JP2001302507A - パーフルオロカーボン乳剤 - Google Patents
パーフルオロカーボン乳剤Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 微細粒子からなりかつ経時安定性に優れ
たパーフルオロカーボン乳剤を提供する。 【解決手段】 パーフルオロカーボン化合物(A)10
〜80重量%、医学的に許容される乳化剤(C)0.1
〜10重量%、および水相成分(D)からなるパーフル
オロカーボン乳剤において、さらに、下記一般式(1)
で表される化合物(B)を上記(A)成分に対して0.
1〜20重量%含有することを特徴とするパーフルオロ
カーボン乳剤である。 R1 −X−R2 (1) (式中、R1 は炭素数6〜12のパーフルオロアルキル
基、R2 は炭素数12〜22のアルキル基を表し、X
は、 【化1】 を表す。但し、R3 は炭素数2〜8のアルキレン基であ
る。)
たパーフルオロカーボン乳剤を提供する。 【解決手段】 パーフルオロカーボン化合物(A)10
〜80重量%、医学的に許容される乳化剤(C)0.1
〜10重量%、および水相成分(D)からなるパーフル
オロカーボン乳剤において、さらに、下記一般式(1)
で表される化合物(B)を上記(A)成分に対して0.
1〜20重量%含有することを特徴とするパーフルオロ
カーボン乳剤である。 R1 −X−R2 (1) (式中、R1 は炭素数6〜12のパーフルオロアルキル
基、R2 は炭素数12〜22のアルキル基を表し、X
は、 【化1】 を表す。但し、R3 は炭素数2〜8のアルキレン基であ
る。)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はパーフルオロカーボ
ン乳剤に関し、詳しくは、パーフルオロカーボン化合
物、乳化剤、および水相成分からなり、酸素運搬体、臓
器保存液、あるいは造影剤として有用なパーフルオロカ
ーボン乳剤に関する。
ン乳剤に関し、詳しくは、パーフルオロカーボン化合
物、乳化剤、および水相成分からなり、酸素運搬体、臓
器保存液、あるいは造影剤として有用なパーフルオロカ
ーボン乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】パーフルオロカーボン化合物は、化学的
に不活性であるにもかかわらず、大量の酸素を溶解し運
搬できることから、酸素運搬体や臓器保存液、あるいは
超音波やX線などの物理療法の造影剤等の有効成分とし
て期待されている。これらの医学的用途においては、上
記パーフルオロカーボン化合物を安定に微粒子化するこ
とが必要であり、このため一般的には乳剤として調製さ
れる。このようなパーフルオロカーボン乳剤としては、
例えば、「Fluosol DA20%」(ミドリ十字(株))が広
く知られている。これは、2種類のパーフルオロカーボ
ン化合物、すなわちパーフルオロデカリンとパーフルオ
ロトリプロピルアミンを、2種類の界面活性剤、すなわ
ち卵黄リン脂質とポリオキシエチレンポリオキシプロピ
レングリコール(Pluronic F-68 、BASF社)の混合物を
用いて水中に乳化分散させた製剤である。しかし、この
乳剤は液体状態で不安定である点から、医学的用途に用
いるには問題があった。また、一般に、これらのパーフ
ルオロカーボン化合物は強い撥水性を有していることか
ら、水中に安定に乳化分散させることが非常に困難であ
る。従って、安定な乳剤を調製するためにこれまで多く
の研究がなされてきた。例えば、特公平1−21812
号公報や特開平3−72423号公報には、パーフルオ
ロカーボン化合物として、環状のパーフルオロ含窒素化
合物を用いた乳剤が示されている。これらは、有効成分
として特定のパーフルオロカーボン含窒素化合物を採用
することによって、一般的な組成で安定性の高い乳剤を
得ようとするものであったが、これを安定に保存するた
めには4℃の低温で保管する必要があった。また、特開
平4−154718号公報には、パーフルオロカーボ
ン、リン脂質及び水性溶媒からなり、三者を用いて乳化
してなる組成物と高分子非イオン系界面活性剤含有液を
混合してなるパーフルオロカーボン乳剤が示されてい
る。これは、パーフルオロカーボン、リン脂質及び水性
溶媒からなる乳化組成物を、さらにポリオキシエチレン
ポリオキシプロピレングリコール等の高分子非イオン系
界面活性剤を含有する液と混合することにより安定性の
高い乳剤を得ようとするものであったが、やはり長期安
定性の面で十分であるとは言い難い。さらに、特公平8
−22815号公報には、パーフルオロカーボン化合
物、油、界面活性剤及び水からなる乳剤が示されてい
る。これは、パーフルオロカーボン化合物を油中に分散
し、その混合物を界面活性剤によって水中に乳化したも
のであるが、実質的にパーフルオロカーボン化合物は撥
油性のため油と混和されにくく、しかもほとんどの場合
パーフルオロカーボン化合物は油より比重が大きいた
め、やはり安定性の面で不十分であった。
に不活性であるにもかかわらず、大量の酸素を溶解し運
搬できることから、酸素運搬体や臓器保存液、あるいは
超音波やX線などの物理療法の造影剤等の有効成分とし
て期待されている。これらの医学的用途においては、上
記パーフルオロカーボン化合物を安定に微粒子化するこ
とが必要であり、このため一般的には乳剤として調製さ
れる。このようなパーフルオロカーボン乳剤としては、
例えば、「Fluosol DA20%」(ミドリ十字(株))が広
く知られている。これは、2種類のパーフルオロカーボ
ン化合物、すなわちパーフルオロデカリンとパーフルオ
ロトリプロピルアミンを、2種類の界面活性剤、すなわ
ち卵黄リン脂質とポリオキシエチレンポリオキシプロピ
レングリコール(Pluronic F-68 、BASF社)の混合物を
用いて水中に乳化分散させた製剤である。しかし、この
乳剤は液体状態で不安定である点から、医学的用途に用
いるには問題があった。また、一般に、これらのパーフ
ルオロカーボン化合物は強い撥水性を有していることか
ら、水中に安定に乳化分散させることが非常に困難であ
る。従って、安定な乳剤を調製するためにこれまで多く
の研究がなされてきた。例えば、特公平1−21812
号公報や特開平3−72423号公報には、パーフルオ
ロカーボン化合物として、環状のパーフルオロ含窒素化
合物を用いた乳剤が示されている。これらは、有効成分
として特定のパーフルオロカーボン含窒素化合物を採用
することによって、一般的な組成で安定性の高い乳剤を
得ようとするものであったが、これを安定に保存するた
めには4℃の低温で保管する必要があった。また、特開
平4−154718号公報には、パーフルオロカーボ
ン、リン脂質及び水性溶媒からなり、三者を用いて乳化
してなる組成物と高分子非イオン系界面活性剤含有液を
混合してなるパーフルオロカーボン乳剤が示されてい
る。これは、パーフルオロカーボン、リン脂質及び水性
溶媒からなる乳化組成物を、さらにポリオキシエチレン
ポリオキシプロピレングリコール等の高分子非イオン系
界面活性剤を含有する液と混合することにより安定性の
高い乳剤を得ようとするものであったが、やはり長期安
定性の面で十分であるとは言い難い。さらに、特公平8
−22815号公報には、パーフルオロカーボン化合
物、油、界面活性剤及び水からなる乳剤が示されてい
る。これは、パーフルオロカーボン化合物を油中に分散
し、その混合物を界面活性剤によって水中に乳化したも
のであるが、実質的にパーフルオロカーボン化合物は撥
油性のため油と混和されにくく、しかもほとんどの場合
パーフルオロカーボン化合物は油より比重が大きいた
め、やはり安定性の面で不十分であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来公知の方法はいずれも、医薬用乳剤、特に静脈投与さ
れる場合が想定される製剤としては、粒子径や安定性の
面で不十分であり実用的でなかった。特に、医学的用途
においては、乳剤はろ過滅菌が困難なことから可能な限
り加熱滅菌することが求められるが、通常の保存安定性
はもちろんのこと、加熱滅菌を受けてもなお安定性が維
持されるパーフルオロカーボン乳剤を調製することは極
