JP2001018744A - 車両用側突エアバッグ装置の起動制御システム - Google Patents

車両用側突エアバッグ装置の起動制御システム

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JP2001018744A JP11191015A JP19101599A JP2001018744A JP 2001018744 A JP2001018744 A JP 2001018744A JP 11191015 A JP11191015 A JP 11191015A JP 19101599 A JP19101599 A JP 19101599A JP 2001018744 A JP2001018744 A JP 2001018744A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、車両用側突エアバッグ装置の起動
制御システムに関し、前席用側突エアバッグ及び前後席
用カーテンエアバッグを備えるエアバッグ装置において
各形態の側突を確実に判定することを目的とする。 【解決手段】 フロントGセンサ28及びリヤGセンサ
30は夫々前席側突時及び後席側突時に大きな加速度が
作用するように配置される。センタGセンサ44はセン
タフロアトンネル内に設けられる。夫々のGセンサをメ
インとして側突判定を行うフロントメイン判定処理、セ
ンタメイン判定処理、及びリヤメイン判定処理が行われ
る。フロントメイン判定処理及びセンタメイン判定処理
の少なくとも一方でオン判定されると側突エアバッグ及
びカーテンエアバッグが展開され、リヤメイン判定処理
でオン判定されるとカーテンエアバッグが展開される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用側突エアバ
ッグ装置の起動制御システムに係り、特に、前席に対応
した側突エアバッグ及び後席に対応した側突エアバッグ
を適切に展開させることが可能な車両用側突エアバッグ
装置の起動制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平10−3540
8号公報に開示される側突エアバッグ制御装置が公知で
ある。この装置は、車両のセンターピラーに設けられた
電気式加速度センサ及び機械式加速度センサを備えてい
る。電気式加速度センサは、車幅方向の加速度に応じた
電気信号をコントローラに向けて出力する。また、機械
式加速度センサは、車幅方向の加速度が所定値を超えた
場合にオン状態となる。コントローラは、機械式加速度
センサがオン状態であり、かつ、電気式加速度センサの
出力信号に基づいて検出される加速度が所定値を超える
場合に、車両に側面衝突(以下、側突と称す)が生じた
と判断し、側突エアバッグを展開させる。かかる構成に
よれば、機械式加速度センサが設けられることにより、
電気的なノイズに起因して側突が誤判定されるのを防止
することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電柱等のポ
ール状物体との側突(ポール側突)がセンタピラーを外
して生じた場合、あるいは、後部座席側での側突(以
下、後席側突と称す)が生じた場合には、センタピラー
に生ずる加速度は小さい。このため、加速度センサがセ
ンターピラーに設けられる上記従来の装置では、ポール
側突及び後席側突を判定することが困難である。更に、
トラックやRV車等の車高が高い車両との側突(トラッ
ク側突)が生ずると、通常の車両と側突した場合に対し
て、大きな加速度が生ずる位置が変化することとなる。
このため、通常車両との側突を前提として加速度センサ
を配置した場合、トラック側突を判定することが困難で
ある。
【0004】また、加速度センサが車両のセンタピラー
に設けられるため、車両ドアが強閉された場合等には、
側突が生じていなくても各加速度センサに比較的大きな
車幅方向の加速度が生ずる。かかる場合に側突の誤判定
を防止するには、電気式加速度センサの出力信号に基づ
いて側突を判定する際の判定値を大きくする必要があ
る。一方、この判定値を大きくすると、側突の発生を確
実に検出することが困難となる。このように、上記従来
の装置では、側突の発生を誤りなく確実に検出できるよ
うな判定閾値の設定が容易ではない。
【0005】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、前席用側突エアバッグ及び前後席用側突エアバ
ッグを備えるエアバッグ装置において、各形態の側突を
確実に判定し、前席用側突エアバッグ、及び、後席に対
応した側突エアバッグを適切なタイミングで展開させる
ことが可能な車両用側突エアバッグ装置の起動制御シス
テムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、少なくとも前席の乗員を保護する第1
の側突エアバッグ、及び、少なくとも後席の乗員を保護
する第2の側突エアバッグの展開を制御する車両用側突
エアバッグ装置の起動制御システムであって、前席側の
車両側面における車幅方向の加速度を検出する第1の検
出手段と、車両の幅方向中央部における車幅方向の加速
度を検出する第2の検出手段と、後席側の車両側面にお
ける車幅方向の加速度を検出する第3の検出手段と、少
なくとも前記第1の検出手段による検出値に基づいて側
突の発生を判定する第1の側突判定手段と、少なくとも
前記第2の検出手段による検出値に基づいて側突の発生
を判定する第2の側突判定手段と、少なくとも前記第3
の検出手段による検出値に基づいて側突の発生を判定す
る第3の側突判定手段と、前記第1及び第2の側突判定
手段の少なくとも一方により側突が発生したと判定され
た場合に、少なくとも前記第1の側突エアバッグを展開
させる第1の起動手段と、前記第3の側突判定手段によ
り側突が発生したと判定された場合に、前記第2の側突
エアバッグを展開させる第2の起動手段と、を備える車
両用側突エアバッグ装置の起動制御システムにより達成
される。
【0007】請求項1記載の発明において、第1の側突
判定手段は、少なくとも第1の検出手段による検出値、
すなわち、前席側の車両側面における車幅方向加速度に
基づいて、側突の発生を判定する。従って、第1の側突
判定手段によれば、前席側の車両側面に大きな加速度が
生ずるような側突の発生を判定することができる。ま
た、第2の側突判定手段は、少なくとも第2の検出手段
による検出値、すなわち、車両の車幅方向中央部におけ
る車幅方向加速度に基づいて、側突を判定する。前席側
の車両側面に大きな加速度が生じないような側突であっ
