カルトとは、以下のものを指す。
- 人の不安や恐怖を煽ってから人の不安や恐怖を癒すことを常習としており、自作自演とかマッチポンプと評価されるような行動をとり続ける宗教団体または思想団体。
- サブカルチャーにおける、一部で熱狂的なファンがいる状態。
- 漫画『HUNTER×HUNTER』に登場するキャラクター。本名、カルト=ゾルディック。
- 漫画『幽☆遊☆白書』に登場する、妖怪によるアイドルグループ。
- 2013年公開のホラー映画。監督・脚本は『ノロイ』『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』の白石晃士。
- カルト(生放送主) - ニコニコ生放送の生放送主。
本項では1.および2.について記述する。
カルト (Cult) とは英語であり、本来は「崇拝」「祭儀」を意味し、否定的な単語ではない。しかし後に社会学用語として上記の1.という否定的な意味が付け加えられ、そちらが広く流布した。
1.の概要
カルト団体の定義
人の不安や恐怖を煽ってから人の不安や恐怖を癒すことを常習としており、自作自演とかマッチポンプと評価されるような行動をとり続ける宗教団体または思想団体をカルトという。
カルト団体と見なされる条件
次の1.と2.の性質を両方とも持っている宗教団体や思想団体はカルト団体と見なされることが多い。
1.の中の「困惑」とは法律用語であり、消費者契約法第4条や不当寄附勧誘防止法第4条に出てくる文言であって、合理的な判断ができない心理状態のことを指す[1]。
1.の中の「意思決定の自由」は、日本国憲法第13条で保障される自己決定権の一部であるので、1.は日本国憲法第13条を破る行為であり、重大な人権侵害である。また、思想・良心の自由に関して広義説(内心説)を採用する場合、意思決定の自由は思想・良心の自由の一部になるので、1.は日本国憲法第19条を破る行為にもなる。
刑法第222条で脅迫罪が規定されており、一般人が畏怖するような表現でもって害悪の告知をして相手の「意思決定の自由」を侵害することを取り締まる条文になっている。1.は害悪の告知をしていないので脅迫罪に該当しないが、しかし、脅迫罪によく似た行為である。
他者に危害を加える意図を持っている人に対して不安や恐怖を煽って困惑させて「意思決定の自由」を侵害するような表現を投げかけることは、他者加害原理に基づく基本的人権の制限であり、ある程度認められることである。そういうことは「穏健な宗教団体」や「穏健な思想団体」も行っており、「人の物を盗むと地獄に落ちる」「ゴミを不法投棄すると地球が壊れる」などと宣告している。
カルト団体は、他者に危害を加える意図を持っていない人を含む全ての人に対して不安や恐怖を煽って困惑させて「意思決定の自由」を侵害するような表現を投げかけており、他者加害原理に基づかず基本的人権の制限をしており、非常に容認されにくいことをしている。
カルト団体は様々な技法で1.を実行している。例えば統一教会は「世の中には様々なところにサタンが潜んでいる」という具合に不安を煽るし、エホバの証人は「ハルマゲドンが起こって、信者以外が全員死ぬ」と語って不安を煽るし、創価学会は信者に入信前の不安だった時期のことを涙ながらに語らせて聞く人の不安を煽るし、幸福の科学は「死後の世界に存在する偉人の霊言」を繰り返し語って信者に「死」を意識させて不安を煽る。
カルト団体が行う1.は疑心暗鬼型と自信破壊型に大別でき、さらに疑心暗鬼型は「現在への疑心暗鬼型」と「将来への疑心暗鬼型」に分けられる。表にすると次のようになる。
技法 | 得意とする団体 | |
現在への疑心暗鬼型 | 「世の中には様々なところにサタンが潜んでいる」と言う | 統一教会、エホバの証人 |
「何十億という精が世の中の様々なところに潜んでいて、現在の地球人に害を与えている」と言う | サイエントロジー | |
将来への疑心暗鬼型 | 「ハルマゲドンが起こって、信者以外の全員が死ぬ」と言う | オウム真理教、エホバの証人 |
「日本は滅ぶ」「中国が攻めてくる」と言う | 顕正会 | |
