JP2001354029A - ヒートポンプ式車両用空調装置 - Google Patents

ヒートポンプ式車両用空調装置

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JP2001354029A
JP2001354029A JP2000179072A JP2000179072A JP2001354029A JP 2001354029 A JP2001354029 A JP 2001354029A JP 2000179072 A JP2000179072 A JP 2000179072A JP 2000179072 A JP2000179072 A JP 2000179072A JP 2001354029 A JP2001354029 A JP 2001354029A
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heat
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condenser
evaporator
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Yasushi Watanabe
泰 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両走行用エンジンの回転数が変化しても空
調性能に影響を受けないようにしたヒートポンプ式車両
用空調装置を提供する。 【解決手段】 電動モータで駆動されガス冷媒を圧縮し
て送出するコンプレッサ11と、冷媒流れ方向を切り換
える四方弁12と、冷媒流れ方向に応じて吸熱または廃
熱する吸廃熱兼用熱交換器13と、高温高圧の液冷媒を
減圧・膨張させる膨張弁14と、それぞれに電磁開閉弁
15,16を設けて冷媒の通過を選択切換可能に配置さ
れ空調空気と熱交換するエバポレータ17及びコンデン
サ18とを具備して冷凍サイクルを形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒートポンプ式車
両用空調装置に係り、特に、空調性能が車両走行用エン
ジンの回転数変化による影響を受けないようにしたヒー
トポンプ式車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両用空調装置としては、冷
房運転用のコンプレッサーを車両走行用のエンジン(内
燃機関)で直接駆動して冷媒を循環させ、暖房運転の熱
源としてエンジン冷却水の一部を温水式ヒータに導入し
てエンジン廃熱を利用する方式が一般的である。このよ
うな車両用空調装置においては、空調する空気の冷房及
び除湿(冷房運転)を行う冷凍サイクルの主な構成要素
として、ガス冷媒を圧縮して送出するコンプレッサ、高
温高圧のガス冷媒と外気との間で熱交換(廃熱)するコ
ンデンサ、高温高圧の液冷媒を減圧・膨張させる膨張弁
及び低温低圧の液冷媒と空調空気との間で熱交換(吸
熱)するエバポレータがあり、各構成要素間を冷媒配管
等で連結して冷媒が循環する閉回路を形成している。こ
の場合の冷凍サイクルは、冷媒の流れ方向が一定であ
り、冷房運転時にのみコンプレッサが駆動されて冷媒を
循環させ、エバポレータを通過した空調空気が吸熱され
て冷却されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、冷房運転用
のコンプレッサーを車両走行用エンジンで直接駆動する
従来方式では、コンプレッサーの運転が車両の走行状態
に応じて変化するエンジン回転数の影響を強く受けるこ
とになる。また、暖房運転時においても、車両の走行状
態などに応じてエンジン出力が変化するため、結果的に
はエンジン廃熱量も変化して利用できるエンジン冷却水
の温度や水量などに影響を受けることがある。特に、近
年の環境問題対策からエンジンの省エネルギ化が進んで