ても、車両中央部には、側突に伴う衝撃に応じた加速度
が生ずる。従って、第2の側突判定手段によれば、第1
の側突判定手段では判定が困難な形態の側突を判定する
ことができる。第1の起動手段は、第1及び第2の側突
判定手段の少なくとも一方により側突が発生したと判定
された場合に、第1の側突エアバッグを展開させる。従
って、本発明によれば、第1の側突判定手段によって
は、つまり、第1の検出手段によっては検出が困難な側
突が発生した場合にも、確実に第1の側突エアバッグを
展開させることができる。
【0008】また、本発明において、第3の側突判定手
段は、少なくとも第3の検出手段による検出値、すなわ
ち、後席側の車両側面における車幅方向加速度に基づい
て、側突の発生を判定する。第2の起動手段は第3の側
突判定手段により側突が発生したと判定された場合に第
2の側突エアバッグを展開させる。従って、本発明によ
れば、後席側突の発生時に確実に第2の側突エアバッグ
を展開させることができる。
【0009】この場合、請求項2に記載する如く、請求
項1記載の車両用側突エアバッグ装置の起動制御システ
ムにおいて、前記第1の側突判定手段は、前記第1の検
出手段による検出値を基にして得られる値と所定値との
大小関係、及び、前記第2又は第3の検出手段による検
出値を基にして得られる値と所定値との大小関係に基づ
いて、側突の発生を判定することとしてもよい。
【0010】請求項2記載の発明において、ドアが強閉
された場合等には、側突が発生していなくても、前席側
の車両側面に大きな加速度が生ずる。以下、側突が発生
していなくても、前席側の車両側面に大きな加速度が生
ずる状況を意地悪条件と称す。ドア強閉等の意地悪条件
における衝撃は車両中央部及び後部座席側までは伝達さ
れ難いため、意地悪条件において車両中央部に生ずる加
速度は小さい。すなわち、意地悪条件では、第2及び第
3の検出手段による検出値は小さい。従って、第1の側
突判定手段が、第1の検出手段による検出値を基にして
得られる値と所定値との大小関係のみならず、第2又は
第3の検出手段による検出値を基にして得られる値と所
定値との大小関係に基づいて側突の発生を判定すること
で、意地悪条件で側突の発生を誤判定するのを防止する
ことができる。
【0011】なお、「検出値を基にして得られる値」に
は、検出値そのものの他、検出値の積分値、検出値にフ
ィルタ処理を施した値など種々の信号処理により得られ
た値が含まれる。また、請求項3に記載する如く、請求
項1記載の車両用側突エアバッグ装置の起動制御システ
ムにおいて、前記第2の側突判定手段は、前記第2の検
出手段による検出値の所定の積分時間における積分値と
所定値との大小関係に基づいて、側突の発生を判定する
こととしてもよい。
【0012】請求項3記載の発明において、車両に側突
が発生した場合、側突に伴う衝撃の大きさに対して、車
両中央部に生ずる加速度の変化は小さい。しかし、側突
に伴う衝撃が大きいほど、車両中央部には長い時間にわ
たって加速度が発生する。このため、車両中央部の加速
度の一定以上の積分時間における積分値には、側突に伴
う衝撃の大きさが反映される。従って、第2の側突判定
手段は、前記第2の検出手段による検出値の所定の積分
時間における積分値と所定値との大小関係に基づいて判
定を行うことで、側突の発生を確実に判定することがで
きる。
【0013】また、請求項4に記載する如く、請求項3
記載の車両用側突エアバッグ装置の起動制御システムに
おいて、前記第2の側突判定手段は、更に、前記第2の
検出手段による検出値の前記所定の積分時間より小さい
第2の積分時間における第2の積分値と第2の所定値と
の大小関係に基づいて側突の発生を判定すると共に、前
記第1又は第3の検出手段による検出値を基にして得ら
れる値に基づいて、前記第2の所定値の値を変更する判
定値変更手段を有することとしてもよい。
【0014】請求項4記載の発明において、側突が発生
した場合、第2の検出手段による検出値の積分値は、積
分時間が短いほど速やかに立ち上がる。従って、第2の
積分値と所定値との大小関係に基づくことで、側突を速
やかに判定できる。しかしながら、上記の如く、側突に
伴う衝撃の大きさに対して、車両中央部に生ずる加速度
の大きさはさほど変化しないため、側突に伴う衝撃の大
きさは積分時間の短い積分値にはさほど反映されない。
すなわち、エアバッグを展開させるべき側突(オン側
突)の場合と展開させるべきでない側突(オフ側突)の
場合とで、第2の積分値の差異は小さい。一方、車両前
席側及び後席側の側面には、側突に伴う衝撃の大きさに
応じた加速度が生ずる。このため、第1又は第3の検出
手段による検出値には、側突に伴う衝撃の大きさ、つま
り、オン側突であるかオフ側突であるかが比較的大きく
反映される。従って、本発明によれば、第1又は第3の
検出手段による検出値を基にして得られる値に基づい
て、第2の所定値の値を変更することにより、オフ側突
の場合に側突の発生を判定することを防止しつつ、オン
側突の発生を速やかに判定することができる。
【0015】更に、請求項5に記載する如く、請求項4
記載の車両用側突エアバッグ装置の起動制御システムに
おいて、前記第2の側突判定手段は、更に、前記第1又
は第3の検出手段による検出値を基にして得られる値と
所定値との大小関係に基づいて側突の発生を判定するこ
ととしてもよい。
【0016】請求項5記載の発明において、車両に側突
が発生すると、その形態にかかわらず、前席側面及び後
席側面の加速度、すなわち、第1及び第3の検出手段に
よる検出値は一定以上の値を示す。従って、本発明によ
れば、第2の検出手段による検出値に加えて、第3の検
出手段による検出値を基にして得られる値と所定値との
大小関係に基づいて判定を行うことで、側突の発生をよ
り確実に判定することができる。
【0017】また、請求項6に記載する如く、請求項1
記載の車両用側突エアバッグ装置の起動制御システムに
おいて、前記第3の側突判定手段は、前記第3の検出手
段による検出値を基にして得られる値と所定値との大小
関係、及び、前記第1の検出手段又は前記第2の検出手
段による検出値を基にして得られる値と所定値との大小
関係に基づいて、側突の発生を判定することとしてもよ
い。
【0018】請求項6記載の発明において、後席側突が
発生すると、後席側面の加速度、すなわち、第3の検出
手段による検出値は大きな値となる。これと同時に、前
席側面及び車両中央部にも、比較的大きな加速度が発生
し、第1及び第2の検出手段は比較的大きな検出値を示
す。従って、本発明によれば、第3の検出手段による検
出値を基にして得られる値と所定値との大小関係、及
び、第1又は第2の検出手段による検出値を基にして得
