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『だが、すぐに思い知ることになるだろう…【上には、上がいる】ということをな!!!』


曖昧さ回避編集

レックス・ハドラ-…アメリカの野球選手。東京ヤクルトスワローズにも在籍したことがある。


解説編集

15年前、魔王として地上界を征服しようとした魔族

地底魔城奥深くで勇者アバン二つの奥義により倒されるが、直後大魔王バーンの大魔力によって死の淵から救われる。


そして魔力を蓄えるため13年間、地下へと潜り最強の軍団を結成。自らはバーン配下の魔軍司令ハドラーとして地上侵攻の指揮を執り、再びアバンその弟子達と戦うことになる。


プロフィール編集

種族魔族
所属フリーの魔族→魔王軍(魔王)→魔王軍(魔軍司令)
年齢357歳
特技格闘術、呪文攻撃
得意呪文イオナズンベギラマメラゾーマなど多数
一人称オレ
CV青野武(1991年版)/関智一(2020年版)

人物像編集

強大な力と残忍さを持ち魔王と呼ぶに相応しい悪であり、捕らえた人間たちを闘技場で魔物と戦わせ血と殺戮を楽しんでいたという。情愛や正義感、騎士道精神を「くだらん」と蔑み、アバン曰く「残虐にして卑劣。武人の風上にもおけない男」と評されているが、その実「自らの力による真っ向勝負」を好み、種族は問わず人間族であっても力量がある存在を素直に評価し認めるという戦士としての姿も持つ。アバンも後にキルバーンと対峙した時には「残酷だったが、最低限の戦いのルールは遵守(「自ら相対し直接手を下す」という行為を指す)しており、戦士としての誇りが有った」とも評している。


ハドラーの大きな特徴として、魔族には珍しく相手と対話して他者が自身と異なる価値観をもち、別の一個とした存在であるを持つことを解していることと、広い戦略的視野や高い社会性を持っている点がある。


そのため、ブラスに護身用の為に魔界モンスターを収めたを渡したり、バルトス人間の赤子を拾い育てるという酔狂に目を瞑ったり、自身が価値を認めた相手には相応な報奨を与えたり(アバンやザボエラに世界の半分や4分の1を与えると言っている)と、部下に最低限以上の配慮をしている。

ポップの恋愛感情(自分以外の誰かを最優先する感性)も見下しつつも理解して、嫌がらせにマァムの惨殺を目論んだりもした。


後者もしばしば「大魔王の使い魔」「三流魔王」「中間管理職と揶揄される情けない姿も、見方を変えれば組織とそれに所属する重要性や責任という概念を理解している証拠であり、逆に人間に対して魔王時代に人間の先陣に立つカールの王女フローラを殺せば士気が下がって侵略が円滑になることや、パプニカサミット等勇者以外の人間の動向を把握して先手を打つなど、勇者以外の脅威も正しく理解していた。


この点は、個人の力が強すぎて「最終的に自分が動けば終わるゆえ、真に他人を当てにせず弱者の真価を把握できない」節があるバーンやバランとは対照的であり、魔軍司令を辞退したロン・ベルクに次いで魔軍司令の座を据えられた資質といえよう。


また、アバンの価値観を認めつつ、性格的な甘さ故に戦略的な視点が欠けている事に度々苦言を呈しており、この点に関してはハドラーが完全に間違っているとも言い難い。

アバンとレイラがハドラー渾身のイオナズンから子供を庇った場面では「(勇者と言う立場も考えると強者が弱者を護ると言う態度は)悪く無いが、(その域まで行くと)哀れだ」部分的とはいえアバンの価値観を肯定しているが、過剰だと指摘している

実際、この時点でアバンやレイラは魔王であるハドラー相手に通用する希少な戦力であり、子供の命が助かったとしても容易に代替を用意出来る存在ではない。

新参とは言え幹部のブラスをモンスターの教育・鍛錬に回し、自己研鑽を怠らないガンガディアやバルトスを重用している事から、ハドラーは鍛錬や教育にかかる手間と重要性をキチンと理解しており、折角、手間をかけて育成した戦力が格下を庇う為に無茶をした結果戦死したり(逆に戦死や長期戦線離脱に直結する無茶にならない範囲なら「悪く無い」のだが)、格下からの騙し討ちで損耗するのは勿体無いと言う主張も組織の指導者としては一理ある思想である。

逆に、一対一では敵わないことを承知でアバンとレイラの撤退、若しくは体勢を立て直す為の時間稼ぎの為に自身に単身挑んで来たロカに対しては、己の役割をキチンと理解した上での行動である事を認めた上で「大した根性だ」「人間にして置くには惜しい奴だ」と敬意を表している。


何より「彼という男」の信念二度大きな転換期を迎えており、その前後で性格や受ける印象も大きく異なっているのだが、それも『ダイの大冒険』という作品の醍醐味の一つである。



装備・特技編集

バーンから与えられた肉体により暗黒闘気の魔力によって何度でも蘇ることが可能となっている。しかも復活するたびに遥かに強力な力を得るという特性まで持つ。

ミストバーンがハドラーの部下になったのはこのためであり、この肉体には「死ぬ権利すらなくバーンのために戦い続ける」という意味合いが込められている。ちなみにバーンには「尽きることを知らぬ覇気と強さのみを信じる心」を気に入られており、まさにハドラーにうってつけの肉体というわけである。再生能力については魔王時代から既に高いレベルで持っていたらしい。


「獄炎の魔王」と呼ばれるだけに、イオ系とギラ系の呪文が得意だと自負し、彼自身の肉体も元来高熱に強い耐性を有する。アバン戦で彼の「ベギラマ」が直撃しても難無く耐え凌いでいる事がその証左。

更に超魔生物への改造で魔炎気を操ることで更にその耐性は上がっており、それは死後に自分の誇りを汚した敵と戦った生涯の好敵手を危機から救うことになる。


  • 格闘術

己が鍛え上げた身体能力から繰り出される武術。覇気のある魔王時代から全力のブロキーナと互角に殴り合えるだけの力量に育てていた事もあり、ブロキーナをして「天才的な戦闘センス」と称されている。ブロキーナに必殺拳を出させない頻度で接近戦に持ち込めばスタミナ切れか、ごり押しによる戦闘不能すら可能だった。


  • 自己治癒能力

ドラクエボスの自然回復能力を魔族特有の新陳代謝機能として演出。ブロキーナの必殺拳を受けた腕の皮をそぎ落とす事で窮地から脱している。受ける傷の頻度によってその回復速度に時間差があり、小さければ瞬時に回復・大きければゆっくりと回復する。

しかし、イオナズンや暗黒闘気を込めた拳による一撃等強力な攻撃を繰り出す時は自己治癒能力が止まってしまう事をアバンの観察眼によって見抜かれた。


アバンは最終決戦中にハドラーの攻撃時に自動回復が止まるタイミングを見極め、二つの奥義を繰り出す事で自動回復が追い付かない程の大ダメージを受けたハドラーは絶命した。


  • 灼熱の拳(ヒートナックル)

メラ系の地獄の炎を拳に纏って相手を殴る技。格闘術と併用して使う事も出来る。


  • 地獄の拳(ヘルズナックル)

拳に暗黒闘気を込めた強力な一撃を繰り出す技。作中では技名はなかったが、単行本10巻で地味に紹介されている。アバンの観察眼により自己再生能力が止まる弱点を発見され、アバンの無刀陣で威力を受け流された隙を付かれ、アバンストラッシュによってやぶされた。


  • 地獄の爪(ヘルズクロー)

両拳内に仕込まれた爪。格闘術による戦闘を行う時に使用するが、これを媒体に呪文で直接攻撃することもできる(バルジ島にてヒュンケルと戦闘をした時に使用)。また、超魔生物となっても使用されている。魔界の金属でできた武具も容易く貫く強度を持つ。だが竜魔人と化したバランにはまったく通じず皮膚一枚貫くことはできなかった。

なお、若きアバンとの戦いでは使っていない。恐らくはバーンの暗黒闘気により肉体を強化されて手に入れた能力と思われる。


呪文編集

強力な火球を放つ攻撃呪文。「メラゾーマ」は、地獄の爪を伝わらせて発動させることが可能。相手が燃え尽きるまで決して消える事がないという特性をもつ(本人曰く【地獄の炎】)。

若き勇者アバンとの最終決戦のようにメラミの波状攻撃も可能であり、拳に火炎呪文をまとった格闘術による連撃も可能である。その格闘戦闘ぶりはまさに【獄炎の魔王】。


強力な閃熱を放つ攻撃呪文であるうえ、本作における閃熱系は竜の騎士しか使えない電撃呪文以外の最強の呪文系統の位置づけであり、必然敵対者には相当な脅威となる。蘇ってすぐからアバンに対して発動した時は、かつての頃を上回っていた。しかし、ポップとの「ベギラマ」合戦の時に押し負けてしまい、大層プライドを傷つけられた同時にポップの成長に驚くことになった。