おり、エンジン廃熱量そのものが減少する傾向にある。
すなわち、車両走行用のエンジンは、信号待ちなどで一
時停車した時のアイドル運転(低回転数)から高速走行
時の高速運転(高回転数)まで広い範囲にわたってエン
ジン回転数が変化するものであるため、このようなエン
ジン回転数の変化により所望の冷媒及び温水の供給量が
得られないなどして冷暖房能力に変動が生じ、安定した
空調運転を行う上で問題となることから、車両の走行状
態にかかわらず安定した冷暖房能力を提供できる車両用
空調装置が望まれている。
【0004】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、車両走行用エンジンの回転数が変化しても空調性
能に影響を受けないようにしたヒートポンプ式車両用空
調装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、以下の手段を採用した。請求項1に記載の
ヒートポンプ式車両用空調装置は、電動モータで駆動さ
れガス冷媒を圧縮して送出するコンプレッサと、冷媒流
れ方向を切り換える四方弁と、冷媒流れ方向に応じて吸
熱または廃熱する吸廃熱兼用熱交換器と、高温高圧の液
冷媒を減圧・膨張させる膨張弁と、それぞれに開閉弁を
設けて冷媒の通過を選択切換可能に配置され空調空気と
熱交換するエバポレータ及びコンデンサとを具備して冷
凍サイクルを形成したことを特徴とするものである。
【0006】このようなヒートポンプ式車両用空調装置
によれば、電動モータでコンプレッサを駆動するように
したので、空調空気を冷却するエバポレータ及び空調空
気を加熱するコンデンサのいずれか一方または両方に選
択的に冷媒を供給することができるようになり、車両走
行用エンジンの影響を受けることなく安定した空調運転
を実施できる。この時、四方弁の操作により冷媒の流れ
方向を切り換えると、吸廃熱兼用熱交換器は、その流れ
方向に応じて廃熱熱交換器(コンデンサ)または吸熱熱
交換器(エバポレータ)のいずれかの機能を果たす。
【0007】さらに、上述したヒートポンプ式車両用空
調装置は、前記コンデンサを前記エバポレータの空調空
気後流側に配置し、前記空調空気が前記エバポレータ及
び前記コンデンサのいずれか一方を選択して通過するよ
う開閉ダンパを設けて流路を形成するとともに、前記エ
バポレータを通過した冷風及び前記コンデンサを通過し
た温風を任意の割合で混合しまたは複数の室内吹出口へ
任意の割合で配分するダンパ機構を備えたことを特徴と
している。また、前記吸廃熱兼用熱交換器が、外気また
は内気のいずれかを選択して熱交換することを特徴とし
ている。
【0008】このようなヒートポンプ式車両用空調装置
によれば、エバポレータを単独で使用する冷房運転、コ
ンデンサを単独で使用する暖房運転、及びエバポレータ
で冷却・除湿した空調空気(冷風)をコンデンサで再加
熱するという除湿暖房運転が可能となる。また、エバポ
レータ及びコンデンサをともに使用することで、冷風と
温風とを混合する吹出温度の調整、冷風及び温風を複数
の室内吹出口へ分配して吹き出すことも可能になる。そ
して、前記吸廃熱兼用熱交換器に内気を導入して熱交換
できるので、低外気温時の吸熱や高外気温時の廃熱にお
いて、吸廃熱兼用熱交換器の効率を向上させることがで
きる。
【0009】この場合、冷房運転時には、前記コンデン
サの開閉弁を閉じて冷媒供給を停止するとともに、前記
吸廃熱兼用熱交換器を廃熱熱交換器として使用する。ま
た、暖房運転時には、前記エバポレータの開閉弁を閉じ
て冷媒供給を停止するとともに、前記吸廃熱兼用熱交換
器を吸熱熱交換器として使用するが、除湿暖房運転時に
おいては、前記エバポレータ及び前記コンデンサの開閉
弁をともに開いて冷媒を供給し、前記エバポレータで冷
却した空調空気を前記コンデンサで再加熱するとよい。
さらに、前記エバポレータ及び前記コンデンサをともに
使用する場合は、運転状況に応じて吸廃熱兼用熱交換器