られる値と所定値との大小関係に基づいて判定を行うこ
とで、後席側突の発生を確実に判定することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
車両用側突エアバッグ装置の起動制御システム(以下、
起動制御システムと略称する)及びこのシステムにより
制御される側突エアバッグ装置の車内配置図である。図
1に示す如く、側突エアバッグ装置は、運転席及び助手
席に設けられた側突エアバッグ12、及び、カーテンエ
アバッグ14を含んでいる。なお、図1には、前突用エ
アバッグ16も併せて示されている。また、図2は、カ
ーテンエアバッグ14の配置を示す車両側面図である。
【0020】側突エアバッグ12は、座席の背もたれ部
分に折り畳まれた状態で収納され、作動時には前席乗員
と車両ドアとの間に展開する。また、カーテンエアバッ
グ14は、ルーフサイドに沿うようにフロントピラー1
8からリヤピラー20に亘って折り畳まれた状態で収納
され、作動時には、図2に示す如く、前後席の乗員の頭
部近傍と車両ドア及びルーフサイドとの間に展開する。
図2に示す如く、カーテンエアバッグ14の車両後方側
端部には、カーテンエアバッグ14を展開させるための
インフレータ22が設けられている。
【0021】図1に示す如く、起動制御システムは、フ
ロントフロアセンタートンネルの内部に収容されたエア
バッグ制御装置24を備えている。エアバッグ制御装置
24には、側突に伴う加速度を検出するフロントGセン
サ28及びリヤGセンサ30が接続されている。フロン
トGセンサ28は、前席側での側突(以下、前席側突と
称す)が発生した場合に大きな加速度が生ずる部位(例
えば図2に示されるセンタピラー32)に設けられてい
る。また、リヤGセンサ30は、後席側突が発生した場
合に大きな生ずる部位(例えばリヤピラー20)に設け
られている。フロントGセンサ28及びリヤGセンサ3
0は、それぞれ、車幅方向の加速度に応じた電気信号を
エアバッグ制御装置24に向けて出力する。なお、フロ
ントGセンサ28及びリヤGセンサ30は、それらが設
けられた側(運転席側又は助手席側)での側突に伴う加
速度(つまり、車両側方から車両中央に向かう方向の加
速度)が発生した場合に、正の値を出力するように構成
されている。
【0022】図3は、エアバッグ制御装置24の内部構
成を示す回路図である。なお、上述の如く、本実施例の
起動制御システムは側突エアバッグ12及びカーテンエ
アバッグ14の展開を制御するものであるため、前突エ
アバッグ12に関する構成部分については説明を省略す
る。図3に示す如く、エアバッグ制御装置24は、その
内部に収容されたCPU40、点火回路42、及びセン
タGセンサ44を備えている。CPU40には、加速度
センサ44と共に、上記したフロントGセンサ28及び
リヤGセンサ30が接続されている。センタGセンサ4
4は車幅方向の加速度に応じた電気信号をCPU40に
向けて出力する。なお、センタGセンサ44は、運転席
側での側突に伴う加速度(つまり、運転席側から車両中
央へ向かう方向の加速度)が生じた場合に、正の値を出
力するように構成されている。
【0023】図3に示す如く、点火回路42は、電源端
子50を備えている。電源端子50には所定の電源電圧
が供給される。電源端子50には、スイッチング素子5
2、54、56、58を介して、それぞれ、スクイブ6
0、62、64、66が接続されている。スクイブ6
0、62は、それぞれ、点火されることにより運転席側
及び助手席側の側突エアバッグ12を展開させる。ま
た、スクイブ64、66は、それぞれ、点火されること
により運転席側及び助手席側のカーテンエアバッグ14
を展開させる。スクイブ60、62、64、66は、そ
れぞれ、スイッチング素子68、70、72、74を介
してアースラインに接続されている。スイッチング素子
52〜58、68〜74は、CPU40からの制御信号
に応じてオン/オフされる。
【0024】上記の構成によれば、スイッチング素子5
2及び68が共にオン状態となることによりスクイブ6
0が、また、スイッチング素子54及び70が共にオン
状態となることによりスクイブ62が、それぞれ点火さ
れる。また、スイッチング素子56及び72が共にオン
状態となることによりスクイブ64が、また、スイッチ
ング素子58及び74が共にオン状態となることにより
スクイブ66が、それぞれ点火される。従って、CPU
40は、スイッチング素子52、68、スイッチング素
子54、70、スイッチング素子56、72、及びスイ
ッチング素子58、74の各対をオン状態とすることに
より、それぞれ、運転席側の側突エアバッグ12、助手
席側の側突エアバッグ12、運転席側のカーテンエアバ
ッグ14、及び、助手席側のカーテンエアバッグ14を
展開させることができる。
【0025】本実施例において、CPU40は、各Gセ
ンサの出力信号に基づいて前席右側、前席左側、後席右
側、及び後席左側の各部での側突の有無を判定する。そ
して、CPU40は、例えば前席右側(つまり運転席近
傍)での側突を検出すると、運転席側の側突エアバッグ
12及び運転席側のカーテンエアバッグ14を共に展開
させる。同様に、CPU40は、前席左側(つまり助手
席近傍)での側突を検出すると、助手席側の側突エアバ
ッグ12及び助手席側のカーテンエアバッグ14を共に
展開させる。従って、前席側突の発生時に、前席の乗員
を側突エアバッグ12及びカーテンエアバッグ14の双
方により保護することができる。また、CPU40は、
後席右側での側突を検出すると運転席側のカーテンエア
バッグ14を、また、後席左側での側突を検出すると助
手席側のカーテンエアバッグ14を、それぞれ展開させ
る。従って、後席側突の発生時に、後席の乗員をカーテ
ンエアバッグ14により保護することができる。
【0026】ところで、上記従来技術に関して述べたよ
うに、センタピラーに設けた加速度センサにより検出さ
れた加速度が所定の判定値を上回った場合に側突発生を
検知することとした場合には、意地悪条件での誤判定を
防止しつつ、側突を確実に判定しうるような判定値の設
定は容易ではない。また、従来技術の手法では、トラッ
ク衝突、ポール側突、及び後席側突の発生を判定するこ
とは困難である。このため、特に、本実施例の如く後席
に対応したカーテンエアバッグ14を備えるシステムに
おいて、後席側突の発生時にカーテンエアバッグ14を
適切なタイミングで展開させることは困難である。
【0027】これに対して、本実施例の起動制御システ
ムは、前席側突及び後席側突の発生を確実に判定して、
側突エアバッグ12及びカーテンエアバッグ14を適切
なタイミングで展開し得るものである。以下、本実施例