魔軍司令ハドラー

閃熱(ギラ)系最大の攻撃呪文で大抵は両腕を使用して発動する。バーンからアバン討伐の褒美として賜った、魔軍司令時代における必殺技に位置する呪文。自身を上回るベギラマを発動させるまでに成長したポップやヒュンケルを倒すために発動。しかし氷魔塔を巻き添えにしないように威力を抑えていたためポップとマァムは直撃を避けて辛うじて生き残り、ヒュンケルも魔装装備により完全には倒しきれないと劇中では意外と決定打に欠ける。

マトリフとのベギラゴン対決では僅かに下回った為、ベギラマの使えるザボエラに助けを求めた。

超魔生物となってからはダイ&バラン戦にも使用したが、こちらも竜闘気によって防がれてしまった。ただしどちらも防御態勢をとっての全力防御であったため、そうしなければ防ぎきれない威力という見方もできる。


爆発を引き起こす攻撃呪文。「イオ」は応用で目暗ましとして発動させることが可能。また「イオラ」は片手でも連続して放つことができる。地獄の鎖と併用して使用した。


凄まじい爆発を引き起こす爆裂(イオ)系最大の攻撃呪文。魔王時代における最強呪文だが、両腕を使用しないと発動できない。アバンとの初対決でトドメに使おうとしたが、ロカによって片腕を切られ発動を阻止される。超魔生物になった後は、ダイのアバンストラッシュの威力を完全に殺して迎撃した。

魔王時代にはサババでのアバンとレイラとの戦いで2度使用。1度目は2人のバギ系呪文の連携で直撃はしなかったものの大ダメージを与えるが、2度目は発動直前にロカによって不発に終わった。

地底魔城ではアバンストラッシュのダメージを自己治癒能力で治していた最中に使用した為に自己治癒効果が止まり、傷口が開いた影響でイオナズンの発動に失敗した。


冷気を放つ攻撃呪文。攻撃以外にも火災を鎮火させる事ができる。プロフィールでは記載されてはいなかったがダイヤ9を押さえ込んでいた際に放っていたのが2020版のアニメで描写されていた。


  • 魔力の映像(ビジョン)

魔力によって自身の姿を映像として投影する技術。死の大地からサババまで映像を送るなどかなりの距離をカバーできる。更にハドラー自身もその場の状況を見聞きすることが可能。


呪法編集

  • 鏡通信呪法

を用いた通信呪法。鏡に自身の血液で文字を書いて、相手の身辺の鏡に送ることができる。本来は魔族のみが使えるが、アバンはハドラー自身の残り血を用いて逆用する裏技を見せた。


  • 禁呪法

自分の分身としてバルドスや他の配下を生み出した。術者の精神状況により分身の性格は大きく異なる。術法のハドラーが死ぬと分身も命を落としてしまうが、魔界の神バーンの暗黒闘気によって不死身になればその欠点すらも潰せる(ハドラーが死んでも地獄の騎士バルトスやフレイザードは死なずに無事だった)。


道具編集

「イルイル」の呪文で対象を筒の中に入れることができ、「デルパ」の呪文で対象を筒の外に出すことができる道具。主に配下のモンスターを入れていて、ザボエラからあるものを購入した時にも使用した。


雷に撃たれたキメラの風切り羽。瞬間移動呪文(ルーラ)と同じ効力を持つ道具で、鬼岩城へ帰還するために所持していた。


  • 魔鉱石

魔王時代に修業の一環として食べ始めた魔力を含む鉱石。当然美味くはないが、魔族の骨を強化する効果がある。パーンパレスの建材にも同系統の鉱石が使われているようだが、こちらはバーンの魔力を受けると浮遊する性質を与えられている。


  • 魔界の神の像(仮)

港町サババでアバンと交戦するも、不完全な閃光の一撃を受けて吹き飛ばされ魔鉱石で強化された骨ごと両腕が切断されかかる手痛い重傷を負ったハドラーに、魔界の神を自称する謎の声が、ハドラーの近くにあった大きな岩棘を触れると物凄い火柱を上げる火の粉で削るように溶かして作って、ハドラーに『贈り物』という名目で与えた像。膨大な魔力が込められているらしく、像に触れたハドラーの両腕を完治させ、持ち帰ったハドラーによって魔王軍の居城である地底魔城の祈りの間に安置された。これを魔界の神が与えた真の目的は「ハドラーの死にゆく魂を像に乗り移らせることで死を免れさせる」ため。勇者に万が一倒された場合でもハドラーを生き永らえさせ、自らの配下とするための保険であった。








獄炎の魔王ハドラー編集

勇者アバンと獄炎の魔王

前日譚にて明らかになった魔王時代のハドラーで竜王のような黒いローブを纏っていた。

残忍だがそれ以上に好戦的で「強い奴にしか興味がない」と豪語するなどアバンという脅威に余裕すら感じさせ「覇気があり貫禄のある魔王」として描かれている。


軍団長の敗北に慌てていた中間管理職となった魔軍司令時代の未来と比べると敗走したキギロに罰を与えつつ成長を見越して待つなど大物感が目立つ。さらにバルトスの拾った人間の子供を育てる方針にも賛同し、人間だからとヒュンケルを嫌う事もなく魔王時代は特に問題視していなかった。


一方で自身が率いる魔王軍の成長や後進育成も視野に入れ、ガンガディアの知性から助言を汲み取り、後の部下となるザボエラやザムザの勧誘など人材を重宝している。

自らの実力に絶対の自信を抱いており、同時に自身を磨きより強化する事にも余念が無い。

大魔王バーン軍程の強大な力は無いにしろ魔王ハドラーの幹部達は魔王軍にしては団結出来ており足を引っ張り合う事もなくそれぞれの役割を分担して機能している。


キギロとガンガディアを退けた彼等に再び相まみえるべくザボエラからアバン追跡のための(ザムザが創った)モンスターを入手し、何の因果か後に親衛騎団がアバンの使徒と戦ったサババの街に単身赴いた。

新たな仲間レイラや旅を経て強くなったアバンを襲撃し、前回の敗北を教訓に肉体を硬化させてアバンストラッシュも通じぬ強化を果たして2人を圧倒するが、激戦の末再度のアバンストラッシュを受け死の大地に吹き飛ばされる。

しかし、その地で神を名乗る謎の声に呼びかけられる。


サババでの戦いの後、アバン打倒のために己を鍛えている途中で鏡に映った文字に気付き軍団を率いてウロド平原にて勇者と決闘を繰り広げるが、向こうが用意していた凍れる時の秘法により、互いに凍結封印される結果に終わる。


以降一年はサババの隠し倉庫で保管されていたが、ザボエラの依頼を受けたクロコダインにより回収され地底魔城に運ばれた後、何者かの助力を受けたガンガディアにより復活する。

しかし、凍結直前の「困惑した精神状態」が長く固定(言うならば死ぬ寸前の苦痛、死への恐怖などの感情や精神状態が一切変動せず、また慣れによる精神活動の鈍化もないまま、いつ終わるともしれずに永続するという拷問同然の状態である)されていた悪影響で、精神力そのものが弱ってしまったらしく、ガンガディアやバルトス達の気遣いは却ってマイナスに働く事になり、最悪のタイミングでアバン達の速攻再戦を仕掛けられてしまった(ドラクエの魔王が何故玉座で待ち構えているのかの心理状況を演出)


そして最終決戦。ついに地獄門を開きハドラーの玉座にたどり着いたアバンにハドラーは心境を語る。それは忠誠を誓い信念をもってアバン達と戦って散っていった部下達への失望。そして改めてアバンの強さと才能の評価。「世界の半分」…つまりアバンに人間社会の支配と引き換えに部下になることを要求するが断られ最終決戦が始まることになる。


アバンとの激戦の中、思い出すのは自分がまだ少年(デスピサロ風)に近い頃。

その少年の名は魔王軍ズ

地上に魔王として君臨する為に魔物や魔族を勧誘しながら戦っていた頃を思い出していた。ハドラーもまた魔界の環境に不満を抱き豊かな地上に目をつけていたのであった。ちなみに回想のハドラーが相手にしていたのはライオネック系、じごくのもんばん系、アンクルホーン系、おにこんぼう系、ほのおのせんし系、オーガー系などからなる混成の魔物の大群。本編でハドラーや親衛騎団を愚弄してヒムの怒りを買った事で一蹴されたバーンパレス外周部の大魔王直属の魔物達とほとんど同じ構成である。地上を目指すために自分の部下になれと誘うハドラーを「生意気な若造が」と集団で叩き伏せるも、奮起したハドラーに形勢を逆転され、全滅した。