めて困難であった。とりわけ、パーフルオロ炭化水素
は、酸素運搬性や生体内での半減期の面で優れているに
もかかわらず、その分子構造や極性などに起因して、微
細で安定な乳剤を調製することが困難であったことか
ら、パーフルオロ炭化水素のみを有効成分として選択し
た場合において、微細粒子からなりかつ安定性の高い乳
剤を調製する方法が熱望されていた。本発明は、上記の
課題を解決しようとするものである。すなわち、本発明
の目的は微細粒子からなりかつ経時安定性に優れたパー
フルオロカーボン乳剤を提供することにある。
来公知の方法はいずれも、医薬用乳剤、特に静脈投与さ
れる場合が想定される製剤としては、粒子径や安定性の
面で不十分であり実用的でなかった。特に、医学的用途
においては、乳剤はろ過滅菌が困難なことから可能な限
り加熱滅菌することが求められるが、通常の保存安定性
はもちろんのこと、加熱滅菌を受けてもなお安定性が維
持されるパーフルオロカーボン乳剤を調製することは極
めて困難であった。とりわけ、パーフルオロ炭化水素
は、酸素運搬性や生体内での半減期の面で優れているに
もかかわらず、その分子構造や極性などに起因して、微
細で安定な乳剤を調製することが困難であったことか
ら、パーフルオロ炭化水素のみを有効成分として選択し
た場合において、微細粒子からなりかつ安定性の高い乳
剤を調製する方法が熱望されていた。本発明は、上記の
課題を解決しようとするものである。すなわち、本発明
の目的は微細粒子からなりかつ経時安定性に優れたパー
フルオロカーボン乳剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意検討した結果、パーフルオロカ
ーボン化合物、乳化剤、および水相成分からなるパーフ
ルオロカーボン乳剤に、さらに分子内に特定のパーフル
オロアルキル基と特定のアルキル基を有するエステルま
たはエーテルを特定量配合することにより、パーフルオ
ロカーボン化合物の分子構造に依存することなく、安定
性に優れた乳剤を調製できることを見出し、本発明を完
成させるに至った。即ち、本発明は以下の通りである。 (1)パーフルオロカーボン化合物(A)10〜80重
量%、医学的に許容される乳化剤(C)0.1〜10重
量%、および水相成分(D)からなるパーフルオロカー
ボン乳剤において、さらに、下記一般式(1)で表され
る化合物(B)を上記(A)成分に対して0.1〜20
重量%含有することを特徴とするパーフルオロカーボン
乳剤、 R1 −X−R2 (1) (式中、R1 は炭素数6〜12のパーフルオロアルキル
基、R2 は炭素数12〜22のアルキル基を表し、X
は、
的を達成するために鋭意検討した結果、パーフルオロカ
ーボン化合物、乳化剤、および水相成分からなるパーフ
ルオロカーボン乳剤に、さらに分子内に特定のパーフル
オロアルキル基と特定のアルキル基を有するエステルま
たはエーテルを特定量配合することにより、パーフルオ
ロカーボン化合物の分子構造に依存することなく、安定
性に優れた乳剤を調製できることを見出し、本発明を完
成させるに至った。即ち、本発明は以下の通りである。 (1)パーフルオロカーボン化合物(A)10〜80重
量%、医学的に許容される乳化剤(C)0.1〜10重
量%、および水相成分(D)からなるパーフルオロカー
ボン乳剤において、さらに、下記一般式(1)で表され
る化合物(B)を上記(A)成分に対して0.1〜20
重量%含有することを特徴とするパーフルオロカーボン
乳剤、 R1 −X−R2 (1) (式中、R1 は炭素数6〜12のパーフルオロアルキル
基、R2 は炭素数12〜22のアルキル基を表し、X
は、
【0005】
【化2】
【0006】を表す。但し、R3 は炭素数2〜8のアル
キレン基である。) (2)一般式(1)で表される化合物(B)が、40℃
の温度で液状である上記(1)に記載のパーフルオロカ
ーボン乳剤、 (3)医学的に許容される乳化剤(C)がリン脂質を含
有する上記(1)に記載のパーフルオロカーボン乳剤、 (4)医学的に許容される乳化剤(C)が、リン脂質と
非イオン界面活性剤とを10:90〜100:0の割合
で含む混合物である上記(3)に記載のパーフルオロカ
ーボン乳剤、 (5)医学的に許容される乳化剤(C)を構成するリン
脂質が、ポリエチレングリコール鎖を有するリン脂質を
含有する上記(3)又は(4)に記載のパーフルオロカ
ーボン乳剤、および (6)リン脂質が有するポリエチレングリコール鎖の分
子量が400〜20000である上記(5)記載のパー
フルオロカーボン乳剤。
キレン基である。) (2)一般式(1)で表される化合物(B)が、40℃
の温度で液状である上記(1)に記載のパーフルオロカ
ーボン乳剤、 (3)医学的に許容される乳化剤(C)がリン脂質を含
有する上記(1)に記載のパーフルオロカーボン乳剤、 (4)医学的に許容される乳化剤(C)が、リン脂質と
非イオン界面活性剤とを10:90〜100:0の割合
で含む混合物である上記(3)に記載のパーフルオロカ
ーボン乳剤、 (5)医学的に許容される乳化剤(C)を構成するリン
脂質が、ポリエチレングリコール鎖を有するリン脂質を
含有する上記(3)又は(4)に記載のパーフルオロカ
ーボン乳剤、および (6)リン脂質が有するポリエチレングリコール鎖の分
子量が400〜20000である上記(5)記載のパー
フルオロカーボン乳剤。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。本発明のパーフルオロカーボン乳剤に使用される
(A)成分であるパーフルオロカーボン化合物は、本発
明の目的に応じて、酸素運搬能を有し、かつ生体に対し
て有害反応が低いものの中から適宜選択することができ
る。このようなパーフルオロカーボン化合物としては、
例えばパーフルオロ炭化水素類やパーフルオロアルキル
アミン類、パーフルオロアルキルブロマイド等が挙げら
れる。
する。本発明のパーフルオロカーボン乳剤に使用される
(A)成分であるパーフルオロカーボン化合物は、本発
明の目的に応じて、酸素運搬能を有し、かつ生体に対し
て有害反応が低いものの中から適宜選択することができ
る。このようなパーフルオロカーボン化合物としては、
例えばパーフルオロ炭化水素類やパーフルオロアルキル
アミン類、パーフルオロアルキルブロマイド等が挙げら
れる。
【0008】本発明においては、後述の一般式(1)で
表される化合物を用いることにより、微細粒子からなり
かつ安定性に優れたパーフルオロカーボン乳剤を得るこ
とができるため、パーフルオロカーボン化合物の中でも
比較的極性の高いパーフルオロアルキルアミン類はもち
ろんのこと、従来の技術では安定な乳化が困難であった
極性の低いパーフルオロカーボン化合物を用いた場合で
も安定性に優れた乳剤とすることができる。したがっ
て、本発明における(A)成分のパーフルオロカーボン
化合物としては、例えば、パーフルオロシクロヘキサン
などのパーフルオロシクロアルカン、パーフルオロトリ
メチルシクロヘキサン、パーフルオロイソプロピルシク
ロヘキサンなどのパーフルオロアルキルシクロアルカ
ン、パーフルオロメチルデカリンなどのパーフルオロア
ルキルデカリン、パーフルオロデカリン、パーフルオロ
アルカン等、生体内の半減期が短く、安全性に優れた化
合物から、1種または2 種以上を組み合わせて使用すれ
ばよい。
表される化合物を用いることにより、微細粒子からなり
かつ安定性に優れたパーフルオロカーボン乳剤を得るこ
とができるため、パーフルオロカーボン化合物の中でも
比較的極性の高いパーフルオロアルキルアミン類はもち
ろんのこと、従来の技術では安定な乳化が困難であった
極性の低いパーフルオロカーボン化合物を用いた場合で
も安定性に優れた乳剤とすることができる。したがっ
て、本発明における(A)成分のパーフルオロカーボン
化合物としては、例えば、パーフルオロシクロヘキサン
などのパーフルオロシクロアルカン、パーフルオロトリ
メチルシクロヘキサン、パーフルオロイソプロピルシク
ロヘキサンなどのパーフルオロアルキルシクロアルカ
ン、パーフルオロメチルデカリンなどのパーフルオロア
ルキルデカリン、パーフルオロデカリン、パーフルオロ