を廃熱熱交換器(コンデンサ)または吸熱熱交換器(エ
バポレータ)のいずれで使用してもよい。なお、前記コ
ンプレッサの回転数は、電動モータを回転数制御用イン
バーターで制御して任意に設定できるので、冷媒供給量
を容易に変化させて空調能力の調整を行うことが可能に
なる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るヒートポンプ
式車両用空調装置の一実施形態を図面に基づいて説明す
る。図1において、符号の10は冷媒系、30は通常H
VAC(Heating, Ventilation, and Air-Conditionin
g)ユニットと呼ばれる温調ユニットを示しており、両者
は後述する冷媒配管19で接続されている。
【0011】冷媒系10は、図示省略の電動モータで駆
動されるコンプレッサ11と、冷媒の流れ方向を切り換
える機能を有している四方弁12と、冷媒の流れ方向に
応じて吸熱または廃熱する吸廃熱兼用熱交換器13と、
高温高圧の液冷媒を減圧・膨張させる膨張弁14と、そ
れぞれが電磁開閉弁15,16を備えたエバポレータ1
7及びコンデンサ18とを具備しており、これらの各構
成要素間が冷媒配管19で連結されて、冷媒が循環して
状態変化を繰り返す閉回路の冷凍サイクルを形成してい
る。なお、図中の符号20はコンプレッサ11の上流側
に設置されたアキュムレータを示している。
【0012】温調ユニット30は、ケーシング31内に
設置されたブロワファン32、エバポレータ17、コン
デンサ18を備えている。ブロワファン32の上流側に
は、ブロワファン32で吸入する空調空気を選択切換す
るダンパ機構として、内外気切換ダンパ33を備えた内
気導入口34及び外気導入口35が開口している。内気
導入口34は、車室内の空気(内気)を導入するもの
で、車室内の適所にダクト等を介してあるいは直接開口
している。一方、外気導入口35は、車室外の空気(外
気)を導入するため、車体外部の適所に連通して開口し
ている。
【0013】温調ユニット30内に設置されるコンデン
サ18は、エバポレータ17の空調空気後流側に配置す
る。従って、ケーシング31内には、内気導入口34及
び外気導入口35側から空調空気の流れ方向へ、ブロワ
ファン32、エバポレータ17、コンデンサ18の順に
配置されている。また、空調空気がエバポレータ17及
びコンデンサ18のいずれか一方を選択して通過できる
流路を形成するため、エバポレータ17及びコンデンサ
18はいずれもケーシング31の断面積より小さい設置
面積とし、さらに、流路切換用の第1開閉ダンパ36及
び第2開閉ダンパ37を設けてある。
【0014】すなわち、ケーシング31内には、エバポ
レータ17を通過する冷却流路38と、エバポレータ1
7をバイパスする冷却バイパス流路39とが形成され、
さらにその下流側には、コンデンサ18を通過する加熱
流路40と、コンデンサ18をバイパスする加熱バイパ
ス流路41とが形成され、これらの流路38,39,4
0,41は、回転式の第1開閉ダンパ36とスライド式
の第2開閉ダンパ37とが協働することで、適宜所望の
流路を選択切換することができるようになっている。な
お、第1ダンパ36及び第2ダンパ37は、ともに開度
調整が可能であるため、冷却流路38と冷却バイパス流
路39との間、及び加熱流路40と加熱バイパス流路4
1との間で空調空気の分配が可能である。
【0015】さらに、上述した第1開閉ダンパ36及び
第2開閉ダンパ37は、エバポレータ17を通過した冷
風及びコンデンサ18を通過した温風を、その開閉位置
に応じて任意の割合で混合する機能を有している。そし
て、ケーシング31の下流には、それぞれに単独で開閉
操作可能なダンパを備えた複数の室内吹出口が設けられ
ている。図示の例では、主として乗員の足元へ温風を吹
き出すフット吹出口42と、主としてフロントガラスへ
向けて温風を吹き出すことで曇りを除去するデフロスト
吹出口43と、主として乗員の上半身へ向けて冷風を吹
