ナーゲル (カメラ)
ナーゲル(ドイツ語: Dr. August Nagel Kamerawerk , 略称Nagel-werk )は、かつてドイツに存在した写真機メーカーである。創業者はアウグスト・ナーゲル(ドイツ語: August Nagel . 1882年 - 1943年)である。
歴史
[編集]アウグスト・ナーゲルは1908年に設立したドレクスラー・ナーゲル(ドイツ語: Drexler & Nagel )の創業者の一人であり、その後会社合併に従いコンテッサ・ネッテルを経てツァイス・イコンの技師となっていたが、1928年にツァイス・イコンを退社しナーゲルを創業した。
ナーゲルは1931年にアメリカのコダックに買収され、コダックAG(英語: Kodak A.G. 、ドイツコダック)となった。ナーゲルの高い技術力を買っていたコダックは、製品に「ドクター・ナーゲルのコダック工場にて製造された」(Made by Kodak A.G. Dr. Nagel-Werk Stuttgart Germany )と刻んだ。
1934年にアウグスト・ナーゲルが開発したレチナが発売され、ベストセラーシリーズとなる。近年は一般的になっている「パトローネ入り35mmフィルム」を最初に発売したのはアグフア(現在のアグフア・ゲバルト)であったが、一般的になったのはレチナの大ヒットがきっかけである。またモーターによるフィルム給送が一般的になる以前によく使用されたレバー巻き上げもレチナが元祖であり、ライカM3発売の折り「フィルム巻き上げはレチナ式」と説明されていた。
1943年にアウグスト・ナーゲルが亡くなり、エルンスト・ライツ(現ライカ)で働いていた息子のヘルムート・ナーゲルが後を継いだ。
製品一覧
[編集]110フィルム使用カメラ
[編集]- ポケット・インスタマチック300(Pocket Instamatic 300 、1972年発売)
- ポケット・インスタマチック100(Pocket Instamatic 100 、1972年発売)
- インスタマチック192(Instamatic 192 、1975年発売)
- テレ・インスタマチック500エレクトロニック(Tele-Instamatic 430 、1975年発売)
- インスタマチック130(Instamatic 130 、1976年発売)
- インスタマチック230(Instamatic 230 、1976年発売)
- ミニ・インスタマチックS30 (Mini-Instamatic S30 、1976年発売)
- ミニ・インスタマチックS40(Mini-Instamatic S40 、1976年発売)
- ポケット・エクトラ200(Pocket Ektra 200 )
- ポケット・インスタマチック500エレクトロニック(Pocket Instamatic 500 Electronic )
120フィルム使用カメラ
[編集]- ボレンダ70(Vollenda 70 、1930年発売) - 6×9cm判。レンズはナーゲル105mmF6.3またはナーゲル105mmF4.5、シャッターはナーゲルシャッターまたはコンパーシャッターの組み合わせが一般的であるがエルンスト・ライツ(現ライカ)のエルマー105mmF4.5を装着したものは珍品である。
126フィルム使用カメラ
[編集]レチナインスタマチックレフレックスに関してはレチナ#126フィルム使用カメラ参照。
- インスタマチック500(Instamatic 500 、1963年発売)
- インスタマチック250(Instamatic 250 、1964年発売)
- インスタマチック220(Instamatic 220 、1965年発売)
- インスタマチック224(Instamatic 224 、1966年発売)
- インスタマチック324X(Instamatic 324X 、1966年発売)
- インスタマチック33(Instamatic 33 、1968年発売)
- インスタマチック133(Instamatic 133 、1968年発売)
- インスタマチック233(Instamatic 233 、1968年発売)
- インスタマチック333(Instamatic 333 、1968年発売)
- インスタマチック・レフレックス(Instamatic Reflex 、1968年発売)
- インスタマチック133X(Instamatic 133X 、1970年発売)
- インスタマチック233X(Instamatic 233X 、1970年発売)
- インスタマチック333X(Instamatic 333X 、1970年発売)
- インスタマチック55X(Instamatic 55X 、1971年発売)
- インスタマチック155X(Instamatic 155X 、1971年発売)
- インスタマチック255X(Instamatic 255X 、1971年発売)
- インスタマチック355X(Instamatic 355X 、1971年発売)
- インスタマチック56X(Instamatic 56X 、1972年発売)
- インスタマチック77X(Instamatic 77X 、1977年発売)
- インスタマチック177X(Instamatic 177X 、1977年発売)
- インスタマチック277X(Instamatic 277X 、1977年発売)
127フィルム使用カメラ
[編集]- ボレンダ50(Vollenda 50 ) - 4×6.5cm(ベスト)判。
- ボレンダ48(Vollenda 48 、1931年発売) - 4×3cm(ベスト半裁)判。レンズはシュナイダー・クロイツナッハのクセナー50mmF4.5またはラジオナー50mmF4.5、またはエルンスト・ライツ(現ライカ)のエルマー50mmF3.5またはカール・ツァイスのテッサー50mmF3.5。
- ピュピレ(Pupille 、1931年発売) - 4×3cm(ベスト半裁)判。レンズはまたはエルンスト・ライツ(現ライカ)のエルマー50mmF3.5またはシュナイダー・クロイツナッハのクセナー5cmF3.5またはクセノン4.5cmF2またはクックのクック・アナスチグマット50mmF3.5。
- ボレンダ52(Vollenda 52 、1935年発売) - 4×6.5cm(ベスト)判。レンズはシュナイダー・クロイツナッハのクセナー75mmF4.5またはラジオナー75mmF4.5。
135フィルム使用カメラ
[編集]1934年に発売されてベストセラーになったコンパクトカメラ。
616フィルム使用カメラ
[編集]- ジュニアシックス-16(Junior Six-16 、1935年発売) - 同一製品がアメリカやイギリスでも生産されている。
620フィルム使用カメラ
[編集]- リージェント(Regent 、1935年発売) - 6×9cm判。コダックに買収されドイツ・コダックとなって初めての製品。流線型を取り入れた特徴的な外観。フィルム巻き上げは赤窓による。レンズはシュナイダー・クロイツナッハのクセナー105mmF3.8またはカール・ツァイスのテッサー105mmF4.5。
- リージェントII(Regent II 、1939年発売) - 6×9cm判。クロームメッキが多用され一般的で近代的な外装になった。距離計はファインダーに組み込まれた。フィルム巻き上げは1枚目だけ赤窓で出せば2枚目からは自動停止する。レンズはシュナイダー・クロイツナッハのクセナー105mmF3.5またはカール・ツァイスのテッサー105mmF4.5。