作品タイトルや劇中での描写から本作では悪役であると同時に、物語の裏主人公とも言える存在であると思われる。



幽体の魔王ハドラー編集

「魔界の神の像(仮)」に触れた事で精神体となった状態。肉体と切り離されている状態なので魔力による魔物の暴走は悪霊化したハドラーには不可能だが、「魔界の神の使い」がハドラーの精神が内包された魔界の神の像に暗黒闘気を注ぐ事により、「魔界の神の像(仮)」ごと世界中を動き回れるようになった。

戦う事は出来ないが、相手に殺される事もない。

この状態の頃は「二流魔王」位の威厳が残っており、大魔王バーンの威を借りる形で「仲間にならなければ無敵の肉体となって蘇った後(10数年後の復活後)に真っ先に殺す」とザボエラとザムザを強制的に勧誘した(ザムザは父を超える為に進んでハドラーやバーンに取り入る決意を固めた)。


魔軍司令ハドラー編集

魔軍司令ハドラー

初登場時は、ハーゴンのような黒いローブを纏っていた。冷酷残虐な振る舞いをする一方で、たまに作画の影響で鼻水を垂らすなど顔芸を披露する。


2020年版では、アバンとの戦闘シーンの追加や原作にはないやり取りが描かれている。また頻繁に怯えた・驚愕した表情などを見せており、所謂威厳の無くなった「三流魔王」っぷりを印象づけている。

しかし、アニメ版では黒歴史的無駄行動の一つである「鼻水大魔王」ぶりは比較的無くしてもらえただけマシといえる。


ハドアバ① 絵とか落書き

アバンと対決するためにデルムリン島魔法陣を突き破り、再会する。魔王時代よりも格段と強化された能力を見せつけ、その強化を行なった大魔王バーンの存在を高々と宣言。

絶望を味わせ、15年前のようにアバンに対し「部下になれ」と言うが、当然のように拒否された上、「大魔王の使い魔」「世界の半分を私にくれる権限もなさそうだし」という痛烈な皮肉までぶつけられてしまう。


アバンとの格闘戦の末に彼の自己犠牲呪文をまともに受けて重傷を負うが、結果的にアバンを倒す事に成功する。ついでにアバンの弟子もここで葬り去ろうとするが、竜の騎士の力を発動したダイの「アバンストラッシュ」を受けるなど思いがけない反撃に遭い撤退。


ヒヨコのうちに叩き潰さなければならん」とアバン以上の潜在能力を持つダイを危険視するようになるが、ダイと同じ竜の騎士であるバランに自らの地位を脅かされる可能性から、ダイが竜の騎士であることを隠蔽。

その結果、「竜の騎士と知っているためダイの力量をやけに危険視するハドラー」と「特に素質も何もないガキを何故危険視するのかわからない他の魔王軍」という構図になってしまい今後に大きく響くことになった。


手始めにクロコダインにダイの始末を命じるがクロコダインは返り討ちに遭い敗死。


魔軍司令

一方でハドラーは、バーンから新たな肉体を授かると共に心臓(ハート)の間にてベギラゴンを契約・習得する(それに伴い容姿が屈強なものに変化した)。

この勢いに乗じてダイを叩くつもりで全軍団長に緊急招集を掛けるが、バーンがパプニカ王国攻略中のヒュンケルにダイ抹殺を命じたため動きが取れなくなってしまった。その後、蘇生したクロコダインが行方を晦まし、ダイの元へ向かったのだと考え視察も兼ねて地底魔城を訪れる。ヒュンケルにクロコダインの行方を問うが「知りませんな」と惚けられる。ハドラーとしてもヒュンケルの慇懃無礼な態度は腹に据えかねており、ダイの抹殺に失敗した時はそれを名目にヒュンケルを処刑するつもりでいた(ヒュンケルもバルトスの死はハドラーの不甲斐なさにあったとして、いずれ反旗を翻すつもりだったようである)。

地底魔城から帰還後、ヒュンケルが突如活性化した死火山の溶岩に飲まれて不死騎団諸共死亡したと聞いた時は、フレイザードの仕業と確信してニヤついていた。


だがダイ達は未だ健在であり、フレイザードが創った炎魔塔と氷魔塔の攻略に向かうことが予想されていた。そこで超竜軍団をカール王国攻略に向かわせるという名目で追い払い、自身は残りの軍団長を率いてダイ達を迎え撃とうとする(しかしバランには勘付かれていたようである)。

ザボエラから手柄にうるさいフレイザードが納得するかと危惧されたが、ハドラー自身は「あいつは我が子も同然。親には逆らうまい」と見ていた。


氷魔塔の戦いでは、ポップ&マァムと交戦となる。


ハドラー「フハハハッ!! こいつは笑わせる…いや…泣かせてくれる話じゃないか」

ハドラー「ひ弱な弟子が最愛の師の敵を討つため、必死で戦いをくぐりぬけてきたというんだからなぁ…」

ハドラー「しかも、その結果がみじめな討ち死にとは…な!!」

ポップ「ふ…ふざけんなよ…た…たとえ、死んだとしてもタダじゃ死なねェぜ!!」

ポップ「先生の恨みの何分の一でもいいから…てめえの身体にきざみつけてやる!!」

マァム「そうよ! 許せないわ!! あの優しかった先生の生命を奪った…おまえだけは…!」

ハドラー「フン。根本的な勘違いをしてるようだな、小娘よ。アバンの生命を奪ったのはオレではない」

ハドラー「その優しさとかいう低次元なサルにも劣る感情なのだッ!!!」


激昂し立ち向かって来たマァムを容易く殴り倒し、自分がアバンと戦った時よりも強くなっていることを告げポップを絶望させる。

だがポップとのベギラマ合戦に敗北し、動揺した間隙を突かれ爆弾を投げつけられる。無論、そんなもので倒されるはずがなく、逆襲のベギラゴンでポップとマァムを吹き飛ばして勝利する。

だが氷魔塔を壊しては元も子もないため手加減をしていた。マァムが生きていることを知ると縊り殺そうとするが、ポップから命乞いをされる。ポップの感情を見抜いたハドラーは、あえてマァムをモズのはやにえの如く氷魔塔の頂上に突き刺すことでより苦しめようとする。しかし駆けつけたヒュンケルに氷魔塔を破壊されて妨害され、一進一退の勝負を演じることとなる。ハドラーは呪文が通じないことで不利を悟るが、わざと心臓の一つを犠牲にして死んだフリをしかけ深手を負わせることに成功する。


直後にグランドクルスで反撃されるも部下達を盾にして自分だけ助かり、力尽きた彼にトドメを刺そうとするが、無意識からの反撃による刃でもう1つの心臓を貫かれて敗死。

行なった騙し討ちがそのまま返ってきたことになった形だが、悔しさよりもヒュンケルの勝利を称えるなど、ほんの僅かにかつての姿を見せた。


その後、ミストバーンの暗黒闘気で強化復活を果たすが、軍団は早くも半壊という結果に。

このままでは不味いと自ら打って出ることを口にするが、ザボエラとの会話でダイが竜の騎士であることを突き止めたバランに名乗りをあげられる。


焦って断固反対するが、この事実を耳に入れたバーンから出撃の許可が降りた上、ダイを味方に引き入れることができたら魔軍司令をバランに譲ると告げられ、思い描いていた最悪のシナリオを現実に突きつけられる。

(こうなったらダイがバランを倒してくれることを願う以外にない。何千、いや何万分の一の確率にすぎぬが・・・!)

などと、魔王軍としても上司としてもあるまじき考えを抱き、真実を伝えられなかった様子を知っていたキルバーンから小心者と称されてしまう。


だが結果バランは魔王軍を去る(上にダイ一行は負傷は酷いものの誰も戦線離脱していない)事態となり、間接的にその損失を招いたとして、バーンから「余は寛大だから三回までは失態を許すけど、今回で三回目だよな?」「だがあのアバンを葬った功績は忘れてないから最後のチャンスをやろう」「次に余の前に姿を見せる時にアバンの使徒を全滅させていなければこれまでだ」と最後通牒をされる。

追い詰められたハドラーはザボエラと共にバランとの戦いで疲れ果てたダイたちを襲撃。騙し打ちに近い戦法でポップを追い詰め、始末しようとする。だが、そのポップから


「見損なったぜ…ハドラー!てめえは残酷だけど卑怯じゃなかった。今までも何度か戦ったが、そん時にゃ魔王の威厳みたいなものがまだあったぜ…!それがこんな妖怪ジジイのきたねぇ騙し打ちに頼るとはよ……とうとう落ちるとこまで落ちたな!」

と失望される。


これに「だ、だまれ!オレには…もはや失敗は許されぬのだ!手段を選んでいる余裕は無い!」と言いつつも、これまで雑魚として見下していたポップからの思わぬ痛いところを突かれた発言に動揺を全く隠せなかった。