において、フロントGセンサ28、リヤGセンサ30、
及びセンタGセンサ44の出力信号に基づいて側突エア
バッグ12及びカーテンエアバッグ14を展開させる手
法について説明する。
【0028】図4は、CPU40が各Gセンサの出力信
号に基づいて側突エアバッグ12及びカーテンエアバッ
グ14を展開させるロジックの全体構成を示す図であ
る。なお、CPU40は、運転席側及び助手席側のそれ
ぞれについて図4に示すロジックで処理を行う。なお、
上述の如く、センタGセンサ44は、運転席側での側突
に伴う加速度が生じた場合に、正の値を出力するように
構成されている。従って、図4に示す処理が助手席側に
ついて実行される場合は、センタGセンサ44の出力信
号は、その符号を反転して用いられる。図4に示す如
く、CPU40は、フロントメイン判定処理、センタメ
イン判定処理、及び、リヤメイン判定処理を実行する。
【0029】フロントメイン判定処理は、フロントGセ
ンサ28の出力信号を主体として、フロントGセンサ2
8に大きな加速度が生ずるような前席側突の発生を判定
するものである。また、センタメイン判定処理は、セン
タGセンサ44の出力信号を主体として、トラック衝突
やポール衝突等のフロントメイン判定処理では判定が困
難な側突を判定するものである。更に、リヤメイン判定
処理は、リヤGセンサ30の出力信号を主体として後席
側突を判定するものである。図4に示す如く、CPU4
0は、フロントメイン判定処理及びセンタメイン判定処
理の少なくとも一方でオン判定がなされた場合に側突エ
アバッグ12を展開させると共に、フロントメイン判定
処理、センタメイン判定処理、及びリヤメイン判定処理
の少なくとも一の判定処理によりオン判定がなされた場
合にカーテンエアバッグ14を展開させる。以下、各判
定処理の具体的な内容について説明する。 [I]フロントメイン判定処理 図5は、フロントメイン判定処理の判定ロジックを示
す。図5に示す如く、フロントメイン判定処理では、フ
ロントGセンサ28の出力信号に基づく側突判定処理
(以下、フロントセンサ判定処理と称す)、及び、セン
タGセンサ44の出力信号に基づいてセーフィング判定
を行うための判定処理(以下、センタセーフィング判定
処理と称す)が行われる。
【0030】フロントセンサ判定処理では、フロントG
センサ28の出力信号Sf の、第1の所定時間Tf1(数
ミリ秒程度)にわたる積分値Vf1、及び、第1の所定時
間よりも大きな第2の所定時間Tf2にわたる積分値Vf2
が演算され、積分値Vf1が閾値THVf1以上である場
合、又は、積分値Vf2が閾値THVf2以上である場合に
オン判定がなされる。このように、積分時間の異なる2
つの積分値Vf1、Vf2を用いることで、加速度の立ち上
がり方が異なる種々の形態の側突に対して、正確にオン
判定を行うことができる。一方、センタセーフィング判
定処理では、センタGセンサ44の出力信号Sc の所定
時間Tc にわたる積分値Vc が演算され、積分値Vc
所定の閾値THVc 以上である場合に、オン判定がなさ
れる。そして、フロントセンサ判定処理及びセンタセー
フィング判定処理の双方でオン判定がなされた場合に、
フロントメイン判定処理としてのオン判定がなされる。
【0031】なお、上記の如く、フロントセンサ判定処
理では、2種類の積分値Vf1、Vf2を用いることとして
いるが、3種類以上の積分値を用いてもよく、あるい
は、一の積分値のみを用いることとしてもよい。上述の
如く、センタGセンサ44は、フロントフロアセンター
トンネル内に設けられる。このため、ドア強閉時等の意
地悪条件では、センタGセンサ44に生ずる加速度は小
さい。一方、側突発生時には、その衝撃エネルギーがセ
ンタGセンサ44まで伝達され、センタGセンサ44に
も大きな加速度が生ずる。すなわち、意地悪条件と、側
突発生時とで、センタGセンサ44の出力レベルは大き
く異なることとなる。従って、閾値THVc を、意地悪
条件では生じないような積分値Vc の値に設定すること
で、意地悪条件でオン判定がなされるのを確実に防止す
ることが可能となる。上述の如く、フロントメイン判定
処理では、フロントセンサ判定処理及びセンタセーフィ
ング判定処理の双方でオン判定がなされた場合に限り、
オン判定がなされる。このため、フロントメイン判定処
理における閾値THVf1及びTHVf2を、意地悪条件で
の積分値Vf1及びVf2の値に対して余裕の少ない小さな
値に設定しても、意地悪条件ではセンタセーフィング判
定処理において確実にオフ判定されることで、フロント
メイン判定処理全体としてオン判定がなされることはな
い。
【0032】以上の理由から、本実施例では、閾値TH
c を、意地悪条件では生じないような積分値Vc の値
に設定すると共に、閾値THVf1及びTHVf2を、側突
エアバッグ12及びカーテンエアバッグ14を展開させ
るべきでない軽度の側突(以下、オフ側突と称す)が生
じた場合には積分値Vf1及びVf2が達することのない範
囲で、意地悪条件に対して余裕の少ない小さな値に設定
している。かかる設定により、センタメイン判定処理に
おいて、意地悪条件ではオフ判定しつつ、側突エアバッ
グ12及びカーテンエアバッグ14を展開させるべき側
突(以下、オン側突と称す)の発生時にオン判定するこ
とが可能となる。
【0033】図6は、フロントセンサ判定処理の判定
結果、センタセーフィング判定処理の判定結果、及び
フロントメイン判定処理全体としての判定結果を、
(1) 意地悪条件の場合、(2) オフ側突が生じた場合、及
び(3) オン側突が生じた場合について示す。上記したよ
うに、閾値THVf1及びTHVf2は、オフ側突が生じた
場合には積分値Vf1及びVf2が達することのない範囲
で、意地悪条件での積分値Vf1及びV f2の値に対して余
裕の少ない小さな値に設定されている。このため、フロ
ントセンサ判定処理では、意地悪条件では小さな余裕度
でオフ判定がなされ、オフ側突時には確実にオフ判定が
なされ、かつ、オン側突時には、迅速にオン判定がなさ
れる。一方、センタセーフィング判定処理では、意地悪
条件の場合には大きな余裕度で確実にオフ判定がなさ
れ、また、オン側突時には確実にオン判定がなされる。
上述の如く、フロントメイン判定処理では、フロントセ
ンサ判定処理及びセンタセーフィング判定処理の双方で
オン判定がなされた場合にのみ、オン判定がなされる。
その結果、フロントメイン判定処理では、意地悪条件で
は大きな余裕をもってオン判定がなされ、オフ側突時に
は確実にオフ判定がなされ、かつ、オン衝突時に確実に
オン判定がなされる。従って、フロントメイン判定処理
によれば、意地悪条件時における側突の誤判定を防止し