き出すフェイス吹出口44とが設けられており、それぞ
れの吹出口にはフットダンパ42a、デフロストダンパ
43a及びフェイスダンパ44aが設けられている。
【0016】図示の例ではさらに、ケーシング31の内
気導入口34及び外気導入口35の近傍に吸廃熱兼用熱
交換器13が設置されている。この吸廃熱兼用熱交換器
13を通過して熱交換する空気流を内気または外気から
選択することができるようにするため、ケーシング31
の上流側端部に空気流切換ダンパ45a,45bを設け
てある。この空気流切換ダンパ45a,45bは、内気
吸入口46または外気吸入口47のいずれか一方を閉
じ、空気流の選択切換をする機能を有する開閉ダンパで
ある。なお、吸廃熱兼用熱交換器13は強制対流ファン
13aを備えており、この強制対流ファンを13aを作
動させることで、内気または外気が開状態にある吸入口
から吸引される。
【0017】続いて、図2に基づいて、冷媒系10の構
成を冷房運転時の冷媒の流れに沿って詳述する。コンプ
レッサ11は、ガス冷媒を圧縮して冷媒系に送出する機
能を有するもので、回転数制御用インバーターで制御さ
れる電動モータを駆動源としている。電動モータの電力
は、内燃機関エンジンで走行する車両の場合、通常は車
両走行用エンジンで駆動される発電機から電力の供給を
受ける。この発電機に交流発電機を採用すると、所定の
エンジン回転数以上では電圧・電流ともに一定の出力が
得られるので、たとえばこの回転速度がアイドル回転数
とほぼ一致するように設定すれば、車両の走行状態にか
かわらず常に安定した電力を得ることができる。すなわ
ち、エンジン回転数が低いアイドル運転時からエンジン
回転数が高い高速走行時まで、広い範囲にわたって安定
したコンプレッサ駆動が可能になる。また、電気自動車
やハイブリッド車のように大容量のバッテリを備えてい
る車両の場合は、コンプレッサ11駆動用の電力をバッ
テリから受けるようにしてもよい。この場合も、バッテ
リが所定値以上放電されるまでは、車両の走行状態にか
かわらず安定した電力の供給を得ることができる。
【0018】このように、インバーター制御される電動
モータでコンプレッサ11を駆動するようにしたので、
電源とコンプレッサ11との間は電線で接続するだけで
電力の供給が可能である。このため、コンプレッサ11
の設置位置は、エンジンで直接駆動する場合のように特
に制限を受けることはなく、エンジンルーム内に限らず
車両の適所に設置することが可能となる。また、インバ
ーター制御の電動モータとしたので、電動モータの回転
数、すなわち電動モータで駆動されるコンプレッサ11
の回転数を任意に設定できるようになり、従って、コン
プレッサ11の能力を回転数制御によって容易に調整す
ることができる。
【0019】さて、冷房運転時は、電磁開閉弁16が全
閉となっているので、コンプレッサ11から送出された
高温高圧のガス冷媒は、その全量が冷媒配管19を通っ
て四方弁12へ導かれる。四方弁12は冷媒の流れ方向
を切り換える機能を有するもので、具体的には、高温高
圧のガス冷媒を吸廃熱兼用熱交換器12へ導く冷房運転
時(図1に破線表示)と、電磁膨張弁14で凝縮液化さ
れた低温低圧の液冷媒を吸廃熱熱交換器12へ導く暖房
運転時(図1に実線表示)との二つのポジションを有し
ている。従って、冷房運転時には、図2に矢印で示すよ
うに高温高圧のガス冷媒が吸廃熱兼用熱交換器12へ導
かれ、高温高圧のガス冷媒が供給された吸廃熱兼用熱交
換器11は、通過する空気へ廃熱する廃熱熱交換器(コ
ンデンサ)として機能する。この廃熱により、高温高圧
のガス冷媒は高温高圧の液冷媒となり、再度四方弁12
を経た後、電磁膨張弁14へ導かれる。
【0020】電磁膨張弁14へ導かれた高温高圧の液冷
媒は、断熱膨張して低温低圧の液冷媒となり、冷媒配管
19から分岐された冷媒配管19aへ流入する。この
時、電磁開閉弁15は全開の状態にあるので、低温低圧