「日本は滅ぶ」と言う | 法の華三法行 | |
「火の洗礼が起こり、大災害が頻発する」と言う | 崇教眞光 | |
「すべての生物は死後に地獄へ落ちる」と言う | 浄土真宗親鸞会 | |
「かつて教団は攻撃された」と言って、信者の心に「これから教団が攻撃されるかもしれない」という疑念を持たせる | モルモン教 | |
自信破壊型 | 入信前の不安だった時期のことを信者に涙ながらに語らせ、それを聞く信者に「不安」を意識させる | 創価学会 |
「死後の世界に存在する偉人の霊言」を語り、それを聞く信者に「死」を意識させる | 幸福の科学 | |
「死後の世界に存在している先祖」のことを語り、それを聞く信者に「死」を意識させる | 統一教会 | |
性行為を賞賛して信者同士が性行為をするように誘導し、信者の名誉とプライバシーを破壊し、信者を弱気にさせる | ファミリー・インターナショナル |
現在に対する疑心暗鬼型は、「あなたの生命・身体・自由・財産・名誉に害を加える者がいる」と通告するものである。
将来に対する疑心暗鬼型は、「あなたの生命・身体・自由・財産・名誉に害を加える者が将来現れるだろう」と予言するものである。
自信喪失型は、相手に「自分の生命・身体・自由・財産・名誉がすでに弱体化している」と意識させるものである。
ちなみに刑法第222条で禁じられている脅迫罪は「わたしはあなたの生命・身体・自由・財産・名誉に害を加えるつもりである」と述べて害悪の告知をするものである。
疑心暗鬼型の1.を行うカルト団体の構成員は、「自分の属する団体の構成員だけが隠された真実を知っている」という選民意識を持つようになり、「自分の属する団体の構成員以外の人々はみんな馬鹿である」というような優越感を持つようになり、満足感と幸福感に酔いしれることになる。つまり陰謀論の支持者と同じような心理状態になっている。
2.は、不安や恐怖に苦しむ人に寄り添って励ます行動の1つである。
1.と2.を両方とも行う団体をカルト団体という。1.だけ行って2.を行わない団体というと、「一般人が恐怖に震え上がるような事柄を研究する学術団体」が例に挙げられるが、そういう団体はカルト団体と扱われない。1.を行わず2.だけを行う団体は「穏健な宗教団体」とか「穏健な思想団体」と呼ばれることが多い。
1.と2.が同時発生するようになるとマインドコントロールと呼ばれる状態になる。このため「カルト団体は、内部でマインドコントロールが行われている団体である」と定義してもよい。
カルト団体は1.を行ってから2.に取りかかっており、人々の不安を煽ってから「あなたの不安を解消します」と宣言して人々の前に出現することを繰り返している。このため「カルト団体は、自作自演とかマッチポンプと評価されるような行動をとり続ける団体である」と定義してもよい。
カルト団体の性質その1 団体の指導者を頂点とする軍隊のような組織
カルト団体には次のような性質がある。
カルト団体の構成員は不安と恐怖に駆られていて困惑しており、判断能力が低くなっている。そのため団体の指導者のことが非常に大きく見える錯覚の状態になっており、団体の指導者を過度に尊敬して崇拝する心理になっている。
カルト団体においては、指導者を過度に尊敬して崇拝する心理が積み重なり、指導者を頂点とするピラミッド型の階級社会を作り上げることや団体の指導者の意思を上意下達(トップダウン)で構成員に広める組織になることが常となっている。
カルト団体は軍隊のような組織になる。軍隊という組織はピラミッド型の階級社会になることがほとんどである。また、軍隊という組織は上司の言うことが絶対とされ、部下が上司に反発することを厳しく否定する組織であり[2]、指導者の意思を上意下達(トップダウン)で構成員に広める組織の典型例である。
カルト団体の性質その2 団体の指導者を批判する者に対する攻撃
カルト団体は、次に挙げる性質のうち4.を必ず持ち、5.と6.を持つことがあり、団体の指導者を批判する者に対して攻撃をする傾向が見られる。