つつ、オン側突時には確実にオン判定することができ
る。
【0034】なお、上記の如く、オフ側突時にはフロン
トセンサ判定処理により確実にオフ判定がなされるの
で、センタセーフィング判定処理におけるオフ側突時の
判定結果はオン判定又はオフ判定の何れであってもよ
い。ところで、上述の如く、側突を判定する従来の手法
では、電気式の加速度センサに加えて機械式のセーフィ
ングセンサを設け、電気式の加速度センサにより側突が
検出され、かつ、セーフィングセンサがオンした場合に
限り側突の発生を判定することにより、電気的なノイズ
に起因する側突の誤判定を防止している。しかし、一般
にセーフィングセンサは電気式加速度センサの近傍に設
けられるため、セーフィングセンサを、意地悪条件にお
いて大きな余裕をもってオフさせることは困難である。
これに対して、本実施例では、センタセーフィング判定
処理が行われることで、機械式セーフィングセンサを不
要としつつ、意地悪条件に対して大きな余裕のある(つ
まり、意地悪条件で誤判定が起こり難い)側突判定を行
うことが可能となっている。 [II]センタメイン判定処理 図7は、センタメイン判定処理の判定ロジックを示す。
図7に示す如く、センタメイン判定処理では、センタG
センサ44の出力信号に基づくマップ判定処理(以下、
センタマップ判定処理と称す)、及び、フロントGセン
サ28の出力信号に基づくセーフィング判定処理(以
下、フロントセーフィング判定処理と称す)が行われ
る。そして、センタマップ判定処理及びフロントセーフ
ィング判定処理の双方でオン判定がなされた場合に、セ
ンタメイン判定処理としてのオン判定がなされる。
【0035】センタマップ判定処理では、センタGセン
サ44の出力信号Sc の所定時間T 1 例えば数ミリ秒程
度)にわたる積分値(以下、短時間積分値とも称す)V
c1及び所定時間T1 よりも十分に大きな所定時間T
2 (例えば数十ミリ秒程度)にわたる積分値(以下、長
時間積分値とも称す)Vc2が演算され、これら積分値V
c1及びVc2に基づいてマップ判定が行われる。図8は、
センタマップ判定処理におけるマップ判定を説明するた
めの図であり、縦軸は短時間積分値Vc1を、横軸は長時
間積分値Vc2を、それぞれ表している。図8において、
積分値の対(Vc2,Vc1)の軌跡の例を、オン側突が生
じた場合について実線で、オフ衝突が生じた場合につい
て破線で、意地悪条件時について一点鎖線でそれぞれ示
す。なお、図8における二点鎖線は、後述する如く、微
小な加速度が継続して生ずる場合の(Vc2,Vc1)軌跡
を示している。また、図8には、後述する閾値THV
c1Low も示されている。
【0036】上述の如く、センタGセンサ44はセンタ
フロアトンネル内に設けられているので、側突に伴う衝
撃は車体を経由して間接的にセンタGセンサ44に伝達
される。このため、センタGセンサ44に生ずる加速度
の値は、側突に伴う衝撃エネルギーの大きさによってさ
ほど大きくは変化しない。かかる理由により短時間積分
値Vc1の値には、オン側突とオフ側突とで大差は生じな
い。一方、側突に伴う衝撃エネルギーが大きいほど、セ
ンタGセンサ44には、より長い時間にわたって加速度
が生じ続ける。かかる理由により、長時間積分値Vc2
ついては、オン側突の場合にはオフ側突の場合よりも大
きな値となる。このため、図8に実線で示す如く、オン
側突時には、短時間積分値Vc1及び長時間積分値Vc2
共に増加を続け、長時間積分値Vc2は閾値THVc2を上
回っているのに対して、図8に破線で示す如く、オフ側
突時には、短時間積分値Vc1はオン側突時と同程度の値
まで立ち上がるものの、長時間積分値Vc2は上記閾値T
HVc2に達することなく収束する。
【0037】また、意地悪条件では、センタGセンサ4
4に瞬間的には一定以上の加速度が作用するが、その後
速やかに収束する。このため、図8に一点鎖線で示す如
く、短時間積分値Vc1は比較的速やかに立ち上がるもの
の、その値はオフ側突時に比べて小さく、また、長時間
積分値Vc2の増加は小さな範囲に抑えられる。従って、
長時間積分値Vc2に対する閾値として上記した閾値TH
c2を用い、また、短時間積分値Vc1に対する閾値とし
て、オフ側突時に短時間積分値Vc1が到達することのな
い値に設定された閾値THVc1を用いることで、長時間
積分値Vc2が閾値THV c2に達した時点P1、又は、短
時間積分値Vc1が閾値THVc1に達した時点P2 で、オ
ン判定することができる。このように、センタマップ判
定処理によれば、フロントGセンサ28では判定困難な
側突の発生時に、ある程度の時間遅れを伴うものの確実
にオン判定することができる。
【0038】ただし、オン側突時に生ずる加速度よりも
十分に低いレベルの加速度がセンタGセンサ44に対し
て長時間にわたって継続して作用した場合には、図8に
二点鎖線で示すように、短時間積分値Vc1が小さな値に
抑えられたまま、長時間積分値Vc2のみが増加し続ける
ことが起こり得る。かかる場合にオン判定がなされるの
を防止するため、短時間積分値Vc1に関する第2の閾値
THVc0を設け、短時間積分値Vc1が閾値THVc0を上
回っていることを、オン判定の必要条件としている。す
なわち、センタマップ判定処理では、短時間積分値Vc1
及び長時間積分値Vc2が図8に斜線を付して示す領域に
入った場合に、オン判定がなされることとなる。
【0039】オン側突が発生した場合には、その発生位
置にかかわらず(つまり、フロントGセンサ28により
判定可能な側突であるか否かにかかわらず)、センタG
センサ44には、側突に伴って車両に付与されるエネル
ギーに応じた加速度が発生する。従って、上記のセンタ
マップ判定処理によれば、トラック側突やポール側突等
のフロントGセンサ28によっては判定が困難な側突の
発生時に確実にオン判定することができる。
【0040】フロントセーフィング判定処理では、フロ
ントGセンサ28の出力信号Sf の上記積分値Vf1(又
は積分値Vf2)が、上記した閾値THVf1(又はTHV
f2)よりも十分に小さい閾値THVf1s (又はTHV
f2s )以上である場合に、オン判定がなされる。トラッ
ク側突やポール側突等のフロントGセンサ28によって
判定が困難な側突であっても、フロントGセンサ28に
は、値は小さいながらある程度の加速度は生ずる。一
方、意地悪条件でフロントGセンサ28に生ずる加速度
は、トラック側突やポール側突が生じた場合に比べて十
分に小さい。上記の閾値THVf1s (又はTHVf2s
は、トラック側突やポール側突が生じた場合には積分値
f1(又はVf2)が確実に到達し、かつ、意地悪条件で
