チャールズ・チャップリン
The King
「ライムライト」につぐチャールズ・チャップリンの製作・脚本・監督・音楽・主演のワンマン・ショウ作品。ニューヨークに亡命した欧州の一小国の王様がくりひろげる行状記を通して、現代アメリカ批判がなされている。撮影は「チャタレイ夫人の恋人(1955)」のジョルジュ・ペリナール。編曲ボリス・サーベック。出演するのはチャップリンの他に「第五戦線・遠い道」のドーン・アダムス、オリヴァー・ジョンストン、マクシーヌ・オードリー、チャップリンの息子マイケル・チャップリン、ジェリー・デスモンド、シドニー・ジェームズ、ジョーン・イングラム等。撮影はロンドンのシェパートン撮影所で行われた。
王様シャドフ(チャールズ・チャップリン)はヨーロッパの小国エストロヴィアからアメリカへ亡命した。革命のため国を追われたのだ。ニューヨーク空港に着くと、王様は指紋をとられた。自由の国のはずなのに。ホテルに落着き、散歩に出たが、街の騒音、ロックンロール、性転換映画、西部劇の射ち合いなど、散々な目にあった。翌朝、目覚めたら、王様は一文なしになっていた。総理大臣が王様の財産をそっくり持ち逃げしたのだ。王様は生活問題に直面した。隣の部屋から歌声が流れてき、王様が鍵穴からのぞくと、美女が風呂に入っていた。テレビ・アナウンサーのアン・ケイ(ドーン・アダムス)が、王様を自分のショウ“パーティめぐり”に出演させるために近づこうとしたのだ。王様は彼女が気に入り、クロムウェル夫人のパーティに出席し、ごきげんになって大はしゃぎした。放送されていたと知って、王様は怒ったが、もう全米の人気者になってい、いろんなスポンサーが出演を申しこんできた。みんな断ったが、財政が底をついてき、ついにウィスキー会社の申し出を受けた。本番のとき、王様は生れて始めてのウィスキーにむせかえったりして大騒ぎになる。みごとに酔っぱらった。失敗と思ったら、最高の宣伝とスポンサーは大喜びした。--王様は学校を訪問した。乱暴者ぞろいの生徒の中で、学校雑誌の編集をしているルパート少年だけは変っていた。この十歳の少年がマルクスの本を読んでいたのだ。王様はいろいろ論じあい、二人は仲よしになった。数日後、雪の中を少年が通りかかったので、ホテルにあげて話をきくと、両親が共産主義者として非米活動委員会に調査され、少年も追われているといった。少年は捕り、王様も彼をかくまったかどで委員会に呼びだされた。エレベーターの中で消火ホースにいたずらしたら、指が抜けなくなり、王様はそのまま証言台に立った。委員会を侮辱するもの、--立場は不利になった。消防夫が火事と思って消火栓につなぎ、水がふき出、王様はやっと指が抜けた。委員たちは頭から水を浴びた。しかし王様の嫌疑は晴れた。--王様は自由の国アメリカを去り、ヨーロッパへ帰ることにした。王様はアンと少年に見送られ、飛行機に乗った。見る見るニューヨークが遠去かった。
The King
Ann Kay (The Television star)
Ambassador Jaume
Rupert Macaby
The Queen
The Prime Minister Voudel
Johnson
Mrs. Cromwell
Macady
The School Master
Green
The Elevator Boy
The Sheriff
The Commissioners
The Commissioners
The Commissioners
The Singers
The Singers
The Comedians
The Comedians
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