カルト団体の構成員は、団体の指導者を批判する者に対し、「自らの尊崇対象を傷つける加害者」と認定し、憎悪感情と非難感情を強く抱く。そして報復感情や復讐感情を抱き、被害者意識に基づいた執拗な攻撃を行う。
5.を行うカルト団体というと、創価学会・幸福の科学・統一教会・顕正会が有名である。
6.を行うカルト団体というと、エホバの証人・統一教会が有名である。
カルト団体の性質その3 男尊女卑
カルト団体には次のような性質がある。
カルト団体の構成員は不安と恐怖に駆られていて困惑しており、判断能力が低くなっている。そのため「強い筋力を持っていて不安と恐怖を打ち払ってくれる存在」のことが非常に大きく見える錯覚の状態になっており、「強い筋力を持っていて不安と恐怖を打ち払ってくれる存在」を過度に尊敬して崇拝する心理状態になっている。
カルト団体においては、「男性は強い筋力を持っていて不安と恐怖を打ち払ってくれる存在である」とみなす風潮が広がっており、「女性は一歩引いて男性に譲れ」などという指示がしばしば飛び交っており、男尊女卑の気風が広がっている。カルト団体には、男性が幹部に出世しやすくて女性が幹部に出世しにくいといった傾向が見られる。
男尊女卑のカルト団体というとエホバの証人が有名である。そして、それ以外のカルト団体も程度の差があるものの男尊女卑の要素を総じて持ちあわせている。
カルト団体の性質その4 構成員同士の距離感が近い
カルト団体には次のような性質がある。
カルト団体の構成員は不安と恐怖にさいなまれている人が多い。そういう人は「自分以外の構成員も不安と恐怖で震えているだろうから、そういう人に寄り添って励まそう」という意識が強く、自分以外の構成員に対して積極的に距離を詰めてコミュニケーションを図ろうとする傾向が強い。
このためカルト団体は構成員同士の心理的な距離感が近く、助け合いとか相互扶助の気運が強く、ある意味で世話好きな構成員が多い。
カルト団体は不安と恐怖にさいなまれている人にとって居心地のいい場所である。このため、ある人がカルト団体Aを脱退したとしても、カルト団体以外の世間において「距離を詰めてくる世話好きな人」に出会うことができずに寂しさを感じてしまい、もとのカルト団体Aに復帰したり、他のカルト団体Bに所属したりする例が見られる。
カルト団体の構成員は世話好きなのだが、その反面として、日本国憲法第13条で保障されているプライバシー権に対する配慮に乏しく、相手の個人情報を根掘り葉掘り聞き出してそれを周囲に噂として流すことを平気で行う傾向がある。
カルト団体の性質その5 団体を巨大化させるための大量の無償労働
カルト団体には次のような性質がある。
カルト団体の構成員は、自分が所属する団体に対して「自分が所属する団体は不安や恐怖から自分を守っている」と確信して深く感謝していることが多い。
そういう心理状態の人は、「自分が所属する団体が巨大になれば、自分と同じ境遇のものが不安や恐怖から救われることになり、自分はその人に深く感謝されるだろう」と予測しており、自分が所属する団体を巨大化させることについて極めて熱心に参加する傾向が強い。
カルト団体は構成員がそうした心理状態になっていることをよく知っており、自分たちを巨大化させるための労働を構成員に対して無償で大量に課す傾向がある。そうした無償労働の1つには勧誘行動も含まれる。
労働の分野で使われる用語を使って表現すると次のようになる。カルト団体は構成員に対して「団体を巨大化させれば深く感謝されるだろう」と確信させており、構成員に対して内発的動機付けを強力に掛けつつ団体を巨大化させるための労働を大量に課しており、構成員の労働を無償で享受するやりがい搾取に手を染めている傾向が強い。
カルト団体の構成員は、人通りの多い駅前に立って勧誘したり、家庭を訪問して勧誘したりする。それを行うことで特に有名なのはエホバの証人と顕正会である。
カルト団体の構成員は、旧友を電話などで誘い出してレストランなどに連れ込み、1人の相手に対して複数の構成員を割り当て、数的優位を作り上げて相手を弱気にさせて強引に勧誘することがある。相手に「この宗教・思想を受け入れないと目の前の者に拉致・監禁されて暴行されてしまう」という恐怖感情を持たせつつ相手に宗教や思想の受け入れを迫っているのであり、悪質な勧誘である。それを行うことで特に有名なのは顕正会である。