は積分値Vf1(又はVf2)が到達することがないような
値に設定される。従って、積分値V f1(又はVf2)と閾
値THVf1s (又はTHVf2s )との大小を比較するこ
とで、意地悪条件では確実にオフ判定し、かつ、オン側
突時には確実にオン判定することができる。上述の如
く、センタメイン判定処理では、センタマップ判定処理
及びフロントセーフィング判定処理の双方でオン判定が
なされた場合に、オン判定がなされる。このため、セン
タメイン判定処理によれば、意地悪条件でオン判定する
のを防止しつつ、オン側突時に確実にオン判定をするこ
とができる。
【0041】図9は、センタマップ判定処理の判定結
果、フロントセーフィング判定処理の判定結果、及び
センタメイン判定処理全体の判定結果を、(1) 意地悪
条件の場合、(2) オフ側突が生じた場合、及び(3) フロ
ントGセンサ28では判定が困難なオン側突が生じた場
合について示す。図9に示す如く、センタマップ判定処
理によれば、フロントGセンサ28では判定が困難なオ
ン側突に対して、ある程度の時間を要するものの確実に
オン判定がなされるとと共に、意地悪条件時には確実に
オフ判定がなされる。また、フロントセーフィング判定
処理によれば、意地悪条件時には確実にオフ判定がなさ
れ、また、オン側突時には確実にオン判定がなされる。
なお、上記の如く、オフ側突時にはフロントセンサ判定
処理により確実にオフ判定がなされるので、センタセー
フィング判定処理によるオフ側突時の判定結果はオフ判
定又はオン判定の何れであってもよい。
【0042】このように、センタメイン判定処理では、
意地悪条件及びオフ側突時にはオフ判定がなされ、フロ
ントGセンサ28では判定が困難なオン側突時にはオン
判定がなされる。また、フロントセーフィング判定処理
では、意地悪条件ではオフ判定がなされ、オン衝突時に
はオフ判定がなされる。従って、センタメイン判定処理
によれば、意地悪条件時における側突の誤判定を防止し
つつ、フロントGセンサ28では判定が困難なオン側突
の発生時に確実にオン判定することができる。
【0043】なお、フロントセーフィング判定処理にお
いては、運転席側及び助手席側の何れのフロントGセン
サ28を用いてもよい。ただし、判定処理の対象とは反
対側のフロントGセンサ28をセーフィング判定処理に
用いる場合(例えば、運転席側の側突判定処理におい
て、助手席側のフロントGセンサ28を用いる場合)に
は、側突発生時の出力信号は負の値となる。従って、こ
の場合には、出力信号S f の符号を反転して用いること
が必要である。
【0044】次に、センタメイン判定処理の改良例につ
いて説明する。図10は、センタメイン判定処理の改良
例の判定ロジックを示す。図10に示す改良例では、上
記したセンタマップ処理及びフロントセーフィング判定
処理に加えて、第2センタマップ判定処理、及び、マッ
プ切替判定処理が行われる。マップ切替判定処理では、
上記積分値Vf 1 (又は積分値Vf2)と、上記した閾値
THVf1(又はTHVf2)よりも小さな閾値THV
f1Low (又はTHVf2Lo w )との比較が行われ、Vf1
THVf1Low (又はVf2≧THVf2Low )が成立する場
合に、オン判定がなされる。上述の如く、フロントGセ
ンサ28では判定が困難な側突であっても、フロントG
センサ28には、その値は小さいものの、側突に伴う衝
撃エネルギーに応じた加速度が発生する。すなわち、フ
ロントGセンサ28では判定が困難な側突の場合にも、
フロントGセンサ28は、オン側突時には、オフ側突時
及び意地悪条件時に比べて大きな値を出力する。上記の
閾値THVf1Low (又はTHVf2Low )は、オフ衝突時
又は意地悪条件時には積分値Vf1(又はVf2)が到達す
ることがなく、かつ、オン衝突時には積分値Vf1(又は
f2)が確実に到達するような値に設定されている。従
って、マップ切替判定処理によれば、側突の形態にかか
わらず、オン側突時にオン判定が行われ、かつ、オフ側
突時にオフ判定が行われることとなる。
【0045】なお、マップ判定切替処理では、フロント
Gセンサ28の出力信号の比較的長時間(例えば数十ミ
リ秒)にわたる積分値(長時間積分値)を演算し、この
長時間積分値が上記フロントセンサ判定処理で述べた閾
値THVf1又はTHVf2を超えた場合に、オン判定する
ことしてもよい。すなわち、フロントGセンサ28では
検出困難な側突、つまり、フロントGセンサ28の出力
信号がさほど大きくならないような側突であっても、長
時間積分値は上記積分値Vf1又はVf2よりも大きな度合
いで増加する。従って、長時間積分値を閾値THVf1
はTHVf2と比較することにより、側突の形態に係わら
ずオン側突時にオン判定を行うことが可能となるのであ
る。
【0046】第2センタマップ判定処理は、上記したセ
ンタマップ判定処理において、閾値THVc1に代えて、
THVc1よりも小さな閾値THVc1Low を用いることに
より実現される。なお、閾値THVc1Low は、意地悪条
件で積分値Vc1が達することがないような値に設定され
る。図8に示す如く、閾値THVc1に代えて閾値THV
c1Low が用いることで、上記センタマップ処理の場合の
時点P1、P2よりも早い時点Q1 、Q2で、オン判定
することが可能となる。
【0047】従って、図10に示す如く、第2センタマ
ップ判定処理及びマップ切替判定処理の双方でオン判定
がなされ、かつ、フロントセーフィング判定処理でオン
判定がなされた場合にも、センタメイン判定処理として
のオン判定がなされることで、フロントGセンサ28で
は検出が困難なオン側突が生じた場合に、より速やかに
オン判定することが可能となる。
【0048】図11は、センタマップ判定処理の判定
結果、第2センタマップ判定処理の判定結果、マッ
プ切替判定処理の判定結果、フロントセーフィング判
定処理の判定結果、及びセンタメイン判定処理全体の
判定結果を、(1) 意地悪条件、(2) オフ側突が生じた場
合、及び(3) フロントGセンサ28では判定が困難なオ
ン側突が生じた場合について示す。図11中、センタ
マップ判定処理、及びフロントセーフィング判定処理
については、上記図9の場合と同様である。図11に示
す如く、第2センタマップ処理によれば、フロントGセ
ンサ28で判定困難なオン衝突の発生時に、速やかにオ
ン判定がなされる。また、マップ切替判定処理では、オ
ン衝突時にはオン判定がなされ、オフ衝突時にはオフ判
定がなされる。このため、第2センタマップ判定処理及
びマップ切替判定処理の双方でオン判定がなされ、か
つ、フロントセーフィング判定処理でオン判定がなされ
た場合にも、センタメイン判定処理でオン判定がなされ