そうしている間にポップの援護に来たマトリフとベギラゴン合戦を行う事になり、ザボエラの援護によってマトリフに限界を迎えさせ吐血させる。

そのまま押し切り勝利は目前と思われたが、駆けつけたダイに呪文を跳ね返され下半身を失う完全敗北を喫する。



命からがら逃げだした後は、己の弱さと詰めの甘さ、なにより惨めさを思い知らされた事でザボエラが密かに研究し続けていた超魔生物への改造技術を自分に用いるよう命じる。

逃げようとしたザボエラに対して裏切ることが無いように「オレとおまえは最早一蓮托生。裏切ればおまえの命はない!」と脅しをかけ、その言葉の通りザボエラをハドラーなりに重宝するようになるのだが…。


最後のチャンスでも失敗したハドラーはバーンの元へ戻ることが出来ず、ザボエラの基地で超魔生物としての改造がおよそ1ヶ月間行われた。その間に尋ね、変身すると魔法が使えなくなる弱点をその身そのものを超魔生物にすることで克服すると聞いたミストバーンからは、

「ハドラーよ、おまえは魔族の肉体を捨てると言うのか!?怪物として永久に生きると…………不死身でなくなるのだぞ!そうなれば暗黒闘気でも生き返れぬ!それでも良いのか!?」と心配されるが、


「ヤツらアバンの使徒に勝てるのならそれでも構わぬ…………いや、そうするだけの価値がある敵なのだと……オレは今更ながら気付いたのだ!……………地位も、名誉も、生命すらオレにはもはや不要!たとえこの身を失おうともヤツらに一矢を報いなければ、死んでも死にきれぬ!!」


とこれまでにない強い決意を露わにしていた。この決意を感じ取ったミストバーンは「改造が終わるまでの間、代わりに人間達と戦ってほしい」という彼の依頼を(恐らく本来は粛清する腹積りでやってきたにもかかわらず)「精神的な弱さという唯一の弱点を克服したお前ならアバンの使徒に負けるわけがない」と快く引き受けた。


ザボエラ「ヤツを信頼できますかね?ハドラーさま…………」

「わからぬ…………だが、今はヤツを信じる以外に他はあるまい…………今は時間がひたすら欲しい…………オレに最後のチャンスをくれるなら、たとえ相手が神でも悪魔でも構わぬ!!」


栄光を捨てた漢編集

それでこそ!アバンの使徒よ!!

「…待たせたなミストバーン。オレのパワーアップは完了した…!!」

「今度はオレが、おまえを助ける番だ!!!」


魔族としての肉体を永遠に失う代償を受け入れ、己を『超魔生物』へと改造した姿。魔軍司令としての地位や嘗ての魔王としてのプライドも全て捨て去り、武人肌の戦士へと生まれ変わった。


能力編集

  • 呪文

超魔生物になると呪文が使えないという致命的欠点があったが、魔族に戻る能力と引き換えに超魔生物状態での呪文の使用を可能にした。


  • 魔炎気

超魔生物になってから使用。三条のインタビューによれば、魔炎気は暗黒闘気の一種だが上位ではなく発展系とのこと(ただし暗黒闘気は通常の闘気の上位に当たる)。使用すれば自身の肉体をも傷つけるというデメリットがある(自らを魔炎気と化したフレイザードの残った元の肉体が崩れ去っているのはこの為)。まさに命を燃やして発生させる闘気と言える。このためを自らの肉体を大事にするバーンやミストバーンはまず使用しないとのこと。


  • 地獄の鎖(ヘルズチェーン)

超魔生物になってからの新装備。ダイとの戦いで使用。左手首から射出し相手を拘束、呪文の命中率を上げる補助的役割を果たすが、材質は地獄の爪と同じく自身の骨を魔力で硬化させたもの。並の防具ではズタズタに切り裂かれてしまう。


超魔様センシティブな作品

ザムザの手によって届けられたオリハルコン製の剣。ただし握って構えるのではなく、右腕に仕込んで伸ばして使うという地獄の爪と同じコンセプトのものとなっている。格闘戦を得意とする彼に合わせられたと思われる。


  • 髪の毛

漫画版クロスブレイドで使用。死角から斬り掛かって来たユウキに対し、尻尾のように動かすことで弾き飛ばした。首を振って動かすのではなく、頭髪自体がヘビや尻尾のように動いているようだ。


  • 両肩のスラスター

ダイの大冒険

両肩に組み込まれた器官。超魔生物となったことでこれを用いた空中戦が可能となった。バランとの戦いでは超魔爆炎覇を放つための間合い取りに用いた。ポップのトベルーラに追いつくなど飛行速度はかなり高め。

漫画版クロスブレイド6巻では、これを用いて突進攻撃を披露している。極大召喚された巨体のハドラーがグラ突くなど恐ろしい威力を見せた。

この漫画の超魔ハドラーは、ヒムに殴られてもヒムの腕がひび割れるという恐ろしい耐久力を持つ。超金属以上の硬度が猛スピードで体当たりするのだから溜まったものではない。


  • 超魔爆炎覇

全身全霊をかけて…!

全身と覇者の剣に魔炎気を纏わせた一撃。灼熱と斬撃の同時の攻撃を放ち大爆発を発生させる。

相手は吹き荒れる魔炎気によって身体の自由を奪われ、身動きを取れず攻撃を受けてしまう。その高熱は竜闘気を以てしても完全には防げない。

漫画版クロスブレイドでは、ハドラーのエネルギーをまとった剣で斬りかかり、インパクトの瞬間に放出して周囲を破壊する技と説明がされた(魔炎気という単語が使われず、また魔炎気を使う描写もない)。

インパクトの瞬間の表現が異なり、原作では大爆発だがクロブレでは球体型のエネルギーになっている。


活躍編集

時間稼ぎをしてくれたミストバーンの援軍として登場。これまであった慢心、油断を捨てて徹底的にダイと戦い優位に進めたが、ダイの捨て身の反撃により実質痛み分けの結果となった。

また、これによって「見ようによってはダイを始末したとも言える状況」であったが「死体を確認できていない、そしてこれまでの事を踏まえれば十中八九生きている、つまり最後通牒を果たせていない事になる」と主張


「もしかするとその場でオレは処刑されるかもしれぬ…だから今のうちに言っておこう」

「オレは当初、おまえを底の知れない奴として疎んでいたが…今では感謝している…!」

「六大団長の中でオレへの誠意を一番見せてくれたのは、あるいはおまえだったのかも知れぬ」

「……おかげで最後に格好がついた……有難う!!」


この時ミストバーンとは互いに敬意を感じる信頼関係になっており、超魔生物になる間の時間稼ぎをしてくれたミストバーンに感謝の言葉と共に彼の内面に熱い魂を感じると述べ(ミストバーン、もといミストは肉体を持たず、他者に寄生してその努力を簒奪することしかできない自身の生態をコンプレックスとしているため「熱い魂」を評価されたのはかなりのクリティカルである)、ミストバーンも後の竜の騎士親子とハドラーの対決では常に彼の身を案じ、そしてバーンがハドラーに仕掛けたものを使おうとした時は動揺を隠せない程となっていた。


その後、ミストバーンと共にバーンと面会。処刑覚悟であったが、バーンは一皮むけたハドラーを高く評価し「その素顔を見せる」と言う褒賞を与え、最後通牒も取り消した。

その後バーンにより与えられたオリハルコン製のチェスピース(駒)から禁呪法によりハドラー親衛騎団を生み出し、勇者一行に堂々と立ちはだかる。

ハドラーの立場も魔軍司令という地位は変わらないが、死の大地の守護に変わり、魔王軍の指揮官にはミストバーンが就任した。


人間の心を否定し、自己犠牲で自分を倒そうとしたアバンを一笑に付していたが、超魔と化して以降は「倒しただけで勝った訳ではない」と言い切り(この時、アバンを倒してしまったことにある種の後悔を感じていた様子)、弟子であるダイ一行の打倒を悲願に残りの生涯を懸けた。同時に自分の力がどこまで届くのかを知りたいと思っており、その相手にはバーンの名前も入っていた。


一方で超魔生物に改造した反動で吐血するようになり、ハドラー自身もう先が長くないことを悟り決着を焦っていた(実際は急激なパワーアップが体内にある黒の核晶に影響を与えたことで起こったもの。そのため核晶はいつ爆発してもおかしくない状態にあった)。


ダイとの再戦で勝利後、その間隙を突いたザボエラがダイの抹殺を目論んだため、自分の邪魔をしたとみなしヒムに命じて魔牢に幽閉した。アルビナスからは処刑すべきと提案されるが、強化に尽力してくれた恩や息子を失ったことを考慮して命まで取ることはないとある程度の温情を示している(この時、昔のオレだったら即殺していただろうと振り返っている)。


ダイ一行とバランがバーンパレスに乗り込んだ際は、竜の騎士タッグに対し一人で対峙。この無謀とも言える行動をミストバーンは「自殺行為」と見たが、バーンには「あえて自らを追いつめ、極限の力を引き出すため」と見抜かれていた。