カルト団体の構成員は、大学において偽装サークルを作るなどして自らの正体を隠して相手を油断させ、長い時間を掛けて相手と親密な関係を作り上げてから相手に宗教や思想の受け入れを迫ることがある。相手に「この宗教・思想を受け入れないと長い時間を掛けて作り出した親しい存在を失ってしまう」という恐怖感情を持たせつつ相手に宗教や思想の受け入れを迫っているのであり、悪質な勧誘である。それを行うことで特に有名なのは統一教会、浄土真宗親鸞会、摂理、創価学会、崇教眞光である。統一教会の偽装サークルというとCARPが有名である。
カルト団体の構成員は、自らが保護する児童に対して相手に宗教や思想の受け入れを迫ることがある。相手に「この宗教・思想を受け入れないと目の前の者に食事を取り上げられて死んでしまう」という恐怖感情を持たせつつ相手に宗教や思想の受け入れを迫っているのであり、悪質な勧誘である。このように、保護者が強い立場を利用して児童に対して宗教や思想の受け入れを迫ることは児童虐待の1つに当たる。児童のうちに保護者と同じ宗教団体や思想団体に所属させられた者を宗教2世とか思想2世という。また、児童のうちに保護者と同じカルトに所属させられた者をカルト2世という。
カルト団体の構成員は、自らの親族・家族に対して相手に宗教や思想の受け入れを迫ることがある。相手に「この宗教・思想を受け入れないと目の前の者に家族づきあいをしてもらえなくなり親しい存在を失ってしまう」という恐怖感情を持たせつつ相手に宗教や思想の受け入れを迫っているのであり、悪質な勧誘である。それを行うことで特に有名なのはエホバの証人であり、「断絶(信者がエホバの証人を退会すること)した者に対しては家族であっても忌避(親しく会話をせず無視をすること)をしろ」と構成員に指導している。
日本においてすべての人は日本国憲法第19条で思想・良心の自由を保障され、消極的思想・良心の自由(特定の思想を持たない自由、特定の思想に基づく行為をしない自由、特定の思想団体に入らない自由)を保障されている。また日本においてすべての人は日本国憲法第20条で信教の自由を保障され、消極的信教の自由(特定の信仰を持たない自由、特定の信仰に基づく行為をしない自由、特定の宗教団体に入らない自由)を保障されている。相手を恐怖させつつ相手に宗教や思想の受け入れを迫るという悪質な勧誘をする団体は、日本国憲法の理念を無視していて社会性の低い存在と言うことができる。
16~18世紀頃の北東アジアにおけるイエズス会は優れた科学技術を紹介しながら布教した。飛鳥時代以降の日本における仏教僧は仏教彫刻・仏教絵画を見せながら布教した。平安時代以降の日本における仏教僧は仏教説話を説いて布教した。キリスト教はキリスト教彫刻・キリスト教絵画を見せたり、賛美歌を聞かせたりして布教している。以上のように、相手の恐怖感情を刺激せず、優れた芸術や科学や文学を伴いつつ相手に宗教や思想の受け入れを勧めていく団体であれば、日本国憲法の理念を重視していて社会性の高い存在と言うことができる。
ちなみに、宗教団体や思想団体が相手を恐怖させつつ勧誘をしたとき、その悪質な勧誘に屈して団体に入会したとしても、裁判に持ち込んで勝訴すればその入会を法的に無効にすることができる。宗教団体や思想団体が相手を恐怖させつつ勧誘をして相手に入会させるということは、日本国憲法第19条や第20条に違反して公序良俗を破りつつ法律行為をしたことになるから、民法第90条を通じて日本国憲法第19条や第20条を適用することでそうした法律行為を無効にすることができる。それが可能とする考え方を間接適用説という。
一部のカルト団体に見られる性質
一部のカルト団体には次のような性質が見られる。
10.の性質を持たないカルト団体が存在する。たとえば、エホバの証人はカルト団体と見られることが多いが、10.を極めて熱心に行っているわけではない。
