は反応器入
り口の無水コハク酸の体積供給速度を示し、V2は反応
器における触媒を充填する部分の体積を示す。)が0.
5〜3/時間である請求項1に記載のγ−ブチロラクト
ンの製造方法。 - 【請求項3】 工程(a)及び工程(b)において使用
するマルチチューブ型反応器の各チューブが、内径2〜
10cm、チューブ長3〜15mを有する請求項1又は
2のいずれかに記載のγ−ブチロラクトンの製造方法。 - 【請求項4】 工程(a)及び工程(b)において使用
するマルチチューブ型反応器が、外筒及び該外筒に収容
された複数のチューブを備えており、該外筒が少なくと
も2つ以上の個別のゾーンに分けられており、該ゾーン
の中に熱媒を循環させて上記複数のチューブを加熱又は
冷却して、各ゾーンの温度を独立して制御することを特
徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のγ−ブチロラ
クトンの製造方法。 - 【請求項5】 工程(a)において、ルテニウムを担持
した触媒を充填したマルチチューブ型反応器の上部よ
り、無水マレイン酸を溶媒に溶解させた溶液と水素を供
給して水素化を行い、該反応器の下部より過剰の水素と
生成した無水コハク酸が溶媒に溶解している溶液を抜き
出し、 工程(b)において、上記工程(a)で得られた無水コ
ハク酸が溶媒に溶解している溶液と水素とを、第VIII族
金属から選ばれる少なくとも1つの金属とレニウムとを
担持した触媒を充填したマルチチューブ型反応器の上部
より供給して水素化を行い、該反応器の下部より過剰の
水素と生成したγ−ブチロラクトンと溶媒を抜き出すこ
とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のγ−ブ
チロラクトンの製造方法。 - 【請求項6】 溶媒が、γ−ブチロラクトンである請求
項1〜5のいずれかに記載の製造方法。 - 【請求項7】 無水コハク酸を溶媒に溶解させた溶液と
水素とを、第VIII族金属から選ばれる少なくとも1つの
金属とレニウムとを担持した触媒を充填したマルチチュ
ーブ型反応器に供給して水素化し、該反応器より過剰の
水素と生成したγ−ブチロラクトン及び溶媒を抜き出す
ことを特徴とするγ−ブチロラクトンの製造方法。 - 【請求項8】 反応温度が120〜300℃、反応圧力
が常圧〜20MPa、水素ガスの空塔線速度が1〜30
cm/秒及び溶液中の無水コハク酸の反応器への供給速
度F2/V2(触媒充填部分の体積当たりの反応器入り口
の無水コハク酸の体積供給速度;F2は反応器入り口の
無水コハク酸の体積供給速度を示し、V2は反応器にお
ける触媒を充填する部分の体積を示す。)が0.5〜3
/時間である請求項7に記載のγ−ブチロラクトンの製
造方法。 - 【請求項9】 マルチチューブ型反応器の各チューブ
が、内径2〜10cm、チューブ長3〜15mを有する
請求項7又は8に記載のγ−ブチロラクトンの製造方
法。 - 【請求項10】 マルチチューブ型反応器が、外筒及び
該外筒に収容された複数のチューブを備えており、該外
筒が少なくとも2つ以上の個別のゾーンに分けられてお
り、該ゾーンの中に熱媒を循環させて上記複数のチュー
ブを加熱又は冷却して各ゾーンの温度を独立して制御す
ることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のγ
−ブチロラクトンの製造方法。 - 【請求項11】 無水コハク酸が溶媒に溶解している溶
液と水素とを、第VIII族金属から選ばれる少なくとも1
つの金属とレニウムとを担持した触媒を充填したマルチ
チューブ型反応器の上部より供給して水素化を行い、該
反応器の下部より過剰の水素と生成したγ−ブチロラク
トンと溶媒を抜き出すことを特徴とする請求項7〜10
のいずれかに記載のγ−ブチロラクトンの製造方法。 - 【請求項12】 溶媒が、γ−ブチロラクトンである請
求項7〜11のいずれかに記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000254333A JP2002069064A (ja) | 2000-08-24 | 2000-08-24 | γ−ブチロラクトンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000254333A JP2002069064A (ja) | 2000-08-24 | 2000-08-24 | γ−ブチロラクトンの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002069064A true JP2002069064A (ja) | 2002-03-08 |
Family
ID=18743299
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000254333A Pending JP2002069064A (ja) | 2000-08-24 | 2000-08-24 | γ−ブチロラクトンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002069064A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005530721A (ja) * | 2002-04-03 | 2005-10-13 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | ネペタラクトンの水素添加によるジヒドロネペタラクトンの製造 |
JP2006282563A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Mitsubishi Chemicals Corp | ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の処理方法及びガンマブチロラクトンの製造方法 |
CN108794432A (zh) * | 2017-04-28 | 2018-11-13 | 山东新和成药业有限公司 | 一种光敏化催化制备丙位内酯的方法 |
-
2000
- 2000-08-24 JP JP2000254333A patent/JP2002069064A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005530721A (ja) * | 2002-04-03 | 2005-10-13 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | ネペタラクトンの水素添加によるジヒドロネペタラクトンの製造 |
JP2006282563A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Mitsubishi Chemicals Corp | ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の処理方法及びガンマブチロラクトンの製造方法 |
CN108794432A (zh) * | 2017-04-28 | 2018-11-13 | 山东新和成药业有限公司 | 一种光敏化催化制备丙位内酯的方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3108736B2 (ja) | シクロヘキサンジメタノールの製造方法 | |
JP2724001B2 (ja) | イソプロパノールの製造方法 | |
US7576236B2 (en) | Utilization of acetic acid reaction heat in other process plants | |
JP2003527382A (ja) | 無水マレイン酸の製造方法 | |
JPS5919931B2 (ja) | ジアセトキシブテンの水素化方法 | |
EP2170797B1 (en) | Process for converting levulinic acid into pentanoic acid | |
US20110172465A1 (en) | Method for producing 3-methyl-cyclopentadecenones, method for producing (r)- and (s)- muscone, and method for producing optically active muscone | |
EP1129085B1 (en) | Process to afford gamma butyrolactone and tetrahydrofuran | |
JP2002069064A (ja) | γ−ブチロラクトンの製造方法 | |
KR101659171B1 (ko) | 트랜스-1,4-사이클로헥산디메탄올의 직접 제조방법 | |
KR101639487B1 (ko) | 공정 단순화를 위한 트랜스-1,4-사이클로헥산디메탄올 제조장치 | |
JP2011523957A (ja) | ヘキサフルオロイソプロパノールを生成する連続方法 | |
JP2004501891A (ja) | 芳香族アミンの製造方法 | |
JP4321838B2 (ja) | イソプロピルアルコールの製造方法 | |
JP3336644B2 (ja) | ジアセトキシブテンの水素化方法 | |
JP5300392B2 (ja) | イソプロパノールの製造方法 | |
US6878851B2 (en) | Process for the hydrogenation of acetone | |
JPH1045645A (ja) | 1,4−シクロヘキサンジメタノールの製造方法 | |
JP2845528B2 (ja) | プロピレンの製造方法 | |
JP2002003484A (ja) | 無水コハク酸の製造方法 | |
EP3115350B1 (en) | A process for the production of a mixture comprising cyclohexanol and cyclohexanone | |
JP3956444B2 (ja) | ブタンジオールの製造方法 | |
JP2024515433A (ja) | アミジンの調製方法 | |
JPH0995464A (ja) | コハク酸の製造方法 | |
JPH0680615A (ja) | イソホロンジアミンの製造法 |