バランに対してハドラーは

「神が創った最強の生物がオレの部下だと知って毎日怯えていた。いつオレの権力の座を上回って来るかわからなかった。ダイが竜の騎士と知ってからは親子でオレを倒しに来る光景を想像して恐怖した」と告げる一方で、今はその状況を心待ちにしていたと述べている。

バランから「自惚れるのもいい加減にしろ」と甘く見られていたが、ダイを圧倒したことで「恐るべき男になったな」と改めさせた。


ダイのアバンストラッシュで胸部をわずかに傷付けられ、そこから黒の核晶が覗いたことでバランは驚愕。呪文で誘爆する可能性があるためダイ達は全力が出せず、ハドラーは自分がまだナメられていると思い、より好戦的になる。ダイは黒の核晶のことを教えようとしたが、バランにより止められている(ハドラーが事実を知ればバーンは即座に起爆させると読んだ。ハドラーにバーンの元まで戻られても困るということもある)。


バランは竜闘気で爆発を抑え込む決意を固め、ギガブレイクでハドラーを倒して起爆させようとする。ハドラーもまた超魔爆炎覇で迎え撃つが、竜の牙によって攻撃を防がれ、ギガブレイクによって首を跳ね飛ばされた……のかに思われた。

不運なことにキルバーンの血液によって真魔剛竜剣が腐食していたため切れ味が鈍り、首に食い込んだだけに留まったのだ。咄嗟に地獄の爪で反撃したハドラーだが、バランを庇ったダイが重傷を負ってしまう。それによって激怒し竜魔人と化したバランには歯が立たず圧倒される。右腕を折られ必殺技を封じられるが、それでも執念で超魔爆炎覇を放つもバランには届かず腹部を貫かれる。「腹立たしい」と言いながらも笑みを浮かべ、敗北を受け入れた。


直後、敗色が濃くなったことでバーンは核晶を起爆させようとする。だがそれを見越していたバランは体内から核晶を抉り取り、竜闘気によってバーンの魔力を抑えたのだった。黒の核晶という恐ろしいものを目の当たりにしたことでバーンの真意を初めて知り、裏切られたことに激昂すると同時に、それを今まで知らなかった己の未熟さに号泣する。特に「真剣勝負」と言いながら二人に全力を出させていなかったことを大いに恥じている。そしてミストバーンが核晶を爆発させに現れ、ハドラーは真意を問う。


ハドラー「おまえも…おまえもバーン様と同じなのか!!? オレを道具として始末しに来たのかッ!!?」

ミストバーン「…………」

ハドラー「…おまえにとっても…オレはやはり捨て駒に過ぎなかったのかッ?」

ミストバーン「…ハドラー。その質問に対する私の答えは常に一つだ。大魔王様のお言葉はすべてに最優先する……………!!」


ミストバーンとしてはハドラーに友情に近い敬意を持っていたが、それでもバーンへの忠義を最優先させた苦渋な決断であった。(なによりこの事を知って1番動揺していたのは彼であり、バーンにすら非難めいた態度を僅かに見せていた)

しかし、友と思っていた男にまで見捨てられたハドラーは絶望に項垂れ(ただし、直前の彼の葛藤を見ればミストバーンの『すべて』という言葉には『ハドラーを捨て駒にして死なせたくないというミストバーンの本心』も含まれているのは間違いなく、ハドラーへ言い訳するでもなくバーンへの忠誠を取ったことはハドラーへのミストバーンの精一杯の誠意だったと取れる)、こうしてミストバーンの手により核晶は爆発。バランが命を懸けて爆発を抑え込んだことでダイたちは生存したが、ハドラーの姿はなかった。


こうして、アバンだけではなくバランもまたハドラーとの戦いの中で「自己犠牲」の精神が故にダイのための犠牲となったのだった。


えれー

その後、ダイ達がバーンに追い詰められ、全滅寸前となったその時。窮地に遭ったポップとマァムを救い、二人を逃がすと同時にバーンの前の姿を現した。横槍を入れたことで処刑を言い渡された上に、13年間体内にあった事で血肉と化していた核晶を失ったことでもう長く生きられないことを告げられる。


バーン「……驚いたぞハドラー おまえが生きていたというのもさる事ながら…あの勇者たちの味方をするとは…な!」

ハドラー「味方をしたわけではない! 私は自分以外の者にダイたちを殺されたくなかっただけだ ダイが死んでしまったらこの身を魔物にしてまで戦い続けてきた意味がなくなってしまう!! 私の生きる目標さえも…!!!」

バーン「……案ずるな おまえはもうすぐ死ぬ…!! 黒の核晶はもはやおまえの血肉の一つと化しておったのだ それを摘出してしまったからには長くは生きられん…!!」

ハドラー「……」

バーン「……だが何よりも…!! 最大の理由はおまえが今この場で余に処刑されるということだ!!」


光魔の杖でハドラーに斬りかかるバーンだが、白刃取りの要領で受け止められてしまい驚愕。

バーンにとって予想外だったのはハドラーは超魔生物と化した事で暗黒闘気で蘇る能力は失ってしまったが、死から蘇る度に肉体が強化される機能は残ったままだった。


ハドラー「…あなたに2度殺されるのはご免こうむる!! どうしても私の生命を奪うというなら…この場であなたを倒すのみだっ!!!」

バーン「なっ…!!!」

ハドラー「オレをなめるなァッ!!! 大魔王ォッ!!!!」


そのため、自力で死の淵から生還したことで更にハドラーは力を増し、光魔の杖の影響で魔法力が減少していたことでバーンを圧倒し、彼のカイザーフェニックスさえも片手で握りつぶす程の強さを見せつけた。だが、ザボエラの卑劣な横槍が入り逆転されてしまい、トドメを刺される瞬間、ブロックのキャスリングで窮地を脱した。


皮肉なことにハドラーが恐れていた「竜の騎士親子との対峙」「バーンの死刑宣告」「余命いくばくもなくなる」という事態が現実のものとなってしまった。だが保身を捨てたハドラーに迷いは全くなく、残された時間をぶつけるべき相手はすでに決まっていた。


最後の聖戦編集

核晶が摘出され、回復系呪文すら受け付けずそのまま朽ち果てるだけの「魔獣の身体」となり最後の戦いの相手として好敵手であるダイを選ぶ。


「オレは最後に戦う相手を勇者に決めた!大魔王のために戦う気など最早なれぬ!だからといってダイたちの味方に付くこともできぬ!オレはヤツらの最も大切なモノを奪ってしまった男なのだからな!オレがとるべき道はひとつしかない! オレの心を最も沸かせてくれる者と戦い、自らの生きた証を見せることだ!その相手は大魔王ではないはずだ!」


とバーンの命令でアバンを殺めたことに対して罪悪感をハッキリと滲ませ後悔すると同時に、やり直しがどうせできぬなら残る余生を延命や平穏ではなく、勝っても負けてもダイたちと最後まで戦い抜くことをヒム・アルビナス・シグマに高らかに宣言した。

彼の決意を聞いたヒムも彼の意向に沿うように、

「ええい何を迷っているんだ、アルビナス!このままじゃ、オレたちは敗残兵だ!ブロックだって、フェンブレンだって、何のために死んで逝ったのかわからねえっ!宿敵を倒して、オレたちハドラー親衛騎団の誇りを見せつけてからくたばらなきゃあ、ヤツらにあの世で何て言い訳するんだよっ!大暴れしてやろうぜっ! 勇者と大魔王の両方の鼻をあかしてやろうぜッ!!」と彼の気持ちを代弁した。

すると

ヒムよ、おまえは……今のオレに一番よく似ているな……

と彼はヒムに微笑み、完全にニュートラル第三勢力と化した自分達の生きた証とアイデンティティーを確立させるために、時と場所が最悪すぎるバーンパレスでのアバンの使徒との最後の聖戦をついに決行した。


しかしながらアバンの使徒とバーンパレスで戦り合うことは、バーンたち魔王軍をただ悦ばすだけであることを意味し、彼もそのことを充分に理解しており、彼としても出来ることならアバンの使徒がバーンを打倒した後にダイとの最終決戦を心置きなく所望したかった。


しかし打倒バーンを待つだけの時間と寿命が残念ながら残されていないことから、アバンの使徒に勝っても負けてもバーンに殺られることを覚悟した上で、バーンパレスでの最終決戦を心ならずも敢えて決行した。


「悪いが・・・・他のには、親衛騎団の相手を暫くしてもらおう…………そうだ!オレの望みは、ただひとつ……おまえとの一対一の決着のみ……それ以外に全くない!!」


彼が最も恐れているのは戦って死ぬことではなく、アバンの使徒と戦わずして死ぬことであり、それこそが彼にとっての最悪な結末である

彼のそのような純粋な心意気を汲んだダイは彼との最終決戦を素直に快く応じてくれた。


ダイ「ごめん…でも、もっと熱くなるんだ!だから下がってくれ!ハドラーはきっともう助からないんだ!ダメージが忽ち治るはずの超魔生物なのに、前に受けた傷がそのままだ!ハドラーに残された時間は僅か…それなのに最後の生命をかけて、自分自身の誇りのために戦おうとしているんだ!そして、その相手に俺を選んでくれた……バーンを倒さなきゃいけないことはわかっている!俺だって無駄な戦いはしたくない!でも、この挑戦を受けなきゃ、何だか漢でいられないような気がするんだ!ごめんね……俺を後でたくさん𠮟ってもいいよ!」