また、これらの性質を持つだけでカルト団体と断定することはできない。「宗教・思想を奉じていない詐欺師集団」が霊感商法をすることがあるが、そうした詐欺師集団をカルト団体と呼ぶのはふさわしくない。「宗教・思想を奉じていない暴力団」が暴力的な反社会行動をすることがあるが、そうした暴力団をカルト団体と呼ぶのはふさわしくない。
1.に当てはまる団体の例
カルト団体の代表例
ここでは一般的にカルトとされる団体の名前を挙げる。順番はあいうえお順である。
- アーレフ(Aleph)
- 元・オウム真理教。ハルマゲドンの到来を信じ込ませて信者を恐怖させる。坂本弁護士一家を誘拐して殺害し、松本サリン事件や地下鉄サリン事件などの宗教テロを起こした。弁当屋・ラーメン屋・パソコンショップを開業して信者をほぼ無償で労働させて人件費を負担せずに大きな利益を得た。
- エホバの証人
- アメリカのキリスト教系新宗教で、一般のキリスト教から異端と認定されている。ハルマゲドンの到来を信じ込ませて信者を恐怖させる。教義の絶対視による社会との摩擦が激しい。娯楽を片っ端から禁止する。体罰や性的虐待などの児童虐待。輸血拒否による信者の家族の死の原因となり、裁判になった。
- 顕正会(冨士大石寺顕正会)
- 日本の仏教系新宗教。「日蓮に背く日本は必ず亡ぶ」「中国が攻めてくる」などの終末論を唱え、信者を恐怖させる。強引な勧誘。脱退者に対する攻撃。国教化を目指し、政教分離を否定している。
- 幸福の科学
- 日本の新宗教。「死後の世界に存在する偉人の霊言」を繰り返し語って信者に「死」を意識させて不安を煽る。「教祖の大川隆法は東大法学部卒である」と宣伝し、高学歴の人物に対する尊敬の心を刺激し、信者が教祖を絶対視するように仕向ける。信者の子どもに対して「教祖の大川隆法のように東大を目指せ」と過剰なノルマを課し、心理的な負担を強く与え、児童虐待に近いことをする。「幸福の科学に強制的に2億円を献金させられた」と訴訟した元信者に対し、名誉毀損として計8億円の損害賠償請求をするスラップ訴訟を起こしたことがある(幸福の科学事件)。フランス国民議会にカルト宗教と認定されている[3]。幸福実現党を設立して国政への参加を目指しているが、国教化を目指しておらず政教分離の否定には当たらない。
- サイエントロジー
- アメリカの新宗教。宗教哲学系、自己啓発セミナー系。「かつてジヌーという独裁者が何十億の市民を地球に連行してきて水爆で殺害しており、その市民の精が世の中の様々なところに潜んでいて、現在の地球人に害を与えている」と吹き込んで信者を疑心暗鬼にさせる。高額の金銭の要求、出家信者に対する強制的な中絶。精神病患者に与える薬を悪と教え込み、精神病を患った信者を苦しめる。トム・クルーズ、ジェニファー・ロペスなど著名人が多数入信している。
- 浄土真宗親鸞会(親鸞会)
- 日本の仏教系新宗教。「すべての生物は死後に地獄へ落ちる(一切衆生必堕無間)(後生の一大事)」と語って不安を煽る。「我々の教えを受けて『絶対の幸福』を体験すれば死後に地獄に落ちなくなる」と語って教団を絶対視させる。正体を隠しての強引な勧誘。伝統仏教の浄土真宗を始めとする異教徒への攻撃が激しい。献金の搾取に熱心である。信仰対象の「本尊」という紙切れを売り出さずに貸し出し、退会しようとする人の家に信者が押しかけて「本尊」を回収することを繰り返し、「退会すると信者が家に押しかけてくるぞ」と信者たちに思わせて恐怖させる。
- 人民寺院
- アメリカのキリスト教系新宗教。教祖ジム・ジョーンズによる専横と妄想による暴走を招き、南米・ガイアナ共和国に移住した900人余の信者ともども集団自殺を遂げた。2022年現在は事実上消滅している。
- 崇教眞光(崇教真光)
- 通称「真光(まひかり)」。開祖を同じくする類似の団体は世界真光文明教団である。「火の洗礼が起き、地震・噴火・災害・感染症の流行が起こる」などと終末論を唱え、信者を恐怖させる。「真光の業(手かざし)で悪霊を除霊することにより病を治す」と称する。薬を悪と教え込み、信者を病に苦しめる。教団内の青年は、眞光青年隊に加入させられて、布教活動や農業などの無償労働を搾取される。