ることで、フロントGセンサ28では判定困難なオン側
突発生時に速やかにオン判定することができる。 [III 」リヤメイン判定処理 図12は、リヤメイン判定処理の判定ロジックを示す。
図12に示す如く、リヤメイン判定処理では、リヤGセ
ンサ30の出力信号に基づく判定処理(以下、リヤセン
サ判定処理と称す)、及び、上記フロントメイン処理と
同じセンタセーフィング判定処理が行われる。
【0049】リヤセンサ判定処理では、リヤGセンサ3
0の出力信号Sr の第1の所定時間Tr1(例えば数ミリ
秒)にわたる積分値Vr1、及び、第1の所定時間Tr1
り大きい第2の所定時間Tr2にわたる積分値Vr2が演算
され、積分値Vr1が閾値THVr1以上である場合、又
は、積分値Vr2が閾値THVr2以上である場合にオン判
定がなされる。そして、リヤセンサ判定処理及びセンタ
セーフィング判定処理の双方でオン判定がなされた場合
に、リヤメイン判定処理としてのオン判定がなされる。
【0050】図13は、リヤセンサ判定処理の判定結
果、センタセーフィング判定処理の判定結果、及びリ
ヤメイン判定処理全体の判定結果を、(1) 意地悪条件、
(2)オフ側突が生じた場合、(3) 前席側でオン側突が生
じた場合、及び(4) 後席側でオン側突が生じた場合につ
いて示す。図13に示す如く、リヤセンサ判定処理で
は、後席側でのオン側突発生時にはオン判定がなされ、
オフ側突時及び意地悪条件時にはオフ判定がなされる。
また、センタセーフィング判定処理では、後席側でのオ
ン側突発生時にオン判定がなされ、意地悪条件時にはオ
フ判定がなされる。従って、上記したフロントメイン判
定処理の場合と同様に、閾値THVr1及びTHVr2を意
地悪条件に対して余裕の少ない小さな値としながら、意
地悪条件でのオン判定を防止しつつ、後席側でのオン側
突時に確実にオン判定することができる。
【0051】なお、前席側のオン側突が生じた場合は、
フロントメイン判定処理又はセンタメイン判定処理によ
って確実にオン判定がなされる。このため、リヤセンサ
判定処理及びセンタセーフィング判定処理において、前
席側でのオン側突発生時にはオン又はオフの何れの判定
がなされてもよい。以上説明したように、フロントメイ
ン判定処理では、意地悪条件でオン判定がなされるのを
防止しつつ、前席側突の発生時に確実にオン判定するこ
とができる。また、センタメイン判定処理では、フロン
トメイン判定処理で判定が困難な側突(トラック側突や
ポール側突等)の発生時に、確実にオン判定することが
できる。そして、フロントメイン判定処理及びセンタメ
イン判定処理の少なくとも一方でオン判定がなされた場
合に、側突エアバッグ12及びカーテンエアバッグ14
を展開させることで、前席の乗員を側突エアバッグ12
及びカーテンエアバッグ14により保護することができ
る。また、上述の如く、リヤメイン判定処理では、後席
側突が発生した場合に、確実にオン判定することができ
る。そして、リヤメイン判定処理でオン判定がなされた
場合にカーテンエアバッグ14を展開させることで、カ
ーテンエアバッグ14により後席の乗員を保護すること
ができる。すなわち、本実施例によれば、前席側突が発
生した場合には、フロントGセンサ28により判定可能
な側突であるか否かにかかわらず、確実に側突を判定し
て、各エアバッグを展開させることができる。
【0052】また、リヤメイン判定処理でのみオン判定
がなされた場合には、カーテンエアバッグ14のみが展
開される。従って、本実施例によれば、後席側突時に、
前席側の側突エアバッグ12が不必要に展開されるのを
防止できる。更に、フロントメイン判定処理、センタメ
イン判定処理、及びリヤメイン判定処理の何れにおいて
も、主体として用いるGセンサとは別のGセンサがセー
フィングセンサとして用いられることで、機械式のセー
フィングセンサを不要としつつ、側突の判定をより正確
に行うことができる。
【0053】なお、フロントメイン判定処理及びリヤメ
イン判定処理においては、センタGセンサ44を用いて
セーフィング判定を行うものとしたが、それぞれ、リヤ
Gセンサ30及びフロントGセンサ28を用いてセーフ
ィング判定処理を行うこととしてもよい。同様に、セン
タメイン判定処理においては、フロントGセンサ28を
用いてセーフィング判定を行うものとしたが、リヤGセ
ンサ30を用いてセーフィング判定を行うこととしても
よい。すなわち、車両に何らかの側突が発生すると、何
れのGセンサにも一定以上の加速度が生ずるため、主体
として用いるGセンサ以外の任意のGセンサをセーフィ
ングセンサとして用いることができるのである。
【0054】また、上記各判定処理では、各Gセンサの
出力信号の積分値を用いることとしているが、センタマ
ップ判定処理及び第2センタマップ判定処理を除く各判
定処理では、積分値に代えてセンサ出力信号に適当なフ
ィルタ処理を施すことによりノイズを除去した加速度信
号を用いることとしてもよい。なお、上記実施例におい
ては、フロントGセンサ28が特許請求の範囲に記載し
た第1の検出手段に、センタGセンサ44が特許請求の
範囲に記載した第2の検出手段に、リヤGセンサ30が
特許請求の範囲に記載した第3の検出手段に、側突エア
バッグ12が特許請求の範囲に記載した第1の側突エア
バッグに、カーテンエアバッグ14が特許請求の範囲に
記載した第2の側突エアバッグに、CPU44がフロン
トメイン判定処理を実行することが特許請求の範囲に記
載した第1の側突判定手段に、CPU44がセンタメイ
ン判定処理を実行することが特許請求の範囲に記載した
第2の側突判定手段に、CPU44がリヤメイン判定処
理を実行することが特許請求の範囲に記載した第3の側
突判定手段に、CPU44がフロントメイン判定処理及
びセンタメイン判定処理の何れか一方でオン判定された
場合に側突エアバッグを展開させることが特許請求の範
囲に記載した第1の起動手段に、CPU44がリヤメイ
ン判定処理でオン判定された場合にカーテンエアバッグ
14を展開させることが特許請求の範囲に記載した第2
の起動手段に、CPU44がマップ切替判定処理を実行
することにより特許請求の範囲に記載した判定値変更手
段に、それぞれ相当している。
【0055】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、側突の発生を、その形態にかかわらず確実に判定す
ることができる。従って、本発明によれば、前席側に対
応した第1の側突エアバッグ及び後席側に対応した第2
の側突エアバッグをそれぞれ適切なタイミングで展開さ
せることができる。
【0056】また、請求項2記載の発明によれば、意地
悪条件における側突の誤判定を防止しつつ、側突の発生