アルカン等、生体内の半減期が短く、安全性に優れた化
合物から、1種または2 種以上を組み合わせて使用すれ
ばよい。
【0009】上記パーフルオロカーボン化合物の含有量
は、乳剤中、10〜80重量%、好ましくは20〜70
重量%の範囲内となるように調整される。当該含有量が
80重量%を超えると、最終的に調製される乳剤の粘度
が高まることに加え、その安定性が低くなる恐れがあ
り、逆に10重量%未満であると、乳剤の酸素運搬能が
低下し、好ましくない。本発明のパーフルオロカーボン
乳剤においては、パーフルオロカーボン化合物(A成
分)、乳化剤(C成分)、および水相成分(D成分)に
加えて、さらに(B)成分として、一般式(1)で表さ
れる、分子内に特定のパーフルオロアルキル基とアルキ
ル基を有するエステルまたはエーテルから選択される1
種または2種以上を、上記(A)成分に対して0.1〜
20重量%配合することにより、微細粒子からなりかつ
安定な乳剤を調製することができる。 R1 −X−R2 (1) 式中、R1 は炭素数6〜12のパーフルオロアルキル
基、R2 は炭素数12〜22のアルキル基である。ま
た、XはR1 とR2 がエステル結合またはエーテル結合
していることを指しており、例えば、エステル結合の場
合であれば、Xは、
は、乳剤中、10〜80重量%、好ましくは20〜70
重量%の範囲内となるように調整される。当該含有量が
80重量%を超えると、最終的に調製される乳剤の粘度
が高まることに加え、その安定性が低くなる恐れがあ
り、逆に10重量%未満であると、乳剤の酸素運搬能が
低下し、好ましくない。本発明のパーフルオロカーボン
乳剤においては、パーフルオロカーボン化合物(A成
分)、乳化剤(C成分)、および水相成分(D成分)に
加えて、さらに(B)成分として、一般式(1)で表さ
れる、分子内に特定のパーフルオロアルキル基とアルキ
ル基を有するエステルまたはエーテルから選択される1
種または2種以上を、上記(A)成分に対して0.1〜
20重量%配合することにより、微細粒子からなりかつ
安定な乳剤を調製することができる。 R1 −X−R2 (1) 式中、R1 は炭素数6〜12のパーフルオロアルキル
基、R2 は炭素数12〜22のアルキル基である。ま
た、XはR1 とR2 がエステル結合またはエーテル結合
していることを指しており、例えば、エステル結合の場
合であれば、Xは、
【0010】
【化3】 となり、エーテルの場合は、 X3 :−O−、 となる。また、その他のエステルまたはエーテルの結合
様式としては、
様式としては、
【0011】
【化4】 (式中、R3 は炭素数2〜8のアルキレン基である。)
のように、アルカンジカルボン酸の両側にそれぞれR1
とR2 がエステル結合するもの、あるいは、
のように、アルカンジカルボン酸の両側にそれぞれR1
とR2 がエステル結合するもの、あるいは、
【0012】
【化5】
【0013】(式中、R3 は上記X4 の場合と同じ。)
のように、アルカンジオールの両側にそれぞれR1 とR
2 がエステルまたはエーテル結合したもの等が挙げられ
る。本発明のパーフルオロカーボン乳剤に使用される
(B)成分としては、炭素数6〜12のパーフルオロア
ルキル基(R1 )と炭素数12〜22のアルキル基(R
2 )を有する一般式(1)で表される化合物のうちから
1種または2種以上を適宜選択して使用することができ
る。上記パーフルオロアルキル基(R1 )は、炭素とフ
ッ素のみからなる炭素鎖が少なくとも炭素数6以上であ
れば、部分的に炭化水素基を有していてもよい。このと
き、パーフルオロアルキル基(R1 )の鎖長(炭素数)
が6より小さいと、(B)成分の添加効果が十分に得ら
れず、逆に鎖長(炭素数)が12を越えると、(B)成
分の融点が高くなるため、結果として得られるパーフル
オロカーボン乳剤の安定性が低下する恐れがある。ま
た、アルキル基(R2 )の場合も同様に、鎖長(炭素
数)が12より小さいと、やはり(B)成分の添加効果
が十分に得られず、逆に鎖長(炭素数)が22を越える
と、(B)成分の融点が高くなることに加え、パーフル
オロカーボン化合物との相溶性が低くなり、結果として
得られるパーフルオロカーボン乳剤の安定性が低下する
恐れがある。
のように、アルカンジオールの両側にそれぞれR1 とR
2 がエステルまたはエーテル結合したもの等が挙げられ
る。本発明のパーフルオロカーボン乳剤に使用される
(B)成分としては、炭素数6〜12のパーフルオロア
ルキル基(R1 )と炭素数12〜22のアルキル基(R
2 )を有する一般式(1)で表される化合物のうちから
1種または2種以上を適宜選択して使用することができ
る。上記パーフルオロアルキル基(R1 )は、炭素とフ
ッ素のみからなる炭素鎖が少なくとも炭素数6以上であ
れば、部分的に炭化水素基を有していてもよい。このと
き、パーフルオロアルキル基(R1 )の鎖長(炭素数)
が6より小さいと、(B)成分の添加効果が十分に得ら
れず、逆に鎖長(炭素数)が12を越えると、(B)成
分の融点が高くなるため、結果として得られるパーフル
オロカーボン乳剤の安定性が低下する恐れがある。ま
た、アルキル基(R2 )の場合も同様に、鎖長(炭素
数)が12より小さいと、やはり(B)成分の添加効果
が十分に得られず、逆に鎖長(炭素数)が22を越える
と、(B)成分の融点が高くなることに加え、パーフル
オロカーボン化合物との相溶性が低くなり、結果として
得られるパーフルオロカーボン乳剤の安定性が低下する
恐れがある。
【0014】したがって、本発明のパーフルオロカーボ
ン乳剤に使用される(B)成分としては、炭素数6〜1
2のパーフルオロアルキル基(R1 )と炭素数12〜2
2のアルキル基(R2 )を有する化合物であって、好ま
しくは40℃の温度で液状である化合物が望ましい。本
発明における(B)成分としては、入手性や経済性、お
よび精製の容易さ(あるいは合成時の副反応による不純
物の生成)等の点から一般式(1)で示される化合物が
選択されるが、このような化合物としては、パーフルオ
ロアルキルアルコールと脂肪酸とから得られるエステル
などが挙げられ、例えば、炭素数6以上のパーフルオロ
アルキル基を有する炭素数6〜12の一級アルコールと
炭素数12〜22の脂肪酸とのエステルの中から、1種
または2 種以上を適宜選択して使用することができる。
このうち、最終的に得られるパーフルオロカーボン乳剤
の安定性を考慮すると、40℃の温度で液状であるもの
が好ましく用いられ、かかる化合物としては、炭素数6
〜8のパーフルオロアルキル基を有する炭素数6〜10
の一級アルコールと炭素数16〜20の不飽和脂肪酸と
から得られるエステルが好ましく選択される。
ン乳剤に使用される(B)成分としては、炭素数6〜1
2のパーフルオロアルキル基(R1 )と炭素数12〜2
2のアルキル基(R2 )を有する化合物であって、好ま
しくは40℃の温度で液状である化合物が望ましい。本
発明における(B)成分としては、入手性や経済性、お
よび精製の容易さ(あるいは合成時の副反応による不純
物の生成)等の点から一般式(1)で示される化合物が
選択されるが、このような化合物としては、パーフルオ
ロアルキルアルコールと脂肪酸とから得られるエステル
などが挙げられ、例えば、炭素数6以上のパーフルオロ
アルキル基を有する炭素数6〜12の一級アルコールと
炭素数12〜22の脂肪酸とのエステルの中から、1種
または2 種以上を適宜選択して使用することができる。
このうち、最終的に得られるパーフルオロカーボン乳剤
の安定性を考慮すると、40℃の温度で液状であるもの
が好ましく用いられ、かかる化合物としては、炭素数6
〜8のパーフルオロアルキル基を有する炭素数6〜10
の一級アルコールと炭素数16〜20の不飽和脂肪酸と
から得られるエステルが好ましく選択される。
【0015】上記エステルの好適な具体例としては、例
えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リ
ノレン酸、ゴンドイン酸、エルシン酸等の、炭素数が1
6〜22で、しかも分子内に不飽和アルキル基を有する
脂肪酸と、(パーフルオロヘキシル)オクタノール、
(パーフルオロオクチル)デカノール等の、炭素数6〜
12のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロア
ルキルアルコールとのエステルなどが挙げられる。本発
明における(B)成分の含有量は、上記パーフルオロカ
ーボン化合物(A)に対して0.1〜20重量%、好ま
しくは0.5〜10重量%の範囲内となるように調整さ
れる。このとき、当該含有量が20重量%を超えると、
(A)成分の分子構造によっては(B)成分の相溶性が
低下し、その結果安定性が低くなる恐れがあり、逆に
0.1重量%未満であると、(B)成分の添加効果が十
分に得られず、その結果、やはり乳剤の安定性が低下
し、好ましくない。したがって、(B)成分の含有量
は、上記の範囲内において、選択したパーフルオロカー
ボン化合物に応じて、これに溶解する量を適宜選択して
用いることが望ましい。
えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リ
ノレン酸、ゴンドイン酸、エルシン酸等の、炭素数が1
6〜22で、しかも分子内に不飽和アルキル基を有する
脂肪酸と、(パーフルオロヘキシル)オクタノール、
(パーフルオロオクチル)デカノール等の、炭素数6〜
12のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロア
ルキルアルコールとのエステルなどが挙げられる。本発
明における(B)成分の含有量は、上記パーフルオロカ
ーボン化合物(A)に対して0.1〜20重量%、好ま
しくは0.5〜10重量%の範囲内となるように調整さ
れる。このとき、当該含有量が20重量%を超えると、
(A)成分の分子構造によっては(B)成分の相溶性が
低下し、その結果安定性が低くなる恐れがあり、逆に
0.1重量%未満であると、(B)成分の添加効果が十
分に得られず、その結果、やはり乳剤の安定性が低下
し、好ましくない。したがって、(B)成分の含有量
は、上記の範囲内において、選択したパーフルオロカー
ボン化合物に応じて、これに溶解する量を適宜選択して
用いることが望ましい。
【0016】本発明において、(C)成分である医学的
に許容される乳化剤は、一般に医薬品用途で使用される
乳化剤から選択することができ、その中でもリン脂質、
あるいはリン脂質と非イオン系界面活性剤との組み合わ
せが好ましく選択される。特にリン脂質が好適に選択さ
れ、乳化剤(C)中、好ましくは10〜100重量%、
さらに好ましくは20〜100重量%の範囲で用いられ
る。上記(C)成分として用いられるリン脂質として
は、例えば、卵黄リン脂質や大豆リン脂質等の天然リン
脂質、またはそれらの天然リン脂質を水素添加した水素
添加リン脂質の他、炭素数12〜22のアシル基が導入
された合成リン脂質等が挙げられる。
に許容される乳化剤は、一般に医薬品用途で使用される
乳化剤から選択することができ、その中でもリン脂質、
あるいはリン脂質と非イオン系界面活性剤との組み合わ
せが好ましく選択される。特にリン脂質が好適に選択さ
れ、乳化剤(C)中、好ましくは10〜100重量%、
さらに好ましくは20〜100重量%の範囲で用いられ
る。上記(C)成分として用いられるリン脂質として
は、例えば、卵黄リン脂質や大豆リン脂質等の天然リン
脂質、またはそれらの天然リン脂質を水素添加した水素
添加リン脂質の他、炭素数12〜22のアシル基が導入
された合成リン脂質等が挙げられる。
【0017】かかるリン脂質の好適な具体例としては、
卵黄ホスファチジルコリンや大豆ホスファチジルコリン
などの天然リン脂質、水添卵黄ホスファチジルコリンや
水添大豆ホスファチジルコリンなどの水添リン脂質、ジ
ミリストイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホ
スファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスフ
ァチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノ
ールアミン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジ
ステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレ
オイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチ
ジルエタノールアミン、1−パルミトイル−2−オレオ
イルホスファチジルコリンなどの合成リン脂質等が挙げ
られる。その中でも、得られる乳剤の安定性を考慮する
と、天然あるいは合成のホスファチジルコリンを用いる
のが好ましく、特に天然由来のジアシルホスファチジル
コリンである卵黄ホスファチジルコリン、または水添卵
黄ホスファチジルコリンが好ましく選択される。
卵黄ホスファチジルコリンや大豆ホスファチジルコリン
などの天然リン脂質、水添卵黄ホスファチジルコリンや
水添大豆ホスファチジルコリンなどの水添リン脂質、ジ
ミリストイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホ
スファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスフ
ァチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノ
ールアミン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジ
ステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレ
オイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチ
ジルエタノールアミン、1−パルミトイル−2−オレオ
イルホスファチジルコリンなどの合成リン脂質等が挙げ
られる。その中でも、得られる乳剤の安定性を考慮する
と、天然あるいは合成のホスファチジルコリンを用いる
のが好ましく、特に天然由来のジアシルホスファチジル
コリンである卵黄ホスファチジルコリン、または水添卵
黄ホスファチジルコリンが好ましく選択される。
【0018】また、本発明のパーフルオロカーボン乳剤
に使用される(C)成分には、最終的に得られる乳剤の
安定性に影響を与えない範囲において、上記リン脂質の
他、種々のアシル基を有するホスファチジン酸、ホスフ
ァチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、
ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン等のリン脂
質が含まれていてもよく、さらには最終的に得られる乳
剤の安定性と溶血性に影響しない範囲において、上記リ
ン脂質中にリゾリン脂質が含まれていてもよい。上記
(C)成分としてリン脂質と組み合わせて用いられる非
イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチ
レンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチ
レン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル等が挙げられ、その中でもポリオキシエチレ
ンポリオキシプロピレングリコールを用いるのが好まし
い。
に使用される(C)成分には、最終的に得られる乳剤の
安定性に影響を与えない範囲において、上記リン脂質の
他、種々のアシル基を有するホスファチジン酸、ホスフ
ァチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、
ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン等のリン脂
質が含まれていてもよく、さらには最終的に得られる乳
剤の安定性と溶血性に影響しない範囲において、上記リ
ン脂質中にリゾリン脂質が含まれていてもよい。上記
(C)成分としてリン脂質と組み合わせて用いられる非
イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチ
レンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチ
レン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル等が挙げられ、その中でもポリオキシエチレ
ンポリオキシプロピレングリコールを用いるのが好まし
い。
【0019】本発明における上記(C)成分の含有量
は、乳剤中、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜
5重量%の範囲内となるように調整される。このとき、
当該使用量が0.1重量%未満であると乳化剤としての
効果が得られず、調製される乳剤の安定性が低下し、結
果として乳剤が分離する恐れがあり、逆に10重量%を
超えると、乳剤の粘度が大きくなる可能性があり、結果
として乳剤の流動性が低下するため好ましくない。
は、乳剤中、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜
5重量%の範囲内となるように調整される。このとき、
当該使用量が0.1重量%未満であると乳化剤としての
効果が得られず、調製される乳剤の安定性が低下し、結
果として乳剤が分離する恐れがあり、逆に10重量%を
超えると、乳剤の粘度が大きくなる可能性があり、結果
として乳剤の流動性が低下するため好ましくない。
【0020】また、本発明におけるパーフルオロカーボ
ン乳剤は、上記乳化剤(C)中に、上記リン脂質と別
に、ポリエチレングリコール鎖を有するリン脂質を含有
させることにより、最終的に得られるパーフルオロカー
ボン乳剤の安定性をさらに向上させることができる。本
発明において、乳化剤(C)に含有される、ポリエチレ
ングリコール鎖を有するリン脂質(以下、PEG化リン
脂質という)とは、ポリエチレングリコールがリン脂質
の親水基に結合した構造を有しているものであり、ポリ
エチレングリコール鎖のリン脂質と結合していない側の
末端は、水酸基のままでも、またはメチル基やエチル基
等により末端水酸基が修飾されていてもよい。上記PE
G化リン脂質において、ポリエチレングリコール鎖を結
合するリン脂質としては、リン脂質であれば特に限定さ
れないが、ポリエチレングリコール鎖の導入が比較的容
易であり、しかも導入後の加水分解度が低いものが望ま
しく、ホスファチジルエタノールアミンが好ましく選択
される(ポリエチレングリコール鎖を有するホスファチ
ジルエタノールアミンを、以下「PEG化ホスファチジ
ルエタノールアミン」という)。
ン乳剤は、上記乳化剤(C)中に、上記リン脂質と別
に、ポリエチレングリコール鎖を有するリン脂質を含有
させることにより、最終的に得られるパーフルオロカー
ボン乳剤の安定性をさらに向上させることができる。本
発明において、乳化剤(C)に含有される、ポリエチレ
ングリコール鎖を有するリン脂質(以下、PEG化リン
脂質という)とは、ポリエチレングリコールがリン脂質
の親水基に結合した構造を有しているものであり、ポリ
エチレングリコール鎖のリン脂質と結合していない側の
末端は、水酸基のままでも、またはメチル基やエチル基
等により末端水酸基が修飾されていてもよい。上記PE
G化リン脂質において、ポリエチレングリコール鎖を結
合するリン脂質としては、リン脂質であれば特に限定さ
れないが、ポリエチレングリコール鎖の導入が比較的容
易であり、しかも導入後の加水分解度が低いものが望ま
しく、ホスファチジルエタノールアミンが好ましく選択
される(ポリエチレングリコール鎖を有するホスファチ
ジルエタノールアミンを、以下「PEG化ホスファチジ
ルエタノールアミン」という)。
【0021】本発明において、PEG化ホスファチジル
エタノールアミンとは、卵黄リン脂質や大豆リン脂質、
もしくはそれらの水添リン脂質中に含まれるホスファチ
ジルエタノールアミン、または合成リン脂質として調製
されるジアシルホスファチジルエタノールアミン等を用
いて、それにポリエチレングリコールやその誘導体を結
合させることにより得ることができる。ホスファチジル
エタノールアミンとポリエチレングリコールまたはその
誘導体を結合させる方法としては、例えば、塩化シアヌ
ルを用いる方法、カルボジイミドを用いる方法、グルタ
ルアルデヒドを用いる方法、カーバメートを用いる方法
等が挙げられる。
エタノールアミンとは、卵黄リン脂質や大豆リン脂質、
もしくはそれらの水添リン脂質中に含まれるホスファチ
ジルエタノールアミン、または合成リン脂質として調製
されるジアシルホスファチジルエタノールアミン等を用
いて、それにポリエチレングリコールやその誘導体を結
合させることにより得ることができる。ホスファチジル
エタノールアミンとポリエチレングリコールまたはその
誘導体を結合させる方法としては、例えば、塩化シアヌ
ルを用いる方法、カルボジイミドを用いる方法、グルタ
ルアルデヒドを用いる方法、カーバメートを用いる方法
等が挙げられる。
【0022】そのうち、カルボジイミドを用いる方法と
しては、例えば、モノメトキシポリエチレングリコール
と無水コハク酸とを反応させて、モノメトキシポリエチ
レングリコールの水酸基に(コハク酸の)カルボキシル
基を導入し、次いでこれとホスファチジルエタノールア
ミンをカルボジイミド存在下で反応させることにより、
アミド結合を介してポリエチレングリコール鎖を導入し
たPEG化ホスファチジルエタノールアミンを調製する
ことができる。また、カーバメートを用いる方法として
は、例えば、モノメトキシポリエチレングリコールとカ
ルボニルジイミダゾールとを反応させて、メトキシポリ
エチレングリコールのイミダゾールカーバメートを得た
後、次いでこれとホスファチジルエタノールアミンをト
リエチルアミン存在下で反応させることにより、ウレタ
ン結合を介してポリエチレングリコール鎖を導入したP
EG化ホスファチジルエタノールアミンを調製すること
ができる。
しては、例えば、モノメトキシポリエチレングリコール
と無水コハク酸とを反応させて、モノメトキシポリエチ
レングリコールの水酸基に(コハク酸の)カルボキシル
基を導入し、次いでこれとホスファチジルエタノールア
ミンをカルボジイミド存在下で反応させることにより、
アミド結合を介してポリエチレングリコール鎖を導入し
たPEG化ホスファチジルエタノールアミンを調製する
ことができる。また、カーバメートを用いる方法として
は、例えば、モノメトキシポリエチレングリコールとカ
ルボニルジイミダゾールとを反応させて、メトキシポリ
エチレングリコールのイミダゾールカーバメートを得た
後、次いでこれとホスファチジルエタノールアミンをト
リエチルアミン存在下で反応させることにより、ウレタ
ン結合を介してポリエチレングリコール鎖を導入したP
EG化ホスファチジルエタノールアミンを調製すること
ができる。
【0023】本発明において、リン脂質に結合させるポ
リエチレングリコールの分子量は、好ましくは400〜
20000、さらに好ましくは1000〜10000、
特に好ましくは2000〜8000である。ポリエチレ
ングリコールの分子量が20000を超えると、上記P
EG化リン脂質の水溶性が高くなるため、結果として、
得られるパーフルオロカーボン乳剤の安定性が低下する
恐れがあり、逆に400未満になると、PEG化リン脂
質の添加による安定性向上効果が低くなる場合がある。
本発明において、親水基にポリエチレングリコールが結
合したリン脂質を乳化剤(C)中に含有させる場合に
は、上記のPEG化リン脂質を、(C)成分である乳化
剤中、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重
量%となるようにすればよい。このとき、当該使用量が
30重量%を越えると、(C)成分全体としての親水性
が高くなるため、結果として最終的に得られるパーフル
オロカーボン乳剤の安定性が低下する恐れがあり、逆に
0.1重量%未満になると、当該成分の添加による安定
性向上効果が十分に得られない場合がある。
リエチレングリコールの分子量は、好ましくは400〜