ダイ「ハドラー、俺の全身全霊を込めてアンタと戦うぞ!」

ハドラー「有り難い!大魔王バーンもとくと見るがいい、このハドラー最後の戦いをっ!ただし、何人たりとも手出し無用っ!寄らば生命(いのち)無きものと思っていただきたいっ!!」


魔を超え、己を超えた果てに

バーンパレスに再び乗り込んだダイ達に親衛騎団と共に挑み、死力を尽くした「真竜の戦い」となる。ついに決着のため互いに剣を抜き、必殺技をぶつけ合い、ダイの新必殺技アバンストラッシュXの前に一度は倒れるが、すぐさま執念で立ち上がる。覇者の剣の刀身が折れてしまったが、自らの生命エネルギーを消耗する生命の剣を切り札に最後の一戦を挑んでいく。

ハドラーのみならずダイにとってもこの闘いは最早何人も立ち寄ってはならない決闘として最後の技を振り絞る。


鞘に収められたダイの剣の中でその威力が増加していくのを感じるハドラーは、彼のギガブレイクを今ならば妨害するのは容易いと感じつつ、それを無粋と切り捨て、ギガブレイクとぶつけるための自分の剣を極限まで高めることに費やした。

しかして全生命をかけた超魔爆炎覇に対しダイはギガストラッシュにより因縁の戦いに終止符が打たれる。


ハドラー「ギガストラッシュ……み、見事だっ!我が全身全霊ッ、敗れたりっ!!」

ハドラー「…………何も言うな、ダイよ…………オレは負けた、また負けた、おまえたち師弟には負けっぱなしだ!だが、オレは納得しているのだ!バランの力に、アバンの技か……フフフッ……あれには勝てぬわ!あれも修業で編み出した技なのか?」

ダイ「いや、今この場で思いついたんだ!先生と父さんから貰った力が両方ないと、アンタに何だか勝てない気がしてさ………ぶっつけ本番で試したんだ!」

ハドラー「フッハハハハ…………史上最強な技をこの土壇場で生み出してしまったのか!?こんなとてつもない奴に勝とうとしていたとはな…………悔いは無い……むしろ感謝しているぞ!おまえたちの手で地に墜ちてからがオレの本当の人生だった……短い間だが確かな手ごたえがあった!さらばだ、勇者ダイ!オレを倒したその腕に最後にせめて触れさせてくれ!オレのこの身体が灰となって朽ちてしまう前に……」


しかし2人の決着を待ち構えていたように、そこへ不吉な笛の音が響き渡った……。


最後の輝き、アバンの腕の中で逝く編集

決着の直後、キルバーンが乱入し満身創痍のダイとハドラーへ向けて、脱出不能のキルトラップ・ダイヤ9を発動。バーン、ミストバーンと続き、今度はキルバーンによってダイ抹殺のための捨て駒として利用されてしまう。

魔界の炎によってダイもろとも焼き尽くされそうになったところへ、ポップが突入し氷結呪文でギリギリ食い止めた。


ポップ「そうなにもかも上手くはいかねえぜ!こんなことだろうとハナっから思っていたぜ!俺がいる限り、てめえらの思い通りにはさせねえぜ!」

ポップ「バーンが絶対になにかしでかすと思ったからな!たとえハドラーや親衛騎団の連中が信頼できたって、ここはバーンパレス………魔王軍の正々堂々ほど信じられねえものはねえぜ!」


ジリ貧な状況下で挫けてそうなダイとポップに


「……オレが生命(いのち)を賭けてまで倒そうとしたアバンの使徒!それは不屈な魂を持った希望の戦士だっ!【最後の最後まで絶望しない心】こそがアバンの使徒の最大の武器ではなかったのかっ!!」

希望

と【アバンの使徒の最大の武器】を教え、『悔しかったら…この状況を潜り抜けてみせよ…』と彼らを支える。 脱出方法を見つけたポップとダイだが、その手段ではハドラーは救えない事を察するもすぐに朽ちて死ぬ自分など助ける必要はないと告げ、最後の力を振り絞って呪文を放ってダイヤ9を押さえ込み『急げ、ポップ…骸が動いたのだ…儲けものだと思え!!』とポップに告げて脱出を促したが…成功したのはダイだけでポップは失敗してしまう。これにより、ポップの魔法力は尽き、脱出不可能になる。


ポップが脱出できなかったのは、自らを犠牲にして自分たちを助けようとするハドラーの救出を試みたからである。実際、ハドラーは炎の中でもポップの上に覆い被さり、庇い続けた。たとえ救出されても余命幾ばくもない自分をどうして助けようとしたのか。ハドラーの問いに対し、ポップは


「悪りィ……アンタにみとれちまった………あの時、俺たちを必死に生かそうとしてくれる、アンタを見たら………なんだか他人に思えなくって……アンタが絶対に助からねえって頭でわかっていても見捨てていく事に抵抗がどうしてもあって……だって、そうじゃねぇか……自分の誇りを賭けて……仲間たちと力を合わせて、努力して、俺たちと正々堂々と戦うために、必死に……必死に頑張りぬいてよ……俺たちとどこが違う?同じじゃねぇか!!」と返す。


ポップの目には、ハドラーのことが師・アバンと重なって見えていた。そして、仲間と共に互いを支え合い、努力しているハドラー達の姿は、自分たちと何ら変わりはなく、どうしても他人のようには思えず、見捨てることなどできなかった。


「許してくれ、ポップ!オレのためにその生命を…………」


自分のせいで死ぬ事を悔いたり恨むことはなく一緒にアバンの元(あの世)へ行こうと言うポップの言葉にハドラーは感動し、同時にポップを死へ追いやってしまった事に後悔の涙を流しながら、『人間の神』へこう願う。


「……神よっ!人間の神よっ!魔族のオレが……はじめて祈るっ!もし本当に……おまえに人命を司る力があるのなら、こやつをっ……この素晴らしい男だけは生かしてくれっ!オレのような悪魔のためにこやつを死なせないでくれっ!頼む……神よッ!!」


最期かと思われた瞬間、戦場に駆けつけたアバンにより救われる。アバンも自分の弟子を庇ったハドラーを抱え、礼を言おうとした直後、最後の力を振り絞ってアバンをキルバーンの凶刃から救うと共に力を使い果たした。


センシティブな作品ハドラーの最後

「…………素晴らしかったぞ おまえが残した弟子達は…………オレの生き方すら変えてしまうほどにな…………!…おまえの力で…ダイたちを勝利へ導いてやってくれ…!それがオレへの唯一の礼だと思え!!」

「ポップよ……おまえたち人間の神というのも……中々粋なやつのようだぞ!オレの生命とひきかえに……オレがかつて奪った大切な者をおまえたちに返してくれた…………そのうえ……オレの死に場所を……この男の腕の中にしてくれるとはな…………」


死力を尽くし生き抜いたかつての好敵手との再会に廻り合わせ、最期の言葉を交わし、最後に友となったポップに人間の神への感謝の念を表しつつ、アバンの腕の中でとなって散った。


倒さなければ殺られる宿命とは云え、死ぬには余りにも惜しすぎる彼の最期を、ヒュンケルを含むダイ達一行は大変悼み悲しんでいた。

ポップも「ハドラー……最後の瞬間、アンタは……まぎれもねぇ……仲間だったぜ……俺たちのな……!」とまで評した。


当初こそ冷酷無比な言動が際立ち、保身に走る余りにザボエラの策謀に乗ったりもしていたが、本質的には卑怯な手段を用いることを良しとしない武人気質の持ち主であり、部下だけに戦いを任せきりにせず戦線に自ら赴いて敵と相見えていた。

この気質はヒュンケルも認めており、後にサババで対峙した時は「自ら手を汚さず部下に襲わせるとは…」と(誤解だったとはいえ)非難の目を向けている。


その点はダイ・バラン・ラーハルト・クロコダイン・ポップ・義父を殺されたヒュンケル、宿敵であるアバンも真っ当な戦士の素質を素直に認めるところであり、後に正々堂々とした武人として覚醒するだけの素質は元から持ち合わせていたと言えるだろう。


「三流魔王」と評された時でもアバンに弟子との別れの時間をやる情けを見せたり、「死にたくなければ引っ込んでおれ!」と伝える(つまり、抵抗しなければ見逃す気だった)など僅かながらだが武人らしい描写も存在する。