の液冷媒はエバポレータ17へ流れ込んで空調空気と熱
交換し、低温低圧の液冷媒が吸熱して気化する。この結
果、低温低圧の液冷媒が低温低圧のガス冷媒となり、冷
媒配管19b及びアキュムレータ20を通ってコンプレ
ッサ11へ送られ、一方、吸熱された空調空気は冷却さ
れて冷風となる。この時、コンプレッサ11の回転数を
インバーター制御することにより、冷媒循環量の変化に
よる温度調整が可能になる。
【0021】以下、冷媒は同様の経路を循環して流れ、
状態変化を繰り返して冷凍サイクルを形成する。なお、
このような冷房運転では、コンデンサ18への冷媒流入
が電磁開閉弁16を閉じてカットされているので、冷風
の再熱が防止される。
【0022】このような冷房運転を実施するとき、温調
ユニット30内ではブロワファン32の作動によって内
気導入口34から内気が導入され、その全量がエバポレ
ータ17を通過することで冷風となってフェイス吹出口
44から直接、あるいは図示省略のダクトを通って導か
れた吹出口より、車室内へ向けて吹き出される。この
時、冷却バイパス流路39が第1開閉ダンパ36によっ
て閉じられ、また、加熱流路40が第2開閉ダンパ37
によって閉じられている。そして、空気流切換ダンパ4
5a,45bは内気吸入口46を閉じ、吸廃熱兼用熱交
換器13を外気が通過するようにしてある。なお、必要
に応じて内外気切換ダンパ33を操作し、外気導入口3
5を開いて温調ユニット30内に導入した外気を空調す
ることも可能であるが、このような場合には、吸廃熱兼
用熱交換器13を内気が通過するように空気流切換ダン
パ45a,45bを操作する。このようにすれば、外気
温が高い場合であっても、空調されて外気温より低くな
った内気と熱交換することになるので、熱交換効率の面
で有利になる。
【0023】次に、図3に基づいて、暖房運転時の冷媒
の流れを詳述する。コンプレッサ11と四方弁12とを
連結する冷媒配管19の途中には、分岐してコンデンサ
18に連結される冷媒配管19cが設けられている。こ
の冷媒配管19cは、高温高圧のガス冷媒をコンデンサ
18へ導くものである。冷媒配管19cには電磁開閉弁
16が設けられ、同電磁開閉弁16を開閉操作すること
により、冷媒の流れを選択的に切り換えることができ
る。コンデンサ18で熱交換する高温高圧のガス冷媒
は、廃熱により空調空気を加熱して高温高圧の液冷媒と
なり、冷媒配管19dを通って電磁膨張弁14の上流側
へ導かれる。この結果、コンデンサ18を通過する空調
空気は加熱されて温風となる。この時、コンプレッサ1
1の回転数をインバーター制御することにより、冷媒循
環量の変化による温度調整が可能になる。
【0024】電磁膨張弁14の上流側に導かれた高温高
圧の液冷媒は、電磁膨張弁14を通過することで断熱膨
張して低温低圧の液冷媒となる。そして、暖房運転時に
は電磁開閉弁15が閉じているので、液冷媒は四方弁1
2を経由して吸廃熱兼用熱交換器13へ送られる。低温
低圧の液冷媒が供給された吸廃熱兼用熱交換器13は、
通過する空気から吸熱する吸熱熱交換器(エバポレー
タ)として機能する。この吸熱により、低温低圧の液冷
媒が気化して低温低圧のガス冷媒となり、再度四方弁1
2及びアキュムレータ20を経てコンプレッサ11へ戻
される。
【0025】このようにして、暖房運転時には、コンプ
レッサ11から送出された冷媒が、電磁開閉弁16、コ
ンデンサ18、電磁膨張弁14、四方弁12、吸廃熱兼
用熱交換器13、四方弁12、アキュムレータ20の順
に循環して再度コンプレッサ11に戻る冷凍サイクルを
形成している。なお、エバポレータ17への冷媒供給
は、電磁開閉弁15が閉じられているため遮断され、従
って、エバポレータ17による再冷を防止できる。
【0026】このような暖房運転を実施するとき、温調
ユニット30内ではブロワファン32の作動によって外
気導入口35から外気が導入され、その全量がコンデン
サ18を通過することで温風となり、フット吹出口42