20000、さらに好ましくは1000〜10000、
特に好ましくは2000〜8000である。ポリエチレ
ングリコールの分子量が20000を超えると、上記P
EG化リン脂質の水溶性が高くなるため、結果として、
得られるパーフルオロカーボン乳剤の安定性が低下する
恐れがあり、逆に400未満になると、PEG化リン脂
質の添加による安定性向上効果が低くなる場合がある。
本発明において、親水基にポリエチレングリコールが結
合したリン脂質を乳化剤(C)中に含有させる場合に
は、上記のPEG化リン脂質を、(C)成分である乳化
剤中、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重
量%となるようにすればよい。このとき、当該使用量が
30重量%を越えると、(C)成分全体としての親水性
が高くなるため、結果として最終的に得られるパーフル
オロカーボン乳剤の安定性が低下する恐れがあり、逆に
0.1重量%未満になると、当該成分の添加による安定
性向上効果が十分に得られない場合がある。
【0024】本発明における(D)成分である水相成分
とは、乳剤の連続相を構成する水性溶媒であり、生理学
的に許容されるものであれば特に限定されず、一般に医
薬品用途で用いられるものの中から選択使用される。か
かる水相成分の具体例としては、例えば、注射用蒸留
水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩
水、乳酸加リンゲル液等が例示され、さらに必要に応じ
て、電解質溶液等を用いることもできる。さらに、本発
明の(D)成分である水相成分には、当然のことなが
ら、上記水性溶媒の他に、グリセロール、ショ糖、ブド
ウ糖、マンニトール等の等張化剤やポリエチレングリコ
ール、デキストラン等の安定化剤を用いることも可能で
ある。本発明において、上記(D)成分の使用量は、上
記(A)、(B)、(C)成分の残部として調整すれば
よい。
とは、乳剤の連続相を構成する水性溶媒であり、生理学
的に許容されるものであれば特に限定されず、一般に医
薬品用途で用いられるものの中から選択使用される。か
かる水相成分の具体例としては、例えば、注射用蒸留
水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩
水、乳酸加リンゲル液等が例示され、さらに必要に応じ
て、電解質溶液等を用いることもできる。さらに、本発
明の(D)成分である水相成分には、当然のことなが
ら、上記水性溶媒の他に、グリセロール、ショ糖、ブド
ウ糖、マンニトール等の等張化剤やポリエチレングリコ
ール、デキストラン等の安定化剤を用いることも可能で
ある。本発明において、上記(D)成分の使用量は、上
記(A)、(B)、(C)成分の残部として調整すれば
よい。
【0025】また、本発明のパーフルオロカーボン乳剤
においては、最終的に得られるパーフルオロカーボン乳
剤の安定性に支障を与えない限り、上記成分の他、トコ
フェロール等の抗酸化剤を使用することもできる。本発
明のパーフルオロカーボン乳剤の製造方法としては、一
般に医薬用乳剤の製造に用いられる種々の方法から選択
することができる。すなわち、本発明のパーフルオロカ
ーボン乳剤は、例えば、あらかじめ卵黄ホスファチジル
コリン等の乳化剤(C)を、グリセロール等により等張
化した注射用蒸留水(水相成分D)に加えてよく分散
し、この(C)成分と(D)成分との混合物に対して、
パーフルオロカーボン化合物(A)と、一般式(1)の
化合物(B)との混合物を添加して予備乳化を行い、そ
の後さらに適当な乳化機を用いて乳化を行うことにより
調製することができる。
においては、最終的に得られるパーフルオロカーボン乳
剤の安定性に支障を与えない限り、上記成分の他、トコ
フェロール等の抗酸化剤を使用することもできる。本発
明のパーフルオロカーボン乳剤の製造方法としては、一
般に医薬用乳剤の製造に用いられる種々の方法から選択
することができる。すなわち、本発明のパーフルオロカ
ーボン乳剤は、例えば、あらかじめ卵黄ホスファチジル
コリン等の乳化剤(C)を、グリセロール等により等張
化した注射用蒸留水(水相成分D)に加えてよく分散
し、この(C)成分と(D)成分との混合物に対して、
パーフルオロカーボン化合物(A)と、一般式(1)の
化合物(B)との混合物を添加して予備乳化を行い、そ
の後さらに適当な乳化機を用いて乳化を行うことにより
調製することができる。
【0026】また、本発明のパーフルオロカーボン乳剤
は、例えば、あらかじめ卵黄ホスファチジルコリンおよ
びPEG化ホスファチジルエタノールアミンからなる乳
化剤(C)を、グリセロール等により等張化した注射用
蒸留水(水相成分D)に加えてよく分散し、この(C)
成分と(D)成分との混合物に対して、パーフルオロカ
ーボン化合物(A)と、一般式(1)の化合物(B)と
の混合物を添加して予備乳化を行い、その後さらに適当
な乳化機を用いて乳化を行うことにより調製される。本
発明のパーフルオロカーボン乳剤の調製に用いる乳化機
としては、例えば、ホモミキサー等の回転ホモジナイザ
ー、マントンゴーリン型等の高圧ホモジナイザー、マイ
クロフルイダイザー、高圧ジェット流乳化機などの超高
圧乳化機等が挙げられる。
は、例えば、あらかじめ卵黄ホスファチジルコリンおよ
びPEG化ホスファチジルエタノールアミンからなる乳
化剤(C)を、グリセロール等により等張化した注射用
蒸留水(水相成分D)に加えてよく分散し、この(C)
成分と(D)成分との混合物に対して、パーフルオロカ
ーボン化合物(A)と、一般式(1)の化合物(B)と
の混合物を添加して予備乳化を行い、その後さらに適当
な乳化機を用いて乳化を行うことにより調製される。本
発明のパーフルオロカーボン乳剤の調製に用いる乳化機
としては、例えば、ホモミキサー等の回転ホモジナイザ
ー、マントンゴーリン型等の高圧ホモジナイザー、マイ
クロフルイダイザー、高圧ジェット流乳化機などの超高
圧乳化機等が挙げられる。
【0027】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定され
るものではない。 実施例1〜8および比較例1〜4 〔パーフルオロカーボン乳剤の調製〕パーフルオロカー
ボン乳剤を第1表の組成に従って調製した。この際、実
施例1、6および比較例1〜3の乳剤については、あら
かじめグリセロールを溶解した注射用蒸留水(表1中、
D成分)に乳化剤(C成分)を加えた混合物を、まずク
レアミックス(Model CLM-0.8S、(株)クレアテック
製)を用いて、5000rpmで攪拌しながら、別にあ
らかじめパーフルオロカーボン(A成分)と、(B)成
分あるいはその比較品(B’成分)を混合したものを徐
々に添加し、さらに10000rpmで5分間攪拌する
ことにより予備乳化を行った。さらにその後、マイクロ
フルイダイザー(Model 110Y、Microfluidics 社製)を
用いて、冷却しながら1.2×108 Paで10回通過さ
せて乳化を行うことにより、パーフルオロカーボン乳剤
を調製した。なお、(B)成分としては、一般式(1)
中、R1 がC6 F13C2 H4 −、R2 がC17H33−、X
が−OOC−である、(パーフルオロヘキシル)オクチ
ル−オレートを用いた。この化合物は40℃で液状であ
った。
説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定され
るものではない。 実施例1〜8および比較例1〜4 〔パーフルオロカーボン乳剤の調製〕パーフルオロカー
ボン乳剤を第1表の組成に従って調製した。この際、実
施例1、6および比較例1〜3の乳剤については、あら
かじめグリセロールを溶解した注射用蒸留水(表1中、
D成分)に乳化剤(C成分)を加えた混合物を、まずク
レアミックス(Model CLM-0.8S、(株)クレアテック
製)を用いて、5000rpmで攪拌しながら、別にあ
らかじめパーフルオロカーボン(A成分)と、(B)成
分あるいはその比較品(B’成分)を混合したものを徐
々に添加し、さらに10000rpmで5分間攪拌する
ことにより予備乳化を行った。さらにその後、マイクロ