特にクロコダインからは「褒められた人格ではないが、酷い策謀家でもなかった」と評されている。


義父を殺されたヒュンケルも野心と保身以外の感情が全くなかった魔軍司令時代の彼を散々忌み嫌っていたが、彼が超魔生物化し真な武人としての成長を心身共に遂げてからは、彼を悪しざまに扱うことを一切しなくなり、彼の唯一無二な忘れ形見とも呼べるプロモーション化した銀髪ヒムの生命を救った。


そして遺灰もアバンの衣服に残り、ジャッジのやキルバーンの「バーニングクリメイション」から救う結果となった。キルバーンの敗北と同時にその灰はハドラーの姿を象り、好敵手の勝利を見届けると同時に天へと昇っていった。


死してなお、ハドラーの想いは「奇跡」を起こし、アバンを救ったのだった。


パラレルワールドのハドラー編集

設定や環境の違いにより原作のハドラーとは性格が異なる。


漫画版クロスブレイド編集

1巻では初登場時のローブ姿で登場。性格が大きく変わっており、「勇者の芽を摘まなかったため魔王たちは敗れた」という事実から主人公ユウキの殺害を目論む。しかもダイが不在の時に襲撃するという念の入り用。顔立ちも大きく変わっており、全体的にドラゴンクエストシリーズに出て来そうな不気味な男になっている。これは別世界のハドラーのため。


ダムド軍の先兵として圧倒的な力で主人公ユウキの前に立ち塞がる。ユウキの剣を眼球に突き立てられるが、傷一つ付けられないという結果を見せつけてユウキを絶望させた。

そしてユウキの胴体を真っ二つにして殺害するが死んでも立ち向かって来るユウキに恐怖を覚え、極大閃熱呪文で完全に消し飛ばす。

直後に“未来のユウキ”が現れ、今度は自分が圧倒的な力で瞬殺された。未来のユウキが立ち去った後、入れ替わるように現代のユウキが復活を果たす。

メイロによれば、これは一度きりの奇跡とのこと。


2巻では超魔生物のハドラーが登場。ダムド軍の刺客としてユウキたちに勝負を挑むが、超魔化した理由が「長く生きるよりも強敵との命のやり取りに魂を燃やしたい」というものであり、ダイ個人に対する執着心はない。また超魔化の影響で寿命が短くなっている。

戦いの最中ユウキから「戦いなんてやめて生きられる道を探そう」「僕はアナタに勝てる男になるより、仲間として一緒に笑って過ごしたい」と言葉を掛けられ、今まで出会ったことのないタイプに戸惑いを覚える。と同時に、自分の生き方を勝手に決めるなと激昂。超魔爆炎覇でユウキたちを消し去ろうとする。しかし手元が狂ったことで狙いが外れてしまう。


自問自答した結果「戦う気のないものに振るう力はただの暴力」と理解し、無意識にユウキから目をそらしてしまったのだと気づく。

戦意喪失したハドラーだが、同時にユウキが成長すれば誰よりも自分の心を沸かせる強者になるのではと興味を抱く。

その瞬間、背後から現れたダムドによって胴体を真っ二つにされてしまう。ダムドはハドラーを仲間だと思っていたが、人間の言葉に心を動かされたことで裏切られたと思い手を下したのだった。


怒れるユウキとダイはダムドに立ち向かうも実力差は埋められない。しかしユウキを認めたハドラーは最後の力を振り絞って覇者の剣を託し、ダムドの必殺技「次元破断掌」を弾き飛ばして救った。


 ダムド「魔族の貴様が何故ッ…!!! 人間などの味方を!!!」

ハドラー「……そいつらは『人間』などという名前ではない」

ハドラー「たった1人の存在 ダイだ ユウキだ」

ハドラー「魔族から超魔生物になったとてオレがハドラーであるのと同じ……」

ハドラー「ダムド 魔族だ 人間だと ひとくくりにするのはやめろ」

ハドラー「まとめてしまえば楽かもしれぬが 大切なものを見落とすぞ」


直後、激怒したダムドによってハドラーは消滅させられたかに思われたが、ユウキを認めたことでカード化して生存。正式にユウキの仲間となった。

その後、ダムドはダイの助力を受けたユウキが放った覇者の剣版アバンストラッシュによって膝を突く。

ユウキはダムドに和解の言葉を掛けるが、ハドラーは「ダムドは心が不安定だ。いつ裏切るか分からない」と否定的だった。それでも信じるというユウキに「絵空事だ」と言い返すが、そのやり取りを聞いていたダムドを少なからず改心させ、彼もまたカード化して仲間となった。しかしダムドは表向きの傀儡でしかなく、その背後には真の黒幕が潜んでいた。


3巻では時空の武術大会にて兵士ヒムと激突。実力差は歴然であり、ハドラーを殴ったヒムの腕がひび割れになるという有様だった。しかしヒムは、ひび割れた方の腕で拳を握りハドラーの意表を突く形で顔面を殴り飛ばす。更には攻撃を1回無効化する能力で食い下がって来た。

そしてヒムは超高熱拳を構え、ハドラーもまた拳を構える。原作の無刀陣を彷彿とさせるシーンが展開されたが、ハドラーは瞬時に防御に回ってヒムの一撃を無効化。戦意喪失したヒムを殴り飛ばして勝利する。

もしもお互いの拳がぶつかれば確実にヒムは砕かれていた。そのことを見抜いていたヒムは情けを掛けたのかと問うが、ハドラーは「お前が死んだら次に遊べなくなる(戦えなくなる)」と告げ、命を雑に扱うのと命を賭けるのは違うということを知らしめたのだった。


6巻ではロムドラドの極大召喚によって呼び出されたすさまじい巨体のハドラー(原作2巻時代)が登場。しかし超魔ハドラーから図体がデカいだけと一撃を入れられて怯み、そこをダイとバランの同時攻撃で撃破された。


ダイ、爆発!編集

1991年版の放送前、パイロットフィルムとして劇場公開された。 試写型という事もあって原作や1991年版とも繋がらないパラレルワールド的な世界で、名前と声優は同じであるが設定やビジュアルがまったく違うボスキャラである。


劇中より15年前に勇者に敗れたと言う点は共通しているものの、その後、魂と邪悪なるエネルギーはデルムリン島の奥にある邪神像(という名の巨大ロボット)に封印されていた。15年後の満月の夜にて遂に復活を遂げる。


その姿は原作とは全く違い、全身ピンク色の巨大な装甲を纏い額に第三の目がつき9本の手を持つ巨大な怪物である。


デルムリン島中の魔物達を凶暴化させ、ダイやレオナ達に襲い掛からせようとしたもののダイが竜の紋章を発動したことにより自ら参戦する。

巨体から繰り出す打撃でダイを地にひれ伏させるが、レオナからパプニカのナイフで斬り付けられ激怒。だがゴメちゃんが強い光を放ったことで目が眩み攻撃を外してしまう。

それでもゴメちゃんを叩き落とすが、これによってダイの怒りが爆発。竜の紋章の更なる力を引き出し頭髪が逆立つほどのパワーアップを遂げる。


更に頭部にある巨眼が本体だとブラスに見抜かれ、ダイに急所を貫かれたことで敗北した。

魔王のまま封印され魔王のまま目覚めた事から原作ハドラーと違い、終止魔王らしい威厳と振る舞いでもあった。


「巨人の頭部に本体が張りついている」「弱点の位置をダイの親が教える」「仲間を傷付けられたダイが怒りによって竜の紋章のパワーを引き出して更にパワーアップする(頭髪に影響が出る)」など後に出てくる原作のこの敵を彷彿とさせる姿でもある。


ちなみに本編の十数年前を舞台にした外伝漫画では「バーンの像」に魂を入れられた事でハドラーは死を免れ、像を介してだが、活動が可能になった。ある意味で、本作のハドラーはこの展開のプロトタイプと言える(封印されていたが満月の夜に復活する、という展開も違った形でだが、再現されている)。


余談編集

TVアニメ放送当時は玩具のCMでダイと玩具で対決し見事に負ける姿がファンロードなどでネタにされていた。現在では、twitterや某掲示板等で、バーンからおすすめアニメを尋ねられ、その結果叱責されるというコラが作られている。


名前の由来はギリシャ神話の怪物ヒュドラの英語読みHydra(ハイドラ)をもじった物。作者曰く「蛇のような冷徹な目をもつ男」という意味でつけたとの事であり、ページトップで紹介された野球選手レックス・ハドラー氏は全く無関係である。原作者・三条陸氏はハドラーの名前が実在していた事に大変驚いたそう(因みにダイの連載開始が1989年、レックス・ハドラー選手が日本で活躍したのが1993年である)。