- 摂理(キリスト教福音宣教会)
- 韓国のキリスト教系新宗教。教祖の絶対視。多額の献金の強要。女性信者への性的暴行。教祖・鄭明析は2009年に懲役10年の有罪判決を受けて服役中だが、獄中からも本を出版するなど活動は継続している。日本の大学で偽装サークルを作って、正体を隠しての偽装勧誘をしている。
- 全能神教会(東方閃電)
- 中国のキリスト教系新宗教。「東方閃電」「実際神」とも。教義の絶対重視による、勧誘・脱退の際の殺人などが問題視されている(2014年山東招遠カルト殺人事件)。中国で「邪教」とされた他、ロシアでもカルト認定を受けている。
- 創価学会
- 日本の仏教系新宗教。信者に「入信前の不安だった時期のこと」を涙ながらに語らせて聞く人の不安を煽る。「指導者は苦難を乗り越えて布教した。指導者のように生きよう」と言ったり軍歌のような教団歌を歌わせたりして信者に「自分は苦難に直面している」と感じさせて信者の不安を煽る。指導者の絶対視。強引な勧誘。脱退者への攻撃。聖教新聞の拡販を信者に強要し、聖教新聞の配達業務を極めて安い賃金で信者に行わせるなど、信者に対する搾取。「創価学会以外の宗教は全て邪教」と宣言して他宗教を攻撃する。公明党を設立して国政への参加を目指しているが、国教化を目指しておらず政教分離の否定には当たらない。
- 天華の救済
- 元・法の華三法行。「人類が滅ぶ」などと終末論を唱え、信者を恐怖させる。 足裏診断などの霊感商法にかかる詐欺罪により教祖や幹部が逮捕され、教団が自己破産して一旦崩壊した。2022年現在は教祖・福永法源が出所して復帰、名を変えて存続している。
- 統一教会(世界平和統一家庭連合)
- 韓国のキリスト教系新宗教で、一般のキリスト教から異端と認定されている。「世の中には様々なところにサタンが潜んでいる」として信者の不安を煽る。「あなたの祖先は霊界にいる」などと語りかけて「死後の世界」や「死」を意識させて信者の不安を煽る。霊感商法。毎月の収入の10分の1を献金として要求するなどの搾取。アメリカで寿司ビジネスを行う際に日本人信者を現地に派遣して低賃金で長時間労働させて利益を得る。合同結婚式の強要。強引な勧誘。脱退者への攻撃。自民党清和会との深いつながりを通じて国政へ影響力を与えることを目指しているが、国教化を目指しておらず政教分離の否定には当たらない。
- ひかりの輪
- アーレフ(元・オウム真理教)から独立して設立された団体。発起人は上祐史浩。脱麻原派を標榜するが偽装の疑いもあり、公安による観察処分が継続されている。
- ファミリー・インターナショナル
- アメリカのキリスト教系新宗教。1970年代のヒッピー運動からの派生。「性行為は神から与えられた祝福であり、性行為を押さえ込むことは神の意志に背くことである」と説いて性行為を賞賛し、信者同士で性行為をするように誘導し、信者の名誉とプライバシーを破壊して信者を弱気にさせる。コミュニティ内での近親相姦が認められており、児童への性的虐待により非難された。これに関連し、2005年に元会員が自分に性的虐待を行った会員を殺害後に自殺している。リバー・フェニックスとその一家は幼少期をこのコミュニティで過ごしており、組織に対する非難の声を上げた。
- ホームオブハート(レムリアアイランド、アマゾンなど異名多数)
- 日本の自己啓発セミナー。MASAYA(倉渕透)という指導者を絶対的存在とした思想団体。「自我を持っていると苦労が発生する」と吹き込み自信を破壊して不安を煽る。心の癒やしと銘打った勧誘をして監禁と思想抑圧をする。学校を否定して児童に義務教育を受けさせず児童を長時間労働に従事させるという児童虐待をする。借金してでも献金するように構成員に対して要求する。かつてXJapanのToshiが入信していた。
- モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)