フルイダイザー(Model 110Y、Microfluidics 社製)を
用いて、冷却しながら1.2×108 Paで10回通過さ
せて乳化を行うことにより、パーフルオロカーボン乳剤
を調製した。なお、(B)成分としては、一般式(1)
中、R1 がC6 F13C2 H4 −、R2 がC17H33−、X
が−OOC−である、(パーフルオロヘキシル)オクチ
ル−オレートを用いた。この化合物は40℃で液状であ
った。
【0028】また、実施例2、3、5および7、8で
は、あらかじめグリセロールを溶解した注射用蒸留水
(D成分)に、PEG化ホスファチジルエタノールアミ
ンを含む乳化剤(C成分)を加えて、温水中で混合した
ものを、クレアミックス(ModelCLM-0.8S、(株)クレ
アテック製)を用いて、5000rpmで攪拌しなが
ら、別にあらかじめパーフルオロカーボン(A成分)と
(B)成分(第1表参照)とを混合したものを徐々に添
加し、さらに10000rpmで5分間攪拌し予備乳化
を行った。さらにその後、マイクロフルイダイザー(Mo
del 110Y、Microfluidics 社製)を用いて、冷却しなが
ら1.2×108 Paで10回通過させることにより乳化
を行った。なお、(B)成分としては、上記(パーフル
オロヘキシル)オクチル−オレートの他、(パーフルオ
ロヘキシル)オクタン酸とオレイルアルコールとのエス
テルであるオレイル−(パーフルオロヘキシル)オクタ
ノエート(R1 :C6 F13C2 H4 −、R2 :C17H33
−、X:−COO−)と、(パーフルオロヘキシル)オ
クタノールとオレイルアルコールから得られるエーテル
である(パーフルオロヘキシル)オクチル−オレイルエ
ーテル(R1 :C6 F13C 2 H4 −、R2 :C17H
33−、X:−O−)を用いた。これらはいずれも40℃
で液状であった。
は、あらかじめグリセロールを溶解した注射用蒸留水
(D成分)に、PEG化ホスファチジルエタノールアミ
ンを含む乳化剤(C成分)を加えて、温水中で混合した
ものを、クレアミックス(ModelCLM-0.8S、(株)クレ
アテック製)を用いて、5000rpmで攪拌しなが
ら、別にあらかじめパーフルオロカーボン(A成分)と
(B)成分(第1表参照)とを混合したものを徐々に添
加し、さらに10000rpmで5分間攪拌し予備乳化
を行った。さらにその後、マイクロフルイダイザー(Mo
del 110Y、Microfluidics 社製)を用いて、冷却しなが
ら1.2×108 Paで10回通過させることにより乳化
を行った。なお、(B)成分としては、上記(パーフル
オロヘキシル)オクチル−オレートの他、(パーフルオ
ロヘキシル)オクタン酸とオレイルアルコールとのエス
テルであるオレイル−(パーフルオロヘキシル)オクタ
ノエート(R1 :C6 F13C2 H4 −、R2 :C17H33
−、X:−COO−)と、(パーフルオロヘキシル)オ
クタノールとオレイルアルコールから得られるエーテル
である(パーフルオロヘキシル)オクチル−オレイルエ
ーテル(R1 :C6 F13C 2 H4 −、R2 :C17H
33−、X:−O−)を用いた。これらはいずれも40℃
で液状であった。
【0029】更に、実施例4は、あらかじめグリセロー
ルを溶解した注射用蒸留水(D成分)に、(C)成分の
うち、水添卵黄レシチンのみを加えて、温水中で十分に
混合したものを、クレアミックス(Model CLM-0.8S、
(株)クレアテック製)を用いて5000rpmで攪拌
しながら、別にあらかじめパーフルオロカーボン(A成
分)と、(B)成分として(パーフルオロヘキシル)オ
クチル−オレートとを混合したものを徐々に添加し、さ
らに10000rpmで5分間攪拌し予備乳化を行っ
た。さらにこれとは別に、あらかじめPEG化ホスファ
チジルエタノールアミン(表中、c成分)をグリセロー
ル等により等張化した注射用蒸留水(表中、d成分)に
加えてよく分散しておき、先に予備乳化を行った上記乳
化物と、この分散物を混合し、さらにマイクロフルイダ
イザー(Model 110Y、Microfluidics社製)を用いて、
冷却しながら1.2×108 Paで10回通過させることに
より乳化を行った。比較例4では、あらかじめグリセロ
ールを溶解した注射用蒸留水(第1表中、D成分)に、
乳化剤(C成分)を加えた混合物を、まずクレアミック
ス(ModelCLM-0.8S、(株)クレアテック製)を用い
て、5000rpmで攪拌しながら、B成分を混合せず
にパーフルオロカーボン(A成分)のみを徐々に添加
し、さらに10000rpmで5分間攪拌することによ
り予備乳化を行った。さらにその後、マイクロフルイダ
イザー(Model 110Y、Microfluidics 社製)を用いて、
冷却しながら1.2×108 Paで10回通過させて乳化
を行うことにより、パーフルオロカーボン乳剤を調製し
た。
ルを溶解した注射用蒸留水(D成分)に、(C)成分の
うち、水添卵黄レシチンのみを加えて、温水中で十分に
混合したものを、クレアミックス(Model CLM-0.8S、
(株)クレアテック製)を用いて5000rpmで攪拌
しながら、別にあらかじめパーフルオロカーボン(A成
分)と、(B)成分として(パーフルオロヘキシル)オ
クチル−オレートとを混合したものを徐々に添加し、さ
らに10000rpmで5分間攪拌し予備乳化を行っ
た。さらにこれとは別に、あらかじめPEG化ホスファ
チジルエタノールアミン(表中、c成分)をグリセロー
ル等により等張化した注射用蒸留水(表中、d成分)に
加えてよく分散しておき、先に予備乳化を行った上記乳
化物と、この分散物を混合し、さらにマイクロフルイダ
イザー(Model 110Y、Microfluidics社製)を用いて、
冷却しながら1.2×108 Paで10回通過させることに
より乳化を行った。比較例4では、あらかじめグリセロ
ールを溶解した注射用蒸留水(第1表中、D成分)に、
乳化剤(C成分)を加えた混合物を、まずクレアミック
ス(ModelCLM-0.8S、(株)クレアテック製)を用い
て、5000rpmで攪拌しながら、B成分を混合せず
にパーフルオロカーボン(A成分)のみを徐々に添加
し、さらに10000rpmで5分間攪拌することによ
り予備乳化を行った。さらにその後、マイクロフルイダ
イザー(Model 110Y、Microfluidics 社製)を用いて、
冷却しながら1.2×108 Paで10回通過させて乳化
を行うことにより、パーフルオロカーボン乳剤を調製し
た。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】〔乳化安定性〕上記実施例により調製した
各パーフルオロカーボン乳剤について、各乳剤をガラス
製バイアル中に入れて密栓し、オートクレーブにより加
熱滅菌(121℃、20分)を行った後、4℃および2
0℃で保存しながら経時的に粒度分布を測定することに
より、その乳化安定性を評価した。粒度分布の測定は、
NICOMP model370(Particle sizing systems 社)を用
いて、動的光散乱法により行った。結果を第2表に示
す。
各パーフルオロカーボン乳剤について、各乳剤をガラス
製バイアル中に入れて密栓し、オートクレーブにより加
熱滅菌(121℃、20分)を行った後、4℃および2
0℃で保存しながら経時的に粒度分布を測定することに
より、その乳化安定性を評価した。粒度分布の測定は、
NICOMP model370(Particle sizing systems 社)を用
いて、動的光散乱法により行った。結果を第2表に示
す。
【0033】
【表3】
【0034】第2表に示すように、パーフルオロカ−ボ
ン、乳化剤および水のみを用いて調製された乳剤は安定
性を維持することが困難であったのに対し、本発明によ
り、一般式(1)で表される化合物を配合したパーフル
オロカーボン乳剤、および一般式(1)で表される化合
物と、ポリエチレングリコール鎖を有するリン脂質とを
配合したパーフルオロカーボン乳剤はいずれも高い安定
性を示した。 〔ラット投与試験〕本発明のパーフルオロカーボン乳剤
の安全性を確認するため、実施例で調製した乳剤を実際