魔王ハドラーが生み出した最強の騎士バルトスは、当時の性格のハドラーから見ると奇跡と言うべき騎士道精神と善の心を持っていた。ハドラーが最後に生み出した親衛騎団五人も個々の違いがあるとは言え善の魂を持っている。そしてフレイザードもアンバランスとは言え(何せ一歳児、魔族的にも幼児の部類)命をかけて戦う戦士の気質を持っていた。


禁呪法もしくはそれに類した方法で誕生したモンスターは創造者当時の精神面が影響される。

バルトス→フレイザード→親衛騎団が誕生していく過程はハドラーの精神面の変化(バルトス=覇気があった獄炎の魔王時代。フレイザード=数々の強者に怯え精神的脆さがあった魔軍司令時代。親衛騎団=騎士道精神を取り戻した超魔生物時代)を物理的に表した物で、確かにハドラーの心を反映した分身達であった。


バルジ島の戦いでハドラーがヒュンケルに敗れた時、なぜフレイザードが死ななかったのかは読者の語り草となっている。設定の変更なので受け入れるべきという声もあれば、「大魔王バーンの暗黒闘気で生まれ変わった影響で魔族ハドラーはいくら死んでも蘇生復活可能な不死身の存在だったのでフレイザードも死ななかった」と何とか解釈する声もある(当時のジャンプは「面白ければそれでいい」という風潮だったので設定の変更は珍しいものではなかった)。

しかし、超魔生物に生まれ変わった後は大魔王バーンの暗黒闘気でも不死身の状態を維持できなかった(ミストバーンから「超魔生物になった状態で死んだら大魔王バーンの力でも二度と復活出来ない」とハドラーに警告した)。


原作では終盤に銀髪の特徴がヒムとの絡みで言及される事が多かったが、1991年アニメ版の髪色指定カラーは金髪である。アニメが継続していれば金髪のヒムが見れたかもしれない。


1991年版でハドラーを演じた青野武氏は兼ね役でニセ勇者一行のまぞっほを演じていた。そのほかにも、アニメ『ドラゴンクエスト(勇者アベル伝説)』でルドルフ将軍、『CDシアター ドラゴンクエストⅠ』では雨の祠の賢者、『CDシアター ドラゴンクエストⅡ』ではデルコンダル王、『CDシアター ドラゴンクエストⅢ』の僧侶ライド(後に賢者に転職)、『CDシアター トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』では不思議のダンジョンがある村の王様を演じている。


2020年版でハドラーを演じる関智一氏は『CDシアター ドラゴンクエストⅥ』と『ドラゴンクエストライバルズエース』で『ドラゴンクエストⅥ』の主人公を、『ドラゴンクエストⅩ』では旅芸人ピュージュを、『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めてS』ではウラノスメダル校長いたずらデビルを演じている。

なお、関智一氏はハドラーを演じるにあたり、1991年アニメ版を観て、青野氏のハドラーを参考に演技しているとのこと。


なお、ハドラーの最期を描いた第73話の製作には特にスタッフが力を入れており、毎話のCM入りとCM明けに挿入されていた必殺技アイキャッチを省略し、エンディングテーマもカットして本編中にエンドクレジットを表示し尺を目一杯使って描写に費やすという演出となっている。特に、この話に至るまでの間は現実世界で色々あり長らく放送が休止されていたことも相まって、視聴者の多くもこの回を神回と評している。

また、VジャンプYouTube公式チャンネルで配信されている「ダイ好きTV」によると、関氏にはこの収録後にスタッフから特製ケーキが贈呈されたとのこと。


鼻水を垂らすのは作画担当の稲田の趣味らしく、三条は「ヒュンケルは鼻水垂らしませんよ!」とシリアスキャラのイメージが損なわれないように注意していたという。

この注意が無かったら鼻水を垂らすヒュンケルやバランが見れたかも知れない?


人物関係編集

アバン一行編集

自分の因縁の相手である勇者。最終的に二度勧誘する程に気に入った存在。


アバンの仲間である戦士。アバンとの交戦中に不意討ちで左手を切断されたが特に恨んでおらず、サババで交戦した際にはむしろ『自分が名前を覚えるに値する』と評価している(最もロカは「教える義理はねぇ!」と頑なに名乗らなかったが……)。


アバンの仲間である女僧侶。

自分が魔王だった頃にて、『サババ』という港町にて交戦した。


アバンの仲間である大魔導士。

自分が魔王だった頃にて顔を合わせているが、アバン一行で唯一直接戦闘にはならなかった。

そしてそれから15年後にて『アバンを死に追いやった仇』として敵対視され、交戦する事になる。


アバンの仲間である武闘家。

アバンの魔王封印の策の時間稼ぎとしてハドラーと交戦した。


ハドラー軍編集

いずれも15年前に自分が魔王だった頃に自分に仕えていた魔王軍の幹部達。各種族で気に入った存在を勧誘し、人族のアバン以外の勧誘に成功した(バルトスは武人時代のハドラーに創り出された)。


アバン一行が地底魔城に攻め込んできたので急遽、禁呪法で創造した前述の4人に続く第五の幹部。特徴が色々と後述のフレイザードと似通っており、また人格はある程度筋は倒しているフレイザード以上に下劣。そのあまりの品性の無さからバルトスはハドラーの精神に起きている異変を感じ取ることになる。


魔王軍編集

アバンに倒された後、自分を蘇生させてくれた恩人である魔界の神。だが、本編開始前の頃にも接点はあったようで……


六大団長・バーン幹部編集

本編開始前にハドラーが禁呪法で創り出したモンスター。ある意味で後述のハドラー親衛騎団の先輩(兄)に当たる。


魔王軍の同僚。最初は不信がっていたが最終的には魔王軍で最も気を許す友のような関係に。実は15年前から無関係ではない。


百獣魔団の軍団長を務めるリザードマン。

15年前の頃に前述の魔王封印の策によって封印状態されて、マトリフ達に隠されていた自分を見つけ出してくれた恩人でもある。


不死騎士団の軍団長を務める人間の魔剣戦士。

15年前の頃に前述のバルトスが育てている人間の子供その人であり、その頃は『父が仕える主』と認識され「魔王様」と呼ばれる等していた。だが地底魔城が落とされてからは「ハドラーがふがいないから父は死んだ」とヒュンケルに怨まれるようになる。後に『自分がバルトスを処刑した事』を知られてからは完全に『父の本当の仇』として敵視されるようになった。


妖魔師団の軍団長を務める魔族。

15年前の時点ですでに面識があり、魔鉱石やザボエラ(実際はその息子のザムザ)が作った『あくまのおおめだま』を購入する等していた。


超竜軍団の軍団長を務める竜の騎士

魔王軍内のカースト上ではハドラーより下なのだが、その戦闘能力は勿論のこと、後述のダイとはただならぬ関係があることを悟ったことにより魔軍司令の座を脅かす存在として危惧していた。


魔軍司令時代のハドラーと同じく大魔王バーンの全魔力を注いで強化された魔物。

バーンパレスの管理人という立場だが、ドラゴンの紋章状態のダイを完封できる能力を備わっていた(大魔王バーンに一矢報いれる実力があった)。大魔王バーンの全魔力を注いだはずの魔軍司令時代のハドラーがゴロアより弱いのは実は別の物に全魔力を注いだ結果と思われる。


ハドラー親衛騎団編集

バーンから授かったオリハルコン製のチェスの駒五個より禁呪法で創り出した新たな配下。


アバンの使徒編集

アバンから教えを受けた五人の弟子。

前述のヒュンケルも一番弟子ということで、これに属する。


元々はデルムリン島で暮らす少年だったが、アバンの教えを受けて魔王軍と敵対する勇者として成長を遂げ、序盤の時点ではハドラーしか知らないダイの秘密もあり、アバンに次ぐ自分と敵対する厄介な存在となる。


ダイの仲間である魔法使い。ハドラーからすれば『鼻タレ小僧』と見下す弱者に過ぎなかったが、日々成長するポップはやがて無視できない存在となる。

ちなみに、何の因果かハドラーも原作漫画では作中でポップのように鼻水を垂らす醜態を見せるコマがいくつか存在する。


ダイとポップの仲間である僧侶戦士(後に武闘家に転職する)。

前述の事情もあってアバンの仇として「おまえ」呼びされたことがある。慈愛の心を持つマァムをここまで怒らせたのはハドラーくらいである。ちなみにバルジ塔でのレオナ救出戦ではポップがハドラーにマァムだけは見逃すように必死に命乞いをしたため、魔王軍全体(少なくともザボエラとヒムに)に『ポップはマァムが大事で惚れこんでいる』という事が知られてしまった。


パプニカ王国王女である賢者にして、ダイにとって特に大切な存在。

大魔宮での戦いではアルビナスに相手を任せる予定だったが連れ去りに失敗。ダイとの決闘はバーンを喜ばせるだけと説得の言葉を向けられるが、自分には時間がないと一喝する。

ハドラーに立ち向かうダイを見たレオナは、ダイの新たな一面に気づくこととなった。


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ダイの大冒険 超魔生物

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