を確実に判定することができる。また、請求項3記載の
発明によれば、第1の側突判定手段によっては判定が困
難な側突を、第2の側突判定手段により確実に判定する
ことができる。また、請求項4記載の発明によれば、エ
アバッグを展開させるべきでないオフ側突時に側突の発
生が判定されるのを防止しつつ、エアバッグを展開させ
るべきオン側突時に速やかに側突の発生を判定すること
ができる。
【0057】また、請求項5記載の発明によれば、側突
の発生をより正確に判定することができる。更に、請求
項6記載の発明によれば、後席側での側突の発生をより
正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両用側突エアバッグ
装置の起動制御システム(以下、起動制御システムと略
称する)及びこのシステムにより制御される側突エアバ
ッグ装置の車内配置図である
【図2】カーテンエアバッグの配置を示す車両側面図で
ある。
【図3】エアバッグ制御装置の内部構成を示す回路図で
ある
【図4】本実施例における側突判定処理のロジックを示
す図である。
【図5】フロントメイン判定処理のロジックを示す図で
ある。
【図6】フロントメイン判定処理における各判定結果を
示す図である。
【図7】センタメイン判定処理のロジックを示す図であ
る。
【図8】センタGセンサの出力信号の長時間積分値Vc2
及び短時間積分値Vc1の軌跡を、オン側突、オフ側突、
及び意地悪条件の各場合について示す図である。
【図9】センタメイン判定処理における各判定結果を示
す図である。
【図10】センタメイン判定処理の改良例のロジックを
示す図である。
【図11】センタメイン判定処理の改良例における各判
定結果を示す図である。
【図12】リヤメイン判定処理のロジックを示す図であ
る。
【図13】リヤメイン判定処理における各判定結果を示
す図である。
【符号の説明】
12 側突エアバッグ 14 カーテンエアバッグ 28 フロントGセンサ 30 リヤGセンサ 40 CPU 44 センタGセンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D054 AA02 AA03 AA04 AA06 AA07 AA16 AA18 AA20 AA21 DD28 EE06 EE14 EE19 EE20 EE30 EE42 EE44 FF09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも前席の乗員を保護する第1の
    側突エアバッグ、及び、少なくとも後席の乗員を保護す
    る第2の側突エアバッグの展開を制御する車両用側突エ
    アバッグ装置の起動制御システムであって、 前席側の車両側面における車幅方向の加速度を検出する
    第1の検出手段と、 車両の幅方向中央部における車幅方向の加速度を検出す
    る第2の検出手段と、 後席側の車両側面における車幅方向の加速度を検出する
    第3の検出手段と、 少なくとも前記第1の検出手段による検出値に基づいて
    側突の発生を判定する第1の側突判定手段と、 少なくとも前記第2の検出手段による検出値に基づいて
    側突の発生を判定する第2の側突判定手段と、 少なくとも前記第3の検出手段による検出値に基づいて
    側突の発生を判定する第3の側突判定手段と、 前記第1及び第2の側突判定手段の少なくとも一方によ
    り側突が発生したと判定された場合に、少なくとも前記
    第1の側突エアバッグを展開させる第1の起動手段と、 前記第3の側突判定手段により側突が発生したと判定さ
    れた場合に、前記第2の側突エアバッグを展開させる第
    2の起動手段と、 を備えることを特徴とする車両用側突エアバッグ装置の
    起動制御システム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両用側突エアバッグ装
    置の起動制御システムにおいて、 前記第1の側突判定手段は、前記第1の検出手段による
    検出値を基にして得られる値と所定値との大小関係、及
    び、前記第2又は第3の検出手段による検出値を基にし
    て得られる値と所定値との大小関係に基づいて、側突の
    発生を判定することを特徴とする車両用側突エアバッグ
    装置の起動制御システム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の車両用側突エアバッグ装
    置の起動制御システムにおいて、 前記第2の側突判定手段は、前記第2の検出手段による
    検出値の所定の積分時間における積分値と所定値との大
    小関係に基づいて、側突の発生を判定することを特徴と
    する車両用側突エアバッグ装置の起動制御システム。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の車両用側突エアバッグ装
    置の起動制御システムにおいて、 前記第2の側突判定手段は、更に、前記第2の検出手段
    による検出値の前記所定の積分時間より小さい第2の積
    分時間における第2の積分値と第2の所定値との大小関
    係に基づいて側突の発生を判定すると共に、 前記第1又は第3の検出手段による検出値を基にして得
    られる値に基づいて、前記第2の所定値の値を変更する
    判定値変更手段を有することを特徴とする車両用側突エ
    アバッグ装置の起動制御システム。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の車両用側突エアバッグ装
    置の起動制御システムにおいて、 前記第2の側突判定手段は、更に、前記第1又は第3の
    検出手段による検出値を基にして得られる値と所定値と
    の大小関係に基づいて側突の発生を判定することを特徴
    とする車両用側突エアバッグ装置の起動制御システム。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の車両用側突エアバッグ装
    置の起動制御システムにおいて、 前記第3の側突判定手段は、前記第3の検出手段による
    検出値を基にして得られる値と所定値との大小関係、及
    び、前記第1の検出手段又は前記第2の検出手段による
    検出値を基にして得られる値と所定値との大小関係に基
    づいて、側突の発生を判定することを特徴とする車両用
    側突エアバッグ装置の起動制御システム。
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