- アメリカのキリスト教系新宗教で、一般のキリスト教から異端と認定されている。「イリノイ州に拠点を置いていたとき教祖などが迫害されて虐殺された」「ユタ州に拠点を置いていたときアメリカ陸軍に攻め込まれた」という歴史を教え込んで信者に「敵に攻め込まれるかもしれない」と意識させて不安を煽る。毎月の収入の10分の1を献金として要求するなど搾取が激しい。コーヒー・アルコール・性行為を徹底的に規制して信者を抑圧する。強引な勧誘、脱会者に対するストーカー行為など。
過去にカルト団体だった団体
- 日蓮が生存していたころの日蓮教団
- 日蓮教団とは、日蓮と法華経を尊崇することを共通項とする宗教団体の一群のことである。日蓮が生存していたころの日蓮教団は立正安国論という書物などで「内乱と外国の侵略により日本は滅びる」と人々の不安を煽り、十一通御書という書簡などで「念仏無間・禅天魔・真言亡国・律国賊」いう四箇格言を述べて他宗派を激しく攻撃していた。
カルト団体と扱われることがある団体
- 幸福会ヤマギシ会
- 農業・牧畜業を基盤とするユートピアの実現を掲げる思想団体。逮捕者を出したことがある。児童が触れるテレビ・マンガ・書籍を制限する、子と親を長期間断絶する、児童に対する体罰の横行、児童労働の多さ、児童に「個人的意見」を持たせないように思想抑圧をする、団体内結婚の誘導、1日2食の徹底など、問題が多い。ドイツではカルト認定を受けている。ただし、恐怖と不安を煽ることは少なく、カルト思想団体というよりは「問題の多い農業企業」と見なすべきか。
カルト団体と誤認されている団体
- オプス・デイ(属人区聖十字架とオプス・デイ)
- ラテン語で「神の業」を意味する。「属人区」と呼ばれるカトリックの組織の一つで、教皇による正式な認可を受けている。自由と意見を尊重しながら信仰を守り、日常生活すべての聖化を務めとする。ダン・ブラウンの小説「ダ・ヴィンチ・コード」では主人公を追いかける狂信的団体のように描かれており、映画化によって更に誤解が進んでしまい、問題視された。
- セブンスデー・アドベンチスト(SDA)
- キリスト教の宗派の1つで、かつてのアリウス派に近く、プロテスタントの諸派とも共通点がある。一般のキリスト教から異端と認定されていない。ただし、エホバの証人の創始者が入信していた宗教団体である。
- 太極拳
- 「国によってはカルト指定されている」とされているが、ベルギーにおける1997年の報告書では「不法行為・危険行為の継続的監視を必要とする団体」として扱われるに留まり、厳密にはカルト(セクト)認定ではない。同報告書にはアーミッシュとか禅宗とか上がっている辺りでお察しください。
- 現代の日蓮教団の一部
- 日蓮教団とは、日蓮と法華経を尊崇することを共通項とする宗教団体の一群のことで、顕正会や創価学会のようなカルト団体も含むし、比較的に穏健な団体も含む。1872年に政府が太政官布告を出し、日蓮と法華経を尊崇する寺を統合して「日蓮宗」と名乗らせた。1876年には勝劣派の顕本法華宗と日蓮宗興門派が分離独立し、一致派が日蓮宗と名乗り続けるようになった[4]。1899年に日蓮宗興門派が本門宗に改称した。そして1900年に静岡県富士宮市の大石寺が本門宗から独立して日蓮宗富士派となり、1912年に日蓮正宗と改名した。この日蓮正宗から生まれたのが創価学会と顕正会という2つのカルト団体である。とはいえ、日蓮正宗のことをカルト団体と扱う人は少ない。日蓮正宗の指導者の1人が日顕であるが、1991年に創価学会を破門したので創価学会の各種ビデオでボロクソに批判されている。
創作世界におけるカルト団体
- 恒心教
- 「オウム真理教の流れをくみ、殺害予告を繰り返し行う」とされる団体。詳細は個別記事参照。
- ダゴン秘密教団
- H.P.ラヴクラフトによる小説および世界観「クトゥルフ神話」における代表的なカルト。アメリカ合衆国マサチューセッツ州エセックス郡の漁村インスマスを事実上支配している。クトゥルフ神話の中ではこの他にも「星の智慧派教団」「皮膚の兄弟団」「暗黒のファラオ団」など様々なカルトが邪神復活を目論んで暗躍している。
1.のマインドコントロールから人を解放する方法