またはデフロスト吹出口43から直接、あるいは図示省
略のダクトを通って導かれた吹出口より、車室内へ向け
て吹き出される。この時には、冷却流路38が第1開閉
ダンパ36によって閉じられ、また、加熱バイパス流路
41が第2開閉ダンパ37によって閉じられている。そ
して、空気流切換ダンパ45a,45bは外気吸入口4
7を閉じ、吸廃熱兼用熱交換器13を内気が通過するよ
うにしてある。このようにすれば、外気温が低い場合で
あっても、空調されて外気温より高温の内気と熱交換さ
せることができるので、熱交換器の効率面で有利にな
る。なお、必要に応じて内外気切換ダンパ33を操作
し、内気導入口34を開いて温調ユニット30内に導入
した内気を空調することも可能であるが、このような場
合には、吸廃熱兼用熱交換器13を外気が通過するよう
に空気流切換ダンパ45a,45bを操作する。
【0027】最後に、図4及び図5に基づいて、多湿時
の運転を説明する。図5は除湿暖房運転時における冷媒
の流れを示している。この場合、上述した冷房運転及び
暖房運転と異なるのは、電磁開閉弁15,16がともに
開となっている点であり、従って、エバポレータ17及
びコンデンサ18はともに冷媒の供給を受けて熱交換器
として機能する。
【0028】コンプレッサ11から送出された高温高圧
のガス冷媒は、電磁開閉弁16及びコンデンサ18を通
る冷媒流路19cへ流れ、コンデンサ18で廃熱して通
過する空調空気を加熱する。この時、コンプレッサ11
から四方弁12へ向かう冷媒流路19は、四方弁12に
おいて閉じられている。コンデンサ18で高温高圧の液
冷媒となった冷媒は、冷媒流路19dを通って電磁膨張
弁14の上流側に導かれるので、電磁膨張弁14を通過
して低温低圧の液冷媒となる。この後、低温低圧の液冷
媒は、四方弁12及び吸廃熱兼用熱交換器13へ向かう
冷媒流路19と、電磁開閉弁15及びエバポレータ17
を通る冷媒流路19aとに分かれる。
【0029】すなわち、エバポレータ17及び吸廃熱兼
用熱交換器13は、ともに低温低圧の液冷媒の供給を受
けて吸熱する熱交換器となる。換言すれば、吸熱機能を
有する熱交換器(エバポレータ)を2台並列に並べたこ
とになるので、低温低圧の液冷媒を気化させて低温低圧
のガス冷媒に変える吸熱能力を向上させることができ
る。こうして低温低圧のガス状になった冷媒は、合流し
た後アキュムレータ20を通ってコンプレッサ11へ戻
され、以後同様の経路をたどって冷凍サイクルを循環す
る。
【0030】上述した除湿暖房運転時の温調ユニット3
0では、第1開閉ダンパ36を操作して冷却流路38を
開き、導入した空調空気がエバポレータ17を通過して
冷却及び除湿されるようにしてある。こうして冷却・除
湿された空調空気は、第2開閉弁37を操作して開いた
加熱流路40に導かれ、コンデンサ18を通過して再加
熱される。従って、いったん冷却されて低湿度となった
冷風の空調空気が再加熱されるので、空調空気は低湿度
の温風となってフット吹出口42やデフロスト吹出口4
3へ供給される。この時、吸熱側の熱交換器が並列にな
っているので、外気温度が低い場合であっても高い吸熱
能力が得られることから、暖房能力の向上に有効であ
る。この場合も、コンプレッサ11の回転数をインバー
ター制御することにより、冷媒循環量の変化による温度
調整が可能になる。
【0031】また、図5は廃熱側の熱交換器として機能
するコンデンサを並列にした冷房運転を示している。こ
の場合、電磁開閉弁15,16がともに開である点は図
4の暖房除湿運転時と同様であるが、四方弁12の操作
によって吸廃熱熱交換器13に供給される冷媒の状態が
異なっている。すなわち、図4の場合は低温低圧の液冷
媒が供給されているのに対し、図5の運転では高温高圧
のガス冷媒が供給されている。このようにすれば、とも
に廃熱機能を有するコンデンサ18及び吸廃熱兼用熱交
換器13が並列に並んでいるので、冷凍サイクルの廃熱
能力を向上させることができ、結果として、同一の冷凍