にラットに投与し、臨床観察を行った。試験には8 週齢
のWister系雄性ラットを用い、ペントバルビタール麻酔
下、ラットの右大腿動脈へカニュレーションを施し、大
腿静脈より実施例1〜4、7で調製した乳剤30ML/
kgを20分間かけてシリンジポンプで注入した。投与
中および投与後8時間まで経時的に臨床観察を行い、パ
ーフルオロカーボン乳剤投与の影響を調べた結果、いず
れの乳剤においてもラットに変化は認められず、本発明
のパーフルオロカーボン乳剤の安全性に問題のないこと
が確認された。
ン、乳化剤および水のみを用いて調製された乳剤は安定
性を維持することが困難であったのに対し、本発明によ
り、一般式(1)で表される化合物を配合したパーフル
オロカーボン乳剤、および一般式(1)で表される化合
物と、ポリエチレングリコール鎖を有するリン脂質とを
配合したパーフルオロカーボン乳剤はいずれも高い安定
性を示した。 〔ラット投与試験〕本発明のパーフルオロカーボン乳剤
の安全性を確認するため、実施例で調製した乳剤を実際
にラットに投与し、臨床観察を行った。試験には8 週齢
のWister系雄性ラットを用い、ペントバルビタール麻酔
下、ラットの右大腿動脈へカニュレーションを施し、大
腿静脈より実施例1〜4、7で調製した乳剤30ML/
kgを20分間かけてシリンジポンプで注入した。投与
中および投与後8時間まで経時的に臨床観察を行い、パ
ーフルオロカーボン乳剤投与の影響を調べた結果、いず
れの乳剤においてもラットに変化は認められず、本発明
のパーフルオロカーボン乳剤の安全性に問題のないこと
が確認された。
【0035】
【発明の効果】本発明により、パーフルオロカーボン化
合物、乳化剤、および水相成分からなるパーフルオロカ
ーボン乳剤において、一般式(1)で表される、分子内
にパーフルオロアルキル基とアルキル基を有する化合物
を特定量配合することにより、安定性に優れた乳剤を調
製することができる
合物、乳化剤、および水相成分からなるパーフルオロカ
ーボン乳剤において、一般式(1)で表される、分子内
にパーフルオロアルキル基とアルキル基を有する化合物
を特定量配合することにより、安定性に優れた乳剤を調
製することができる
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B01F 17/14 B01F 17/14 17/42 17/42 B01J 13/00 B01J 13/00 A (72)発明者 竹内 由和 兵庫県明石市大久保町高丘6−15−7 Fターム(参考) 4C076 AA17 BB13 DD35F DD63F FF16 4C085 HH01 JJ03 KB39 4C206 AA01 AA02 CA23 DB03 DB06 MA42 MA86 NA14 ZA52 4D077 AA04 AB20 AC01 BA07 DC68X DD32X 4G065 AA01 AB10Y AB11Y AB26Y AB29X BA07 BA15 BB01 CA01 DA02 EA01 EA02
Claims (6)
- 【請求項1】 パーフルオロカーボン化合物(A)10
〜80重量%、医学的に許容される乳化剤(C)0.1
〜10重量%、および水相成分(D)からなるパーフル
オロカーボン乳剤において、さらに、下記一般式(1)
で表される化合物(B)を上記(A)成分に対して0.
1〜20重量%含有することを特徴とするパーフルオロ
カーボン乳剤。 R1 −X−R2 (1) (式中、R1 は炭素数6〜12のパーフルオロアルキル
基、R2 は炭素数12〜22のアルキル基を表し、X
は、 【化1】 を表す。但し、R3 は炭素数2〜8のアルキレン基であ
る。) - 【請求項2】 一般式(1)で表される化合物(B)
が、40℃の温度で液状である請求項1記載のパーフル
オロカーボン乳剤。 - 【請求項3】 医学的に許容される乳化剤(C)がリン
脂質を含有する請求項1記載のパーフルオロカーボン乳
剤。 - 【請求項4】 医学的に許容される乳化剤(C)が、リ
ン脂質と非イオン界面活性剤とを10:90〜100:
0の割合で含む混合物である請求項3記載のパーフルオ
ロカーボン乳剤。 - 【請求項5】 医学的に許容される乳化剤(C)を構成
するリン脂質が、ポリエチレングリコール鎖を有するリ
ン脂質を含有する請求項3又は4に記載のパーフルオロ
カーボン乳剤。 - 【請求項6】 リン脂質が有するポリエチレングリコー
ル鎖の分子量が400〜20000である請求項5記載
のパーフルオロカーボン乳剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000119190A JP2001302507A (ja) | 2000-04-20 | 2000-04-20 | パーフルオロカーボン乳剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000119190A JP2001302507A (ja) | 2000-04-20 | 2000-04-20 | パーフルオロカーボン乳剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001302507A true JP2001302507A (ja) | 2001-10-31 |
Family
ID=18630214
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000119190A Pending JP2001302507A (ja) | 2000-04-20 | 2000-04-20 | パーフルオロカーボン乳剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001302507A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112385656A (zh) * | 2019-08-19 | 2021-02-23 | 中国农业科学院植物保护研究所 | 一种二点委夜蛾的高效引诱剂及其应用 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62249913A (ja) * | 1986-04-23 | 1987-10-30 | Kanebo Ltd | 多相乳化型化粧料 |
JPH06509022A (ja) * | 1991-07-17 | 1994-10-13 | アライアンス・ファーマスーティカル・コーポレイション | 炭化フッ素および親油性/親フッ素性有機化合物を含む調製物、ならびにそれらの用途 |
-
2000
- 2000-04-20 JP JP2000119190A patent/JP2001302507A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62249913A (ja) * | 1986-04-23 | 1987-10-30 | Kanebo Ltd | 多相乳化型化粧料 |
JPH06509022A (ja) * | 1991-07-17 | 1994-10-13 | アライアンス・ファーマスーティカル・コーポレイション | 炭化フッ素および親油性/親フッ素性有機化合物を含む調製物、ならびにそれらの用途 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112385656A (zh) * | 2019-08-19 | 2021-02-23 | 中国农业科学院植物保护研究所 | 一种二点委夜蛾的高效引诱剂及其应用 |
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Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070418 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100720 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20101207 |