1.の意味を持つカルト団体がマインドコントロールをして人を加入させた場合、その人の身内や友人は「何とかしてあの人のマインドコントロールを解いてカルト団体から脱退させたい」と考えることになる。
カルト団体のマインドコントロールは巧妙であるから、構成員に掛けられたマインドコントロールを解くのは難しい。しかし、全く不可能ではないから、本項目でその方法のいくつかを指摘しておきたい。
カルト団体は、「あなたに襲いかかってくる危機は極めて深刻で、あなたは回避できない」などと語りかけ、「人に襲いかかってくる危機」というものを過大に表現して不安や恐怖を目一杯煽り、マインドコントロールの出発点にしている。
そのため、カルト団体の構成員のマインドコントロールを解くには、その人に向かって「人に襲いかかってくる危機」が小さいことを強調することを根気よく繰り返すことが必要になる。そして、「人に襲いかかってくる危機」が小さいことを伝えるには2つほどの方法がある。
①「世の中には運がいい人がいて、危ないこともサクッと簡単に回避してしまう」などのように「運のいい人」「幸運な人」のことを話題にして、「人に襲いかかってくる危機」が小さいことを強調するという方法があり、有力である。
②「歴史を振り返ってみると、ものすごく強大な帝国があっという間に弱くなったことがある。ローマ帝国もモンゴル帝国も大英帝国も急激に弱くなった」といったように語り、強大な存在が一気に弱くなる可能性を認識させ、強大に見える「人に襲いかかってくる危機」が一気に弱くなる可能性を悟らせる、という方法もある。ただし、この方法が通用するのは歴史の話をある程度理解できるインテリな人のみに限定される。
2.の概要
サブカルチャーにおいて、少数の熱狂的なファン・信者を持つ映画・文学・音楽・漫画・アニメなどの作品に対して「カルト」と表現する事が多い。
「カルト映画」「カルトアニメ」「カルトミュージック」「カルトゲーム」などその例は幅広く、よく頭に「知る人ぞ知る」という形容がつく。アメリカ等の欧米で「カルト的人気を博す」と評されたとき、こちらが当てはまる。
商業的に失敗しても熱烈なファンによる支持が後押しし、思いがけない評価を受ける場合もある。同名のミュージカルを題材とした1975年の映画『ロッキー・ホラー・ショー』はその最たる例で、今でいうところの応援上映によって観客は大いに盛り上がり、当時は社会現象にまでなった。これにより、現在では世界初のカルト映画と呼ばれて広く支持されている。
こういった作品を好んで制作するクリエイターは、往々にしてファンにとって崇拝の対象となる。映画監督のデヴィッド・リンチ(『ブルーベルベット』『ツイン・ピークス』)、アレハンドロ・ホドロフスキー(『エル・トポ』『ホーリー・マウンテン』)などは良い例だろう。
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関連項目
1.の意味の関連項目
- 宗教
- 新興宗教(新宗教)
- 信者
- カルト2世
- 邪教
- 偽装サークル
- テロ
- 終末論
- 犯罪
- 洗脳
- マインドコントロール
- 罪悪感
- 霊感商法
- 不当寄附勧誘防止法
- 日本国憲法第13条
- 日本国憲法第19条
- 日本国憲法第20条
- 反社会的カルト集団
2.の意味の関連項目
脚注
- *国民生活センター『消費者問題アラカルト 2018年改正消費者契約法の概要とポイント』(山本健司の執筆)を参照のこと。
- *たとえば、日本の自衛隊の構成員は法律によって労働三権を全て剥奪されており、構成員が労働組合を結成して上司に反発すると3年以下の懲役又は禁錮を課される。日本国憲法第28条の記事も参照のこと。
- *フランス国民議会の1995年12月22日報告書
- *勝劣派とは法華経の迹門(前半部分)よりも本門(後半部分)の方を重視すべきだとする派閥で、一致派は法華経の迹門と本門を同じように扱うべきだとする派閥である。
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