サイクルを形成しているエバポレータ17の吸熱(冷
却)能力を向上させるのに有効である。
【0032】このような冷房運転では、空調空気がコン
デンサ18を通過できるようにするため加熱流路40の
少なくとも一部を開く必要がある。このように加熱流路
40を開くと、エバポレータ17で冷却及び除湿された
冷風に温風が混じることになるので、コンプレッサ11
のインバーター制御だけでなく、第2開閉ダンパ37の
開度による吹出空気の温度調整も可能である。
【0033】さらに、図4及び図5に示した空調運転で
は、車両用空調装置の特徴である頭寒足熱を実現する
「バイレベル吹出モード」が可能になる。この場合、第
2開閉ダンパ37の開度を調整し、エバポレータ17で
冷却された冷風の一部が主流となってフェイス吹出口4
4へ向かい、他の冷風がコンデンサ40を通過して再加
熱された後フット吹出口42へ向かう。
【0034】なお、エバポレータ17及びコンデンサ1
8をともに熱交換器として機能させる空調運転では、吸
廃熱兼用熱交換器13を吸熱または廃熱のいずれの熱交
換器として機能させるかは、種々の運転条件に応じて適
宜選択すればよく、その場合に熱交換する空気流は、温
調ユニット30が外気導入モードであれば内気を用い、
温調ユニット30が内気導入モードであれば外気を用い
るのが好ましい。
【0035】さて、図6は上述した温調ユニット30及
び吸廃熱兼用熱交換器13の車載例を示す図、図7は温
調ユニット30の構成例を示す斜視図である。図示の例
では、温調ユニット30をセダン型車両の後部トランク
ルーム内に設置してある。この場合、コンプレッサ11
等の冷媒系10についても車体後部に設置し、車体前部
のエンジンルームに設置される発電機と電線により接続
して電力の供給を受けるようにすればよい。また、温調
ユニット30の各吹出口42,43,44は、図示省略
のダクトを介して、車室内に設けた所望の吹出位置と接
続する構成とすればよい。
【0036】あるいは、温調ユニット30を車室内前部
のインストルメントパネル内に設置し、かつコンプレッ
サ11等の冷媒系を車体後部に設置して、電線による接
続でコンプレッサ11の電動モータに電力を供給し、温
調ユニット30と冷媒系10との間を冷媒配管19で接
続する構成なども可能である。
【0037】
【発明の効果】上述した本発明のヒートポンプ式車両用
空調装置によれば、以下の効果を奏する。 (1) 単一のヒートポンプ機構により、空調空気の
吹出温度及び湿度を任意に調整して、冷房・除湿運転、
暖房運転及び除湿暖房運転を実施することができるヒー
トポンプ式車両用空調装置を提供できる。 (2) 電動モータで駆動されるコンプレッサを採用
したので、車両の走行状態等に関わらず安定した空調運
転を実施できる。また、電源との間を電線で接続すれば
よいので、コンプレッサ及び冷媒系の配置において設計
の自由度を増すことができる。 (3) 電動モータにインバーター制御を採用したの
で、コンプレッサの回転数を容易に制御でき、冷媒供給
量の調整により空調空気の温度制御を容易に実施でき
る。 (4) 内気を吸廃熱兼用熱交換器の熱交換空気流と
して導入できるようにしたので、低外気温時における低
温熱源温度を上昇させ、かつ、高外気温時における高温
熱源温度を下降させることができるので、熱交換の効率
を向上させて熱負荷が大きい場合の能力不足を解消でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るヒートポンプ式車両用空調装置
の一実施形態を示す系統図である。
【図2】 図1のヒートポンプ式車両用空調装置が冷房
運転された時の冷媒流れを示す系統図である。
【図3】 図1のヒートポンプ式車両用空調装置が暖房
運転され時の冷媒流れを示す系統図である。
【図4】 図1のヒートポンプ式車両用空調装置が除湿
暖房運転された時の冷媒流れを示す系統図である。
【図5】 図1のヒートポンプ式車両用空調装置が廃熱
側の熱交換器を並列にして冷房運転された時の冷媒流れ
を示す系統図である。
【図6】 本発明に係る温調ユニット及び吸廃熱兼用熱
交換器の車載例を示す図で、(a)側面図、(b)は平
面図である。
【図7】 温調ユニットの構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 冷媒系 11 コンプレッサ 12 四方弁 13 吸廃熱兼用熱交換器 14 電磁膨張弁(膨張弁) 15,16 電磁開閉弁 17 エバポレータ 18 コンデンサ 19 冷媒配管 30 温調ユニット 31 ケーシング 32 ブロワファン 33 内外気切換ダンパ 34 内気導入口 35 外気導入口 36 第1開閉ダンパ 37 第2開閉ダンパ 38 冷却流路 39 冷却バイパス流路 40 加熱流路 41 加熱バイパス流路 42 フット吹出口 43 デフロスト吹出口 44 フェイス吹出口 45a,45b 空気流切換ダンパ 46 内気吸入口 47 外気吸入口

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動モータで駆動されガス冷媒を圧縮
    して送出するコンプレッサと、冷媒流れ方向を切り換え
    る四方弁と、冷媒流れ方向に応じて吸熱または廃熱する
    吸廃熱兼用熱交換器と、高温高圧の液冷媒を減圧・膨張
    させる膨張弁と、それぞれに開閉弁を設けて冷媒の通過
    を選択切換可能に配置され空調空気と熱交換するエバポ
    レータ及びコンデンサとを具備して冷凍サイクルを形成
    したことを特徴とするヒートポンプ式車両用空調装置。
  2. 【請求項2】 前記コンデンサを前記エバポレータの
    空調空気後流側に配置し、前記空調空気が前記エバポレ
    ータ及び前記コンデンサのいずれか一方を選択して通過
    するよう開閉ダンパを設けて流路を形成するとともに、
    前記エバポレータを通過した冷風及び前記コンデンサを
    通過した温風を任意の割合で混合しまたは複数の室内吹
    出口へ任意の割合で配分するダンパ機構を備えたことを
    特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式車両用空調
    装置。
  3. 【請求項3】 前記吸廃熱兼用熱交換器が、外気また
    は内気のいずれかを選択して熱交換することを特徴とす
    る請求項1または2に記載のヒートポンプ式車両用空調
    装置。
  4. 【請求項4】 冷房運転時、前記コンデンサの開閉弁
    を閉じて冷媒供給を停止するとともに、前記吸廃熱兼用
    熱交換器を廃熱熱交換器として用いることを特徴とする
    請求項1ないし3のいずれかに記載のヒートポンプ式車
    両用空調装置。
  5. 【請求項5】 暖房運転時、前記エバポレータの開閉
    弁を閉じて冷媒供給を停止するとともに、前記吸廃熱兼
    用熱交換器を吸熱熱交換器として用いることを特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれかに記載のヒートポンプ式
    車両用空調装置。
  6. 【請求項6】 除湿暖房運転時、前記エバポレータ及
    び前記コンデンサの開閉弁をともに開いて冷媒を供給
    し、前記エバポレータで冷却した空調空気を前記コンデ
    ンサで再加熱することを特徴とする請求項5に記載のヒ
    ートポンプ式車両用空調装置。
  7. 【請求項7】 前記コンプレッサの回転数が、電動モ
    ータを回転数制御用インバーターで制御して任意に設定
    されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに
    記載のヒートポンプ式車両用空調装置。
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